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合同会社の設立手続

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 今回の記事は、前回に引き続き、合同会社の設立について説明します。合同会社を設立するには、定款を作成し、出資金を用意し、そして会社を登記する必要があります。

定款記載事項と定款の作成

絶対的記載事項(会社法第576条)

  1.  商号(必ず「合同会社」を入れます。同一の商号が使用されていないか法務局や特許庁のホームページから確認しましょう。)
  2.  目的(事業内容のことです。将来行いたい事業内容を記載することもできます。)
  3.  本店の所在地
  4.  社員の氏名及び住所又は名称及び所在地(法人も社員になることができます)
  5.  社員(の責任)が有限である旨
  6.  社員の出資の目的及びその価額又は評価の標準

相対的及び任意的記載事項

 上記の絶対的記載事項の他に「持分の譲渡(会社法第585条)」、「業務執行社員(会社法第590条、第591条)」、「業務執行の決定(会社法第590条、第591条)」、「代表社員(会社法第599条第3項)」、「社員の加入と退社(会社法第604条~第607条)」、「相続及び合併による持分の承継(会社法第608条)」、「出資・持分の払い戻し(会社法第611条、第624条第2項)」、「事業年度」、「計算書類(会社法第617条~第619条)」、「公告(会社法939条)」、「損益の分配(会社法第622条)」、「利益配当の請求(会社法第621条)」、「最初の事業年度」、「定款に定めのない事項について」等を定款に定めます。

 合同会社の社員の地位は相続等によって一般承継されません。したがって、合同会社の社員が一人しかいない場合、その社員が死亡するとその合同会社は解散することになります。定款の中に「相続又は合併による持分の承継」を定めることにより、持分を一般承継させることができます。合同会社には決算公告の義務はありませんが、他に公告すべき事項があるため、「公告」を定めます。定期的に公告しなくてはならない事項があるわけではないので官報による公告を選択するとよいと思います。

 「損益の分配」を特に定めていない場合は、損益の分配は出資の割合に従います。利益の剰余金の中から各社員に配当を支出することを定款に定める場合は「利益配当の請求」の条項でその方法の概要を定めます。

 株式会社の場合は、会社の所有と経営が分離しており、広く株主を募って資金を得ることができます。これに対し、合同会社の場合は、出資者が即、経営権を有する社員として扱われるため、「業務執行社員」を定めることにより、出資と会社の重要な決定にのみ関与し、日常業務の決定には関与しない社員と、出資者であり、且つ、日々の業務の決定に関与する社員を分けることができ、後者を「業務執行社員」と呼びます。

 社会環境の変化に対応するため、又はその他の理由で会社の定款を変更する場合、全社員(合同会社では出資者が社員です)で決議を行って全社員の同意を得る必要があります。出資額に関わらず、全社員が一人一票を有します。ただし、定款に、「定款の変更」についての決議の多数の基準を定めるなど、別段の定めをすることにより条件を緩和することができます。これは、日常の業務上の決定についても同様であり、「業務執行の決定」を定めることにより、業務上の決定についての決議の多数の基準を定めることができます。

 上記の内容を定款に記してこれを作成し、この定款の内容を社員の全員が一致して決議したことを証明する書面を作成します。

出資金の払込み

 設立する会社の口座に定款に定めた出資に相当する金銭を払い込み、払い込まれた金額が印字されているページをコピーしておきます。現在の会社法では出資金が1円でも会社を設立させることができます。しかし、現実には、出資金が低額である場合、法人口座の開設が銀行によって拒否されます。したがって、定款に記載される出資金は、それなりの額であることが必要です。2006年以前の会社法では株式会社の設立には1千万円の出資金、有限会社の設立には300万円の出資金が必要でした。合同会社でも、会社設立してから経営が安定するまでの間は出資金として口座に入金した中から必要経費が支払われることを考えると、設立する会社の規模にもよりますが、100万円以上は出資金として用意したいものです。

 また、許認可を必要とする業種の場合、許認可を得るために財産要件が課されることもあるため、その点からも資本金の額を決定することが必要です。さらに、資本金が1千万円を超えるとその年の売上と無関係に消費税の納税義務が発生するため、この点も注意が必要です。

設立登記

 定款に記した本店の所在地を管轄する法務局において設立登記を行います。(1)登記申請書(委任状)、(2)印鑑届出書(会社の実印になる会社代表者の印)、(3)印鑑カード交付申請書、(4)会社代表者の個人的な実印の印鑑証明書、(5)定款、(6)社員が一致して定款を決議したことを証明する書面、(7)代表社員の就任承諾書、及び(8)出資金の払い込み証明書等を添付して登記を申請します。

 定款が紙に印刷した紙定款である場合、4万円の収入印紙を定款に貼付する必要があります。電子的に作製し、電子署名を付した電子定款であれば4万円を節約できます。代表社員が法人である場合、その法人の登記事項証明書、その代表社員の業務を行う自然人の選任に関する書面、及びその自然人の就任承諾書が別途必要になります。

 株式会社の設立と異なり、合同会社の設立には公証人による定款の認証は必要ありません。司法書士に依頼して登記申請を代行してもらいます。

登記完了後の手続き

 登記が完了したところで会社の設立自体は完了ですが、会社が設立されたところで幾つかの届出が必要になります。税務署、都道府県税事務所、及び市町村役場への届出は、会社を設立したご本人でも可能であると思われますが、会社に持分を有しない従業員としての社員を雇う場合には社会保険事務所、ハローワーク、労働基準監督署への届出が必要になります。業務執行社員も健康保険と厚生年金に加入する義務があります。これらの社会保険関係の届出については社会保険労務士に相談されるとよいでしょう。

 いかがでしょうか。定款の相対的記載事項や任意的記載事項に何を書いたらよいのか迷ったら行政書士や司法書士との相談をお勧めします。特に、許認可を必要とする業種の会社を設立する場合は行政書士との相談をお勧めします。

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