海外からペット(犬・猫)と一緒に日本へ帰国する際には、出発国が「狂犬病非発生地域」(指定地域)かどうかによって、必要な手続きが異なります。この記事では、指定地域から帰国する場合の条件と手続きについて、わかりやすく解説します。
指定地域とは
日本の動物検疫所が「狂犬病非発生地域」として指定している国及び地域は以下の6つです。
- アイスランド
- オーストラリア
- ニュージーランド
- フィジー諸島
- ハワイ
- グアム
これら以外の国及び地域から日本に帰国する場合は次の記事をご覧ください。
ペットの条件
指定地域からペットを日本へ連れて帰るには、以下の条件を満たす必要があります。
- マイクロチップの装着:ISO11784/11785規格に準拠したマイクロチップを装着し、検査時に確実に読み取れること。
- 滞在履歴の条件:次のいずれかを満たすこと
- 生まれてからずっと指定地域で飼育されている
- 日本帰国直前の180日間以上、指定地域で飼育されている
- 日本から渡航(輸出)後、ずっと指定地域で飼育されている
日本に出国する前に行う手続き
ペットが上記の条件を満たしている場合、以下の手続きを行います。
- 輸入届出書の提出:日本到着の40日前までに、到着予定の空港・港を管轄する動物検疫所へ提出。
- 届出受理書の取得:検疫所から交付される「届出受理書」を受け取り、渡航時に携帯。
- 輸出前検査:渡航前10日以内に、現地の獣医師または政府機関による健康診断を受ける。
- 証明書の取得:輸出国政府機関が発行する証明書(動物衛生証明書)を取得。
※提出した「届出書」に変更が生じたときは「変更届出書」を検疫所に提出します。ただし、到着日を早くしたり、輸入するペットの頭数を追加すること、輸入予定の個体を別の個体に変更すること、最初に提出した届出書に記入した到着予定日を過ぎてから日程を変更したりすることは認められません。
輸出前検査の際に作成された健康証明書は、輸出国政府の獣医官や検疫官の署名と公印(エンドースメント)を得て、輸出国政府機関発行の証明書になります。
日本の動物検疫所は、輸出国政府機関発行の証明書の書式として、Form ABを提供しています。
トランジット便で帰国の場合
指定地域からの直行便ではなく、他国を経由する場合は以下のいずれかが必要です。
- 輸送ケージの封印番号
- 輸送に関する追加証明書
これらは、ペットがトランジット中に狂犬病疑いの動物と接触していないことを保証するための措置・書類になります。
封印番号は、日本帰国便の運航会社に確認してください。輸出国政府機関発行の証明書に封印番号を記載します。
輸送に関する追加証明書は、経由地において当地の動物検疫機関・税関、又は航空海運会社や機長船長から取得します。
※封印、封印番号、または追加証明書に不備があった場合、ペットは日本到着後に最大で180日間の係留措置を受けることになります。
日本到着後の流れ
到着後は空港の動物検疫カウンターで輸入検査を受けます。以下の書類を提出します。
- 輸入検査申請書
- 届出受理書
- 輸出国政府機関発行証明書
- トランジットがある場合は追加証明書(封印をしなかった場合)
- 航空運送状など(貨物便の場合)
ペットの身元確認のため、マイクロチップが読み取られます。問題がなければ、12時間以内にペットと一緒に空港・港を出ることができます。問題があった場合、ペットは最大で180日間の係留措置を受けることになります。係留のための費用はペットの飼主の負担です。
まとめ
指定地域からペットと帰国するには、以下のポイントを押さえましょう。
次の記事では、狂犬病非発生地域に指定されていない国・地域からの帰国手続きについて紹介します。