行政書士の業務の具体例③国際業務(その3)
行政書士は外国人の日本在留のための手続きをサポートできると前2回の記事において説明しました。行政書士は、逆に、日本人が外国で活動するためのサポートをすることもできます。日本人が国際結婚をする場合、又は日本人若しくは日本法人が外国機関若しくは外国法人に対して何らかの活動を行う場合、日本語のさまざまな書類を翻訳して提出する必要があります。この翻訳された書類に公的なお墨付きを与えるために日本国内に存在する公的機関の認証を得ることが要求される場合があります。行政書士はこの認証の取得をお手伝いできます。
翻訳文書の公的認証とは
例えば、国際結婚には戸籍謄本や婚姻受理証明書等、国際ビジネスには商業登記簿等が必要な書類に挙げられます。必要な書類の種類は、その書類を提出する国、手続きの種類によって様々に変わります。また、翻訳された書類の認証には公証人認証、公印確認、アポスティーユ、及び大使館(領事館)認証が挙げられ、どこまでの認証が必要かは場合によって異なります。公証人認証は全国にある公証役場で公証人によって行われます。公証人認証は、契約書等の私文書について行われるものですが、戸籍謄本などの公文書でもその翻訳文については公証人認証が必要になります。公証人認証については法務局の公証人押印証明を得る必要もあります。公印確認とアポスティーユは外務省で行われます。アポスティーユとは、相手国に提出する書類に日本の外務省が与える証明を意味します。アポスティーユはハーグ条約の締結国間でのみ有効であり、ハーグ条約の非締結国に提出する書類にはアポスティーユに代わって大使館(領事館)認証を日本国内にある相手国の大使館(領事館)で得ることになりますが、大使館(領事館)認証を得るためにも外務省の公印確認を得ておく必要があります。ハーグ条約締結国であっても公印確認を受けたうえでのアポスティーユを求める国もあります。まとめると以下のようなステップを踏むことになります。
公文書の認証
公文書取得→アポスティーユのみ又は公印確認とアポスティーユ又は公印確認と大使館(領事館)認証
公文書の翻訳文を含む私文書の認証
書類取得→翻訳→公証人認証と法務局長による公証人押印証明→アポスティーユのみ又は公印確認とアポスティーユ又は公印確認と大使館(領事館)認証