前回の記事において、再生医療等を提供しようとする者は、再生医療等提供計画を作成し、その計画について認定再生医療等委員会の意見を聴取しなければならないと説明しました。認定再生医療等委員会は、再生医療等安全性確保法の規定に基づき、再生医療等提供計画を審査するのに十分な能力を有することを厚生労働大臣から認定された再生医療等委員会です。すなわち、認定再生医療等委員会の目的は、再生医療等を提供しようとしている病院や診療所が作成した再生医療等提供計画が適切であることを確認し、提供される再生医療等の安全性を確保することなのです。
本記事は、再生医療等安全性確保法における認定再生医療等委員会に関する規定を説明します。
再生医療等安全性確保法の紹介
第三章 認定再生医療等委員会
再生医療等委員会の認定、認定事項の変更、認定の取消し、及び廃止
認定再生医療等委員会の業務(「審査等業務」)は、次のとおりです(法第26条第1項)。
- 法第4条第2項(法第5条第2項において準用する場合を含む)の規定により再生医療等を提供しようとする病院若しくは診療所又は再生医療等提供機関の管理者から再生医療等提供計画について意見を求められた場合において、当該再生医療等提供計画について再生医療等提供基準に照らして審査を行い、当該管理者に対し、その再生医療等の提供の適否及び提供に当たって留意すべき事項について意見を述べること
- 法第17条第1項の規定により再生医療等提供機関の管理者から再生医療等の提供に起因するものと疑われる疾病、障害若しくは死亡又は感染症の発生に関する事項について報告を受けた場合において、必要があると認めるときは、当該管理者に対し、その原因の究明及び講ずべき措置について意見を述べること
- 法第20条第1項の規定により再生医療等提供機関の管理者から再生医療等の提供の状況について報告を受けた場合において、必要があると認めるときは、当該管理者に対し、その再生医療等の提供に当たって留意すべき事項若しくは改善すべき事項について、又はその再生医療等の提供を中止すべき旨の意見を述べること
- 前三号に掲げる場合のほか、再生医療等技術の安全性の確保等その他再生医療等の適正な提供のため必要があると認めるときは、再生医療等提供計画に係る再生医療等提供機関の管理者に対し、当該再生医療等提供計画に記載された事項に関し意見を述べること
上掲の審査等業務を行う委員会は、「再生医療等委員会」といい、再生医療等に関して識見を有する者から構成されます。この再生医療等委員会を設置する者は、その設置する再生医療等委員会が法第26条第4項各号に掲げる要件に適合していることについて、厚生労働大臣の認定を受けなければなりません(法第26条第1項)。認定を受けた再生医療等委員会は、認定再生医療等委員会と呼ばれます。
上記「再生医療等委員会を設置する者」は、病院若しくは診療所の開設者又は医学医術に関する学術団体その他の厚生労働省令で定める団体(法人でない団体にあっては、代表者又は管理人の定めのあるものに限る)に限定されます。この厚生労働省令で定める団体には以下の団体が挙げられます(施行規則第42条第1項)。
再生医療等委員会を設置できる厚生労働省令で定める団体(施行規則第42条第1項)
- 医学医術に関する学術団体
- 一般社団法人又は一般財団法人
- 特定非営利活動促進法第2条第2項に規定する特定非営利活動法人
- 私立学校法第3条に規定する学校法人(医療機関を有するものに限る)
- 独立行政法人通則法第2条第1項に規定する独立行政法人(医療の提供又は臨床研究等を業務とするものに限る)
- 国立大学法人法第2条第1項に規定する国立大学法人(医療機関を有するものに限る)
- 地方独立行政法人法第2条第1項に規定する地方独立行政法人(医療機関を有するものに限る)
上の第一号から第三号に揚げる者のいずれかが再生医療等委員会を設置する場合では、その者は次の要件を満たす必要があります(施行規則第42条第2項)。
施行規則第42条第1項第一号から第三号までに掲げる者が再生医療等委員会を設置する場合の要件(施行規則第42条第2項)
- 定款その他これに準ずるものにおいて、再生医療等委員会を設置する旨の定めがあること
- その役員のうちに医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療関係者が含まれていること
- その役員に占める次に掲げる者の割合が、それぞれ三分の一以下であること
- イ 特定の医療機関の職員その他の当該医療機関と密接な関係を有する者
- ロ 特定の法人の役員又は職員その他の当該法人と密接な関係を有する者
- 再生医療等委員会の設置及び運営に関する業務を適確に遂行するに足りる財産的基礎を有していること
- 財産目録、貸借対照表、損益計算書、事業報告書その他の財務に関する書類をその事務所に備えて置き、一般の閲覧に供していること
- その他再生医療等委員会の業務の公正かつ適正な遂行を損なうおそれがないこと
再生医療等委員会が第三種再生医療等提供計画のみに係る審査等業務を行う場合では、法第26条第4項第一号(第三種再生医療等提供計画に係る部分を除く)に掲げる要件を除きます。
再生医療等委員会の認定を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、申請書及びその他の書類を厚生労働大臣に提出しなければなりません(法第26条第2項及び第3項)。法第26条第2項の規定による申請は、様式第五による申請書を提出して行います(施行規則第43条第1項)。
申請書の記載事項(法第26条第2項)
- 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものにあっては、その代表者又は管理人)の氏名
- 再生医療等委員会の名称
- 再生医療等委員会の委員の氏名及び職業
- 再生医療等委員会が第三種再生医療等提供計画のみに係る審査等業務を行う場合にあっては、その旨
- 審査等業務を行う体制に関する事項
- 審査等業務に関し手数料を徴収する場合にあっては、その手数料の算定の基準
- その他厚生労働省令で定める事項
上の第七号の「その他厚生労働省令で定める事項」は、再生医療等委員会の所在地及び再生医療等委員会の連絡先になります(施行規則第43条第2項)。
申請書の添付書類(法第26条第3項)
- 再生医療等委員会の委員の略歴を記載した書類
- 再生医療等委員会の審査等業務に関する規程
- その他厚生労働省令で定める書類
上の第三号の「その他厚生労働省令で定める書類」は次のものになります(施行規則第43条第3項)。
法第26条第3項に規定する厚生労働省令で定める書類(施行規則第43条第3項)
- 施行規則第42条第1項第一号から第三号までに掲げる団体が申請をしようとする場合
- イ 再生医療等委員会を設置する者に関する証明書類
- ロ 再生医療等委員会を設置する者が再生医療等委員会を設置する旨を定めた定款その他これに準ずるもの
- ハ 施行規則第42条第2項第二号及び第三号の要件を満たすことを証明する書類
- ニ 財産的基礎を有していることを証明する書類
- 医療機関の開設者又は施行規則第42条第1項第四号から第七号までに掲げる団体が申請をしようとする場合
- 再生医療等委員会を設置する者に関する証明書類
再生医療等委員会の認定の申請があったとき、厚生労働大臣がその再生医療等委員会を認定をする場合の要件は、次のとおりです(法第26条第4項)。ただし、当該再生医療等委員会が第三種再生医療等提供計画のみに係る審査等業務を行う場合にあっては、第一号(第三種再生医療等提供計画に係る部分を除く)に掲げる要件を除きます。
再生医療等委員会の認定の要件(法第26条第4項)
- 第一種再生医療等提供計画、第二種再生医療等提供計画及び第三種再生医療等提供計画について、第一種再生医療等、第二種再生医療等及び第三種再生医療等のそれぞれの再生医療等提供基準に照らして審査等業務を適切に実施する能力を有する者として医学又は法律学の専門家その他の厚生労働省令で定める者から構成されるものであること
- その委員の構成が、審査等業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものとして厚生労働省令で定める基準に適合すること
- 審査等業務の実施の方法、審査等業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法その他の審査等業務を適切に実施するための体制が整備されていること
- 審査等業務に関し手数料を徴収する場合にあっては、その手数料の算定の基準が審査等業務に要する費用に照らし、合理的なものとして厚生労働省令で定める基準に適合するものであること
- 前各号に掲げるもののほか、審査等業務の適切な実施のために必要なものとして厚生労働省令で定める基準に適合するものであること
当該再生医療等委員会が第一種再生医療等提供計画又は第二種再生医療等提供計画に係る審査等業務を行う場合、すなわち当該再生医療等委員会が特定認定再生医療等委員会の申請をする場合にあっては、第一号の厚生労働省令で定める者は、次のとおりです(施行規則第44条)。
法第26条第4項第一号の厚生労働省令で定める者(施行規則第44条)
- 分子生物学、細胞生物学、遺伝学、臨床薬理学又は病理学の専門家
- 再生医療等について十分な科学的知見及び医療上の識見を有する者
- 臨床医(現に診療に従事している医師又は歯科医師をいう。以下同じ。)
- 細胞培養加工に関する識見を有する者
- 医学又は医療分野における人権の尊重に関して理解のある法律に関する専門家
- 生命倫理に関する識見を有する者
- 生物統計その他の臨床研究に関する識見を有する者
- 第一号から前号までに掲げる者以外の一般の立場の者
当該再生医療等委員会が第一種再生医療等提供計画又は第二種再生医療等提供計画に係る審査等業務を行う場合にあっては、第二号の厚生労働省令で定める基準は、次のとおりです(施行規則第46条)。
法第26条第4項第二号の厚生労働省令で定める基準(施行規則第46条)
- 男性及び女性がそれぞれ二名以上含まれていること
- 再生医療等委員会を設置する者と利害関係を有しない者が二名以上含まれていること
- 同一の医療機関(その医療機関と密接な関係を有するものを含む。)に所属している者が半数未満であること
当該再生医療等委員会が第三種再生医療等提供計画のみに係る審査等業務を行う場合にあっては、第一号の厚生労働省令で定める者は、次のとおりです(施行規則第45条)。
法第26条第4項第一号の厚生労働省令で定める者(施行規則第45条)
- 再生医療等について十分な科学的知見及び医療上の識見を有する者を含む二名以上の医学又は医療の専門家(ただし、所属機関が同一でない者が含まれ、かつ、少なくとも一名は医師又は歯科医師であること)
- 医学又は医療分野における人権の尊重に関して理解のある法律に関する専門家又は生命倫理に関する識見を有する者
- 前二号に掲げる者以外の一般の立場の者
当該再生医療等委員会が第三種再生医療等提供計画のみに係る審査等業務を行う場合にあっては、第二号の厚生労働省令で定める基準は、次のとおりです(施行規則第47条)。
法第26条第4項第二号の厚生労働省令で定める基準(施行規則第47条)
- 委員が五名以上であること
- 男性及び女性がそれぞれ一名以上含まれていること
- 再生医療等委員会を設置する者と利害関係を有しない者が二名以上含まれていること
- 同一の医療機関(その医療機関と密接な関係を有するものを含む。)に所属している者が半数未満であること
上の第四号の厚生労働省令で定める基準は、再生医療等委員会が、審査等業務に関して徴収する手数料の額を、委員への報酬の支払等、その再生医療等委員会の健全な運営に必要な経費を賄うために必要な範囲内とし、かつ、公平なものとなるよう定めていることになります(施行規則第48条)。
上の第五号の厚生労働省令で定める基準は、次のとおりです(施行規則第49条)。
法第26条第4項第五号の厚生労働省令で定める基準(施行規則第49条)
- 再生医療等委員会に、委員長を置くこと
- 審査等業務が適正かつ公正に行えるよう、その活動の自由及び独立が保障されていること
- 審査等業務に関する規程が定められていること
- 審査等業務の透明性を確保するため、審査等業務に関する規程、委員名簿その他再生医療等委員会の認定に関する事項及び審査等業務の過程に関する記録に関する事項について、厚生労働省が整備するデータベースに記録することにより公表すること
- 審査等業務を継続的に実施できる体制を有すること
- 苦情及び問合せを受け付けるための窓口を設置していること
厚生労働大臣が再生医療等委員会を認定をしたときは、次に掲げる事項が厚生労働大臣によって公示されます(法第26条第5項)。
厚生労働大臣によって公示される事項(法第26条第5項)
- 認定を受けた者(「認定委員会設置者」)の氏名又は名称及び住所
- 認定に係る再生医療等委員会(「認定再生医療等委員会」)の名称
- 再生医療等委員会が第三種再生医療等提供計画のみに係る審査等業務を行うものとして認定された場合には、その旨
また、厚生労働大臣は、認定を与えた再生医療等委員会の設置者に対して認定証を交付し、認定再生医療等委員会の当該認定の有効期間の更新を認めたときも認定委員会設置者に対して認定証を交付します(施行規則第50条)。
変更の認定等
認定委員会設置者は、法26条第2項第三号、第五号又は第六号に掲げる事項を変更しようとするときは、厚生労働大臣の認定を受ける必要があります。ただし、厚生労働省令で定める軽微な変更については必要ありません(法第27条第1項)。
上記の軽微な変更は、次の変更です。
軽微変更の範囲(施行規則第52条)
- 認定再生医療等委員会の委員の氏名の変更であって、委員の変更を伴わないもの
- 認定再生医療等委員会の委員の職業の変更であって、委員の構成要件を満たさなくなるもの以外のもの
- 認定再生医療等委員会の委員の減員に関する変更であって、委員の構成要件を満たさなくなるもの以外のもの
- 審査等業務を行う体制に関する事項の変更であって、審査等業務の適切な実施に支障を及ぼすおそれのないもの
認定委員会設置者がこれらの軽微な変更をしたときは、厚生労働大臣の認定を受ける必要はありませんが、遅滞なく厚生労働大臣に届け出なければなりません(法第27条第2項)。
認定を要する変更について、厚生労働大臣は、法第26条第2項から第4項までの規定を準用します(法第27条第3項)。
法第26条第2項第一号、第二号若しくは第七号に掲げる事項又は法第26条第3項各号に掲げる書類に記載した事項に変更があったときは、認定委員会設置者は、遅滞なく厚生労働大臣に届け出なりません。ただし、厚生労働省令で定める軽微な変更については必要ありません。
上記の軽微な変更は、次の変更です。
軽微変更の範囲(施行規則第54条)
- 地域の名称の変更又は地番の変更に伴う変更
- 認定再生医療等委員会の委員の略歴の追加に関する変更
- 再生医療等委員会を設置する旨の定めをした定款その他これに準ずるものの変更であって、次に掲げるもの
- イ 法その他の法令の制定又は改廃に伴い当然必要とされる規定の整理
- ロ 第一号及びイに掲げるもののほか、用語の整理、条、項又は号の繰上げ又は繰下げその他の形式的な変更
認定委員会設置者の氏名若しくは名称及び住所又は認定再生医療等委員会の名称に変更があり、法第27条第4項の規定に従って変更の届出がなされた場合、厚生労働大臣は、法第26条第5項の規定を準用してこれらの事項を公示します(法第27条第5項)。
認定委員会設置者は、認定証の記載事項に変更を生じたときは、申請書と従前の認定証を厚生労働大臣に提出して認定書の書換えを申請することができます(施行規則第56条)。
認定の有効期間等
再生医療等委員会の認定の有効期間は、認定の日から起算して3年です(法第28条第1項)。認定委員会設置者がこの有効期間の満了後も認定再生医療等委員会を設置する場合には、認定委員会設置者はその有効期間の更新を受けなければなりません(法第28条第2項)。
認定委員会設置者が有効期間の更新申請を行う場合、その更新申請は、やむを得ない事由がある場合を除き、認定の有効期間満了日の90日前から60日前までの間(「更新申請期間」)に、厚生労働大臣に有効期間の更新の申請をしなければなりません(法第28条第3項)。
認定委員会設置者が有効期間の更新申請を行ったけれども、認定の有効期間満了日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の認定の効力は、有効期間の満了後も更新申請に対する処分がされるまでの間は維持されます(法第28条第4項)。従前の認定の有効期間の満了日以降に認定の更新が認められた場合、その認定の有効期間は、前回の認定の有効期間の満了日の翌日から起算することになっています(法第28条第5項)。
法第26条(第1項を除く)の規定は、認定の有効期間の更新について準用します。ただし、同条第3項各号に掲げる書類については、当該書類の内容に変更がないときは、その添付は省略できます(法第28条第6項)。
秘密保持義務
認定再生医療等委員会の委員若しくは認定再生医療等委員会の審査等業務に従事する者又はこれらの者であった者は、正当な理由なく、その審査等業務に関して知り得た秘密を漏らしてはいけません(法第29条)。
認定再生医療等委員会の廃止
認定委員会設置者は、認定再生医療等委員会を廃止しようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出る必要があります。この届出があったときは、厚生労働大臣は、その旨を公示します(法第30条)。
認定再生医療等委員会廃止の届出内容は、認定再生医療等委員会の認定番号及び認定年月日、認定再生医療等委員会の名称、廃止年月日、並びに廃止の理由です(施行規則第59条第1項)。
認定委員会設置者が認定再生医療等委員会の廃止の届出を行おうとするときは、認定委員会設置者は、あらかじめ、その認定再生医療等委員会に再生医療等提供計画を提出していた医療機関にその旨を通知する必要があります(施行規則第59条第2項)。
認定再生医療等委員会を廃止した後、認定委員会設置者は、速やかに、その認定再生医療等委員会に再生医療等提供計画を提出していた医療機関にその旨を通知する必要があります(施行規則第60条第1項)。その際、認定委員会設置者は、他の認定再生医療等委員会を紹介することその他の適切な措置を講じることにより、当該医療機関における再生医療等の提供又はその継続に影響を及ぼさないようしなければなりません(施行規則第60条第2項)。
報告の徴収
厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、認定委員会設置者に対し、認定再生医療等委員会の審査等業務の実施状況について報告を求めることができます(法第31条)。これは、認定再生医療等委員会の審査等業務の適切な実施を確保するための措置です。
厚生労働大臣は、法第31条の規定により認定委員会設置者に対して報告を求めるとき、その理由を通知します(施行規則第114条)。
適合命令及び改善命令
厚生労働大臣は、認定再生医療等委員会が法第26条第4項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、認定委員会設置者に対し、これらの要件に適合するために必要な措置をとるべきことを命ずることができます。ただし、認定再生医療等委員会が第三種再生医療等提供計画のみに係る審査等業務を行う場合にあっては、同項第一号(第三種再生医療等提供計画に係る部分を除く)に掲げる要件を除きます(法第32条第1項)。
さらに、厚生労働大臣は、認定委員会設置者が認定再生医療等委員会に係る規定又はその規定に基づく命令若しくは処分に違反していると認めるとき、その他当該認定再生医療等委員会の審査等業務の適切な実施を確保するため必要があると認めるときは、認定委員会設置者に対し、当該審査等業務を行う体制の改善、当該審査等業務に関する規程の変更その他必要な措置をとるべきことを命ずることができます(法第32条第2項)。
認定の取消し
厚生労働大臣は、認定委員会設置者について、次の各号のいずれかに該当するときは、再生医療等委員会の認定を取り消すことができます(法第33条第1項)。
再生医療等委員会の認定を取り消す場合(法第33条第1項)
- 偽りその他不正の手段により法第26条第1項の認定、法第27条第1項の変更の認定又は法第28条第2項の有効期間の更新を受けたとき
- その設置する認定再生医療等委員会が法第26条第4項各号に掲げる要件(当該認定再生医療等委員会が第三種再生医療等提供計画のみに係る審査等業務を行う場合にあっては、同項第一号(第三種再生医療等提供計画に係る部分を除く)に掲げる要件を除く)のいずれかに適合しなくなったとき
- 前二号に掲げるもののほか、この章の規定又はこの章の規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき
厚生労働大臣は、再生医療等委員会の認定を取り消したときは、その旨を公示します(法第33条第2項)。
認定委員会設置者は、当該認定再生医療等委員会の認定が取り消された場合、遅滞なく、厚生労働大臣に認定証を返納しなければなりません。認定委員会設置者は、認定再生医療等委員会を廃止した場合も同様に厚生労働大臣に認定証を返納しなければなりません(施行規則第61条)。
認定、認定事項の変更、認定の取消し、及び廃止に関する規定のまとめ
再生医療等安全性確保法及び再生医療等安全性確保法施行規則内の再生医療等委員会の認定、認定事項の変更、認定の取消し、及び廃止等に関する規定の条番号は、次のとおりです。
手続等 | 法 | 施行規則 |
---|---|---|
認定 | 第26条 | 第42条~第50条 |
認定事項の変更 | 第27条 | 第51条~第56条 |
認定の更新 | 第28条 | 第58条、第50条 |
認定の廃止 | 第30条 | 第59条~第61条 |
認定の取消し | 第33条 | 第61条 |
その他 | 第29条 第31条 第32条 | 第57条 |
再生医療等安全性確保法施行規則の紹介
これまで見てきたように、再生医療等安全性確保法の第三章は、主に再生医療等委員会の認定とその変更・廃止に係る手続を規定しています。これに対し、認定再生医療等委員会の業務に関する規定は、主に再生医療等安全性確保法施行規則の第三章にまとめられています。
第三章 認定再生医療等委員会
ここからは、再生医療等安全性施行規則における認定再生医療等委員会の業務に関する規定を紹介します。
認定再生医療等委員会の審査等業務
第一種再生医療等提供計画又は第二種再生医療等提供計画に係る審査
認定再生医療等委員会が第一種再生医療等提供計画又は第二種再生医療等提供計画に係る審査等業務を行うときは、次に掲げる要件が満たされていることが必要です(施行規則第63条)。
第一種再生医療等提供計画又は第二種再生医療等提供計画に係る審査等業務を行う認定再生医療等委員会の要件(施行規則第63条)
- 五名以上の委員が出席していること。
- 男性及び女性の委員がそれぞれ二名以上出席していること。
- 次に掲げる者がそれぞれ一名以上出席していること。
- イ 施行規則第44条第二号に掲げる者
- ロ 施行規則第44条第四号に掲げる者
- ハ 施行規則第44条第五号又は第六号に掲げる者
- ニ 施行規則第44条第八号に掲げる者
- 出席した委員の中に、審査等業務の対象となる再生医療等提供計画を提出した医療機関(当該医療機関と密接な関係を有するものを含む)と利害関係を有しない委員が過半数含まれていること。
- 認定委員会設置者と利害関係を有しない委員が二名以上含まれていること。
第三種再生医療等提供計画に係る審査
認定再生医療等委員会が第三種再生医療等提供計画に係る審査等業務を行うときは、次に掲げる要件が満たされていることが必要です(施行規則第64条)。
第三種再生医療等提供計画に係る審査等業務を行う認定再生医療等委員会の要件(施行規則第64条)
- 五名以上の委員が出席していること。
- 男性及び女性の委員がそれぞれ一名以上出席していること。
- 次に掲げる者がそれぞれ一名以上出席していること。ただしイに掲げる者が医師又は歯科医師である場合にあっては、ロを兼ねることができる。
- イ 施行規則第45条第一号に掲げる者のうち再生医療等について十分な科学的知見及び医療上の識見を有する者
- ロ 施行規則第45条第一号に掲げる者のうち医師又は歯科医師
- ハ 施行規則第45条第二号に掲げる者
- ニ 施行規則第45条第三号に掲げる者
- 出席した委員の中に、審査等業務の対象となる再生医療等提供計画を提出した医療機関(当該医療機関と密接な関係を有するものを含む)と利害関係を有しない委員が過半数含まれていること。
- 認定委員会設置者と利害関係を有しない委員が二名以上含まれていること。
認定再生医療等委員会の審査等業務
認定再生医療等委員会は、再生医療等を提供しようとする機関から意見を求められた再生医療等提供計画について審査(法第26条第1項第一号に規定する業務)を行うに当たっては、技術専門員からの評価書を確認する必要があります。ただし、再生医療等提供計画を変更しようとするときに意見を求められた場合では、この限りではありません(施行規則第64条の2第1項)。
用語の定義
「技術専門員」とは、審査等業務の対象となる疾患領域の専門家及び生物統計の専門家その他の再生医療等の特色に応じた専門家をいいます。
認定再生医療等委員会は、前段落の業務以外の審査等業務を行うときは、必要に応じ、技術専門員の意見を聴取します(施行規則第64条の2第2項)。
審査等業務の対象となるものが再生医療等の提供に重要な影響を与えないものであり、かつ、認定再生医療等委員会の指示に従って対応するものであるときは、認定再生医療等委員会は、その認定再生医療等委員会が定める審査等業務に関する規程に定める方法により、その審査等業務を行うことができます(施行規則第64条の2第3項)。
次の場合に該当する認定再生医療等委員会の委員又は技術専門員は、認定再生医療等委員会の求めに応じて当該認定再生医療等委員会において説明すること除き、審査等業務に参加できません(施行規則第65条第1項)。
認定再生医療等委員会の委員又は技術専門員が審査等業務に参加できない場合(施行規則第65条第1項)
- 審査等業務の対象となる再生医療等提供計画を提出した医療機関の管理者、当該再生医療等提供計画に記載された再生医療等を行う医師又は歯科医師及び実施責任者
- 審査等業務の対象となる再生医療等提供計画を提出した医療機関の管理者、当該再生医療等提供計画に記載された再生医療等を行う医師若しくは歯科医師又は実施責任者と同一の医療機関の診療科に属する者又は過去一年以内に多施設で実施される共同研究(臨床研究法第2条第2項に規定する特定臨床研究に該当するもの及び薬機法第2条第17項に規定する治験のうち、医師又は歯科医師が自ら実施するものに限る。)を実施していた者
- 前二号に掲げる者のほか、審査等業務の対象となる再生医療等提供計画を提出した医療機関の管理者、当該再生医療等提供計画に記載された再生医療等を行う医師若しくは歯科医師若しくは実施責任者又は審査等業務の対象となる再生医療等に関与する特定細胞加工物製造事業者若しくは医薬品等製造販売業者若しくはその特殊関係者と密接な関係を有している者であって、当該審査等業務に参加することが適切でない者
認定再生医療等委員会における審査等業務に係る結論を得るに当たっては、出席委員全員から意見を聴いた上で、原則として、出席委員の全員一致をもって行うよう努めなくてはなりません。ただし、議論を尽くしても出席委員全員の意見が一致しないときは、出席委員の過半数の同意を得た意見を当該認定再生医療等委員会の結論とすることができます(施行規則第65条第2項)。
緊急に当該再生医療等の提供の中止その他の措置を講ずる場合
先に説明したように、認定再生医療等委員会を開催するには施行規則第63条又は第64条の要件を満たす必要があり、審査等業務に係る結論を得るには施行規則第65条第2項の要件を満たす必要があります。しかしながら、次の再生医療等を受ける者の保護の観点から緊急に当該再生医療等の提供の中止その他の措置を講ずる必要がある場合では、認定再生医療等委員会は、審査等業務に関する規程に定める方法により、その認定再生医療等委員会の委員長及び委員長が指名する委員に審査等業務を行わせ、結論を得ることができます。このように特定の委員のみで審査等業務を行って結論を得た場合、当該認定再生医療等委員会は、後日、施行規則第65条第2項の規定に則って認定再生医療等委員会の結論を得る必要があります(施行規則第64条の2第4項)。
特定の委員のみで審査等業務を行えるケース
書面等により審査等業務を行う場合
先に説明したように、認定再生医療等委員会を開催するには施行規則第63条又は第64条の要件を満たす必要があり、審査等業務に係る結論を得るには施行規則第65条第2項の要件を満たす必要があります。しかしながら、災害その他やむを得ない事由があり、かつ、保健衛生上の危害の発生若しくは拡大の防止又は再生医療等を受ける者の保護の観点から緊急に再生医療等提供計画を提出し、又は変更する必要がある場合では、認定再生医療等委員会は、書面(電子ファイルを含む)により審査等業務を行い、結論を得ることができます。このように書面により審査等業務を行って結論を得た場合、、当該認定再生医療等委員会は、後日、施行規則第65条第2項の規定に則って認定再生医療等委員会の結論を得る必要があります(施行規則第64条の2第5項)。
認定再生医療等委員会に関するその他の規定
厚生労働大臣への報告
認定委員会設置者は、当該認定再生医療等委員会が次に掲げる意見を述べたときは、遅滞なく、厚生労働大臣にその旨を報告する必要があります(施行規則第66条)。
認定委員会設置者による厚生労働大臣への報告(施行規則第66条)
- 再生医療等提供計画に記載された再生医療等の提供を継続することが適当でない旨の意見を述べたとき
- 施行規則第20条の2第4項の規定により意見を求められた場合に意見を述べたとき
上の「施行規則第20条の2第4項の規定により意見を求められた場合」とは、再生医療等がこの省令(「再生医療等安全性確保法施行規則」)又は再生医療等提供計画に適合していない状態(「不適合」)について再生医療等提供機関の管理者から当該認定再生医療等委員会に意見を求められた場合をいいます。
帳簿の備付け等
認定委員会設置者は、審査等業務(法第26条第1項各号に掲げる業務)に関する事項を記録するための帳簿を備え、その帳簿を最終の記載日から10年間保存しなければなりません(施行規則第67条)。
事務を行う者の選任
認定委員会設置者は、認定再生医療等委員会の運営に関する事務を行う者(事務執行者)を選任する必要があります。しかしながら、選任された事務執行者は、認定再生医療等委員会の審査等業務には参加できません(施行規則第69条)。
委員等の教育又は研修
認定委員会設置者は、年一回以上、委員等(認定再生医療等委員会の委員、技術専門員及び事務執行者)に対し、教育又は研修の機会を確保する必要があります。ただし、委員等が既に当該認定委員会設置者が実施する教育又は研修と同等の教育又は研修を受けていることが確認できる場合は、この限りではありません(施行規則第70条)。
認定再生医療等委員会の審査等業務の記録等
認定委員会設置者は、当該認定再生医療等委員会における審査等業務の過程に関する記録を作成し、個人情報、研究の独創性及び知的財産権の保護に支障を生じるおそれのある事項を除き、この記録を公表する必要があります(施行規則第71条第1項)。
認定委員会設置者は、審査等業務に関して再生医療等の提供機関の管理者から提出された再生医療等提供計画その他の書類、審査等業務の過程に関する記録(技術専門員からの評価書を含む)及び認定再生医療等委員会の結論を提供機関管理者に通知した文書の写しを、その再生医療等提供計画に係る再生医療等の提供が終了した日から少なくとも10年間保存しなければなりません(施行規則第71条第2項)。
認定委員会設置者は、再生医療等委員会の認定申請に係る申請書(施行規則第43条第1項に規定)の写し、同申請書の添付書類(法第26条第3項に規定)、審査等業務に関する規程及び委員名簿を、当該認定再生医療等委員会の廃止後10年間保存しなければなりません(施行規則第71条第3項)。
運営に関する情報の公表
認定委員会設置者は、再生医療等を提供しようとする医療機関の管理者又は提供機関管理者が、認定再生医療等委員会に関する情報を容易に収集し、効率的に審査等業務を依頼することができるよう、認定再生医療等委員会の審査手数料、開催日程及び受付状況を公表しなければなりません(施行規則第71条の2)。
おわりに
ここまで、再生医療等安全性確保法及び再生医療等安全性確保法施行規則内の認定再生医療等委員会に係る規定を紹介してきました。
再生医療を提供するためにはその再生医療の提供計画について認定再生医療等委員会の意見を聴かなくてはならないため、その再生医療を提供しようとしている病院等が、院内に認定再生医療等委員会を設置しなくてはならないと理解されるかもしれません。しかしながら、必ずしも院内に認定再生医療等委員会を設置しなくてもよく、認定再生医療等委員会の中には当該認定再生医療等委員会の設置主体とは異なる医療機関からの再生医療等提供計画の審査申込を受け付けているところもあります。このことは、施行規則第71条の2の規定とも合致します。
これから再生医療等を提供しようとしている方は、提供しようとしている再生医療等について十分な科学的知見及び医療上の識見を有する委員が在籍している認定再生医療等委員会であって、外部からの審査申請を受け付ける認定再生医療等委員会にご自身の再生医療等提供計画の審査を依頼することも考えてみてはいかがでしょうか。
この記事では、再生医療等委員会の認定の申請に関する規定及び認定再生医療等委員会の業務に関する規定を紹介しました。院内に独自の認定再生医療等委員会を設立することを計画していらっしゃる方は、認定申請の準備はもちろん、委員会の規則・細則の策定を進めることも忘れずにいてください。
次の記事では、再生医療等提供機関及び特定細胞加工物製造事業者がする手続について説明します。