2026年4月1日以降、シンガポール・チャンギ国際空港における輸入検疫が変わります

ペットの犬猫とニューヨーク・ハワイへ渡航するための準備ガイド

アメリカン・ショートヘア ペットと海外移住
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 ペットの犬猫と一緒の海外移住を考えている方へ向けて、アメリカ(ニューヨーク州とハワイ州)への渡航に必要な手続きと注意点をまとめました。

 日本を出国するまでの手続きについては本ブログの記事「ペットと一緒に海外移住したいときの準備と手続き」をご覧ください。

アメリカ全体での入国要件

 口蹄疫、ラセンウジバエの寄生、狂犬病が問題となっている国からアメリカに入国するペットについては、獣医師による証明書等が必要になりますが、日本の国外に出たことが無いペットについては、これらの証明書について心配する必要はありません。

 動物の輸出入を管理するアメリカの政府機関として、アメリカ農務省(USDA)およびアメリカ疾病管理予防センター(CDC)が存在します。

イヌの場合

低リスク国(日本など)からの渡航

  • CDC Dog Import Form のオンライン提出が必須
  • ISO準拠マイクロチップの装着が義務化
  • 犬は生後6か月以上であること
  • 狂犬病予防接種証明書とマイクロチップ証明書は、州によって提出が求められる可能性あり

 CDC Dog Import Formの記入についてはこちらの記事をご覧ください。

 CDC Dog Import Formを提出するとReceiptがメールで送られてきます。アメリカ到着時の検疫では、Reciptのプリント又はスマートフォンなどのデバイスに表示したReceiptを税関職員に提示します。

高リスク国での滞在歴がある場合

  • アメリカ到着時に健康であること
  • アメリカ到着時に6か月齢以上であること
  • マイクロチップ装着後に狂犬病予防接種を受けていること
  • 狂犬病抗体検査を受け、基準値(0.5 IU/ml 以上)を満たしていること

 狂犬病予防接種に用いるワクチンは、不活化ワクチンまたは組換えワクチンです。

 狂犬病抗体検査は、CDCが認証する臨床検査所(日本の場合、一般財団法人生物科学安全研究所)において実施されるものです。

 遅くともアメリカへ出発する28日前には検査結果が得られるように狂犬病抗体検査を受けます。

 高リスク国滞在歴がある犬をアメリカに持ち込むときに必要な手続きと書類を以下に示します。

1.CDC Dog Import Formのオンライン提出

2.狂犬病予防接種証明書(英文)とマイクロチップ装着証明書(英文)の用意

 利用航空会社が1部ずつ保持する場合があるため、証明書を2部ずつ用意します。

3.狂犬病抗体検査の検査通知書(英文)の用意

 狂犬病抗体検査の結果を記入する前にCDC Dog Import Formを提出してしまった場合にのみ、別途必要になります。

4.CDC登録動物保護施設に犬を預ける予約

 CDC登録動物保護施設は、アトランタ(ATL, ジョージア州)、ロサンジェルス(LAX, カリフォルニア州)、マイアミ(MIA, フロリダ州)、ニューヨーク(JFK, 貨物輸送のみ、ニューヨーク州)、ワシントンDC(IAD)、及びフィラデルフィア(PHL, ペンシルバニア州)の空港近くにあります。

 上に挙げた6カ所の空港のうちのどれかに到着したら、CDC Dog Import FormのReceipt、狂犬病予防接種証明書(英文)とマイクロチップ装着証明書(英文)、及びCDC登録動物保護施設の予約確認書をU.S. Customs and Border Protectionに示します。

 犬は登録動物保護施設による診察を受けて入国を認められるか、最大で28日間の検疫措置になるか、あるいは入国を認められずに元の国に戻されることになります。登録動物保護施設での費用は飼主の負担になります。

ネコの場合

  • 狂犬病ワクチン接種証明は不要だが、接種推奨
  • 空港で感染症の兆候がある場合は入国拒否の可能性あり

アメリカの州レベルでの入国規制

ニューヨーク州の規制

 ニューヨーク州へペットを連れて行く場合、まず、連邦レベルでの入国条件を満たしている必要があります。そのうえで、ニューヨーク州独自の要求として、以下の点が求められます。

獣医師による健康診断書

 ペットが感染性または伝染性の病気にかかっていないこと、そのような病気のペットと接触しなかったことを証明する必要があります。感染性または伝染性の病気は、寄生虫や真菌を原因とする病気も含まれます。

・狂犬病ワクチンの情報

 ワクチンの製品名と接種日を健康診断書に記載する必要があります。

・JFK空港での検疫

 高リスク国に6か月以内に滞在していたペット又は貨物便で到着したペットは、JFK空港の敷地内の「The ARK at JFK」という会社の施設に送られ、そこでCDCによる検疫を受けます。

 この施設での検疫の予約処理には、最低45日かかるため(2024年12月26日調べ)、早めの準備が必用です。


 飼い主は、旅客便の貨物室にペットを預けた場合には、空港ターミナル内のバゲージクレームエリアでペットを受け取れます。

ハワイ州の規制

 ハワイ州は狂犬病の発生がない地域のため、ペットの持ち込みには、連邦レベルでの入国条件はもちろん、非常に厳しい条件が課されています。日本からの渡航でも、以下の条件をすべて満たす必要があります。

ペットの基本条件(犬・猫共通)

  • 妊娠中のペットは入州不可
  • 生後6か月齢以上であること
  • ISO準拠のマイクロチップを装着済みであること
  • マイクロチップ装着後、30日以上の間隔を空けて2回の狂犬病予防接種を行う
  • 最後の狂犬病予防接種はハワイ到着の30日以上前である
  • 蛍光抗体ウイルス中和法(FAVN)による狂犬病抗体検査で0.5 IU/ml以上の抗体価を確認
  • 狂犬病抗体検査後、少なくとも30日間は日本国内で待機
  • ハワイ到着の14日以内に健康診断と殺ダニ剤処置を受けること

 ペットに装着したマイクロチップは、渡航前に獣医師によって機能することが確認されなければなりません。ハワイでマイクロチップがスキャンできなかった場合、ペットは120日間の係留処分にななります。

 狂犬病予防接種に用いるワクチンは、不活化ワクチンまたは組換えワクチンです。

 ハワイ当局は、狂犬病抗体検査の有効期間を36か月(3年間)にしています。

提出書類とタイミング

  • フォームAQS-279
  • 狂犬病予防接種証明書(2回分)
  • ペット健康証明書
  • 狂犬病抗体検査結果通知書

 フォームAQS-279と2回分の狂犬病ワクチン接種証明書は、事前にハワイの検疫当局に提出します。ペットがハワイに到着する少なくとも10日前までに届いていることが必要です。ペット健康証明書のみ、ハワイ到着時の提出も可能です。

 狂犬病抗体検査は、農林水産省指定の日本の検査機関(日本生物安全科学研究所)で行い、英文の検査結果通知書をハワイ州検疫当局へ直接送付してもらうよう依頼します。狂犬病抗体検査の依頼主の手元にも検査機関から検査結果通知書が届きますので、それもハワイに持参します。

 狂犬病抗体検査の結果通知書を事前に提出せず、ハワイ到着時に提出した場合、ペットは空港からの即日解放にはならず、その結果の妥当性が検証されるまで係留処分になります。

検疫費用と解放プログラム

 ホノルル空港に到着したら敷地内にあるハワイ州検疫局(AQS)の建物に行き、検疫を受け(ペットは、飛行機の貨物室からAQSの建物に輸送されます)、手続費用をハワイ州政府に支払います。

  • 即日解放(Direct Airport Release):185ドル
  • 5日以内解放プログラム:244ドル+1日当たり14.30ドル
  • 書類不備またはマイクロチップのスキャン不良:244ドル+1日当たり14.30ドル(最大120日)

※ホノルル空港の検疫は午前8時から午後4時30分まで受け付けられているため、午後4時までに到着する便を選ぶとスムーズです。


 このように、ハワイ州はニューヨーク州よりも手続きが複雑で時間もかかりますが、段階を踏めば確実に準備できます。

日本へ帰国する際の手続き

 ペットがハワイに180日以上継続して滞在したか否かにより、日本側の輸入手続きが異なります。

 ペットと一緒に日本に帰国する場合、日本側の輸入手続きに加えて、アメリカ側での出国準備も必要です。

 日本への帰国前10日以内にアメリカ農務省(USDA)認定獣医師による健康診断を受け、アメリカ政府の獣医官にエンドースされた動物衛生証明書を入手します。USDA非認定の獣医師もいますので、アメリカ動植物検疫局(Animal and Plant Health Service)のページからアメリカ国内の居住地の近くのUSDA認定獣医師を検索してください。

 USDA認定獣医師が作成した動物衛生証明書ファイルには電子署名が付与され、獣医輸出証明書システム(VEHCS: Veterinary Export Health Certificate System)を通じて動物衛生証明書が発行されます。こうして、輸出国政府機関発行の証明書が発行されます。

 獣医師がこれを紙にプリントアウトし、動物衛生証明書のプリントをペットの飼い主に渡します。

 日本の動物検疫所は、アメリカのデータベースの中にある健康証明書を動物検疫所に提出する輸出国政府機関発行の証明書として認めていますが、帰国者は、動物衛生証明書のプリントも携帯しておくと安心です。


 以上、ペットをニューヨーク州又はハワイ州に連れて行くための準備と手続きを紹介しました。ペットを連れてアメリカへ移住したいけれど、ペットの渡航準備をすべて自分で行う時間がない方、サポートが必要な方は、行政書士渡邉光一事務所にご相談ください。

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