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個人事業から法人成りしたときに個人事業の資産はどうなるの?

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 これまで法人の設立について説明してきました。私も、自分が会社を設立したと仮定して、今まで事業に使用してきた財産・資産を新会社でも使用し続けると新会社にそれらを贈与したものとみなされて贈与税が課税されるのだろうかという疑問を持っていました。そこで、ちょっと調べてみたことをここで皆様と共有したいと思います。

 株式会社の設立の記事で少し説明しましたが、設立のための出資として現物出資が可能である旨を説明しました。しかし、現物出資には弁護士や裁判所の関与が必要であること、及びそのために現物出資を含む出資による会社設立は困難である旨を説明しました。そこで、本記事では個人事業で生じた財産・資産の現物出資による新会社への引継ぎについては論じません。

 まず、個人事業から法人成りして会社を設立したとき、個人事業の間に生じた資産が新会社に自動的に引き継がれるわけではありません。個人事業主と新会社との間で譲渡契約や賃貸契約を結んで新会社に資産を引き渡します。会社設立時に出資金として金銭を会社に払込み済みですのでここでは物の移転について論じます。性質に基づいて資産を分け、それぞれについて説明します。

(i)棚卸資産
 通常の取引価格で新会社に譲渡します
(例)個人事業主のときに購入した原材料、販売前の在庫商品、及び営業活動のための未使用の事務用品等
(ii)償却資産
 ①時価で新会社に譲渡する、又は②新会社に賃貸します
(例)取得後の経過時間によって価値が減少する権利(特許権、実用新案権等)、ソフトウェア、自動車、業務用機械、パソコンなどの高額な事務用品
(iii)不動産
 ①新会社に賃貸する、又は②時価で新会社に譲渡します
(iv)負債
 ①新会社に移転しない、又は②新会社が債務を引き受ける
(注)新会社が債務を引き受けると資金の借り入れ等に影響がでるので、よく検討してからどうするか決定します

 個人事業主として(iii)の事業用の不動産を所有している事例はかなり稀だと考えますが、そのような不動産を所有している場合は新会社に賃貸するよりも譲渡してしまったほうが個人事業の方を完全に廃業することができ、すっきりしてよいのではないかと考えます。個人事業を廃業した場合は税務署と自治体の税務事務所に廃業届を提出します。個人事業の資産を新会社に譲渡したときに売却額が簿価よりも高ければその利益に対して税金がかかります。

 短い記事でしたが、法人成りによる会社設立に必要な情報ですのでご紹介しました。このあたりのお金が関係することに関しては行政書士や司法書士よりも税理士に相談したほうがよいと考えます。

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