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会社設立を考える

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 以前の記事において親の資産管理と相続対策のために不動産管理会社を設立することにメリットがある事例は限定的であると説明しました。しかし、ちょうどよい機会ですので、会社の設立についてまとめてみました。

会社の種類

 会社についての法律である会社法は、株式会社と持分会社である合名会社、合資会社及び合同会社の4種類の会社を定めていますが、現在では通常選択される会社の形態は合同会社又は株式会社です。合同会社及び株式会社は、例えば、倒産した場合に出資者が出資した金額までしか責任を負わないことに見られるように、会社の債務について限定的な弁済義務を有することから有限責任会社とされています。はじめに、会社設立に関係するそれぞれの特徴を簡単に比較してみましょう。

合同会社株式会社
出資者1人以上合同会社と同じ
出資金1円以上合同会社と同じ
出資の内容金銭その他の財産合同会社と同じ
機関設計制約無し株主総会・取締役その他
意思決定機関出資者株主総会
業務執行機関出資者取締役・取締役会
決算公告不要必要
利益配分利益の配分は自由出資額(株式数)に比例
設立費用安い高い

 上の表に書かれていること以外に、合同会社では会社の所有者(出資者)と経営者が一致しているのに対し、株式会社では会社の所有と経営が分離しています(もちろん、株主兼経営者でも問題ありません)。

合同会社のメリットとデメリット

○メリット
(1)設立手続きと運営が簡単である。
 会社を運営するためには、会社の基本的なルールを定めます。このルールを定款といいます。合同会社を設立するに際し、最初に定めた定款(原始定款)を公証役場において公証してもらう必要がありません。また、株式会社と異なり、決算公告が義務ではないため、会社の維持に必要な経費を比較的に少額で済ますことができます。
(2)設立費用が比較的に少額で済む。
 会社設立時に支払う登録免許税は、株式会社の場合では最低で15万円ですが、合同会社では最低6万円です。具体的には、(資本金の額)×1000分の7に相当する金額になり、この金額が6万円に満たないときは6万円になります。
(3)定款に定められること多い。
 会社法では株式会社に関する規定は第25条から第574条までの約550条が存在するのに対し、合同会社(合名会社及び合資会社と共に持分会社としてまとめられています)に関する規定は第575条から第675条の100条しか存在しません。このことから分かるように、合同会社の運営には会社法で規定される規律が少なく、そのために自己の実情や都合に合わせた規則を会社定款に定めることができます。会社法で規定されていないことが多いため、逆に、その分を定款で規定する必要があるとも言えます。

○デメリット
(1)株式会社と比較して信用性を低く見られることがある。
 個人事業主よりは高いものの、株式会社よりも信用性を低く見られることがあります。
(2)所有と経営が一体である。
 原則として出資者が社員となり、業務を執行するため、株式会社のように株式を発行することで広く資金を集めることができません。
(3)定款の作成に注意が必要である。
 メリットの(3)と表裏一体で、定款作成の自由度が高い代わりに会社法で規定される規律が少ないため、将来必要になるであろう条項を定款の中に用意しておくことが難しい。定款変更も含め、重要事項の決定総社員の同意が原則です。

 以上、今回の記事では合同会社と株式会社の簡単な比較、及び株式会社と比較した合同会社のメリットとデメリットについて説明しました。合同会社は、会社の所有者と経営者が一致しているので、事業上の重要な決断について、経営者の決断が即会社の決定となります。これに対し、株式会社では会社の所有と経営が分離しているため、事業上の重要な決断については株主総会で決定しなくてはならないため、会社の方針決定に時間がかかりますが、株式発行で資金調達することができるという大きなメリットがあります。まずは合同会社で事業をスタートし、事業が軌道に乗って会社が拡大してきたところで組織変更により株式会社になってもいいかもしれません。

 合同会社の設立手続を知りたい方は次の記事をご覧ください。株式会社の設立を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

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