2026年4月22日にEUペットパスポートのルールが変わりました

薬剤師法のポイントまとめ(令和8年版)|資格、処分、業務の全体像

医療等
この記事は約23分で読めます。

 医療の現場では、薬剤師の役割が年々広がり、法的な位置づけや責務を正しく理解しておくことが欠かせません。医療機関の管理者や医療職を目指す方、行政手続に関わる方が実務で迷わないために、押さえておきたいポイントを簡潔にまとめました。

第一部:薬剤師とは?

薬剤師の任務(法第1条):

 調剤、医薬品の供給その他薬事衛生を担当して公衆衛生の向上・増進に寄与し、国民の健康な生活を確保すること。

第二部:免許と処分

資格要件(法第2条・第3条)

内容:薬剤師国家試験合格者は、厚生労働大臣の免許を受けられる(第2条・第3条)。

欠格要件(法第4条・第5条)

内容:

  • 未成年者には免許は与えられない(第4条)。
  • 次の各号のいずれかに該当する者には、免許が与えられないことがある(第5条)。
    • 1. 心身の障害により薬剤師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定める者
    • 2. 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
    • 3. 罰金以上の刑に処せられた者
    • 4. 前号に該当する者以外に、薬事に関する犯罪又は不正行為を起こした者

法第5条第1号の厚生労働省令で定める者(施行規則第1条の2)

内容:「厚生労働省令で定める者」は、下記のいずれかの理由により、薬剤師の業務を適正に行うに当たって必要な認知・判断・意思疎通を適切に行うことができない者である。

  • 視覚、聴覚、音声機能若しくは言語機能の障害
  • 精神の機能の障害

障害を補う手段等の考慮(施行規則第1条の3)

義務者:厚生労働大臣

義務の場面:薬剤師免許を申請した者が施行規則第1条の2に規定する者に該当すると認める場合

義務の内容:免許付与の可否判断に際し、申請者が現に利用している障害を補う手段又は現に受けている治療等により障害が補われ、又は障害の程度が軽減している状況を考慮する。

薬剤師名簿(法第6条)

内容:厚生労働省に薬剤師名簿を備える。

登録事項:

  • 登録年月日
  • 第8条第1項の規定による処分に関する事項
  • その他の薬剤師免許に関する事項

登録と免許証の交付(法第7条)

◇免許(第1項・第2項)

内容:薬剤師国家試験の合格者は、薬剤師名簿への登録を申請し、厚生労働大臣から免許を与えられ、薬剤師免許証を交付される。

内容:免許を受けようとする者は、住所地の都道府県知事を経由して、必要書類を厚生労働大臣に提出する。

  1.  登録番号及び登録年月日
  2.  本籍地都道府県名(日本の国籍を有しない者については、その国籍)、氏名、生年月日及び性別
  3.  薬剤師国家試験合格の年月
  4.  法第8条第1項の規定による処分に関する事項
  5.  法第8条の2第2項に規定する再教育研修を修了した旨
  6.  前各号に掲げるもののほか、厚生労働大臣の定める事項

第6号の「厚生労働大臣の定める事項」は、次の事項である(施行規則第3条)

  1.  法附則第6項の規定により免許を与える場合には、旧法第76条の規定に該当する者であることを明らかにする事実
  2.  再免許の場合には、その旨
  3.  免許証を書換交付又は再交付した場合には、その旨並びにその事由及び年月日
  4.  登録の消除をした場合には、その旨並びにその事由及び年月日

法第5条第1号の適用時の意見聴取(法第7条の2)

権限者:厚生労働大臣

権限行使の場面:免許を申請した者が第5条第1号に掲げる者に該当すると認め、同条の規定により免許を与えないこととするとき

権限の内容:厚生労働大臣は、あらかじめ、当該申請者にその旨を通知し、その求めに応じて職員にその意見を聴取させなければならない。

薬剤師名簿への登録・各免許証に関する事務規定

薬剤師名簿の訂正(施行令第5条)

◇訂正申請(第1項)

内容:薬剤師は、施行令第4条第2号の事項に変更があったときは、薬剤師名簿の訂正を申請しなければならない。

申請期間:変更から30日以内

施行令第4条第2号の事項:

  • 本籍地都道府県名(日本の国籍を有しない者については、その国籍)
  • 氏名
  • 生年月日
  • 性別

◇訂正手続(第2項)

内容:訂正事項に関する変更があったことを証明する書類を申請書に添えて、住所地の都道府県知事を介して厚生労働大臣に提出する。

登録の消除(施行令第6条)

◇登録消除(第1項)

内容:薬剤師は、薬剤師名簿の登録の消除を申請するときは、住所地の都道府県知事を介して申請書を厚生労働大臣に提出する。

◇死亡・失踪時の登録消除義務(第2項)

義務者:死亡・失踪の届出義務者

内容:薬剤師が死亡し、又は失踪宣告を受けたときは、薬剤師名簿の登録の消除を申請しなければならない。

申請期間:薬剤師の死亡・失踪から30日以内

例外:電子情報処理組織を使用して届出を行う場合は、都道府県知事を経由する必要はない。

「失踪宣告」とは
 ある人が行方不明となり、その行方不明者の生死が7年間明らかではない場合、又は戦争・海難事故・地震等が原因で行方不明となり、その行方不明者の生死が1年間明らかではない場合に、その行方不明者の利害関係人の申し立てを受け、家庭裁判所はその行方不明者について失踪宣告することができる。

登録消除の制限(施行令第7条)

制限の場面:罰金以上の刑に処せられたり、薬事に関する犯罪・不正行為を行ったり、又は薬剤師としての品位を損なう行為を行ったりした薬剤師について、法第8条第1項の規定により免許の取消し処分をするときであって、当該薬剤師から施行令第6条第1項に基づく薬剤師名簿の登録の消除の申請があった場合

抹消申請のタイミング:法第8条に規定される処分に係る手続の通知後

ポイント:処分に関する事項の法第6条の規定に基づく薬剤師名簿への記載を避けたい薬剤師は、法第8条に規定される薬剤師の処分に係る手続が完了する前に薬剤師名簿の登録消除を申請する可能性がある。施行令第7条は、このような事態に対応することを目的としている。

制限の内容:厚生労働大臣は、当該処分に関する手続が結了するまでは、当該薬剤師に関わる薬剤師名簿の登録を消除しないことができる。

免許証の書換交付(施行令第8条)

◇書換交付申請(第1項)

内容:薬剤師は、免許証の記載事項に変更が生じたときは、免許証の書換交付を申請することができる。

◇申請手続(第2項)

内容:薬剤師は、書換交付を申請するときは、申請書に免許証を添え、住所地の都道府県知事を介して厚生労働大臣に提出する。

免許証の再交付(施行令第9条)

◇再交付申請(第1項)

内容:薬剤師は、免許証を失くしたり損傷したりしたときは、免許証の再交付を申請することができる。

◇申請手続(第2項)

内容:薬剤師は、再交付を申請するときは、住所地の都道府県知事を介して厚生労働大臣に申請書を提出する。

◇損傷の場合の再交付申請(第4項)

内容:損傷した免許証の代わりを申請をする場合には、申請書にその損傷した免許証を添える。

◇古い免許証の返納(第5項)

内容:失した免許証が見つかったときは、5日以内に、住所地の都道府県知事を介して古い免許証を厚生労働大臣に返納する。

免許証の返納(施行令第10条)

◇薬剤師名簿登録消除申請時の返納(第1項)

内容:薬剤師は、住所地の都道府県知事を介して免許証を厚生労働大臣に返納する。

◇免許取消処分時の返納(第2項)

内容:薬剤師は、5日以内に、住所地の都道府県知事を介して免許証を厚生労働大臣に返納する。

◇死亡・失踪時の返納義務(第3項)

義務者:死亡・失踪の届出義務者

内容:薬剤師が死亡し、又は失踪宣告を受けたときは、薬剤師名簿の登録の消除を申請し、住所地の都道府県知事を介して免許証を厚生労働大臣に返納なければならない。

例外:電子情報処理組織を使用して届出を行う場合は、都道府県知事を経由する必要はない。

薬剤師の処分(法第8条関係)

処分の種類(法第8条)

◇薬剤師の処分(第1項)

権限者:厚生労働大臣

処分の場面:薬剤師が第5条各号のいずれかに該当したり、薬剤師としての品位を損なうような行為を行ったりしたとき

処分の内容:

  1.  戒告
  2.  3年以内の業務の停止
  3.  免許の取消し

◇処分の要請(第2項)

要請者:都道府県知事

要請の場面:薬剤師について第1項各号の処分が必要であると認められるとき

要請の内容:処分の必要性を厚生労働大臣に伝えなければならない。

◇再免許(第3項)

内容:免許の取消処分を受けた者であっても、その後の事情により再免許が与えられる場合がある。

例外:第5条の第3号若しくは第4号に該当し、又は薬剤師としての品位を損なうような行為があったとして取消処分を受けた者については、取消処分の日から起算して5年が経過しなければ、再免許が与えられることはない。


行政処分の原因となる事案

 行政処分の原因となる事案が、次のように、保健師、助産師、看護師に対する行政処分の考え方(平成28年12月14日現在)に掲げられている。

  1.  薬剤師法違反(無資格調剤、処方箋応需義務違反等)
  2.  身分法(医師法・保健師助産師看護師法等)違反
  3.  医薬品医療機器法(薬機法)違反(医薬品無許可販売等)
  4.  麻薬及び向精神薬取締法違反・覚せい剤取締法違反・大麻取締法違反
  5.  殺人及び傷害
  6.  業務上過失致死傷(交通事犯)
  7.  業務上過失致死傷(医療過誤・調剤過誤)
  8.  危険運転致死傷
  9.  わいせつ行為等
  10.  贈収賄等
  11.  詐欺・窃盗
  12.  文書偽造
  13.  税法違反
  14.  診療報酬及び調剤報酬の不正請求等

処分の手続(法第8条)

 第8条の第4項~第18項は、行政が行う薬剤師の処分の手続について定めている。

行政による処分の流れ
  • ステップ1
    医道審議会への諮問

  • ステップ2
    処分の名宛人への通知
  • ステップ3
    意見(弁明)の聴取(聴聞)

  • ステップ4
    聴聞調書および報告書の作成
  • ステップ5
    不利益処分の決定

行政処分の手続概要

戒告業務停止免許取消
決定権者厚生労働大臣厚生労働大臣厚生労働大臣
実務者都道府県知事、又は
医道審議会の委員
都道府県知事
必要な手続(ステップ1)医道審議会への諮問医道審議会への諮問医道審議会への諮問
(ステップ2)処分の名宛人への通知処分の名宛人への通知処分の名宛人への通知
(ステップ3)弁明の聴取弁明の聴取意見の聴取
(ステップ4)聴取書・報告書の作成
意見書の作成
調書・報告書の作成
意見書の作成
(ステップ5)不利益処分の決定不利益処分の決定不利益処分の決定

行政処分の手続詳細

ステップ1

 厚生労働大臣は、下記の処分をするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴く(第4項)。

  • 第1項に規定する不利益処分
  • 第3項に規定する再免許

ステップ2意見の聴取の場合):

  • 厚生労働大臣は、第1項第3号の規定による免許の取消処分をしようとするときは、都道府県知事に対し、当該処分に係る者に対する意見の聴取を行うことを求めることができる(第5項)。
  • 第5項の規定に基づく都道府県知事による意見の聴取には、行政手続法の規定を準用する(第6項)。
    • 都道府県知事は、聴取を行う期日までに相当な期間をおいて、取消処分の名宛人に対し、次の事項を書面により通知する。
      • 1. 第1項の規定を根拠として当該処分をしようとする旨及びその内容
      • 2. 当該処分の原因となる事実
      • 3. 意見の聴取の日時及び場所
      • 4. 意見聴取に関する事務を所掌する組織の名称及び所在地
    • 取消処分の名宛人は、意見の聴取が終結する時までの間、取消処分の原因となる事実を証明する資料の閲覧を求めることができる。
  • 厚生労働大臣は、都道府県知事から処分の原因となる事実を証明する書類その他意見の聴取を行う上で必要となる書類を求められた場合には、速やかにそれらを当該都道府県知事に送付する(第7項)。

ステップ2’弁明の聴取の場合):

  • 厚生労働大臣は、第1項第2号の規定による業務停止の命令をしようとするときは、都道府県知事に対し、当該処分に係る者に対する弁明の聴取を行うことを求めることができる(第11項)。
  • 都道府県知事は、弁明の聴取を行う日時までに相当な期間をおいて、当該処分に係る者に対し、次に掲げる事項を書面により通知する(第12項)。
    • 1. 第1項の規定を根拠として当該処分をしようとする旨及びその内容
    • 2. 当該処分の原因となる事実
    • 3. 弁明の聴取の日時及び場所
  • 厚生労働大臣は、都道府県知事に代えて、医道審議会の委員に、当該処分に係る者に対する弁明の聴取を行わせることができる(第13項)。

ステップ3

  • 意見の聴取の通知を受けた者は、意見の聴取の際に、意見陳述・反証提出することができ、代理人にそれを行わせることもできる(行政手続法第20条)。
  • 弁明の聴取の通知を受けた者は、弁明の聴取の際に、意見陳述・反証提出することができ、代理人にそれを行わせることもできる(第14項)。

ステップ4意見の聴取の場合):

  1.  意見の聴取の主宰者は、意見の聴取に加え、下記の業務を実施する(行政手続法第24条)。
    • 聴取期日ごとに聴取の経過を記載した調書の作成
    • 聴取終結後の報告書の作成
    • 調書・報告書の都道府県知事への提出
  2.  都道府県知事は、調書・報告書の提出を受け、下記の業務を実施する(第8項)。
    • 調書・報告書の保存
    • 調書・報告書の写しの厚生労働大臣への提出
    • 処分の決定について意見があるときは、意見書の厚生労働大臣への提出
  3.  厚生労働大臣は、下記の事由があるときは、都道府県知事に対し、下記の手続きを経て、主宰者に意見の聴取の再開を命ずるよう求めることができる(第9項)。
    • 事由:意見の聴取の終結後に生じた事情から必要があると認めた
    • 手続き:提出済みの調書及び報告書の写し並びに意見書を返戻する

ステップ4’弁明の聴取の場合):

  1.  都道府県知事又は医道審議会の委員は、弁明の聴取に加え、下記の業務を実施する(第15項)。
    • 聴取書の作成・保存
    • 報告書の作成・厚生労働大臣への提出
    • 処分の決定について意見があるときは、当該意見の報告書への記載
  2.  意見の聴取の場合と異なり、薬剤師法には厚生労働大臣が弁明の聴取の再開を命ずる規定はない。

ステップ5

  • 厚生労働大臣は、免許の取消処分の決定をするときは、第8項の規定により提出された意見書並びに調書及び報告書の写しの内容を十分参酌しなければならない(第10項)。

 薬剤師に対して戒告処分を行う場合には、薬剤師法に定められているその手続は、医道審議会への諮問のみである。それ故、薬剤師の戒告処分の手続は、行政手続法の枠組みで行われると理解される。

再教育研修(法第8条の2)

◇再教育研修受講命令(第1項)

内容:厚生労働大臣は、下記の者に対し、厚生労働省令で定める「再教育研修」を受けるよう、命ずることができる。

  • 第8条第1項の規定により戒告(第1号)処分を受けた薬剤師
  • 第8条第1項の規定により業務停止(第2号)処分を受けた薬剤師
  • 第8条第3項の規定により再免許を受けようとする者

◇再教育研修に関する事務(第2項・第3項)

内容:厚生労働大臣は、再教育研修の修了者について、その申請により、再教育研修を修了した旨を薬剤師名簿に登録し、再教育研修修了登録証を交付する。

調査のための権限(法第8条の3)

◇立入検査等(第1項)

権限者:厚生労働大臣

権限の内容:薬剤師について第8条第1項の規定による処分をすべきか否かを調査する必要があると認めるときは、次の措置を講じることができる。

  • 当該事案の関係者・参考人から意見や報告の徴収
  • 調剤録その他の物件の提出命令
  • 職員による当該事案に関係のある病院その他の場所への立ち入り及び調剤録その他の物件の検査

◇身分証明書(第2項)

内容:第1項の規定により立入検査をしようとする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求に応じてこれを提示する。

◇権限の制限(第3項)

内容:第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものではない。

届出(法第9条)

内容:薬剤師は、厚生労働省令で定める2年ごとの年の12月31日現在における下記に掲げる自身に関する情報を届け出なければならない。

  • 氏名
  • 住所
  • その他厚生労働省令で定める事項

届出先:厚生労働大臣

届出期日:翌年の1月15日

届出の方法:届出を書面により行うときは、住所地の都道府県知事を経由して届出を行う。

例外:電子情報処理組織を使用して届出を行う場合は、都道府県知事を経由する必要はない。

届出等(施行規則第7条)

◇基準年(第1項)

内容:法第6条第3項の「厚生労働省令で定める2年ごとの年」とは、昭和57年(1982年)を初年とする2年ごとの年である。

◇届出事項(第2項)

内容:法第9条の「厚生労働省令で定める事項」とは、所定の届出書に記載する事項である。

再教育研修(法第8条の2関係)

 法第8条の2に定める再教育研修の詳細は、薬剤師法施行規則で規定されている。

<再教育研修>

法第8条の2第1項の厚生労働省令で定める研修(施行規則第7条の2)

内容:法第8条の2第1項の厚生労働省令で定める研修は、次の研修である。

  1.  倫理研修(薬剤師としての倫理の保持に関する研修)
  2.  技術研修(薬剤師としての知識及び技能に関する研修)

手数料(施行規則第7条の3)

内容:施行規則第7条の2の研修が厚生労働大臣によって行われる場合(集合研修等の場合)のその受講料は、再教育研修を受けることになった事由によって異なる。


 再教育研修を受けようとする者は、厚生労働大臣主催の集合研修を受講するか、集合研修並びに課題研修又は厚生労働大臣から命ぜられた個別研修を受講する。

再教育研修の対象再教育研修の形態
戒告処分を受けた者集合研修
1年未満の業務停止処分を受けた者集合研修+課題研修又は集合研修+個別研修
1年以上の業務停止処分を受けた者
再免許を受けようとする者
集合研修+個別研修
個別研修の時間は、業務停止期間が長くなるほど長くなる。

 施行規則第7条の4・第7条の5は、この「個別研修」について定めている。

再教育研修(個別研修)の流れ
  • ステップ1
    個別研修受講命令

  • ステップ2
    個別研修計画書の作成および提出
  • ステップ3
    個別研修の受講
  • ステップ4
    個別研修修了報告書の作成および提出
  • ステップ5
    再教育研修修了の旨の登録申請

<研修命令から研修修了まで>

個別研修計画書(施行規則第7条の4)

◇個別研修計画書の提出(第1項)

提出者:倫理研修又は技術研修(集合研修及び課題研修を除く「個別研修」)に係る法第8条の2第1項の命令(「再教育研修命令」)を受けた者

内容:受講者は、個別研修を開始しようとする日の30日前までに、下記の事項を記載した個別研修計画書を作成し、厚生労働大臣に提出する。

  1.  氏名、生年月日並びに薬剤師名簿の登録番号及び登録年月日(法第8条第2項の規定により再免許を受けようとする者は、氏名及び生年月日)
  2.  個別研修の内容
  3.  個別研修の実施期間
  4.  助言指導者(個別研修に係る再教育研修命令を受けた者に対して助言、指導等を行う役割を有する、厚生労働大臣が指名した者)の氏名
  5.  その他必要な事項

◇助言指導者の協力(第2項)

内容:第1項の規定により個別研修計画書を作成しようとする場合には、助言指導者の協力を得なければならない。

◇助言指導者の署名(第3項)

内容:個別研修計画書が適切である旨の助言指導者の署名を受け、個別研修計画書を厚生労働大臣に提出する。

◇変更命令(第4項)

命令者:厚生労働大臣

内容:再教育研修を適正に実施するために必要と認める場合には、個別研修計画書の記載事項を変更するよう命じることができる。

個別研修修了報告書(施行規則第7条の5)

◇個別研修修了報告書の提出(第1項・第2項)

提出者:個別研修に係る再教育研修命令を受けた者

内容:受講者は、個別研修修了後、速やかに、下記の事項を記載した個別研修修了報告書を作成し、個別研修計画書の写しを添えて厚生労働大臣に提出する。

  1.  氏名、生年月日並びに薬剤師名簿の登録番号及び登録年月日(法第8条第2項の規定により再免許を受けようとする者は、氏名及び生年月日)
  2.  個別研修の内容
  3.  個別研修を開始し、及び修了した年月日
  4.  助言指導者の氏名
  5.  その他必要な事項

◇助言指導者の署名(第3項)

内容:再教育研修命令を受けた者が当該個別研修を修了したものと認める旨の助言指導者の署名を受け、個別研修修了報告書を厚生労働大臣に提出する。

◇個別研修修了証の交付(第4項)

交付者:厚生労働大臣

内容:個別研修修了報告書の提出を受けて、再教育研修命令を受けた者が個別研修を修了したと認めるときは、個別研修修了証を交付する。

<研修修了後>

再教育研修を修了した旨の登録の申請(施行規則第7条の6)

◇登録の申請(第1項)

申請者:法第8条の2第2項の規定による再教育研修を修了した者

内容:再教育研修を修了した旨の薬剤師名簿への登録を受けようとするときは、申請書に免許証の写しを添え、これを厚生労働大臣に提出する。

◇(第2項・第3項)

省略

再教育研修修了登録証の書換交付申請(施行規則第7条の8)

◇交付の申請(第1項)

申請者:再教育研修を修了した旨の登録を受けた薬剤師(「再教育研修修了登録薬剤師」)

内容:再教育研修修了登録証の記載事項に変更が生じたときは、再教育研修修了登録証の書換交付を申請することができる。

◇(第2項・第3項)

省略

再教育研修修了登録証の再交付申請(施行規則第7条の9)

◇再交付の申請(第1項)

申請者:再教育研修修了登録薬剤師

内容:再教育研修修了登録証を失くしたり損傷したりしたときは、再教育研修修了登録証の再交付を申請することができる。

◇申請手続(第2項)

内容:第1項の申請するには、申請書に免許証の写しを添え、厚生労働大臣に提出する。

◇棄損の場合の再交付申請(第4項)

内容:損傷した再教育研修修了登録証の代わりを申請をする場合には、申請書にその損傷した再教育研修修了登録証及び免許証の写しを添える。

◇古い免許証の返納(第5項)

内容:失した再教育研修修了登録証が見つかったときは、5日以内に、古い再教育研修修了登録証を厚生労働大臣に返納する。

第三部:業務

調剤業務の資格制限(法第19条)

内容:薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。

例外:医師・歯科医師が次に掲げる場合において自己の処方箋により自ら調剤するとき、又は獣医師が自己の処方箋により自ら調剤するときは、この制限に当たらない。

  1.  患者又は現にその看護に当たっている者が特にその医師又は歯科医師から薬剤の交付を受けることを希望する旨を申し出た場合
  2.  医師法第22条第1項各号の場合又は歯科医師法第21条第1項各号の場合

名称の使用制限(法第20条)

内容:薬剤師でない者は、薬剤師又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない。

調剤の求めに応じる義務(法第21条)

内容:調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあった場合には、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。

場所の制限(法第22条)

内容:薬剤師は、薬局以外の場所で、販売又は授与の目的で調剤してはならない。

適用除外:

  • 医療を受ける者の居宅等(居宅その他の厚生労働省令で定める場所)において医師・歯科医師が交付した処方箋により、当該居宅等において調剤の業務のうち厚生労働省令で定めるものを行う場合
  • 病院・診療所・飼育動物診療施設の調剤所においてその病院・診療所・飼育動物診療施設で診療に従事する医師・歯科医師・獣医師の処方箋によって調剤する場合
  • 災害その他特殊の事由により薬剤師が薬局において調剤することができない場合
  • その他の厚生労働省令で定める特別の事情がある場合

内容:法第22条に規定する厚生労働省令で定める場所は、次のとおり。

場所場所・施設を規定する法令具体例
1居宅
2-イ乳児院
母子生活支援施設
児童養護施設
福祉型障害児入所施設
児童自立支援施設
児童福祉法
2-ロ救護施設
更生施設
生活保護法
2-ハ養護老人ホーム
特別養護老人ホーム
軽費老人ホーム
老人福祉法
2-ニ障害者支援施設
福祉ホーム
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
2-ホ女性自立支援施設困難な問題を抱える女性への支援に関する法律
3医療法施行規則に規定する医療を受ける者が療養生活を営むことができる場所であって、医療法に規定する医療提供施設以外の場所(前各号に掲げる場所を除く)サ高住
グループホーム

内容:法第22条に規定する厚生労働省令で定める調剤の業務は、次の業務である。

  • 1-1. 処方箋中に疑わしい点があるかどうかを確認する業務
  • 1-2. 処方箋中に疑わしい点があるときは、その処方箋を交付した医師又は歯科医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめる業務
  • 2. 処方箋を交付した医師又は歯科医師の同意を得て、その処方箋に記載された医薬品の数量を減らして調剤する業務

 2号の業務は、調剤された薬剤の全部若しくは一部が不潔なったり、変質したり、異物が混入したり、病原微生物その他に汚染されたりするおそれがない場合に限り、行うことができる。

 内容:法第22条ただし書に規定する厚生労働省令で定める特別の事情は、次の事情である。

  1.  災害その他特殊の事由により薬剤師が薬局において調剤することができない場合
  2.  患者が負傷等により寝たきりだったり歩行困難だったりする場合、患者や現にその看護に当たっている者が運搬することが困難な物が処方された場合その他これらに準ずる場合に、薬剤師が医療を受ける者の居宅等を訪問して施行規則第13条の2の業務を行う場合

「飼育動物診療施設」とは
 獣医師が動物の診療を行う動物病院のことである。往診のみによって飼育動物の診療を行う獣医師の住所も飼育動物診療施設に含まれる。

処方箋による調剤(法第23条)

◇処方箋に基づかない調剤の制限(第1項)

内容:医師・歯科医師・獣医師の処方箋によらなければ、販売・授与の目的で調剤してはならない。

◇医薬品変更の制限(第2項)

内容:処方箋に記載された医薬品について、その処方箋を交付した医師・歯科医師・獣医師の同意を得なければ、その医薬品を変更して調剤してはならない。

処方箋中の疑義への対応(法第24条)

対応の場面:処方箋中に疑わしい点があるとき

内容:当該処方箋を交付した医師・歯科医師・獣医師に問い合わせて、その疑問点を確かめた後でなければ、その処方箋によって調剤してはならない。

調剤された薬剤の表示(法第25条)

内容:薬剤師は、販売・授与目的で調剤した薬剤の容器や被包に、処方箋に記載された患者の氏名、用法、用量その他厚生労働省令で定める事項を記載しなければならない。

調剤された薬剤の表示(施行規則第14条)

内容:調剤された薬剤の容器や被包に記載しなければならない事項は、患者の氏名、用法及び用量のほか、下記に掲げる事項である。

  1.  調剤年月日
  2.  調剤した薬剤師の氏名
  3.  調剤した薬局又は病院・診療所・飼育動物診療施設の名称及び所在地

情報の提供及び指導(法第25条の2)

◇情報提供及び指導(第1項)

内容:薬剤師は、販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たつている者に対し、必要な情報を提供し、必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない。

目的:調剤した薬剤の適正な使用のため

◇使用状況の把握(第2項)

使用状況把握の場面:調剤した薬剤の適正な使用のため必要があると認めるとき

内容:薬剤師は、患者の当該薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握するとともに、患者又は現にその看護に当たつている者に対し、必要な情報を提供し、必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない。

処方箋への記入(法第26条)

内容:薬剤師は、調剤したときは、処方箋に対して下記の事項を記入・実施する。

  • 調剤済みの旨(調剤済みとならなかったときは、調剤した量)の記入
  • 調剤年月日の記入
  • その他厚生労働省令で定める事項の記入
  • 記名押印又は署名

処方箋の記入事項(施行規則第15条)

内容:法第26条の他厚生労働省令で定める事項は、次のとおり。

  1.  調剤した薬局又は病院若しくは診療所若しくは飼育動物診療施設の名称及び所在地
  2.  法第23条第2項の規定により医師、歯科医師又は獣医師の同意を得て処方箋に記載された医薬品を変更して調剤した場合には、その変更の内容
  3.  法第24条の規定により医師、歯科医師又は獣医師に疑わしい点を確かめた場合には、その回答の内容

処方箋の保存義務(法第27条)

内容:薬局開設者は、薬局で調剤済みとなった処方せんを、調剤済みとなった日から3年間、保存しなければならない。

調剤録の記入・保存義務(法第28条)

内容:

  • 薬局開設者は、薬局に調剤録を備えなければならない(第1項)。
  • 薬剤師は、薬局で調剤したときは、調剤録に厚生労働省令で定める事項を記入する(第2項)。
  • 薬局開設者は、調剤録を、最終の記入の日から3年間、保存しなければならない(第3項)。

内容:法第28条第2項の調剤録の記入事項は、次のとおり。

  1.  患者の氏名及び年令
  2.  薬名及び分量
  3.  調剤並びに情報の提供及び指導を行つた年月日
  4.  調剤量
  5.  調剤並びに情報の提供及び指導を行つた薬剤師の氏名
  6.  情報の提供及び指導の内容の要点
  7.  処方箋の発行年月日
  8.  処方箋を交付した医師、歯科医師又は獣医師の氏名
  9.  前号の者の住所又は勤務する病院若しくは診療所若しくは飼育動物診療施設の名称及び所在地
  10.  施行規則第15条第2号及び第3号に掲げる事項

第四部:雑則

公表事項(法第28条の2)

内容:厚生労働大臣は、薬剤師の氏名その他の政令で定める事項を公表する。

目的:医療を受ける者その他国民による薬剤師の資格の確認及び医療に関する適切な選択を助けるため

公表事項(施行令第14条)

内容:法第28条の2の「政令で定める事項」は、次の通りである。

  1.  薬剤師の氏名及び性別
  2.  薬剤師名簿の登録年月日
  3.  法第8条第1項第1号に掲げる処分に関する事項(当該処分を受けた薬剤師であつて、法第8条の2第1項の規定による当該処分に係る再教育研修の命令を受け、当該再教育研修を修了していないものに係るものに限る。)
  4.  法第8条第1項第2号に掲げる処分であつて次のいずれかに該当するものに関する事項
    • イ 厚生労働大臣が定めた業務の停止の期間を経過していない薬剤師に係る処分
    • ロ 当該処分を受けた薬剤師であつて、法第8条の2第1項の規定による当該処分に係る再教育研修の命令を受け、当該再教育研修を修了していないものに係る処分

第五部:罰則

違反内容条項罰則
(違反者)
罰則
(法人*)
第19条の規定に違反した(医師、歯科医師及び獣医師を除く)第29条3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金**
第8条第1項の規定により業務の停止を命ぜられたが、当該停止期間中に業務を行った第30条第1号1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金**
第22条第23条、又は第25条の規定に違反した第30条第2号1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金**
第8条の2第1項の規定による命令に違反して再教育研修を受けなかった第32条第1号50万円以下の罰金
第8条の3の規定による陳述・報告をせず、虚偽の陳述・報告をし、物件を提出せず、又は検査を拒否・妨害・忌避した第32条第2号50万円以下の罰金50万円以下の罰金
(第27条又は第28条第1項若しくは第3項に関係する場合)
第9条の規定に違反した第32条第3号50万円以下の罰金
第19条の規定に違反した医師、歯科医師及び獣医師第32条第4号50万円以下の罰金
第20条の規定に違反した第32条第5号50万円以下の罰金
第24条又は第26条第27条第28条までの規定に違反した第32条第6号50万円以下の罰金50万円以下の罰金
(第27条又は第28条第1項若しくは第3項に関係する場合)
* 違反者が法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者である場合の当該法人又は人への罰則
** 拘禁刑と罰金が併科される場合あり

終わりに

 医療現場で薬剤師というと、市中の調剤薬局で働く姿がよく知られています。しかし、薬剤師法が定める職能は市中や病院内の薬局にとどまらず、施行規則第13条に規定される介護施設などの多様な場面でも発揮されています。このような施設内薬剤師は、処方内容の確認や調剤だけでなく、入院者・入所者の薬物療法の安全管理、医師・看護師・介護職との連携、医薬品の適正使用の推進など、医療チームの一員として欠かせない存在です。

 薬剤師法を手がかりにすると、こうした薬剤師の活動領域の広がりと、それを支える法制度の意図が見えてきます。今後も、医療や行政手続に関わる法律を少しずつ取り上げ、実務に役立つ視点を整理していきます。

タイトルとURLをコピーしました