一般社団法人設立の流れ
一般社団法人の設立は、次のような流れで行われます。
- 一般社団法人の設立時社員になる者を2人以上集める
- 法人の名称・目的(事業内容)の決定
- 定款案の作成
- 設立時役員の決定
- 定款の認証
- 法人の登記
- 関係各署への届出
- 完了
法人名・目的の決定
法人名の決定
法人名には必ず「一般社団法人」を入れます。同一の名称が使用されていないか法務局や特許庁のホームページから確認しましょう。また、有名な会社の商号を模倣したり、事業内容と関係ない業務を想起させたりする名称を使用したりすることはやめましょう。
目的の決定
会社の場合と異なり、一般社団法人は非営利事業を目的とすることもできれば、営利事業を目的とすることもできます(会社は非営利事業を目的とすることができません)。言うまでもないことですが、法令や公序良俗に反するものは目的にすることはできません(適法性)。また、どのような内容であるのか想起できないような名称の事業を加えることもできません(明確性)。
定款案の作成
絶対的記載事項
以下の事項は、絶対的に定款に記載する必要があります。
- 法人の名称
- 目的
- 主たる事務所の所在地
- 設立時社員の氏名又は名称及び住所又は所在地
- 社員の資格の得喪に関する規定
- 公告の方式
- 事業年度
相対的及び任意的記載事項
相対的記載事項は、定款に定めたときにのみ効力を有する事項をいいます。任意的記載事項は、定款以外(例えば、理事会の決議)で定めても有効ですが、定款に定めることでいちいち決議しなくても済むようになる事項をいいます。相対的及び任意的記載事項には次のような事項があります。
相対的記載事項
- 経費の負担に関する定め
- 任意退社に関する定め
- 退社事由
- 議決権の数に関する定め
- 社員総会の定足数に関する定め
- 社員総会の決議要件に関する定め
- 社員総会以外の機関の設置に関する定め
- 役員の任期の短縮に関する定め
- 理事の業務の執行に関する定め
- 代表理事の互選規定
- 理事会の設置の定め
- 代表理事の理事会に対する職務の執行状況の報告の時期・回数に関する定め
- 理事会の定足数又は決議要件に関する定め
- 理事等による責任の免除に関する定め
- 外部役員等と責任限定契約を締結することができる旨の定め
- 基金を引き受ける者の募集等に関する定め
- 清算人会を設置する旨の定め
任意的記載事項
- 社員総会の召集時期
- 社員総会の議長
- 役員等の員数
- 役員の報酬
- 解散・清算手続き
- 剰余金分配の禁止
- 残余財産の帰属
無効となる記載事項
一般社団法人は株式会社等の営利法人と異なり、社員に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定めは無効です。
相対的及び任意的記載事項の中で特に注意が必要な記載事項は「基金を引き受ける者の募集等に関する定め」、「剰余金分配の禁止」、及び「残余財産の帰属」です。一般社団法人に基金を創設するためには「基金を引き受ける者の募集等に関する定め」が必要です。また、設立する一般社団法人を非営利型一般社団法人にするには、任意的記載事項ではありますが、「剰余金分配の禁止」及び「残余財産の帰属」を定款に定めることを要し、「残余財産の帰属」の中で一般社団法人の解散時に残余財産を国、地方公共団体、又は公益的な団体に贈与することを定めます。
今回は、一般社団法人の特徴と設立の流れの前半部分を説明しました。次回の記事では一般社団法人設立の後半部分について解説します。