ペットビジネスは、動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)によって規制管理されており、法律上は動物取扱業と呼ばれています。動物愛護管理法の規定により、動物取扱業を営もうとする者は、事業を営もうとする事業所の所在地を管轄する都道府県知事に対して動物取扱業の登録又は届出を行わなければなりません。
この記事は、主に動物愛護管理法の内容を中心に、動物取扱業の登録又は届出の手続を紹介します。
動物取扱業の登録又は届出
動物取扱業の規制の対象となる動物は、哺乳類、鳥類、爬虫類です。ただし、畜産農業に係るもの、試験研究用、生物学的製剤の製造などのために飼養・保管されているものは除きます。ミニブタ、ポニー、及びヤギはペットであっても家畜に含まれますのでこれらの動物を取り扱うには家畜商免許が必要になります。
登録申請(届出)の前に確認すること
1.営もうとしている動物取扱業が営利活動であるのか、あるいは非営利活動であるのかを決定します
動物取扱業は、その事業活動が営利活動であるか又は非営利活動であるかによって第一種動物取扱業と第二種動物取扱業に分かれます。その事業活動が営利活動であれば第一種動物取扱業の登録が必要になり、非営利活動であれば第二種動物取扱業の届出が必要になります。
動物愛護管理法で管理する第一種動物取扱業の対象となる業態には以下の表に挙げるものがあります。
第一種動物取扱業の業態(法第10条第1項及び施行規則第3条第1項第5号イ)
種別 | 該当する業者の例 |
---|---|
販売業 | ペットの販売業者、ブリーダー |
保管業 | ペットホテル、トリミングサロン、ペットシッター |
貸出業 | ペットレンタル、ペットタレント・モデルの派遣業、繁殖用の動物派遣業 |
訓練業 | 動物の訓練・調教業者 |
展示業 | 動物園、水族館、サーカス、乗馬施設、動物カフェ |
競りあっせん業 | 会場を設けてのペットオークション業者 |
譲受飼養業 | 老犬ホーム、老猫ホーム |
2.事業を営む地域の各市区町村の担当課(都市計画課、建築指導課など)に事業内容を説明し、事業を営むことができるかどうかの確認をします
事業を営もうとする事業所の所在地が、都市計画法、建築基準法及び条例等の規制地域に入っている可能性もあります。意中の事業所の所在地において動物取扱業を営むことができるか否かを事前確認することが必要です。
第一種動物取扱業の登録
第一種動物取扱業は、事業者の営利を目的として動物の取扱いを行う事業です。動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)及び各自治体の条例により事業登録が必要です。
人的要件
第一種動物取扱業には以下の人員が必要です。
- 第一種動物取扱業の事業者
- 事業所ごとに設置する一名以上の常勤の動物取扱責任者1
- 事業所ごとに設置する一名以上の重要事項の説明等をする職員2
- 事業所外に設置する一名以上の重要事項の説明等をする職員(該当する場合)
- 動物の飼養・保管に従事する職員(該当する場合)
登録を申請する事業者は、次の欠格要件に該当していないことが求められます。
欠格要件(法第12条第1項)
- 1 精神の機能の障害によりその業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
- 2 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 3 動物愛護管理法の規定により登録を取り消され、その処分のあつた日から5年を経過しない者
- 4 第一種動物取扱業者で法人であるものが動物愛護管理法の規定により登録を取り消された場合において、その処分のあつた日前30日以内にその第一種動物取扱業者の役員であつた者でその処分のあつた日から5年を経過しないもの
- 5 動物愛護管理法の規定により業務の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
- 5の2 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から5年を経過しない者
- 6 動物愛護管理法の規定、化製場等に関する法律の規定、外国為替及び外国貿易法の規定、狂犬病予防法の規定、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の規定、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の規定又は特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から5年を経過しない者
- 7 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなつた日から5年を経過しない者
- 7の2 第一種動物取扱業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として環境省令で定める者
- 8 法人であつて、その役員又はその法人の事業所の業務を統括する使用人のうちに前各号のいずれかに該当する者があるもの
- 9 個人であつて、その個人の事業所の業務を統括する使用人のうちに第1号から第7号の2までのいずれかに該当する者があるもの
第7号の2の「環境省令で定める者」とは、(1)登録の取り消し処分の通知日から実際の処分日等までの間に動物取扱業の廃業等の届出を出した者であってその届出の日から5年を経過しない者、又は(2)登録の取り消し処分の通知日から実際の処分日等までの間に動物取扱業の廃業等の届出を出した法人の役員であった者であってその通知の30日前から廃業日までその法人の役員であり、その届出の日から5年を経過しない者のことをいいます。
動物取扱責任者は、次の要件を満たす職員の中から選任します。まず、動物取扱責任者は、次に掲げる要件のいずれかに該当していなければなりません(施行規則第9条)。
- 獣医師の免許を取得している者であること
- 愛玩動物看護師の免許を取得している者であること
- 営もうとする第一種動物取扱業の種別ごとに半年間以上の常勤の職員としての実務経験又は取り扱おうとする動物の種類ごとに実務経験と同等と認められる一年間以上の飼養に従事した経験があり、かつ、営もうとする第一種動物取扱業の種別に係る知識及び技術について一年間以上教育する学校その他の教育機関を卒業していること
- 営もうとする第一種動物取扱業の種別ごとに半年間以上の常勤の職員としての実務経験又は取り扱おうとする動物の種類ごとに実務経験と同等と認められる一年間以上の飼養に従事した経験があり、かつ、公平性及び専門性を持った団体が行う客観的な試験によって、営もうとする第一種動物取扱業の種別に係る知識及び技術を習得していることの証明を得ていること
動物取扱責任者は、他の職員全員に対し、動物取扱責任者研修において得た知識及び技術に関する指導を行う役割を有しているため、そのような指導を行う能力を有する者であることが求められています。さらに、動物取扱も欠格要件中の第1号から第7号の2まで該当していないことが求められます(法第22条第1項及び第2項)。
動物取扱責任者の候補者は、都道府県知事が行う動物取扱責任者研修を受講して修了証を取得することで初めて動物取扱責任者になることができます(法第22条第3項)。
事業所の内又は外で重要事項の説明等をする職員は、次に掲げる要件のいずれかに該当していなければなりません(施行規則第3条第1項第5号及び第6号)。
- 営もうとする第一種動物取扱業の種別ごとに半年間以上の常勤の職員としての実務経験があること
- 営もうとする第一種動物取扱業の種別に係る知識及び技術について一年間以上教育する学校その他の教育機関を卒業していること
- 公平性及び専門性を持った団体が行う客観的な試験によって、営もうとする第一種動物取扱業の種別に係る知識及び技術を習得していることの証明を得ていること
動物の飼養・保管に従事する職員の人数は、第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令(以下、「基準省令」)の規定を満たす人数でなくてはなりません(基準省令第2条第2号)。「基準省令」では、動物取扱業者が飼養又は保管をする動物の種類及び数は、飼養施設の構造及び規模並びに動物の飼養又は保管に当たる職員数に見合ったものとすることになっており、特に動物の飼養・保管に従事する職員一人が飼養又は保管することができる犬猫の頭数が決められています。
飼養・保管する犬猫の頭数の上限
1人の職員が飼養又は保管することができる犬猫の頭数の上限は、犬については20頭、猫については30頭であり、このうち、繁殖の用に供する犬については15頭、繁殖の用に供する猫については25頭です。犬と猫の両方を飼養又は保管する場合には犬猫合計して最大で30頭までの飼養又は保管が認められていますが、犬猫の頭数は、単純に犬猫合計して30頭までと定められているわけではなく、基準省令内の別表において具体的に定められています。
物的要件
第一種動物取扱業者は、事業所・飼養施設がある土地・建物について、事業の実施に必要な権原を有していなければなりません(施行規則第2条第4項第3号及び第3条第1項第1号)。
第一種動物取扱業事業者がその事業所に飼養施設を設置する場合には、その飼養施設は環境省令で定める飼養施設の構造、規模及び管理に関する基準に従うことを要します(法第12条第1項)。
飼養施設の構造、規模及び管理に関する基準(施行規則第2条第2項第4号及び第3条第2項)
- 飼養施設は、次のイからワまでに掲げる設備等を備えていること。
- イ ケージ等(動物の飼養又は保管のために使用するおり、かご、水槽等の設備をいう)
- ロ 照明設備(営業時間が日中のみである等当該設備の必要のない飼養施設を除く)
- ハ 給水設備
- ニ 排水設備
- ホ 洗浄設備(飼養施設、設備、動物等を洗浄するための洗浄槽等をいう)
- ヘ 消毒設備(飼養施設、設備等を消毒するための消毒薬噴霧装置等をいう)
- ト 汚物、残さ等の廃棄物の集積設備
- チ 動物の死体の一時保管場所
- リ 餌の保管設備
- ヌ 清掃設備
- ル 空調設備(屋外施設を除く)
- ヲ 遮光のため又は風雨を遮るための設備(ケージ等がすべて屋内にある等当該設備の必要のない場合を除く)
- ワ 訓練場(飼養施設において訓練を行う訓練業を営もうとする者に限る)
- ねずみ、はえ、蚊、のみその他の衛生動物が侵入するおそれがある場合にあっては、その侵入を防止できる構造であること。
- 床、内壁、天井及び附属設備は、清掃が容易である等衛生状態の維持及び管理がしやすい構造であること。
- 飼養又は保管をする動物の種類、習性、運動能力、数等に応じて、その逸走を防止することができる構造及び強度であること。
- 飼養施設及びこれに備える設備等は、事業の実施に必要な規模であること。
- 飼養施設は、動物の飼養又は保管に係る作業の実施に必要な空間を確保していること。
- 飼養施設に備えるケージ等は、次に掲げるとおりであること。
- イ 耐水性がないため洗浄が容易でない等衛生管理上支障がある材質を用いていないこと。
- ロ 底面は、ふん尿等が漏えいしない構造であること。
- ハ 側面又は天井は、常時、通気が確保され、かつ、ケージ等の内部を外部から見通すことのできる構造であること。ただし、当該飼養又は保管に係る動物が傷病動物である等特別の事情がある場合には、この限りでない。
- ニ 飼養施設の床等に確実に固定する等、衝撃による転倒を防止するための措置が講じられていること。
- ホ 動物によって容易に損壊されない構造及び強度であること。
- 構造及び規模が取り扱う動物の種類及び数にかんがみ著しく不適切なものでないこと。
- 犬又は猫の飼養施設は、前各号に掲げるもののほか、基準省令第二条第一号に定める飼養施設の管理、飼養施設に備える設備の構造及び規模並びに当該設備の管理に関する事項に適合するものであること。
- 犬又は猫の飼養施設は、他の場所から区分する等の夜間(午後8時から午前8時までの間をいう)に当該施設に顧客、見学者等を立ち入らせないための措置が講じられていること(販売業、貸出業又は展示業を営もうとする者であって夜間に営業しようとする者に限る)。ただし、特定成猫(次のいずれにも該当する猫をいう)の飼養施設については、夜間のうち展示を行わない間に当該措置が講じられていること(販売業、貸出業又は展示業を営もうとする者であって夜間のうち特定成猫の展示を行わない間に営業しようとする者に限る)。
- イ 生後一年以上であること
- ロ 午後8時から午後10時までの間に展示される場合には、休息できる設備に自由に移動できる状態で展示されていること
9番の「基準省令第二条第一号に定める飼養施設の管理、飼養施設に備える設備の構造及び規模並びに当該設備の管理に関する事項」には、(1)飼養施設の管理方法に関する事項、(2)飼養施設に備える設備の構造及び規模等に関する事項、並びに(3)飼養施設に備える設備の管理方法に関する事項が含まれます。
財産的要件
第一種動物取扱業の登録を受けるために必要な財産的な要件は決められていません。しかしながら、動物取扱業の開業前に事業に必要な金銭を用意しておくことは、動物愛護管理法の趣旨に基づいて事業を運営するためにも重要であることは言うまでもありません。
登録の有効期間
登録の有効期間は5年です。引き続き動物取扱業の営業を望む者は、登録の更新をしなければなりません(法第13条)。
登録申請手続
申請先:各事業所の所在地である都道府県(所在地が政令指定都市である場合にはその市)3
提出物:(東京都の場合を例として紹介します)
- 第一種動物取扱業登録申請書(1種別ごとに1枚の申請書が必要)
- 第一種動物取扱業の実施の方法(販売業・貸出業の場合)
- 犬猫等健康安全計画(飼養施設を設けて犬猫等の販売を行う場合)
- 登録申請者及び各事業所の動物取扱責任者(業務統括責任者)が動物愛護管理法第12条第1項第1号から第7号の2まで(欠格要件)に該当しないことを示す書類
- 飼養施設の平面図
- ケージ等の規模を示す平面図・立体図(犬又は猫の飼養又は保管を行う場合)
- 飼養施設の付近の見取図(該当する場合)
- 権原を証明する書類(事業所・飼養施設がある土地・建物について、事業の実施に必要な権原を有している証明)
- 動物取扱責任者研修修了証のコピー
- 法人の登記事項証明書
- 役員の住所氏名一覧
10番及び11番の書類は、事業者が法人の場合に必要な書類です。
申請手数料:第一種動物取扱業の登録には手数料の納付が必要です。
提出物の内容
動物愛護管理法に規定されている登録申請書の記載事項には次の事項があります(法第10条第2項)。
- 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては代表者の氏名
- 事業所の名称及び所在地
- 事業所ごとに置かれる動物取扱責任者の氏名
- その営もうとする第一種動物取扱業の種別(販売、保管、貸出し、訓練、展示、競りあっせん、又は譲受飼養)並びにその種別に応じた業務の内容及び実施の方法
- 主として取り扱う動物の種類及び数
- 動物の飼養又は保管のための施設(「飼養施設」)を設置しているときは、次に掲げる事項
- イ 飼養施設の所在地
- ロ 飼養施設の構造及び規模
- ハ 飼養施設の管理の方法
- その他環境省令で定める事項
- 販売の用に供する犬猫等の繁殖を行うか否かの別(犬猫等の販売業に該当する場合)
7番の「その他環境省令で定める事項」には次の事項があります(施行規則第2条第4項)。
- 営業の開始年月日
- 法人にあっては、役員の氏名及び住所
- 事業所及び飼養施設の土地及び建物について事業の実施に必要な権原を有する事実
- 事業所以外の場所において、顧客に対し適正な動物の飼養及び保管の方法等に係る重要事項を説明し、又は動物を取り扱う職員の氏名
- 事業所ごとに配置される重要事項の説明等をする職員
- 事業所に配置される職員の最低数
- 営業時間
7番の営業時間に関し、営業時間は午前8時から午後8時までの間でなければならないとされています。しかしながら、特定成猫の展示を行う場合にあっては、営業が午後8時から午後10時までの間に終了することが認められています。ただし、同一の特定成猫の12時間を超える展示は禁止されています4。
動物販売業・貸出業を営む場合に提出する第一種動物取扱業の実施の方法は、販売業にあっては基準省令第2条第4号チ及び第7号ロからヘに、貸出業にあっては基準省令第2条第7号ハ、ニ、ト及びリに準拠するように記載します。
犬や猫を販売する犬猫等販売業を営む場合に提出する犬猫等健康安全計画の記載内容は、(1)販売の用に供する幼齢の犬猫等の健康及び安全を確保するための体制の整備、(2)販売の用に供することが困難になった犬猫等の取扱い、並びに(3)幼齢の犬猫等の健康及び安全の保持に配慮した飼養、保管、繁殖及び展示の方法に関するものです(法第10条第3項第2号及び施行規則第2条の2)。
飼養施設の平面図には、上の設備要件の1番イからワまでに挙げた設備等の配置が明らかにされていなければなりません(施行規則第2条第2項第4号)。
飼養施設に設置するケージ等の構造及び規模とケージ等に入れる動物の種類及び数との関係が基準省令により決められているため(基準省令第2条第7号ル)、ケージ等の規模を示す平面図・立体図の提出が必要になります。
登録の拒否
次のいずれかの場合において、都道府県知事は第一種動物取扱業の登録を拒否します(法第12条第1項)。
- 登録を受けようとする者が上の欠格要件のいずれかに該当するとき
- 営もうとする第一種動物取扱業の種別に応じた業務の内容及び実施の方法が動物の健康及び安全の保持その他動物の適正な取扱いを確保するために必要な基準に適合していないと認めるとき
- 飼養施設の構造、規模及び管理方法が基準に適合していないと認めるとき
- 犬猫等販売業を営む場合にあっては、犬猫等健康安全計画が幼齢の犬猫等の健康及び安全の確保並びに犬猫等の終生飼養の確保を図るために必要な基準に適合していないと認めるとき
- 申請書又は添付書類のうちの重要事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けているとき
標識の掲示
登録を受けた第一種動物取扱業者は、事業所ごとに、公衆の見やすい場所に、第一種動物取扱業者の氏名又は法人の名称、事業所の名称及び所在地、登録に係る第一種動物取扱業の種別、登録番号、登録の年月日及び有効期間の末日、並びに動物取扱責任者の氏名を記載した標識を掲示します(法第18条及び施行規則第7条)。
第二種動物取扱業の届出
第二種動物取扱業は、非営利の活動を目的として動物の取扱いを行う事業です。動物愛護管理法の規定により事業の届出が必要です。
第二種動物取扱業の対象となる活動
非営利性の動物の取扱いのうち、飼養施設を有し、一定頭数以上の動物の取扱いを業として行う活動は、第二種動物取扱業の届出の対象です(法第24条の2の2)。非営利で「一定頭数」に満たない数の動物を飼養する事業者は、第二種動物取扱業の届出をする必要がありません。
「一定頭数」は、以下の表に示すように、動物種によって異なります(施行規則第10条の5第2項)。
類別 | 動物例 | 頭数 |
---|---|---|
大型動物 | 牛、馬、豚、ダチョウ又はこれらと同等以上のサイズの哺乳類若しくは鳥類及び特定動物* (全長約1m以上) | 3 |
中型動物 | 犬、猫又は大型動物以下でこれらと同等以上のサイズの哺乳類、鳥類若しくは爬虫類 (全長約50cm~1m以上) | 10 |
小型動物 | 大型動物及び中型動物以外の哺乳類、鳥類又は爬虫類 (全長約50cm以下) | 50 |
大型動物と中型動物の合計 | – | 10 |
大型動物~小型動物の合計 | – | 50 |
* 特定動物とは、動物愛護管理法の規定に基づいて、人の生命、身体又は財産に危害を加える恐れがある動物として政令で定められる動物種のことをいいます。
非営利活動であるため、第一種動物取扱業であれば販売業である活動は、第二種動物取扱業では譲渡しになります。
人的要件
動物愛護管理法で規定されている第二種動物取扱業に必要な人員は、当該第二種動物取扱業の事業者のみです。しかしながら、動物取扱業務の責任者や重要事項の説明担当者を職員の中から選任することは、法で否定されているものではありません。
動物の飼養・保管に従事する職員は、「基準省令」の規定を満たす人数であることが求められます(基準省令第3条第2号)。この規定を満たす人数は、上の「飼養・保管する犬猫の頭数の上限」の説明から算出します。
物的要件
第二種動物取扱業者は、事業所・飼養施設がある土地・建物について、事業の実施に必要な権原を有していなければなりません(施行規則第10条の6第4項第2号)。
第二種動物取扱業事業者が設置する飼養施設の基準は、人の居住の用に供する部分と区分できる施設であることです。ただし、委託を受け、上の表に掲げる数を超えない頭数の動物を一時的に飼養・保管する場合ではこの限りではありません(施行規則第10条の5第1項)。
第二種動物取扱業者が設置する飼養施設は、基準省令第3条第1号ロの規定を満たすものである必要があります。第二種動物取扱業者が設置する飼養施設の設備には次のものがあります。
設置が義務である設備
- イ ケージ等
- ロ 給水設備
- ハ 消毒設備
- ニ 餌の保管設備
- ホ 清掃設備
- ヘ 遮光のため又は風雨を遮るための設備
- ト 訓練場(飼養施設において訓練を行う訓練業を行おうとする者に限る)
設置が努力義務である設備
- チ 排水設備
- リ 洗浄設備
- ヌ 汚物、残さ等の廃棄物の集積設備
- ル 空調設備(屋外設備を除く。)
財産的要件
第二種動物取扱業の登録を受けるために必要な財産的な要件は決められていません。しかしながら、動物取扱業の開業前に事業に必要な金銭を用意しておくことは、動物愛護管理法の趣旨に基づいて事業を行うためにも重要であることは言うまでもありません。
届出手続
届出先:各事業所の所在地である都道府県(所在地が政令指定都市である場合にはその市)5
提出物:(東京都の場合を例として紹介します)
- 第二種動物取扱業届出書(1種別ごとに1枚の申請書が必要)
- 第二種動物取扱業の実施の方法(譲渡し・貸出の場合)
- 飼養施設の平面図
- ケージ等の規模を示す平面図・立体図(犬又は猫の飼養又は保管を行う場合)
- 飼養施設の付近の見取図(該当する場合)
- 権原を証明する書類(事業所・飼養施設がある土地・建物について、事業の実施に必要な権原を有している証明)
- 法人の登記事項証明書
7番の書類は、事業者が法人の場合に必要な書類です。
提出物の内容
動物愛護管理法に規定されている届出書の記載事項には次の事項があります(法第24条の2の2)。
- 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては代表者の氏名
- 飼養施設の所在地
- その行おうとする第二種動物取扱業の種別(譲渡し、保管、貸出し、訓練、展示又はその他の取扱い)並びにその種別に応じた業務の内容及び実施の方法
- 主として取り扱う動物の種類及び数
- 飼養施設の構造及び規模
- 飼養施設の管理の方法
- その他環境省令で定める事項
7番の「その他環境省令で定める事項」には次の事項があります(施行規則第10条の6第4項)。
- 事業の開始年月日
- 飼養施設の土地及び建物について事業の実施に必要な権原を有する事実
譲渡し・貸出を行う場合に提出する第二種動物取扱業の実施の方法は、譲渡しにあっては基準省令第3条第7号ロに、貸出にあっては基準省令第3条第7号ハに準拠するように記載します。
飼養施設の平面図には、上の設備要件のイからルまで(ただし、チからルまでは該当する場合)に挙げた設備等の配置が明らかにされていなければなりません(施行規則第10条の6第2項第2号)。
飼養施設に設置するケージ等の構造及び規模とケージ等に入れる動物の種類及び数との関係が基準省令により決められているため(基準省令第3条第7号ホ)、ケージ等の規模を示す平面図・立体図の提出が必要になります。
登録・届出の後の注意点
以下、動物取扱業者の事業所が政令指定都市に在る場合には、都道府県又は知事は政令指定都市又は市長にそれぞれ読み替えてください。
基準遵守の義務
動物取扱業者は、動物の健康及び安全を確保するため且つ生活環境の保全上の支障を防止するため、環境省令で定める基準を遵守する義務があります(法第21条第1項)。
次の基準が環境省令によって定められています(法第21条第2項)。
- 飼養施設の管理、飼養施設に備える設備の構造及び規模並びに当該設備の管理に関する事項
- 動物の飼養又は保管に従事する従業者の員数に関する事項
- 動物の飼養又は保管をする環境の管理に関する事項
- 動物の疾病等に係る措置に関する事項
- 動物の展示又は輸送の方法に関する事項
- 動物を繁殖の用に供することができる回数、繁殖の用に供することができる動物の選定その他の動物の繁殖の方法に関する事項
- その他動物の愛護及び適正な飼養に関し必要な事項
これらの基準は、動物取扱業者の事業所がある地域の自然的及び社会的条件から必要が認められるときは、都道府県の条例で定められている場合もあります(法第21条第4項)。
登録の変更
第一種動物取扱業の変更の届出
第一種動物取扱業者は、その登録に係る次の場合において、あらかじめ都道府県知事に対して変更の届出を行います(法第14条第1項)。
- 第一種動物取扱業の種別並びにその種別に応じた業務の内容及び実施の方法を変更するとき
- 販売の用に供する犬猫等の繁殖を行うか否かの別を変更するとき
- 飼養施設を設置するとき
- 犬猫等販売業を営もうとするとき
ただし、上の1号と2号の変更が軽微であるときは、事前ではなく事後に都道府県知事に対して変更の届出を行います。その軽微変更とは次のような変更です(施行規則第5条第4項)。
- 飼養施設の床面積の増大であって、その増大した部分の床面積が登録時に申告した飼養施設の床面積の30%未満である変更
- 飼養施設の各設備が占める床面積の、設備の増設又は設備の配置変更による変更であって、その増大した部分の床面積が登録時に申告した飼養施設の床面積の30%未満である変更
- 照明設備又は遮光若しくは風雨の遮断のための設備の増設及び配置の変更
- 飼養施設の各設備の変更であって、既存の設備と同等以上の設備への変更
- 飼養施設の管理の方法の変更
- 営業時間の変更であって、その変更に係る部分の営業時間が夜間に含まれないような変更
第一種動物取扱業者は、上の表に挙げた軽微変更の場合、登録申請書の記載事項の1番から7番まで(4番を除く)の変更、又は犬猫等健康安全計画に係る事項の変更の場合には、その変更後30日以内に都道府県知事に対して届出を行います(法第14条第2項)。
犬猫等販売業を営む第一種動物取扱業者は、その犬猫等販売業の営業を停止したときは、停止後30日以内に都道府県知事に対して届出を行います(法第14条第3項)。
第二種動物取扱業の変更の届出
第二種動物取扱業者は、その届出に係る次の場合において、あらかじめ都道府県知事に対して変更の届出を行います(法第24条の3第1項)。
- 第二種動物取扱業の種別並びにその種別に応じた業務の内容及び実施の方法を変更するとき
- 主として取り扱う動物の種類及び数を変更するとき
- 飼養施設の構造及び規模を変更するとき
- 飼養施設の管理の方法を変更するとき
- 事業の開始年月日を変更するとき
- 飼養施設の土地及び建物について事業の実施に必要な権原を有する事実を変更するとき
ただし、これらの変更が軽微であるときは、事前ではなく事後に都道府県知事に対して変更の届出を行います。その軽微変更とは次のような変更です(施行規則第10条の7第2項)。
- 主として取り扱う動物の種類及び数の減少であって、第二種動物取扱業者が取り扱うべき各種動物について規定される一定数を下回らない変更
- 飼養施設の床面積の増大であって、その増大した部分の床面積が届出時に申告した飼養施設の床面積の30%未満である変更
- 飼養施設の設備等に係る変更であって、当該設備等の増設及び配置の変更並びに現在の設備等と同等以上の機能を有する設備等への改設である変更
第二種動物取扱業者は、上の表に挙げた軽微変更の場合、届出書の記載事項の1番若しくは2番の変更、又は届出に係る飼養施設の使用の廃止の場合には、その変更後30日以内に都道府県知事に対して届出を行います(法第24条の3第2項)。
登録の更新
第一種動物取扱業の登録の有効期間は5年間ですので、第一種動物取扱業の継続を望む者は、事業所の所在地の都道府県に対して登録更新手続をする必要があります(法第13条)。
更新の申請は、従前の登録の有効期限の2か月前から可能です(施行規則第4条第1項)。
感染性の疾病の予防
動物愛護管理法では、第一種動物取扱業者は、①取り扱う動物の健康状態の日常的な確認、②必要に応じた獣医師による診察の実施、③その他の感染性の疾病の予防のために必要な措置の実施に努力することになっています(法第21条の2)。
基準省令では第一種動物取扱業者も第二種動物取扱業者も同様に上の①~③に該当する措置を採ることが、動物取扱いに係る基準になっています(基準省令第2条第4号及び第3条第4号)。
幼齢の犬又は猫に係る販売等の制限
動物愛護管理法では、犬猫等販売業者(販売の用に供する犬又は猫のブリーダーに限る)は、その繁殖を行った犬又は猫であって出生後56日を経過していない犬猫については、販売又は販売の用に供するために引渡し又は展示をしてはなりません(法第22条の5)。
基準省令では、販売業者が販売できる動物(哺乳類動物に限る)又は譲渡業者が譲渡すことができる動物(哺乳類動物に限る)は、離乳等を終えて、成体が食べる餌と同様の餌を自力で食べることができるようになった動物に限られています(基準省令第2条第7号ロ及び第3条第7号ネ(1))。
犬猫等健康安全計画の遵守
犬猫等販売業者は、その犬猫等健康安全計画に従って業務を行わなければなりません(法第22条の2)。
獣医師等との連携の確保
犬猫等販売業者は、その飼養又は保管する犬猫等の健康及び安全を確保するために獣医師等との適切な連携を確保することが動物愛護管理法に定められています(法第22条の3)。
しかしながら、獣医師等との連携が必要なのは犬猫等販売業者に限りません。基準省令は、第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者に対し、一年以上継続して飼養又は保管を行う犬又は猫については毎年一回以上獣医師による健康診断を受けさせること(第2条第4号ハ及び第3条第4号イ(3))、病気の予防のために必要に応じてワクチン接種を行うこと(第2条第4号ホ及び第3条第4号イ(4))、動物が病気になったり怪我をしたりしたときには速やかに必要な処置を行い、場合によっては獣医師の診察を受けさせること(第2条第4号ヘ及び第3条第4号イ(5))、犬又は猫を繁殖させる場合には必要に応じて獣医師等による診療を受けさせ(第2条第6号ト及び第3条第6号ホ)、帝王切開を行う場合にあっては獣医師に行わせること(第2条第6号チ及び第3条第6号ヘ)等を定めています。
終生飼養の確保
犬猫等販売業者は、やむを得ない場合を除き、販売の用に供することが困難になった犬猫等についても、引き続き、当該犬猫等の終生飼養の確保を図らなければなりません(法第22条の4)。
動物の取扱いが困難になったとき
第一種動物取扱業でも第二種動物取扱業でも、その動物取扱業の廃止等によって飼養又は保管の継続が困難になった動物が生じた場合には、その動物の譲渡し等によって生存の機会を与えることが努力義務になっています(法第21条の3)。
情報提供の方法等
第一種取扱業者の場合
第一種動物取扱業者のうち、犬、猫その他の哺乳類、鳥類又は爬虫類に属する動物の販売を業として営む者は、次の方法で情報をあらかじめ提供する必要があります(法第21条の4及び施行規則第8条の2第2項)。
情報を提供する者:動物の販売を業として営む第一種動物取扱業者
情報を提供される者:当該動物の購入を希望する者
情報を提供される場所:当該第一種動物取扱業者の事業所
情報提供の方法:当該販売に係る動物の現在の状態を見せるとともに、対面により書面又は電磁的記録を用いて情報提供する
提供される情報の内容:
- 品種等の名称
- 性成熟時の標準体重、標準体長その他の体の大きさに係る情報
- 平均寿命その他の飼養期間に係る情報
- 飼養又は保管に適した飼養施設の構造及び規模
- 適切な給餌及び給水の方法
- 適切な運動及び休養の方法
- 主な人と動物の共通感染症その他の当該動物がかかるおそれの高い疾病の種類及びその予防方法
- 不妊又は去勢の措置の方法及びその費用(哺乳類に属する動物に限る。)
- 前号に掲げるもののほかみだりな繁殖を制限するための措置(不妊又は去勢の措置を不可逆的な方法により実施している場合を除く。)
- 遺棄の禁止その他当該動物に係る関係法令の規定による規制の内容
- 性別の判定結果
- 生年月日(輸入等をされた動物であって、生年月日が明らかでない場合にあっては、推定される生年月日及び輸入年月日等)
- 不妊又は去勢の措置の実施状況(哺乳類に属する動物に限る。)
- 繁殖を行った者の氏名又は名称及び登録番号又は所在地(輸入された動物であって、繁殖を行った者が明らかでない場合にあっては当該動物を輸出した者の氏名又は名称及び所在地、譲渡された動物であって、繁殖を行った者が明らかでない場合にあっては当該動物を譲渡した者の氏名又は名称及び所在地)
- 所有者の氏名(自己の所有しない動物を販売しようとする場合に限る。)
- 当該動物の病歴、ワクチンの接種状況等
- 当該動物の親及び同腹子に係る遺伝性疾患の発生状況(哺乳類に属する動物に限り、かつ、関係者からの聴取り等によっても知ることが困難であるものを除く。)
- 前各号に掲げるもののほか、当該動物の適正な飼養又は保管に必要な事項
販売業者がする情報提供の方法に関し、細則がさらに基準省令において定められています。また、販売業者が顧客等に情報を提供したときは、当該顧客等から署名等による確認をさせることが定められています(基準省令第2条第7号ホ、ヘ及びフ)。
第一種動物取扱業者のうち、貸出業者は、貸出しをしようとする動物の生理、生態、習性等に合致した適正な飼養又は保管が行われるように、契約に当たって、あらかじめ、次に掲げるその動物の特性及び状態に関する情報を貸出先に対して提供することが基準省令に定められています(基準省令第2条第7号ト)。
- 品種等の名称
- 飼養又は保管に適した飼養施設の構造及び規模
- 適切な給餌及び給水の方法
- 適切な運動及び休養の方法
- 主な人と動物の共通感染症その他の当該動物がかかるおそれの高い疾病の種類及びその予防方法
- 遺棄の禁止その他当該動物に係る関係法令の規定による規制の内容
- 性別の判定結果
- 不妊又は去勢の措置の実施状況(哺乳類に属する動物に限る)
- 当該動物のワクチンの接種状況
- (1)から(9)までに掲げるもののほか、当該動物の適正な飼養又は保管に必要な事項
第二種取扱業者の場合
第二種動物取扱業者のうち、譲渡業者にあっては、譲渡しをしようとする動物について、その生理、生態、習性等に合致した適正な飼養又は保管が行われるように、譲渡しに当たって、あらかじめ、次に掲げる当該動物の特性及び状態に関する情報を譲渡先に対して説明することが基準省令に定められています(基準省令第3条第7号ロ)。
- 品種等の名称
- 飼養又は保管に適した飼養施設の構造及び規模
- 適切な給餌及び給水の方法
- 適切な運動及び休養の方法
- 遺棄の禁止その他当該動物に係る関係法令の規定による規制の内容
以下の情報が判明している場合には、譲渡しに当たって、あらかじめ、これらの情報を譲渡先に対して説明するよう努力することとされています(基準省令第3条第7号ネ(3))。
- 性成熟時の標準体重、標準体長その他の体の大きさに係る情報
- 平均寿命その他の飼養期間に係る情報
- 主な人と動物の共通感染症その他の当該動物がかかるおそれの高い疾病の種類及びその予防方法
- 不妊又は去勢の措置の方法及びその費用(哺乳類に属する動物に限る。)
- (4)に掲げるもののほか、みだりな繁殖を制限するための措置(不妊又は去勢の措置を不可逆的な方法により実施している場合を除く。)
- 性別の判定結果
- 生年月日
- 不妊又は去勢の措置の実施状況(哺乳類に属する動物に限る。)
- 当該動物の病歴、ワクチンの接種状況
- 以上の情報以外の当該動物の適正な飼養又は保管に必要な事項
第二種動物取扱業者のうち、貸出業を行う者にあっては、貸出しをしようとする動物の生理、生態、習性等に合致した適正な飼養又は保管が行われるように、貸出しに当たって、あらかじめ、次に掲げるその動物の特性及び状態に関する情報を貸出先に対して提供することが基準省令に定められています(基準省令第3条第7号ト)。
- 品種等の名称
- 飼養又は保管に適した飼養施設の構造及び規模
- 適切な給餌及び給水の方法
- 適切な運動及び休養の方法
- 遺棄の禁止その他当該動物に係る関係法令の規定による規制の内容
以下の情報が判明している場合には、次に掲げる情報が判明している場合には、貸出しに当たって、あらかじめ、これらの情報を貸出先に対して説明するよう努力することとされています(基準省令第3条第7号ネ(4))。
- 主な人と動物の共通感染症その他の当該動物がかかるおそれの高い疾病の種類及びその予防方法
- 性別の判定結果
- 生年月日
- 当該動物の病歴、ワクチンの接種状況
- 不妊又は去勢の措置の実施状況(哺乳類に属する動物に限る。)
- 以上の情報以外の当該動物の適正な飼養又は保管に必要な事項
動物に関する帳簿の備付け等
帳簿の備付け等
第一種動物取扱業者のうち動物の販売、貸出、展示、競りあっせん、又は譲受飼養を業として営む者(「動物販売業者等」)は、次の事項を記載する帳簿を備え、記帳し、記載の日から5年間保存しなくてはなりません(法第21条の5第1項)。
帳簿の記載内容(施行規則第10条の2)
- 当該動物の品種等の名称
- 当該動物の繁殖者の氏名又は名称及び登録番号又は所在地(輸入された動物であって、繁殖を行った者が明らかでない場合にあっては当該動物を輸出した者の氏名又は名称及び所在地、譲渡された動物であって、繁殖を行った者が明らかでない場合にあっては当該動物を譲渡した者の氏名又は名称及び所在地、捕獲された動物にあっては当該動物を捕獲した者の氏名又は名称、登録番号又は所在地及び当該動物を捕獲した場所)
- 当該動物の生年月日(輸入等をされた動物であって、生年月日が明らかでない場合にあっては、推定される生年月日及び輸入年月日等)
- 当該動物を所有し、又は占有するに至った日
- 当該動物を当該動物販売業者等に販売した者又は譲渡した者の氏名又は名称及び登録番号又は所在地
- 当該動物の販売又は引渡しをした日
- 当該動物の販売又は引渡しの相手方の氏名又は名称及び登録番号又は所在地
- 当該動物の販売又は引渡しの相手方が動物の取引に関する関係法令に違反していないことの確認状況
- 販売業者にあっては、当該動物の販売を行った者の氏名
- 販売業者にあっては、当該動物の販売に際しての情報提供及び当該情報提供についての顧客による確認の実施状況
- 貸出業者にあっては、当該動物に関する情報提供の実施状況並びに当該動物の貸出しの目的及び期間
- 当該動物が死亡(動物販売業者等が飼養又は保管している間に死亡の事実が発生した場合に限る)した日
- 当該動物の死亡の原因(動物販売業者等が飼養又は保管している間に死亡の事実が発生した場合に限る)
犬猫等の譲渡しを業として行う第二種動物取扱業者も、上の事項を記載する帳簿を備え、記帳し、記載の日から5年間保存しなくてはなりません(法第24条の4第2項)。この場合、上の表中の「所有し、又は占有する」とあるのは「所有する」と、「所有し、若しくは占有した」とあるのは「所有した」と、「販売若しくは引渡し」とあるのは「譲渡し」と読み替えます。
記帳事項の届出
次の規定は、第二種動物取扱業者には当てはまりません。
動物販売業者等は、所定の期間ごとに、次に掲げる事項を都道府県知事に届け出なくてはなりません。この「所定の期間」とは毎年4月1日から翌年の3月31日までの期間をいい、新たに第一種動物取扱業の登録を受けた場合にあっては登録日から登録を受けた年度の3月31日までの期間をいいます(法第21条の5第2項及び施行規則第10条の3)。
前記動物販売業者等には動物の販売、貸出、展示、競りあっせん、及び譲受飼養を業として営む者が含まれます。
動物販売業者等の届出事項(法第21条の5第2項)
- 当該期間が開始した日に所有し、又は占有していた動物の種類ごとの数
- 当該期間中に新たに所有し、又は占有した動物の種類ごとの数
- 当該期間中に販売若しくは引渡し又は死亡の事実が生じた動物の当該事実の区分ごと及び種類ごとの数
- 当該期間が終了した日に所有し、又は占有していた動物の種類ごとの数
- その他環境省令で定める事項
この届出の締切は、毎年度5月30日です。
その他の帳簿の備付け等
動物の個体に関する帳簿に加え、基準省令では次の台帳を備え、いずれも5年間保存することが義務付けられています。
第一種動物取扱業者が備える台帳
- 飼養施設の清掃、消毒及び保守点検の実施状況について記録した台帳(第2条第1号イ(3))
- 販売業者、貸出業者及び展示業者が販売、貸出し又は展示の用に供するために動物を繁殖させる場合にあっては、動物の繁殖の実施状況について記録した台帳(第2条第6号ハ)
- 動物の数及び状態を確認するための一日一回以上の巡回の実施状況について記録した台帳(第2条第7号ム)
- 動物の仕入れ、販売、競り等の動物の取引状況(販売先に係る情報を含む)について記録した台帳(第2条第7号エ)
第二種動物取扱業者が備える台帳
- 動物の譲受け、譲渡し、繁殖、死亡等の取り扱う動物の増減の状況について記録した台帳(第3条第7号ヰ)
販売業者、貸出業者及び展示業者は、他の販売業者、貸出業者又は展示業者に犬又は猫を譲り渡す場合、2の台帳の写しと併せて犬又は猫を譲り渡します(基準省令第2条第6号ニ)。
第一種動物取扱業者が備える4番の台帳及び第二種動物取扱業者が備える1番の台帳は、第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者がそれぞれ法第21条の5第1項及び法第24条の4第2項に基づく帳簿を備え付けているときは、省略可能です(基準省令第2条第7号エ後段及び第3条第7号ヰ後段)。
都道府県知事への報告と都道府県知事による検査
都道府県知事が必要であると認めたとき、第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者は、都道府県知事から、飼養施設の状況、取り扱う動物の管理の方法その他必要な事項に関して報告を求められることがあります(法第24条第1項)。
また、都道府県知事が必要であると認めたとき、第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者は、都道府県の職員による事業所その他関係のある場所への立ち入り、飼養施設その他の物件の検査を求められることがあります(法第24条第1項)。
都道府県知事の勧告と命令
第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者は、動物取扱業者の基準を遵守していないと都道府県知事から認定されたときは、都道府県知事より、期限を定めて、その取り扱う動物の管理の方法等を改善すべきことを勧告されることがあります(法第23条第1項)。
また、①第一種動物取扱業者のうち動物販売業者がその動物の販売に際して行う情報提供の規定を遵守していない、②第一種動物取扱業者がその動物取扱責任者に動物取扱責任者研修を受けさせていない、又は③犬猫等販売業者が幼齢の犬若しくは猫に係る販売等の制限に関する規定を遵守していないと都道府県知事から認定された場合には、それらの第一種動物取扱業者は、都道府県知事より、期限を定めて、必要な措置をとるべきことを勧告されることがあります(法第23条第2項)。
動物取扱業者が都道府県知事の勧告に従わないときは、その旨が都道府県知事によって公表され、その勧告に係る措置をとるべきことが都道府県知事によって命令されます(法第23条第4項)。
廃業等の届出
第一種動物取扱業者が次のいずれかに該当することになったときは、所定の者は、その日から30日以内に都道府県知事に対して届出をしなければなりません(法第16項)。
類型 | 内容 | 届出者 |
---|---|---|
1 | 死亡 | 第一種動物取扱業者の相続人 |
2 | 合併による法人の消滅 | 消滅した法人の代表だった者 |
3 | 破産手続開始による法人の解散 | 破産管財人 |
4 | その他の理由による法人の消滅解散 | 清算人 |
5 | 第一種動物取扱業の廃業 | 第一種動物取扱業者であった者 |
第二種動物取扱業者がその事業を廃止するときは、第一種動物取扱業の廃止と同様に、その日から30日以内に都道府県知事に対して届出をしなければなりません(法第24条の4)。
終わりに
ここまで動物取扱業者の登録と届出について説明してきました。
動物取扱業者の登録と届出に関する都道府県のページを見ると動物取扱業者の登録と届出は簡単に思われることでしょう。しかしながら、動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等については本当に細かい規定が基準省令において定められています。
動物取扱業の皆さんは、登録や届出の手続ばかりでなく、その業務マニュアルの作成についても行政書士のサポートを求めるとよいと思います。