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再生医療等安全性確保法について~特定細胞加工物製造事業者~

医療等

 再生医療等安全性確保法において、再生医療等は、人の身体の構造若しくは機能の再建、修復若しくは形成、又は人の疾病の治療若しくは予防を目的とする、細胞加工物を使用する医療技術を用いる医療であると規定されています。再生医療等安全性確保法は、再生医療等に使用される細胞加工物のうち再生医療等製品に該当しないものを細胞加工物と呼び、特定細胞加工物の製造事業に係る規定を含んでいます。

 本記事は、再生医療等安全性確保法及び再生医療等安全性確保法施行規則内の特定細胞加工物の製造事業に係る規定を紹介します。

第四章 特定細胞加工物の製造

 特定細胞加工物の製造を行おうとする者は、厚生労働大臣を提出先とする手続を行う必要があります。例えば、再生医療等提供機関である病院が院内で細胞に培養その他加工を施すことで製造した特定細胞加工物を患者に投与・移植する場合でもその病院は特定細胞加工物の製造に係る手続を行う必要があります。

 しかしながら、特定細胞加工物の製造に係る手続は、特定細胞加工物の製造を行おうとする者の態様に応じて許可申請、認定申請、及び届出に分類されます。ここで特定細胞加工物の製造を行おうとする者の態様と許可、認定、及び届出の各手続の別を簡単にまとめます。

(1)外国において、日本において行われる再生医療等に用いる特定細胞加工物を製造しようとしていますか?
 Yes → 認定申請
 No  → (2)の質問へ
(2)病院内若しくは診療所内に設置される細胞培養加工施設、「再生医療等製品」の製造所に該当する細胞培養加工施設、又は臍帯血供給事業の用に供する細胞培養加工施設において特定細胞加工物を製造しようとしていますか?
 Yes → 届出
 No  → 許可申請
許可申請のケース
特定細胞加工物の製造の許可

 特定細胞加工物の製造を行おうとする者(法第40条第1項の規定に該当する者を除く)は、厚生労働省令で定めるところにより、細胞培養加工施設ごとに、厚生労働大臣の許可を受けなければなりません(法第35条第1項)。その許可を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、(1)次に掲げる事項を記載した申請書、(2)細胞培養加工施設の構造設備に関する書類、及び(3)その他厚生労働省令で定める書類を厚生労働大臣に提出しなければなりません(法第35条第1項及び第2項)。

特定細胞加工物の製造許可申請書の記載事項(法第35条第2項)

  1. 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
  2. 細胞培養加工施設の管理者の氏名及び略歴
  3. 製造をしようとする特定細胞加工物の種類
  4. その他厚生労働省令で定める事項

「法第40条第1項の規定に該当する者」の意味

「法第40条第1項の規定に該当する者」とは、(1)病院若しくは診療所に設置される細胞培養加工施設、(2)薬機法第23条の22第1項の許可を受けた「再生医療等製品」の製造所に該当する細胞培養加工施設、又は(3)造血幹細胞移植法第30条第1項の臍帯血供給事業の許可を受けた者が臍帯血供給事業の用に供する細胞培養加工施設において特定細胞加工物の製造を行おうとする者を意味します。

 法第35条第2項の規定による許可の申請は、様式第十四による申請書(正副二通)を提出して行います(施行規則第72条第1項)。

 特定細胞加工物の製造許可申請書の記載事項に関し、法第35条第2項第四号の「その他厚生労働省令で定める事項」は、次にあげる事項です(施行規則第72条第2項)。

法第35条第2項第四号のその他厚生労働省令で定める事項(施行規則第72条第2項)

  • 細胞培養加工施設の名称及び所在地
  • 申請者が法人である場合は、その業務を行う役員の氏名
  • 申請者(申請者が法人である場合は、その業務を行う役員を含む。)の欠格条項に関する事項
  • 申請者の連絡先

 特定細胞加工物の製造許可の申請に関し、法第35条第2項の「その他厚生労働省令で定める書類」は、次にあげる書類です(施行規則第72条第3項)。

法第35条第2項のその他厚生労働省令で定める書類(施行規則第72条第2項)

  1. 申請者が法人である場合は、登記事項証明書
  2. 製造をしようとする特定細胞加工物の一覧表

 厚生労働大臣は、提出書類に示された細胞培養加工施設の構造設備が法第42条の基準に適合していないと認めるときは許可をしてはならず(法第35条第3項)、申請者が次のいずれかに該当するときは不許可を選択することができます(法第35条第4項)。

申請が不許可になる場合(法第35条第4項)

  1. 法第49条の規定により許可を取り消され、その取消しの日から3年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの処分の通知があった日前60日以内に当該法人の役員であった者で当該取消しの日から3年を経過しない者を含む)
  2. 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過しない者
  3. 前二号に該当する者を除くほか、この法律、造血幹細胞移植法若しくは薬機法その他薬事に関する法令で政令で定めるもの又はこれらに基づく処分に違反し、その違反行為があった日から2年を経過しない者
  4. 法人であって、その業務を行う役員のうちに前三号のいずれかに該当する者があるもの

 この第三号の規定における政令で定める薬事に関する法令は、再生医療等安全性確保法施行令第3条に掲げられている法令であり、法第49条の規定の説明で紹介します。

 また、厚生労働大臣は、許可の申請があったときは、当該申請に係る細胞培養加工施設の構造設備が法第42条の基準に適合するかどうかについての書面による調査又は実地の調査を行います(法第35条第5項)。

 厚生労働大臣は、法第35条第1項の規定による許可をしたときは、許可を申請した者に対し、様式第十五による許可証を交付し、法第36条第1項の規定による更新をしたときも、許可を申請した者に対し、様式第十五による許可証を交付します(施行規則第73条)。

 厚生労働大臣は、法第35条第1項の規定による特定細胞加工物の製造の許可に関して台帳を備え、その台帳には次に掲げる事項が記載されます(施行規則第80条)。

台帳の記載項目(施行規則第80条)

  1. 施設番号及び許可年月日
  2. 許可事業者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
  3. 細胞培養加工施設の名称及び所在地
  4. 施設管理者の氏名
許可の更新

 法第35条第1項の許可は、3年を下らない政令で定める期間の経過によって失効するため、法第35条第1項の許可を受けた者(「許可事業者」)は、当該許可を引き続き有効に保持することを望む場合には、その更新を受けなければなりません(法第36条第1項)。現状では許可の有効期間は5年間です(施行令第4条)。法第35条第2項~第5項の規定は、この許可の更新について準用します(法第36条第2項)。

 特定細胞加工物の製造の許可の更新申請は、様式第十九による申請書(正副二通)を厚生労働大臣に提出して行います(施行規則第78条第1項)。この申請書には従前の許可証の写しを添付します(施行規則第78条第2項)。

変更の届出

 許可事業者は、当該許可に係る細胞培養加工施設について構造設備その他厚生労働省令で定める事項を変更したときは、30日以内に、その旨を厚生労働大臣に届け出なければなりません(法第37条)。

 法第37条の「その他厚生労働省令で定める事項」は、次の事項です(施行規則第74条)。

法第37条のその他厚生労働省令で定める事項(施行規則第74条)

  • 法第35条第1項の許可を受けた許可事業者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
  • 細胞培養加工施設の名称及び所在地
  • 施設管理者の氏名
  • 許可事業者が法人である場合は、その業務を行う役員の氏名
  • 許可事業者(許可事業者が法人である場合は、その業務を行う役員を含む。)の欠格条項に関する事項
  • 製造をしようとする特定細胞加工物の種類
  • 許可事業者の連絡先

 法第37条の規定による届出は、様式第十六による届書を提出して行います(施行規則第75条)。

特定細胞加工物の製造の許可証の書換え交付の申請

 許可事業者は、特定細胞加工物の製造の許可証の記載事項に変更を生じたときに、様式第十七による申請書及び許可証を厚生労働大臣に提出して許可証の書換え交付を申請することができます(施行規則第76条第1項)。この書換申請には2千円の手数料の納付が必要であり、この手数料は印紙で納めます(施行規則第76条第2項)。

特定細胞加工物の製造の許可証の再交付

 許可事業者は、特定細胞加工物の製造の許可証を破損、汚損又は失くしてしまったときに、様式第十八による申請書を厚生労働大臣に提出してその再交付を申請することができます。この場合、許可証を破損又は汚損してしまった許可事業者は、申請書と一緒にその許可証を提出します(施行規則第77条第1項)。

 許可証の再交付には2千円の手数料の納付が必要であり、この手数料は印紙で納めます(施行規則第77条第2項)。

 許可証を失くして許可証の再交付を受けた許可事業者は、許可証の再交付の後に失った許可証を発見したときは、遅滞なく、厚生労働大臣にこれを返納します(施行規則第77条第3項)。

医薬品機構による調査の実施

 法第35条第5項の規定では、厚生労働大臣は、許可の申請があったときは、当該申請に係る細胞培養加工施設の構造設備が法第42条の基準に適合するかどうかについて調査を行います。しかしながら、厚生労働大臣は、厚生労働省の職員にこの調査をさせるのではなく、独立行政法人の職員にこの調査をさせることができます。

 厚生労働大臣は、細胞培養加工施設の構造設備の調査(法第36条第2項に規定される準用を含む)を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(医薬品機構)に調査させることができます(法第38条第1項)。この場合、法第35条の許可又は法第36条の許可更新の申請者は、医薬品機構が行う当該調査を受けなければならず(法第38条第3項)、そのため、医薬品機構に調査申請をする必要があります(施行規則第81条第1項)。この調査申請は、許可又は許可更新の申請書に様式第二十による申請書を添付して地方厚生局長を経由して行います(施行規則第81条第2項)。

 医薬品機構は、遅滞なく調査結果を厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣に通知し(法第38条第4項)、厚生労働大臣は、法第35条の許可又は法第36条の許可更新に当たり、このようにして通知された当該調査結果を考慮します(法第38条第2項)。

 医薬品機構から厚生労働大臣への調査結果の通知は、様式第二十一による通知書によって行われます(施行規則第82条)。

許可の取消等

 厚生労働大臣は、許可事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消し、又は期間を定めて特定細胞加工物の製造の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができます(法第49条)。

厚生労働大臣が特定細胞加工物製造の許可を取り消す又は停止する場合(法第49条)

  1. 当該許可に係る細胞培養加工施設の構造設備が法第42条の基準に適合しなくなったとき
  2. 法第35条第4項各号のいずれかに該当するに至ったとき
  3. 前二号に掲げる場合のほか、この法律、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律造血幹細胞移植法若しくは医薬品医療機器等法その他薬事に関する法令で政令で定めるもの又はこれらに基づく処分に違反したとき

 この第三号の規定における政令で定める薬事に関する法令には次のものがあります(施行令第3条)。

  1. 大麻草の栽培の規制に関する法律(昭和二十三年法律第百二十四号)
  2. 毒物及び劇物取締法(昭和二十五年法律第三百三号)
  3. 覚醒剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)
  4. 麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)
  5. あへん法(昭和二十九年法律第七十一号)
  6. 安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律(昭和三十一年法律第百六十号)
  7. 薬剤師法(昭和三十五年法律第百四十六号)
  8. 有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律(昭和四十八年法律第百十二号)
  9. 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和四十八年法律第百十七号)
  10. 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年法律第九十四号)
  11. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成十四年法律第百九十二号)
  12. 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成十五年法律第九十七号)
  13. 臨床研究法(平成二十九年法律第十六号)

 特定細胞加工物の製造の許可事業者は、法第49条の規定により特定細胞加工物の製造の許可の取消を受けたとき、又はその業務を廃止したときは、遅滞なく、厚生労働大臣に許可証を返納する必要があります(施行規則第79条)。

認定申請のケース
外国における特定細胞加工物の製造の認定

 外国において、日本において行われる再生医療等に用いられる特定細胞加工物の製造を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、細胞培養加工施設ごとに、厚生労働大臣の認定を受けることができます(法第39条第1項)。この場合、法第35条(第1項を除く)~法第38条の規定は、この厚生労働大臣の認定について準用します(法第39条第2項)。

 法第39条第1項の規定による認定の申請は、様式第二十二による申請書(正副二通)を厚生労働大臣に提出して行います(施行規則第83条第1項)。法第39条第2項の規定において準用する法第35条第2項の厚生労働省令で定める書類は、次に掲げる書類です(施行規則第83条第2項)。

特定細胞加工物の製造の認定申請の際に提出する厚生労働省令で定める書類(施行規則第83条第2項)

  1. 施設管理者の履歴書
  2. 製造をしようとする特定細胞加工物の一覧表

 法第39条第1項の規定による外国における特定細胞加工物の製造の認定については、施行規則第73条第74条第75条第76条第77条第78条第79条第80条第81条、及び第82条の規定を準用します(施行規則第84条)。

認定の取消し等

 厚生労働大臣は、第39条第1項の認定を受けた者(「認定事業者」)が次の各号のいずれかに該当するときは、その者が受けた同項の認定の全部又は一部を取り消すことができます(法第50条第1項)。

認定取消しの事由(法第50条第1項)

  1. 厚生労働大臣が、必要があると認めて、当該認定事業者に対し、厚生労働省令で定めるところにより必要な報告を求めた場合において、その報告がされず、又は虚偽の報告がされたとき
  2. 厚生労働大臣が、必要があると認めて、当該職員に、当該認定事業者の当該認定に係る細胞培養加工施設又は事務所においてその構造設備又は帳簿、書類その他の物件を検査させ、関係者に質問させようとした場合において、その検査が拒まれ、妨げられ、若しくは忌避され、又はその質問に対し、正当な理由なしに答弁がされず、若しくは虚偽の答弁がされたとき
  3. 法第50条第2項において準用する法第48条の規定による請求に応じなかったとき
  4. この法律、造血幹細胞移植法若しくは医薬品医療機器等法その他薬事に関する法令で政令で定めるもの又はこれらに基づく処分に違反したとき

 ここで、厚生労働大臣は、法第50条第1項第一号の規定により認定事業者に対して必要な報告を求めるとき、その理由を通知します(施行規則第114条)。

 ここで、「法第48条の規定」とは、厚生労働大臣によって発令される細胞培養加工施設の構造設備の改善命令等又はその業務の改善命令をいいます。この第48条の規定は、認定事業者について準用します。第48条の規定を認定事業者について準用する場合、命令は請求を意味します(法第50条第2項)。

 厚生労働大臣は、医薬品機構に法第50条第1項第2号の規定による検査又は質問を行わせることができ、医薬品機構は、当該検査又は質問をしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該検査又は質問の結果を厚生労働大臣に通知しなければなりません(法第50条第3項)。

 法第50条第3項の規定による通知は、様式第三十一による通知書により行います(施行規則第115条)。

届出のケース
特定細胞加工物の製造の届出

 細胞培養加工施設(病院若しくは診療所に設置される施設、薬機法第23条の22第1項の許可(厚生労働省令で定める区分に該当するものに限る)を受けた製造所に該当する施設、又は移植に用いる造血幹細胞移植法第30条第1項の臍帯血供給事業の許可を受けた者が臍帯血供給事業の用に供する施設に限る)において特定細胞加工物の製造を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、細胞培養加工施設ごとに、次に掲げる事項を厚生労働大臣に届け出なければなりません(法第40条第1項)。

特定細胞加工物の製造の届出の内容

  1. 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
  2. 細胞培養加工施設の管理者の氏名及び略歴
  3. 製造をしようとする特定細胞加工物の種類
  4. その他厚生労働省令で定める事項

 当該届出に係る細胞培養加工施設は、病院若しくは診療所に設置されるもの、薬機法第23条の22第1項の許可を受けた「再生医療等製品」の製造所に該当するもの、又は造血幹細胞移植法第30条第1項の臍帯血供給事業の許可を受けた者が臍帯血供給事業の用に供するものに限ります。したがって、例えば、医療機関がその施設内で特定細胞加工物を製造し、この特定細胞加工物を患者に投与する場合、その医療機関は「特定細胞加工物製造事業者」及び「再生医療等提供機関」として両方の手続きを再生医療等の提供開始前に完了していなければなりません。

 法第40条第1項の規定による届出は、様式第二十七による届書を提出して行います(施行規則第85条第1項)。

 法第40条第1項の「厚生労働省令で定める区分」は、薬機法施行規則第137条の8第一号に規定する区分です(施行規則第85条第2項)。

 特定細胞加工物の製造の届出に関し、法第40条第1項第四号の「その他厚生労働省令で定める事項」は、次に掲げる事項です(施行規則第85条第3項)。

法第40条第1項第四号の厚生労働省令で定める事項(施行規則第85条第3項)

  1. 届出をする者の区分
  2. 細胞培養加工施設の名称及び所在地
  3. 届出をする者が法人である場合は、その業務を行う役員の氏名
  4. 届出をする者(届出をする者が法人である場合には、その業務を行う役員を含む。)の停止事由に係る事項
  5. 届出をする者の連絡先

 法第40条第1項の規定による届出は、当該届出に係る細胞培養加工施設の構造設備に関する書類その他厚生労働省令で定める書類を添付書類として提出することが必要です(法第40条第2項)。

 特定細胞加工物の製造の届出に関し、法第40条第2項の「その他厚生労働省令で定める書類」は、次に掲げる書類です(施行規則第85条第4項)。

法第40条第2項の厚生労働省令で定める書類(施行規則第85条第4項)

  1. 届出をする者が法人であるときは、登記事項証明書
  2. 製造をしようとする特定細胞加工物の一覧表
  3. 届出をする者が薬機法第23条の22第1項の許可(薬機法施行規則第137条の8第一号に規定する区分に該当するものに限る)を受けている場合にあっては、当該許可証の写し
  4. 届出をする者が造血幹細胞移植法第30条の臍帯血供給事業の許可を受けている場合にあっては、当該許可証の写し
特定細胞加工物の製造の届出事業者の届出を要する変更

 法第40条第1項の届出をした者(「届出事業者」)は、当該届出に係る細胞培養加工施設について構造設備その他厚生労働省令で定める事項を変更したときは、30日以内に、その旨を厚生労働大臣に届け出なければなりません(法第40条第3項)。

 法第40条第3項の「その他厚生労働省令で定める事項」は、次に掲げる事項です(施行規則第86条)。

法第40条第3項の厚生労働省令で定める事項(施行規則第86条)

  1. 法第40条第1項の規定による届出をした者(「届出事業者」)の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
  2. 届出事業者の区分
  3. 細胞培養加工施設の名称及び所在地
  4. 施設管理者の氏名
  5. 届出事業者が法人である場合は、その業務を行う役員の氏名
  6. 届出事業者(届出事業者が法人である場合は、その業務を行う役員を含む。)の停止事由に関する事項
  7. 製造をしようとする特定細胞加工物の種類
  8. 届出事業者の連絡先

 法第40条第3項の規定による届出は、様式第二十八による届書を提出して行います(施行規則第87条)。

停止命令

 厚生労働大臣は、届出事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、期間を定めて特定細胞加工物の製造の業務の全部又は一部の停止を命ずることができます(法第51条)。

特定細胞加工物の製造業務の停止を命ずる場合(法第51条)

  1. 当該届出に係る細胞培養加工施設の構造設備が第42条の基準に適合しなくなったとき
  2. 法第35条第4項各号のいずれかに該当するに至ったとき
  3. 前二号に掲げる場合のほか、この法律、造血幹細胞移植法若しくは医薬品医療機器等法その他薬事に関する法令で政令で定めるもの又はこれらの規定に基づく処分に違反したとき

 ここで、許可申請、認定申請、及び届出に係る手続を比較すると次のとおりになります。

許可申請、認定申請、及び届出に係る手続の比較

許可申請認定申請届出
必要書類の提出
大臣による調査
大臣による適否の判断
更新
変更の届出
医薬品機構による調査
取消処分等取消し取消し停止命令
許可、認定、及び届出に共通の規定

 以下、特定細胞加工物の製造の許可、認定、及び届出に共通の規定を紹介します。

廃止の届出

 特定細胞加工物製造事業者は、特定細胞加工物の製造を廃止したときは、厚生労働省令で定めるところにより、30日以内に、その旨を厚生労働大臣に届け出なければなりません(法第41条)。

 法第41条の規定による届出は、様式第二十九による届書を提出して行います(施行規則第88条)。

構造設備の基準

 細胞培養加工施設の構造設備は、厚生労働省令で定める基準に適合したものでなければなりません(法第42条)。

 細胞培養加工施設の構造設備の基準は再生医療等安全性確認法施行規則第89条で詳しく規定されており、それは次のような基準です。

細胞培養加工施設の構造設備の基準(施行規則第89条)

  1. 当該細胞培養加工施設において特定細胞加工物を製造するのに必要な設備及び器具を備えていること
  2. 特定細胞加工物等及び資材の混同並びに汚染を防止し、円滑かつ適切な作業を行うのに支障のないよう配置されており、かつ、清掃及び保守が容易なものであること
  3. 手洗設備及び更衣を行う場所、その他必要な衛生設備を有すること
  4. 原料の受入れ、特定細胞加工物の保管等を行う区域は、特定細胞加工物の製造を行う他の区域から区分されていること
  5. 原料の受入れ、特定細胞加工物の保管等を行う区域は、これらを行うために必要な構造及び設備を有すること
  6. 作業所は、次に掲げる要件に適合するものであること
    • イ 照明及び換気が適切であり、かつ、清潔であること
    • ロ 常時居住する場所及び不潔な場所から明確に区別されていること
    • ハ 作業を行うのに支障のない面積を有すること
    • ニ 防じん、防虫及び防そのための構造又は設備を有すること
    • ホ 廃水及び廃棄物の処理に要する設備又は器具を備えていること
    • ヘ 特定細胞加工物等により有毒ガスを取り扱う場合には、その処理に要する設備を有すること
  7. 作業所のうち、作業室は、次に掲げる要件に適合するものであること
    • イ 屋外に直接面する出入口(非常口を除く)がないこと。ただし、屋外からの汚染を防止するのに必要な構造及び設備を有している場合においては、この限りでない
    • ロ 出入口及び窓は、閉鎖することができるものであること
    • ハ 室内の排水設備は、作業室の汚染を防止するために必要な構造であること
    • ニ 作業室の天井は、ごみの落ちるおそれのないような構造であること
    • ホ 室内のパイプ、ダクト等の設備は、表面にごみがたまらないような構造であること。ただし、清掃が容易である場合においてはこの限りでない
  8. 作業所のうち作業室又は作業管理区域(作業室及び廊下等から構成されていて、全体が同程度に清浄の維持ができるように管理される区域をいう)は、温度及び必要に応じて湿度を維持管理できる構造及び設備を有すること
  9. 作業所のうち、清浄度管理区域は、次に掲げる要件に適合するものであること
    • イ 天井、壁及び床の表面は、なめらかでひび割れがなく、かつ、じんあいを発生しないものであること。また、清掃が容易で、消毒液等による噴霧洗浄に耐えるものであること
    • ロ 設備及び器具は、滅菌又は消毒が可能なものであること
    • ハ 排水設備は、有害な廃水による汚染を防止するために適切な構造のものであること
    • ニ 排水口を設置していないこと。ただし、やむを得ないと認められる場合には、作業室の汚染を防止するために必要な構造であること
  10. 作業所のうち、無菌操作等区域は、次に定めるところに適合するものであること
    • イ 天井、壁及び床の表面は、なめらかでひび割れがなく、かつ、じんあいを発生しないものであること。また、清掃が容易で、消毒液等による噴霧洗浄に耐えるものであること。ただし、無菌操作が閉鎖式操作で行われ無菌性が確保できる場合は、この限りではない
    • ロ 設備及び器具は、滅菌又は消毒が可能なものであること
    • ハ 排水設備は、有害な廃水による汚染を防止するために適切な構造のものであること
    • ニ 排水口を設置していないこと
    • ホ 流しを設置していないこと
  11. 作業所のうち、動物又は微生物を用いる試験を行う区域及び特定細胞加工物の製造に必要のない動物組織又は微生物を取り扱う区域は、当該特定細胞加工物の製造を行う他の区域から明確に区別されており、かつ、空気処理システムが別系統にされていること
  12. 作業所のうち、無菌操作を行う区域は、フィルターにより処理された清浄な空気を供し、かつ、適切な差圧管理を行うために必要な構造及び設備を有すること。ただし、無菌操作が閉鎖式操作で行われ無菌性が確保できる場合は、この限りではない
  13. 作業所のうち、病原性を持つ微生物等を取り扱う区域は、適切な陰圧管理を行うために必要な構造及び設備を有すること
  14. 無菌操作等区域で使用した器具の洗浄、消毒及び滅菌のための設備並びに廃液等の処理のための設備を有すること
  15. 空気処理システムは、微生物等による特定細胞加工物等の汚染を防止するために適切な構造のものであること
  16. 配管、バルブ及びベント・フィルターは、使用の目的に応じ、容易に清掃又は滅菌ができる構造のものであること
  17. 製造又は試験検査に使用する動物(ドナー動物を含む。以下「使用動物」という。)を管理する施設は、次に定めるところに適合するものであること
    • イ 使用動物を検査するための区域は、他の区域から隔離されていること
    • ロ 害虫の侵入のおそれのない飼料の貯蔵設備を有していること
    • ハ 製造に使用する動物の飼育室と試験検査に使用する動物の飼育室をそれぞれ有していること
    • ニ 使用動物の飼育室は、他の区域と空気処理システムが別系統にされていること。ただし、野外での飼育が適当と認められる動物については、この限りでない
    • ホ 使用動物に抗原等を接種する場合には、接種室を有していること。この場合、接種室は動物の剖検室と分離されていること
  18. 特定細胞加工物等及び資材を区分して、衛生的かつ安全に貯蔵するために必要な設備を有すること
  19. 貯蔵設備は、恒温装置、温度計その他必要な計器を備えたものであること
  20. 次に掲げる試験検査の設備及び器具を備えていること。ただし、当該特定細胞加工物製造事業者の他の試験検査設備又は他の試験検査機関を利用して自己の責任において当該試験検査を行う場合であって、支障がないと認められるときは、この限りでない
    • イ 密封状態検査を行う必要がある場合には、密封状態検査の設備及び器具
    • ロ 異物検査の設備及び器具
    • ハ 特定細胞加工物等及び資材の理化学試験の設備及び器具
    • ニ 無菌試験の設備及び器具
    • ホ 発熱性物質試験を行う必要がある場合には、発熱性物質試験の設備及び器具
    • ヘ 生物学的試験を行う必要がある場合には、生物学的試験の設備及び器具
管理者の設置

 特定細胞加工物製造事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、特定細胞加工物の製造を実地に管理させるために、細胞培養加工施設ごとに、特定細胞加工物に係る生物学的知識を有する者その他の厚生労働省令で定める基準に該当する者を設置する必要があります(法第43条)。

 法第43条の厚生労働省令で定める基準は、特定細胞加工物に係る生物学的知識を有する者であることです(施行規則第90条第1項)。施設管理者の設置は、細胞培養加工施設ごとに一名です(施行規則第90条第2項)。

特定細胞加工物製造事業者の遵守事項

 厚生労働大臣は、厚生労働省令で、細胞培養加工施設における特定細胞加工物の製造及び品質管理の方法、試験検査の実施方法、保管の方法並びに輸送の方法その他特定細胞加工物製造事業者がその業務に関し遵守すべき事項を定めることができます(法第44条)。

 この遵守事項は、再生医療等安全性確保法施行規則第92条~第110条で規定されており、それらは次のようなものです。

条番号内容
第92条品質リスクマネジメントについて
第93条製造部門及び品質部門の設置について
第94条施設管理者の業務について
第95条特定細胞加工物製造事業者が設置する職員について
第96条特定細胞加工物標準書について
第97条特定細胞加工物製造事業者が作成・保管する手順書について
第98条特定細胞加工物の内容に応じた細胞培養加工施設の構造設備について
第99条製造管理に関わる業務について
第100条品質管理に関わる業務について
第101条特定細胞加工物の取扱いについて
第102条手順書に基づいた検証又は確認について
第103条特定細胞加工物の品質の照査について
第104条製造手順等の変更の管理について
第105条製造手順書等からの逸脱が生じた場合の管理について
第106条特定細胞加工物の品質等に関する情報及び品質不良等の処理について
第107条重大事態の報告等について
第108条細胞培養加工施設における自己点検について
第109条教育訓練について
第110条文書及び記録の管理について

 これより、特定細胞加工物製造事業者の遵守事項の詳細を紹介する前に、再生医療等安全性確保法内の特定細胞加工物製造事業者に係るその他の規定を説明します。

特定細胞加工物の製造に関する記録及び保存

 特定細胞加工物製造事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、製造をした特定細胞加工物の種類、当該製造の経過その他の厚生労働省令で定める事項に関する記録を作成し、当該記録を保存しなければなりません(法第45条)。

 特定細胞加工物の製造の記録に関し、法第45条の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりです(施行規則第111条第1項)。

特定細胞加工物の製造に関する記録事項(施行規則第111条第1項)

  1. 製造をした特定細胞加工物の種類
  2. 特定細胞加工物の提供先の再生医療等提供機関の名称及び住所
  3. 委託を受けて製造をした場合には、委託元及び委託業務の内容
  4. 再生医療等に用いる細胞の種類
  5. 再生医療等に用いる細胞の提供が行われた医療機関等の名称及び細胞の提供が行われた年月日
  6. 再生医療等に用いる細胞が適切なものであることを検査等により確認した結果
  7. 特定細胞加工物の製造の経過
  8. 特定細胞加工物が再生医療等に用いるために適切なものであることを検査等により確認した結果
  9. 特定細胞加工物の輸送の方法及び輸送業者
  10. 特定細胞加工物の提供日

 法第45条の規定により作成された記録の保存期間は、次のとおりです(施行規則第111条第2項)。

特定細胞加工物の製造に関する記録の保存期間(施行規則第111条第2項)

第一号第二号
記録の内容指定再生医療等製品の原料と類似の原料からなる特定細胞加工物に係る記録前号に掲げる特定細胞加工物以外の特定細胞加工物に係る記録
保存期間記録の提供日から少なくとも30年間記録の提供日から少なくとも10年間
厚生労働大臣への定期報告

 特定細胞加工物製造事業者は、特定細胞加工物の製造の状況について、厚生労働省令で定めるところにより、定期的に、厚生労働大臣に報告しなければなりません(法第46条)。

 特定細胞加工物製造事業者は、法第46条の規定に基づき、特定細胞加工物の製造の状況について、次に掲げる事項を報告しなければなりません(施行規則第112条第1項)。

特定細胞加工物の製造状況に関する厚生労働大臣への報告事項(施行規則第112条第1項)

  1. 特定細胞加工物の製造件数
  2. 苦情の処理状況
  3. 特定細胞加工物の提供先の再生医療等提供機関から第十七条第五項第一号の規定により通知を受けた疾病等の発生に係る次に掲げる情報
    • イ 疾病等の発生があった年月日
    • ロ 疾病等の発生に対する措置状況
    • ハ 特定細胞加工物製造事業者による対策等

 施行規則第112条第1項に規定される報告は、法第35条第1項の規定による特定細胞加工物の製造の許可を受けた日又は法第39条第1項の規定による特定細胞加工物の製造の認定を受けた日又は法第40条第1項の規定による特定細胞加工物の製造の届出をした日から起算して、一年ごとに、当該期間満了後60日以内に行う必要があります(施行規則第112条第2項)。

命令と立入検査等

 厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、次の命令をすることができます。

厚生労働大臣の命令

緊急命令
(法第47条)
改善命令
(法第48条第1項)
改善命令
(法第48条第2項)
目的特定細胞加工物の製造による保健衛生上の危害の発生又は拡大の防止細胞培養加工施設の構造設備の是正再生医療等技術の安全性の確保等その他再生医療等の適正な提供
被命令者特定細胞加工物製造事業者許可事業者
届出事業者
許可事業者
届出事業者
命令発令のタイミング必要があると認めたとき必要があると認めたとき特定細胞加工物の製造に係る規定又はその規定に基づく命令若しくは処分に違反しているとき
命令の内容・当該特定細胞加工物の製造の一時停止
・その他の保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための応急の措置
・構造設備の改善
・構造設備が改善されるまでの間の当該細胞培養加工施設の全部若しくは一部の使用禁止
・業務の運営の改善

 厚生労働大臣は、必要に応じて事業者に対し、必要な報告をさせ、又は当該職員に、当該細胞培養加工施設若しくは事務所に立ち入り、その構造設備若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができます(法第52条)

調査の範囲/タイミング

法第52条第1項法第52条第2項
許可事業者又は届出事業者が設置する当該許可又は届出に係る細胞培養加工施設の構造設備が法第42条の基準に適合しているかどうかを確認するため必要があると認めるとき細胞培養加工施設において特定細胞加工物の製造に係る規定若しくはその規定に基づく命令若しくは処分に違反する特定細胞加工物の製造が行われていると認めるとき、又は再生医療等技術の安全性の確保等その他再生医療等の適正な提供のため必要があると認めるとき

 特定細胞加工物の製造に係る規定とは、法第35条~第54条の規定をいいます。

 厚生労働大臣は、法第52条第1項の規定により許可事業者若しくは届出事業者に対し必要な報告をさせるとき又は法第52条第2項の規定により特定細胞加工物を製造する者に対し必要な報告をさせるとき、その理由を通知します(施行規則第114条)。

 法第52条第1項及び第2項の規定により職員が立入検査等をするときは、当該職員はその身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示します(法第52条第3項)。この身分を示す証明書は、様式第三十によるものです(施行規則113条)。

医薬品機構による立入検査等の実施

 厚生労働大臣は、法第52条第1項第2号の規定による立入検査又は質問を医薬品機構に行わせることができ、医薬品機構は、当該立入検査又は質問をしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該立入検査又は質問の結果を厚生労働大臣に通知しなければなりません(法第53条第1項及び第2項)。法第53条第1項の規定により医薬品機構の職員が立入検査又は質問をするときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示します(法第53条第3項)。

 法第53条第2項の規定による通知は、様式第三十二による通知書により行います(施行規則116条)。

 法第53条第3項の規定による身分を示す証明書は、様式第三十三によるものです(施行規則117条)。

特定細胞加工物製造事業者の遵守事項の詳細

品質リスクマネジメント

 特定細胞加工物製造事業者は、製造管理及び品質管理を行う際に、品質リスクマネジメントの活用を考慮します(施行規則第92条)。品質リスクマネジメントは、特定細胞加工物の品質に対するリスクについて適切な手続に従って評価、管理等を行うことをいいます。

製造部門及び品質部門の設置

 特定細胞加工物製造事業者は、細胞培養加工施設ごとに、施設管理者の監督の下に、製造管理に係る部門(「製造部門」)及び品質管理に係る部門(「品質部門」)を設置します(施行規則第93条第1項)。製造部門と品質部門は相互に独立していなければなりません(施行規則第93条第2項)。

施設管理者の業務

 施設管理者は、次に掲げる業務を行います(施行規則第94条第1項)。

施設管理者の業務(施行規則第94条第1項)

  1. 製造管理及び品質管理に係る業務(「製造・品質管理業務」)を統括し、その適正かつ円滑な実施が図られるよう管理監督すること
  2. 品質不良その他特定細胞加工物の品質に重大な影響が及ぶおそれがある場合においては、所要の措置が速やかに採られていること及びその進捗状況を確認し、必要に応じ、再生医療等提供機関の医師又は歯科医師へ報告し、得られた指示に基づき、改善等所要の措置を採るよう指示すること。

 特定細胞加工物製造事業者は、施設管理者が業務を行う際に支障が生じないように配慮する必要があります(施行規則第94条第2項)。

特定細胞加工物製造事業者が設置する職員

 特定細胞加工物製造事業者は、製造・品質管理業務を適正かつ円滑に実施し得る能力を有する責任者(「業務責任者」)を、細胞培養加工施設の組織、規模及び業務の種類等に応じ、適切に設置します(施行規則第95条第1項)。このとき、特定細胞加工物製造事業者は、細胞培養加工施設の組織、規模及び業務の種類等に応じ、適切な人数の業務責任者を配置します(施行規則第95条第2項)。

 特定細胞加工物製造事業者は、製造・品質管理業務を適切に実施し得る能力を有する人員を十分に確保する必要があります(施行規則第95条第3項)。

 特定細胞加工物製造事業者は、製造・品質管理業務に従事する職員(施設管理者及び業務責任者を含む)の責務及び管理体制を文書により適切に定める必要があります(施行規則第95条第4項)。

特定細胞加工物標準書

 特定細胞加工物製造事業者は、特定細胞加工物ごとに、次に掲げる事項について記載した特定細胞加工物標準書を当該特定細胞加工物の製造に係る細胞培養加工施設ごとに作成し、保管するとともに、品質部門の承認を受けるものとしなければなりません(施行規則第96条)。

特定細胞加工物標準書の記載事項(施行規則第96条)

  1. 特定細胞加工物概要書記載事項
  2. 製造手順(前号に掲げる事項を除く)
  3. 品質に関する事項(前二号に掲げる事項を除く)
  4. その他所要の事項
特定細胞加工物製造事業者が作成保管する基準書及び手順書

 特定細胞加工物製造事業者は、細胞培養加工施設ごとに、次の文書を作成し、これを保管します(施行規則第97条)。

  • 構造設備の衛生管理、職員の衛生管理その他必要な事項について記載した衛生管理基準書(同条第1項)
  • 特定細胞加工物等の保管、製造工程の管理その他必要な事項について記載した製造管理基準書(同条第2項)
  • 検体の採取方法、試験検査結果の判定方法その他必要な事項を記載した品質管理基準書(同条第3項)

 特定細胞加工物製造事業者は、前三項に定めるもののほか、製造管理及び品質管理を適正かつ円滑に実施するため、次に掲げる手順に関する文書(「手順書」)を細胞培養加工施設ごとに作成し、これを保管します(施行規則第97条第4項)。

製造管理及び品質管理に関して作成する文書に記載される手順の種類(施行規則第97条第4項)

  1. 細胞培養加工施設からの特定細胞加工物の提供の管理に関する手順
  2. 施行規則第102条の検証又は確認に関する手順
  3. 特定細胞加工物の品質の照査に関する手順
  4. 施行規則第104条の変更の管理に関する手順
  5. 施行規則第105条の逸脱の管理に関する手順
  6. 品質等に関する情報及び品質不良等の処理に関する手順
  7. 重大事態報告等に関する手順
  8. 自己点検に関する手順
  9. 教育訓練に関する手順
  10. 文書及び記録の管理に関する手順
  11. その他製造管理及び品質管理を適正かつ円滑に実施するために必要な手順

 特定細胞加工物製造事業者は、特定細胞加工物標準書、衛生管理基準書、製造管理基準書、品質管理基準書及び手順書(以下、「手順書等」)を細胞培養加工施設に備え付ける必要があります(施行規則第97条第5項)。

特定細胞加工物の内容に応じた細胞培養加工施設の構造設備

 細胞培養加工施設の構造設備は、製造する特定細胞加工物の内容に応じ、適切なものである必要があります(施行規則第98条)。

製造管理に関わる業務

 特定細胞加工物製造事業者は、製造部門に、手順書等に基づき、次に掲げる製造管理に係る業務を適切に行わせる必要があります(施行規則第99条第1項)。

製造管理に係る業務(施行規則第99条第1項)

  1. 製造工程における指示事項、注意事項その他必要な事項を記載した製造指図書を作成し、これを保管すること。
  2. 製造指図書に基づき特定細胞加工物を製造すること。
  3. 特定細胞加工物の製造に関する記録をロットごと(ロットを構成しない特定細胞加工物については製造番号ごと。以下同じ。)に作成し、これを保管すること。
  4. 特定細胞加工物の資材についてロットごとにそれが適正である旨を確認するとともに、その結果に関する記録を作成し、これを保管すること。
  5. 特定細胞加工物等についてはロットごとに、資材については管理単位ごとに適正に保管し、出納を行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。
  6. 構造設備の清浄を確認するとともに、その結果に関する記録を作成し、これを保管すること。
  7. 構造設備を定期的に点検整備するとともに、その記録を作成し、これを保管すること。また、計器の校正を適切に行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。
  8. 製造、保管及び出納並びに衛生管理に関する記録により製造管理が適切に行われていることを確認し、その結果を品質部門に対して文書により報告すること。
  9. 作業室又は作業管理区域については、製造する特定細胞加工物の種類、構造、特性、製造工程及び当該作業室又は作業管理区域で行う作業内容等に応じて、清浄の程度等作業環境の管理の程度を適切に設定し、管理すること。
  10. 特定細胞加工物等及び資材については、製造する特定細胞加工物の種類、構造、特性及び製造工程等に応じて、微生物等の数等必要な管理項目を適切に設定し、管理すること。
  11. 製造工程において、特定細胞加工物等及び資材の微生物等による汚染等を防止するために必要な措置を採ること。
  12. 製造する特定細胞加工物の種類、構造、特性及び製造工程等に応じて、特定細胞加工物の微生物等による汚染を回避するために重要な工程等については、工程管理のために必要な管理値を適切に定め、管理すること。
  13. 製造用水については、その用途に応じ、所要の微生物学的項目及び物理化学的項目に係る管理値を適切に定め、管理すること。
  14. 製造工程において、特定細胞加工物等に含まれる微生物等を不活化し、又は除去する場合においては、当該不活化又は除去が行われていない特定細胞加工物等による汚染を防止するために必要な措置を採ること。
  15. 製造工程において、培養槽中に連続的に培地を供給し、かつ、連続的に培養液を排出させる培養方式を用いる場合においては、培養期間中の当該培養槽における培養条件を維持するために必要な措置を採ること。
  16. 微生物等により汚染された全ての物品(製造の過程において汚染されたものに限る。)等を、保健衛生上の支障が生ずるおそれのないように処置すること。
  17. 製造に使用する細胞の株の取扱いについて、次に掲げる事項に関する記録を作成し、これを保管すること。
    • イ 細胞の株の名称及び容器ごとに付された番号
    • ロ 譲受けの年月日並びに相手方の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び所在地)
    • ハ 生物学的性状及びその検査年月日
    • ニ 継代培養の状況
  18. 特定細胞加工物の製造に使用する生物(植物を除く。)に由来する原料(以下「特定細胞加工物生物由来原料」という。)については、当該特定細胞加工物生物由来原料が当該特定細胞加工物の特定細胞加工物標準書に照らして適切なものであることを確認するとともに、その結果に関する記録を作成し、これを保管すること。
  19. 第八号及び前号の記録を、製造する特定細胞加工物のロットごとに作成し、これを保管すること。
  20. 異なる細胞提供者又はドナー動物から採取した細胞を取り扱う場合においては、当該細胞の混同及び交さ汚染を防止するために必要な措置を採ること。
  21. 再生医療等に用いる細胞について、受入れ時に、次に掲げる事項に関する記録により、当該特定細胞加工物の特定細胞加工物標準書に照らして適切なものであることを確認するとともに、その結果に関する記録を作成し、これを保管すること。
    • イ 当該細胞の提供又は動物の細胞の採取が行われた施設
    • ロ 当該細胞の提供又は動物の細胞の採取が行われた年月日
    • ハ 当該細胞が人に係るものである場合においては、ドナースクリーニング(細胞提供者について、問診、検査等による診断を行い、再生医療等に用いる細胞を提供するにつき十分な適格性を有するかどうかを判定することをいう)のための細胞提供者の問診、検査等による診断の状況
    • ニ 当該細胞が動物に係るものである場合においては、ドナー動物の受入れの状況並びにドナースクリーニング(ドナー動物について、試験検査及び飼育管理を行い、再生医療等に用いる細胞を提供するにつき十分な適格性を有するかどうかを判定することをいう。)のためのドナー動物の試験検査及び飼育管理の状況
    • ホ 当該細胞の提供又は動物の細胞の採取に係る作業の経過
    • ヘ 当該細胞の輸送の経過
    • ト イからヘまでに掲げるもののほか、特定細胞加工物の品質の確保に関し必要な事項
  22. ドナー動物から細胞を採取する場合においては、採取の過程における微生物等による汚染を防止するために必要な措置を採るとともに、当該措置の記録を作成し、これを保管すること。
  23. 特定細胞加工物について、特定細胞加工物ごとに、当該特定細胞加工物の提供先の施設名、提供日及びロットを把握するとともに、その記録を作成し、これを保管すること。
  24. 輸送について、特定細胞加工物の品質の確保のために必要な措置を採るとともに、当該措置の記録を作成し、これを保管すること。
  25. 第二十一号から前号までの記録を、ロット(第二十三号の記録にあっては、特定細胞加工物)ごとに作成し、これを保管すること。
  26. 次に定めるところにより、職員の衛生管理を行うこと。
    • イ 製造作業に従事する職員以外の者の作業所への立入りをできる限り制限すること。
    • ロ 現に作業が行われている清浄度管理区域又は無菌操作等区域への職員の立入りをできる限り制限すること。
    • ハ 人若しくは動物の細胞又は微生物等の培養その他の加工等(その製造工程において現に原料等として使用されているものを除く。)に係る作業に従事する職員による汚染の防止のための厳重な手順を定め、これを遵守する場合を除き、特定細胞加工物の作業室又は作業管理区域に立入りさせないこと。
    • ニ 製造作業に従事する職員を、使用動物(その製造工程において現に使用されているものを除く。)の管理に係る作業に従事させないこと。
  27. 次に定めるところにより、清浄度管理区域又は無菌操作等区域で作業する職員の衛生管理を行うこと。
    • イ 製造作業に従事する職員に、消毒された作業衣、作業用のはき物、作業帽、作業マスク及び作業手袋を着用させること。
    • ロ 製造作業に従事する職員が清浄度管理区域又は無菌操作等区域へ立ち入る際には、当該区域の管理の程度に応じて、更衣等を適切に行わせること。
    • ハ 職員が特定細胞加工物等を微生物等により汚染するおそれのある疾病にかかっていないことを確認するために、職員に対し、定期的に健康診断を行うこと。
    • ニ 職員が特定細胞加工物等を微生物等により汚染するおそれのある健康状態にある場合(皮膚若しくは毛髪の感染症若しくは風邪にかかっている場合、負傷している場合又は下痢若しくは原因不明の発熱等の症状を呈している場合を含む。)においては、当該職員を清浄度管理区域又は無菌操作等区域における作業に従事させないこと。
    • ホ 職員が細胞の採取又は加工の直前に細胞を汚染するおそれのある微生物等を取り扱っている場合においては、当該職員を清浄度管理区域又は無菌操作等区域における作業に従事させないこと。
    • ヘ 前号及びイからホまでの記録を作成し、これを保管すること。
  28. その他製造管理のために必要な業務

 特定細胞加工物製造事業者は、施行規則第99条第1項に規定する特定細胞加工物に係る記録を、製造に使用した特定細胞加工物生物由来原料に関する記録から当該特定細胞加工物生物由来原料を使用して製造された特定細胞加工物に関する記録までの一連のものを適切に確認できるように保管します(施行規則第99条第2項)。

品質管理に関わる業務

 特定細胞加工物製造事業者は、品質部門に、手順書等に基づき、次に掲げる特定細胞加工物の品質管理に係る業務を計画的かつ適切に行わせる必要があります(施行規則第100条第1項)。

品質管理に係る業務(施行規則第100条第1項)

  1. 特定細胞加工物等についてはロットごとに、資材については管理単位ごとに試験検査を行うのに必要な検体を採取するとともに、その記録を作成し、これを保管すること。
  2. 採取した検体について、ロットごと又は管理単位ごとに試験検査(当該特定細胞加工物製造事業者の他の試験検査設備又は他の試験検査機関を利用して自己の責任において行う試験検査であって、当該利用につき支障がないと認められるものを含む。以下同じ。)を行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。
  3. 試験検査に関する設備及び器具を定期的に点検整備するとともに、その記録を作成し、これを保管すること。また、試験検査に関する計器の校正を適切に行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。
  4. 第二号の試験検査の結果の判定を行い、その結果を製造部門に対して文書により報告すること。
  5. 検体の混同及び交さ汚染を防止するために、検体を適切な識別表示により区分すること。
  6. 品質管理上重要であり、かつ、特定細胞加工物では実施することができない試験検査については、製造工程の適切な段階で実施すること。
  7. 微生物等により汚染された全ての物品(試験検査の過程において汚染されたものに限る。)等を、保健衛生上の支障が生ずるおそれのないように処置すること。
  8. 試験検査に細胞の株を使用する場合においては、次に掲げる事項に関する記録を作成し、これを保管すること。
    • イ 細胞の株の名称及び容器ごとに付された番号
    • ロ 譲受けの年月日並びに相手方の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び所在地)
    • ハ 生物学的性状及びその検査年月日
    • ニ 継代培養の状況
  9. 試験検査結果の記録を、製造する特定細胞加工物のロットごとに作成し、これを保管すること。
  10. ドナー動物の受入れ時及び受入れ後の試験検査を行うことその他必要な業務を自ら行い、又は当該業務の内容に応じてあらかじめ指定した者に行わせること。
  11. 前号に規定する業務の記録を作成し、これを保管すること。
  12. その他の品質管理のために必要な業務

 特定細胞加工物製造事業者は、施行規則第100条第1項に規定する特定細胞加工物に係る記録を、製造に使用した特定細胞加工物生物由来原料に関する記録から当該特定細胞加工物生物由来原料を使用して製造された特定細胞加工物に関する記録までの一連のものを適切に確認できるように保管します(施行規則第100条第2項)。

 特定細胞加工物製造事業者は、品質部門に、手順書等に基づき、施行規則第99条第1項第八号の規定により製造部門から報告された製造管理に係る確認の結果をロットごとに確認させます(施行規則第100条第3項)。

特定細胞加工物の取扱い

 特定細胞加工物製造事業者は、品質部門に、手順書等に基づき、製造管理及び品質管理の結果を適切に評価し、その評価の結果を踏まえ、製造した特定細胞加工物の取扱いについて決定させます(施行規則第101条第1項)。この業務を行う者は、当然、当該業務を適正かつ円滑に実施し得る能力を有していなければなりません(施行規則第101条第2項)。

 特定細胞加工物製造事業者は、施行規則第101条第1項の業務を行う者が当該業務を行う際に支障が生じないように配慮する必要があります(施行規則第101条第3項)。

手順書に基づいた検証又は確認

 特定細胞加工物製造事業者は、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせます。この場合、特定細胞加工物製造事業者は、必要に応じて再生医療等提供機関の医師又は歯科医師の指示を受けます(施行規則第102条第1項)。

特定細胞加工物製造事業者が行う検証又は確認業務(施行規則第102条第1項)

  1. 次に掲げる場合において細胞培養加工施設の構造設備並びに手順、工程その他の製造管理及び品質管理の方法(「製造手順等」)が期待される結果を与えることを検証し、これを文書とすること又は製造手順等が期待される結果を与えたことを確認し、これを文書とすること
    • イ 当該細胞培養加工施設において新たに特定細胞加工物の製造を開始する場合
    • ロ 製造手順等に特定細胞加工物の品質に大きな影響を及ぼす変更がある場合
    • ハ その他特定細胞加工物の製造管理及び品質管理を適切に行うために必要と認められる場合
  2. 前号の検証又は確認の計画及び結果を品質部門に対して文書により報告すること

 特定細胞加工物製造事業者は、施行規則第102条第1項第一号の検証又は確認の結果に基づき、製造管理又は品質管理に関し改善が必要な場合には所要の措置を採り、当該措置の記録を作成し、当該措置の記録を保管します(施行規則第102条第2項)。

特定細胞加工物の品質の照査

 特定細胞加工物製造事業者は、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせます(施行規則第103条第1項)。

特定細胞加工物製造事業者が行う特定細胞加工物の品質の照査(施行規則第103条第1項)

  1. 製造工程の一貫性及び特定細胞加工物等の規格の妥当性について検証することを目的として、定期的に又は随時、特定細胞加工物の品質の照査を行うこと。
  2. 前号の照査の結果を品質部門に対して文書により報告し、確認を受けること。

 特定細胞加工物製造事業者は、品質部門に、手順書等に基づき、施行規則第103条第1項第二号の確認の記録を作成させ、保管させるとともに、施設管理者に対して文書により適切に報告させます(施行規則第103条第2項)。

 特定細胞加工物製造事業者は、施行規則第103条第1項第一号の照査の結果に基づき、製造管理若しくは品質管理に関し改善が必要な場合又は前条第一項第一号の検証若しくは確認を行うことが必要な場合においては、必要に応じて再生医療等提供機関の医師又は歯科医師の指示を受け、所要の措置を採り、当該措置に関する記録を作成し、当該措置の記録を保管します(施行規則第103条第3項)。

製造手順等の変更の管理

 特定細胞加工物製造事業者は、製造手順等について特定細胞加工物の品質に影響を及ぼすおそれのある変更を行う場合において、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせます。この場合、特定細胞加工物製造事業者は、必要に応じ、再生医療等提供機関の医師又は歯科医師の指示を受けます(施行規則第104条第1項)。

製造手順等の変更の際に行う業務(施行規則第104条第1項)

  1. 当該変更による特定細胞加工物の品質への影響を評価し、その評価の結果をもとに変更を行うことについて品質部門の承認を受けるとともに、その記録を作成し、これを保管すること。
  2. 前号の規定により品質部門の承認を受けて変更を行うときは、関連する文書の改訂、職員の教育訓練その他所要の措置を採ること。

 特定細胞加工物製造事業者は、品質部門に、手順書等に基づき、施行規則第104条第1項第一号の承認の記録を作成させ、保管させるとともに、施設管理者に対して文書により適切に報告させます(施行規則第104条第2項)。

 特定細胞加工物製造事業者は、施行規則第104条第2項の報告を受けた施設管理者に当該報告の内容について、当該製造した特定細胞加工物の提供先の再生医療等提供機関に対して報告させます(施行規則第104条第3項)。

製造手順書等からの逸脱が生じた場合の管理

 特定細胞加工物製造事業者は、製造手順等からの逸脱が生じた場合において、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせます。この場合、特定細胞加工物製造事業者は、必要に応じ、再生医療等提供機関の医師又は歯科医師の指示を受けます(施行規則第105条第1項)。

製造手順等からの逸脱が生じた場合に行う業務(施行規則第105条第1項)

  1. 逸脱の内容を記録すること。
  2. 重大な逸脱が生じた場合においては、次に掲げる業務を行うこと。
    • イ 逸脱による特定細胞加工物の品質への影響を評価し、所要の措置を採ること。
    • ロ イに規定する評価の結果及び措置について記録を作成し、保管するとともに、品質部門に対して文書により報告すること。
    • ハ ロの規定により報告された評価の結果及び措置について、品質部門の確認を受けること。

 特定細胞加工物製造事業者は、品質部門に、手順書等に基づき、施行規則第105条第1項第二号ハにより確認した記録を作成させ、保管させるとともに、同号ロの記録とともに、施設管理者に対して文書により適切に報告させます(施行規則第105条第2項)。

 特定細胞加工物製造事業者は、施行規則第105条第2項の報告を受けた施設管理者に、当該報告の内容について、当該特定細胞加工物製造事業者が製造した特定細胞加工物の提供先の再生医療等提供機関に対して報告させます(施行規則第105条第3項)。

特定細胞加工物の品質等に関する情報及び品質不良等の処理

 特定細胞加工物製造事業者は、特定細胞加工物に係る品質等に関する情報(「品質情報」)を得たときは、その品質情報に係る事項が当該細胞培養加工施設に起因するものでないことが明らかな場合を除き、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせます。この場合、特定細胞加工物製造事業者は、必要に応じ、再生医療等提供機関の医師又は歯科医師の指示を受けます(施行規則第106条第1項)。

特定細胞加工物に係る品質等に関する情報を得たときに行う業務(施行規則第106条第1項)

  1. 当該品質情報に係る事項の原因を究明し、製造管理又は品質管理に関し改善が必要な場合においては、所要の措置を採ること。
  2. 当該品質情報の内容、原因究明の結果及び改善措置を記載した記録を作成し、保管するとともに、品質部門に対して文書により速やかに報告すること。
  3. 前号の報告について、品質部門の確認を受けること。

 特定細胞加工物製造事業者は、施行規則第106条第1項第三号の確認により品質不良又はそのおそれが判明した場合には、品質部門に、手順書等に基づき、当該事項を施設管理者に対して文書により報告させます(施行規則第106条第2項)。

 特定細胞加工物製造事業者は、施行規則第106条第2項の報告を受けた施設管理者に、当該報告の内容について、当該特定細胞加工物製造事業者が製造した特定細胞加工物の提供先の再生医療等提供機関に対して報告させます(施行規則第106条第3項)。

重大事態の報告等

 特定細胞加工物製造事業者は、特定細胞加工物の安全性の確保に重大な影響を及ぼすおそれがある事態が生じた場合には、必要な措置を講じるとともに、その旨を速やかに当該特定細胞加工物製造事業者が製造した特定細胞加工物の提供先の再生医療等提供機関及び厚生労働大臣に報告します(施行規則第107条第1項)。

 施行規則第107条第1項の措置に係る特定細胞加工物を保管する場合においては、当該特定細胞加工物を区分して一定期間保管した後、適切に処理します(施行規則第107条第2項)。

細胞培養加工施設における自己点検

 特定細胞加工物製造事業者は、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせます(施行規則第108条第1項)。

特定細胞加工物製造事業者が行う自己点検(施行規則第108条第1項)

  1. 当該細胞培養加工施設における特定細胞加工物の製造管理及び品質管理について定期的に自己点検を行うこと。
  2. 自己点検の結果を施設管理者に対して文書により報告すること。
  3. 自己点検の結果の記録を作成し、これを保管すること。

 特定細胞加工物製造事業者は、施行規則第108条第1項第一号の自己点検の結果に基づき、製造管理又は品質管理に関し改善が必要な場合においては、所要の措置を採るとともに、当該措置の記録を作成し、当該措置の記録を保管します(施行規則第108条第2項)。

教育訓練

 特定細胞加工物製造事業者は、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせます(施行規則第109条)。

特定細胞加工物製造事業者が行う教育訓練(施行規則第109条)

  1. 製造・品質管理業務に従事する職員に対して、製造管理及び品質管理に関する必要な教育訓練を計画的に実施すること。
  2. 製造又は試験検査に従事する職員に対して、特定細胞加工物の製造のために必要な衛生管理、微生物学、医学その他必要な教育訓練を実施すること。
  3. 清浄度管理区域及び無菌操作等区域等での作業に従事する職員並びに特定細胞加工物の製造に使用する人若しくは動物の細胞又は微生物等の培養その他の加工等に係る作業に従事する職員に対して、微生物等による汚染を防止するために必要な措置に関する教育訓練を実施すること。
  4. 教育訓練の実施状況を施設管理者に対して文書により報告すること。
  5. 教育訓練の実施の記録を作成し、これを保管すること。
文書及び記録の管理

 特定細胞加工物製造事業者は、「第四章 特定細胞加工物の製造」に規定する文書及び記録について、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる事項を行わせます(施行規則第110条)。

特定細胞加工物製造事業者が行う文書及び記録の管理(施行規則第110条)

  1. 文書を作成し、又は改訂する場合においては、手順書等に基づき、承認、配付、保管等を行うこと。
  2. 手順書等を作成し、又は改訂する場合においては、当該手順書等にその日付を記載するとともに、それ以前の改訂に係る履歴を保管すること。
  3. 「第四章 特定細胞加工物の製造」に規定する文書及び記録を、作成の日(手順書等については使用しなくなった日)から次に掲げる期間(教育訓練に係る記録にあっては、5年間)保管すること。
    • イ 指定再生医療等製品の原料と類似の原料からなる特定細胞加工物にあっては、30年間
    • ロ イに規定する特定細胞加工物以外の特定細胞加工物にあっては、10年間

おわりに

 ここまで、再生医療等安全性確保法及び再生医療等安全性確保法施行規則内の特定細胞加工物製造事業者に係る規定を紹介してきました。

 培養・単離した細胞の品質は、細胞培養を行う技術者のスキルによって左右されます。特定細胞加工物の製造を受託する事業者に特定細胞加工物の製造を委託することにより、再生医療等提供者は、細胞培養加工施設の運営から解放され、医療に専念することができます。医学の研究よりも医療の提供を主目的とする場合、院内に細胞培養加工施設を設置するのではなく、院外の特定細胞加工物製造事業者の利用を考慮されるとよいと考えます。

 この記事では、特定細胞加工物を製造する細胞培養加工施設の設置とその運営に関する規定を紹介しました。院内に独自の細胞培養加工施設を設置することを計画していらっしゃる方は、届出の準備はもちろん、細胞培養加工施設の規則・細則の策定を進めることも忘れずにいてください。

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