アメリカに入国できる犬の要件が2024年8月1日に変わりました

ペットフードの会社を始めるには

ビジネス

 平成21年(2009年)に「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)」という法律が施行されました。この法律は、ペットの健康の保護と動物の愛護に寄与することを目的としてペットフードの製造販売を規制する法律です。ペットフードを製造又は販売する事業者は、この法律に従うことになりました。この記事では、新たにペットフードの製造又は販売を行うことを計画している小規模事業者を対象としてペットフード安全法を解説します。

ペットフード安全法の概要

 ペットフード安全法の対象となるペットフードには、一般食や栄養食のほか、おやつ、ガム、及び飲料も含まれます。ペットフード安全法によって次のように権限が国に与えられ、義務がペットフードの製造業者、輸入業者、及び販売業者に課されることになりました。

  • ペットフードの製造業者又は輸入業者は、氏名又は名称及び住所又は所在地を届け出る
  • ペットフードの製造業者、輸入業者、又は*販売業者(小売業者を除く)は、販売等をしたペットフードの名称、数量等を帳簿に記載する
  • 国は、ペットフードの製造方法及び表示の基準、成分の規格を定めることができる
  • 国は、基準・規格に合わないペットフードの製造、輸入又は販売を禁止することができる
  • 国は、有害な物質を含むペットフード等の製造、輸入、又は販売を禁止することができる
  • 国は、基準・規格に合わない、又は有害な物質をを含むペットフードの廃棄、回収などを命令することができる
  • 国と独立行政法人農林水産消費安全技術センターは、ペットフードの製造業者、輸入業者、販売業者等に対し、報告徴収及び立入検査等を実施することができる

*「販売業者(小売業者を除く)は、販売等をしたペットフードの名称、数量等を帳簿に記載する」とありますが、小売業者はペットフード安全法で規定される帳簿の記載及び備え付けの義務を免除されているという意味でしかありません。詳しくは、次の節を参照してください。

 ペットフードの製造業者及び輸入業者がする届出の内容は次のとおりです。

  1. 氏名及び住所(法人の場合では名称、代表者の氏名、及び主たる事務所の所在地)
  2. 製造業者の場合ではペットフード製造事業所の名称及び所在地
  3. 販売業務を行う事業所*及びペットフードを保管する施設の所在地
  4. 製造又は輸入するペットフードが使用されるペットの種類
  5. ペットフードの製造又は輸入の開始年月日
  6. 輸出用として製造又は輸入するペットフードについてはその旨

* 販売業者の販売業務に限定されません。

 届出事項に変更がある、事業を廃止する、又は事業を譲渡する等の場面でも届出が必要です。

 ペットフードの製造業者及び輸入業者の届出は、農林水産省のシステムを使用してオンラインでも届け出ることができます。

帳簿の備え付け

 国による製造・出荷済みのペットフードの廃棄・回収命令、又は国による報告徴収及び立入検査等に対処するため、ペットフードの製造業者、輸入業者、販売業者は帳簿を記載して備え付けておかなければなりません。記載事項は以下のようになっています。

ペットフードを製造した場合(製造業者のみ)

  1. 製造したペットフードの名称・数量・製造年月日
    • ペットフードの商品名を記載します
    • 製品ロットごとの数量(重量)を記載します
    • 当該製品の製造日を記載します
  2. 原材料の名称及び数量
    • 1で記載する「製品の名称」ごとに製造に用いた原材料の名称(製品パッケージに表示する原材料名と同じ名称)とその数量を記載します
    • 他の業者から仕入れた原材料についてはその名称と数量に加えて仕入れ先の氏名又は名称もきさいします
    • 任意ですが、原材料の製造業者名や原産国名を記載します

ペットフードを輸入した場合(輸入業者のみ)

  1. 輸入したペットフードの名称・数量・輸入年月日・荷姿
    • ペットフードの商品名を記載します
    • 製品ロットごとの数量(重量)を記載します
    • 輸入年月日は、当該製品の輸入許可通知書上の輸入許可日を輸入年月日とします
  2. ペットフードの輸入先国名・輸入の相手方の氏名又は名称
    • 輸入の相手方は、当該製品の輸入許可通知書上の輸出者とします
  3. 輸入したペットフードの製造国名・製造業者の氏名又は名称・原材料の名称
    • 製品パッケージに表示する原産国名と同じ名称を記載します
    • 製品パッケージに表示する原材料名と同じ名称を記載します

ペットフードを製造業者、輸入業者、又は販売業者に譲り渡した場合(全ての業者)

  1. 譲り渡したペットフードの名称・数量
    • 譲り渡しの相手方の氏名又は名称・譲り渡しの年月日・荷姿
    • 1で記載する「譲り渡したペットフードの名称」ごとに相手方の氏名又は名称・譲り渡しの年月日・荷姿を記載します
    • 譲り渡しの年月日は、製造業者、輸入業者、又は販売業者が製品を受領した年月日とします
  2. 無償サンプルの配布等の場合
    • 無償サンプルを販売業者(動物病院を含む)に配布した場合でも同様に記帳を行います

 販売業者への譲り渡しには卸売販売業者から小売業者への譲り渡しも含まれます。

帳簿の保存期間

 記載した帳簿及び記録した電子データは、少なくとも2年間保存します。帳簿は各事業所に備え付けます。各事業所に備え付けることが困難な場合には営業所や本社に置くことも許されますが、立入検査の際には各事業所において帳簿を確認できるようにします。

ペットフードの安全確保のための取組み

販売業者(卸売)の取組み

1.販売品目の内容の把握

 販売業者(卸売)は、販売品目及び販売数量等の把握に努めます。また、取扱品目に法令に定められた表示があることの把握に努めます。

2.安全に関する情報収集、知識の習得

 販売業者(卸売)は、ペットフードの安全に関する情報を収集し、販売等を行う際に必要となる安全に関する知識の習得に努めます。

3.帳簿管理

 販売業者(卸売)は、製品の受け入れから出荷に至る過程の帳票等が相互に関連して製品の特定が可能な状態になっていることの把握に努めます。

4.事故等発生時の対応方法の確認

 販売業者(卸売)は、ペットフードの使用に起因する事故又はペットフードへの有害物質の混入などの事故が発生した際に当該事業者と協力してペットの健康被害を最小限とする対応に努めます。

販売業者(小売)の取組み

 販売業者(小売)は、販売業者(卸売)の取組みの3番を除いて同じ取組みをします。

輸入業者の取組み

1.輸入事業の概要の把握

 輸入業者は、輸入品目、輸入数量、輸入元の事業者、製品の保管施設、及び組織(輸入管理体制、安全管理体制など)の把握に努めます。

2.安全に関する情報収集、知識の習得

 輸入業者は、ペットフードの安全に関する情報を収集し、輸入を行う際に必要となる安全に関する知識・技術の習得に努めます。さらに、安全管理を担う担当者の育成に努めます。

3.輸入元の製造事業場における製造管理・品質管理

 輸入業者は、輸入元の製造事業場における製造管理・品質管理の把握に努めます。

4.帳簿管理

 輸入業者は、製品の受け入れから出荷に至る過程の帳票等が相互に関連して製品の特定が可能な状態になっていることの把握に努めます。

5.表示管理

 輸入業者は、法令に定められた表示基準に基づき表示を作成します。「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」や「景品表示法」等の規定についても注意します。

6.事故等発生時の対応方法の確認

 輸入業者は、ペットフードの使用に起因する事故又はペットフードへの有害物質の混入などの事故が発生した際にペットの健康被害を最小限とする対応に努めます。具体的には農水省等への通報、回収方法の手順等を定めておきます。

製造業者の取組み

1.製造事業の概要の把握

 製造業者は、製造品目、製造数量、製造工程、製造事業所のレイアウト、設備機器(種類、数、使用、能力等)、及び組織(製造管理体制、品質管理体制等)の把握に努めます。

2.安全に関する情報収集、知識の習得

 製造業者は、ペットフードの安全に関する情報を収集し、製造を行う際に必要となる安全に関する知識・技術の習得に努めます。さらに、安全管理を担う担当者の育成に努めます。

3.製品標準書の作成

 製造業者は、安全管理に必要な規格基準を定めて文書化します。

4.製造管理

 製造業者は、安全管理が必要な工程の管理基準と作業基準を定める等、基準・規格等を遵守した工程管理に努めます。

5.品質管理

 製造業者は、安全管理が必要な工程の管理状況の確認、必要に応じて実施される原料・中間製品・最終製品等の性状確認等、品質管理に努めます。

6.帳簿管理

 製造業者は、原料の受け入れから製品の製造、出荷に至る工程における作業指示書、作業記録、伝票、帳票等が相互に関連して製品から原料の特定が可能な記録になっていることの確認に努めます。

7.表示管理

 製造業者は、法令に定められた表示基準に基づき表示を作成します。「薬機法」や「景品表示法」等の規定についても注意します。

8.事故等発生時の対応方法の確認

 製造業者は、ペットフードの使用に起因する事故又はペットフードへの有害物質の混入などの事故が発生した際にペットの健康被害を最小限とする対応に努めます。具体的には農水省等への通報、回収方法の手順等を定めておきます。

肉骨粉について

 肉骨粉とは、人間の食用には適さないクズ肉や骨を加熱乾燥等の処理によって粉末にしたものです。安価なアミノ酸源・タンパク質源として使用されていましたが、BSEという病気との関連が疑われてその製造、輸入、及び使用が規制・管理されており、肉骨粉を製造、輸入、及び使用するには種々の手続きが必要になります。これは、ペットフードの製造事業者がその製品の製造に肉骨粉を使用するときも同じです。

タイトルとURLをコピーしました