オンライン診療はこれまで法令の解釈運用により実施されてきましたが、オンライン診療を法令の解釈ではなく法により規制管理するために令和7年に医療法改正では、オンライン診療施設の設置、設備基準、管理体制などが明確化され、医療機関がオンライン診療を導入する際のポイントが整理されました。
本記事は、医療法第4章のうち、オンライン診療の実施病院や受診施設の設置・管理・監督に関する規定を紹介します。
はじめに
オンライン診療は、病院・診療所(「オンライン診療実施病院等」)にて勤務する医師・歯科医師と遠隔地にいる患者とを電気通信回線により接続し、電気情報処理システムにより映像・音声で相互にコミュニケーション可能な状態で診察を行う形態の医療行為をいう。
オンライン診療では、患者は病院・診療所(オンライン診療を行う医師・歯科医師が勤務する場所とは異なる病院・診療所)、居宅等又はオンライン診療受診施設にて受診することになる。
第一部:オンライン診療受診施設の設置
第一部は、オンライン診療受診施設の設置、休止及び廃止に関する条文を解説する。
病院・診療所であってもオンライン診療受診施設を設置するには行政への届出が必要である。
主な規定:
設置までの手続きに関する規定
病院・診療所がオンライン診療を実施するために行政へ届け出る必要はないが、事業者がオンライン診療受診施設を設置するには届出が必要である。
■診療所・助産所の開設届出及びオンライン診療受診施設の設置届出(法第8条)
◇オンライン診療受診施設設置の届出(第2項)
届出の場面:オンライン診療受診施設を設置する場合
届出先:オンライン診療受診施設の所在地の都道府県知事(保健所設置市・特別区にあってはその首長)
届出者:オンライン診療受診施設の設置者
届出期間:設置後10日以内
届出事項:医療法施行規則第5条の2に定める事項
設置後の手続きに関する規定
■開設者の住所等の変更の届出(施行令第4条)
◇設置届出に関する変更届(第4項)
届出者:オンライン診療受診施設の設置者
届出の事由:法第8条第2項の規定により届け出た事項に変更を生じた
届出先:オンライン診療受診施設の所在地の都道府県知事(保健所設置市・特別区にあってはその首長)
届出期間:変更の発生から10日以内
届出内容:変更した事項
休止・廃止の届出等
■病院・診療所・助産所・オンライン診療受診施設の休止・再開の届出等(法第8条の2)
◇無断休止の禁止(第1項)
内容:病院・診療所・助産所の開設者又はオンライン診療受診施設の設置者は、正当な理由なく、病院・診療所・助産所・オンライン診療受診施設を1年を超えて休止してはならない。
例外:第8条第1項の規定による届出をして開設した診療所・助産所の開設者
◇休止・再開の届出(第2項)
届出の場面:
- 病院・診療所・助産所・オンライン診療受診施設を休止したとき。
- 休止した病院・診療所・助産所・オンライン診療受診施設を再開したとき。
届出先:病院の所在地の都道府県知事又は診療所・助産所・オンライン診療受診施設の所在地の都道府県知事(保健所設置市・特別区にあってはその首長)
届出者:
- 病院・診療所・助産所の開設者
- オンライン診療受診施設の設置者
届出期間:休止又は再開から10日以内
■病院・診療所・助産所・オンライン診療受診施設の廃止時等における届出(法第9条)
◇廃止の届出(第1項)
届出の場面:病院・診療所・助産所・オンライン診療受診施設を廃止したとき。
届出先:病院の所在地の都道府県知事又は診療所・助産所・オンライン診療受診施設の所在地の都道府県知事(保健所設置市・特別区にあってはその首長)
届出者:
- 病院・診療所・助産所の開設者
- オンライン診療受診施設の設置者
届出期間:廃止から10日以内
◇死亡・失踪時の届出(第2項)
届出の場面:病院・診療所・助産所の開設者又はオンライン診療受診施設の設置者が死亡した又は失踪宣告を受けたとき。
届出先:病院の所在地の都道府県知事又は診療所・助産所・オンライン診療受診施設の所在地の都道府県知事(保健所設置市・特別区にあってはその首長)
届出者:下記の人物の死亡又は失踪の届出義務者
- 病院・診療所・助産所の開設者
- オンライン診療受診施設の設置者
届出期間:死亡又は失踪宣告から10日以内
第二部:オンライン診療の管理
第二部は、オンライン診療を実施する病院・診療所が診療を実施するにあたり遵守すべき規定ならびにオンライン診療受診施設を運営する事業者が当該施設を管理するにあたり遵守すべき規定を解説する。
主な規定:
- オンライン診療を実施する病院や診療所の管理
- オンライン診療の留意事項(施行規則第9条の6の3)
- オンライン診療の診療計画(施行規則第9条の6の4)
- オンライン診療における本人確認等(施行規則第9条の6の5)
- オンライン診療における患者への説明(施行規則第9条の6の6)
- オンライン診療の可否判断と対面診療への移行(施行規則第9条の6の7)
- 対面診療の確保義務(施行規則第9条の6の8)
- 初診時のオンライン確認義務(施行規則第9条の6の9)
- 同時複数診療の禁止(施行規則第9条の6の11)
- 診療の補助行為(施行規則第9条の6の12)
- オンライン診療基準等に関する公表義務(施行規則第9条の6の15)
- オンライン診療実施病院等の管理者の措置(施行規則第9条の6の20)
- オンライン診療を受診する専用施設の管理
- オンライン診療受診施設の設置者の責務(法第14条の5)
- オンライン診療受診施設に関する基準(施行規則第9条の6の17)
オンライン診療実施病院等の管理
■オンライン診療の基準(法第14条の3)
基準の制定者:厚生労働大臣
基準の内容:オンライン診療の適切な実施に関する基準(医療法施行規則第9条の6の2第1項:医療法施行規則第9条の6の3から第9条の6の19まで)
基準の対象となる事項:
- オンライン診療を行う病院・診療所において必要な施設及び設備並びに人員の配置に関する事項
- 患者がオンライン診療を受ける場所に関する事項
- オンライン診療を行う際に患者に対して行う説明に関する事項
- 他の病院・診療所との連携その他の患者の病状急変時に適切な治療を提供するための体制の確保に関する事項
- その他オンライン診療の適切な実施に関し必要な事項
基準の遵守:オンライン診療は、当該基準に従って行われなければならない。
例外:介護老人保健施設・介護医療院に勤務する医師・歯科医師によるオンライン診療に関するオンライン診療基準は、別途厚生労働省令で定める(医療法施行規則第9条の6の2第2項)。
■オンライン診療実施病院等の管理者の責務(法第14条の4)
内容:オンライン診療実施病院等の管理者は、オンライン診療を厚生労働大臣が定める基準に適合させるために必要な下記の措置を講じなければならない。
- 施行規則第9条の6の20に掲げる措置
オンライン診療実施病院等:オンライン診療を行う医師・歯科医師が勤務する病院・診療所のこと
■オンライン診療の基本理念(施行規則第9条の6の3)
◇オンライン診療の目的(第1項)
省略
◇オンライン診療の留意事項(第2項)
- オンライン診療は、一般に、対面診療と比較して、患者の心身の状態に関して得られる情報が限定的である。
- オンライン診療は、原則として対面診療と適切に組み合わせて行うことが求められる。
- オンライン診療は、患者からの求めに応じて行われる診療であり、研究を主たる目的として、又は医療者の都合のみにより行う診療ではない。
オンライン診療実施における本人確認から診療開始までに関係する規定

ステップ:
- 診療開始前の本人確認・患者への説明(施行規則第9条の6の5・施行規則第9条の6の6第1項)
- 初診時の対面での確認(施行規則第9条の6の4第1項)
- 初診時のオンラインでの確認及び診療前相談(施行規則第9条の6の9)
- オンライン診療の可否判断と対面診療への移行(施行規則第9条の6の7)
- 医師・患者双方の合意(施行規則第9条の6の6第2項)
- オンライン診療開始後の対面診療への移行(施行規則第9条の6の7)
■オンライン診療の診療計画(施行規則第9条の6の4)
◇通常時のオンライン診療計画作成(第1項)
作成の流れ:
- オンライン診療の前に、患者の心身の状態について対面診療により医学的評価を行う。
- 評価に基づいて、医療法施行規則第9条の6の4第1項各号に掲げる事項を記載した診療計画を作成する。
診療計画の保存期間:2年間
◇例外時のオンライン診療計画作成(第2項)
例外時:初診からオンライン診療を行う場合
作成の流れ:
- 医師・歯科医師は診察の後に下記に掲げる事項を患者に説明する。
- 次回の診察の日時及び方法
- 症状の増悪があった場合の対面診療の受診先
- その他の以後の方針
- オンライン診療を継続するとき・その見込みがあるときは、第1項に定める診療計画を作成し、保存する。
■オンライン診療における本人確認等(施行規則第9条の6の5)
- 第1項:医師・歯科医師及び患者は、原則として、相互に身分を確認するために必要な書類を用いて本人であることを確認する。
- 第2項:医師・歯科医師は、患者に対し、顔写真付きの身分証明書等により、自らの氏名を示す。
- 第3項:医師・歯科医師は、医師・歯科医師の資格を有していることを患者が確認できる環境を整備する。
■オンライン診療における患者への説明(施行規則第9条の6の6)
◇診療開始前の説明義務(第1項)
義務者:医師・歯科医師
義務の内容:患者に対し、医療法施行規則第9条の6の6第1項各号の事項を説明する。
例外:緊急にオンライン診療を実施するため、説明を行えないとき
例外時の対応:説明可能になってから速やかに患者に説明する。
◇オンライン診療の合意(第2項)
内容:下記の場合に限り、オンライン診療を行うことができる。
- 患者がオンライン診療を希望していることを明示的に確認している。
- オンライン診療を行うことについて患者との間で合意がある。
◇他の医療関係者の同席の同意(第3項)
同意が必要な場面:オンライン診療に他の医療関係者が同席する場合
対応の内容:その都度、患者に説明を行い、同席の同意を得なければならない。
◇映像・音声等の保存の合意(第4項)
合意が必要な場面:オンライン診療に係る映像や音声等の情報を保存する場合
対応の内容:オンライン診療を行う前に、保存に係る取り決めを明確にし、患者と合意しておく。
■オンライン診療の可否判断と対面診療への移行(施行規則第9条の6の7)
◇医学的な実施可否判断(第1項)
内容:医学的な観点からオンライン診療の実施可否を判断しなければならない。
◇対面診療への切替義務(第2項)
義務者:医師・歯科医師
切替への流れ:
- オンライン診療を行うことが適切でないと判断した。
- オンライン診療を中止する。
- 対面診療に移行する。
対面診療の態様:下記のいずれか。
- 医師・歯科医師が自ら対面診療を実施する。
- 医師・歯科医師が、対面診療を実施する医師・歯科医師や病院・診療所に患者を紹介する。
◇対面診療への移行促進義務(第3項)
義務者:医師・歯科医師
内容:緊急を要する症状である場合など、オンライン診療を行うことが適切でないと判断した場合には、速やかに対面診療を患者に促す。
■対面診療の確保義務(施行規則第9条の6の8)
◇移行体制の確保義務(第1項)
義務者:医師・歯科医師
例外:患者に日常的な診療、疾病予防のための措置・その他の医療の提供を行う医師・歯科医師を除く。
義務の内容:オンライン診療を行った後の患者が必要に応じて対面診療に移行できる適切な体制
◇実施体制の確保義務(第2項)
義務者:オンライン診療を行う医師・歯科医師
確保の対象:患者が速やかに受診することができる病院・診療所において対面診療を行える適切な体制
目的:急病の場合・病状急変の場合に対応するため
■初診時のオンライン確認義務(施行規則第9条の6の9)
◇症状・情報の確認義務(第1項)
義務者:初診でオンライン診療を行う医師・歯科医師
義務の内容:初診において、電子情報処理システムを利用してオンラインで患者の症状・医学的情報を確認する。
義務の例外:
- 当該医師・歯科医師が、患者に日常的な診療、疾病予防のための措置・その他の医療の提供を行う医師・歯科医師である場合
- 当該医師・歯科医師が、患者に係る必要な医学的情報を把握できる場合
◇オンライン診療に係る患者の合意(第2項)
合意取得者:第1項の医師・歯科医師
合意取得の場面:第1項の確認の結果、当該医師・歯科医師がオンライン診療を実施可能と判断したとき
合意の結果:患者から合意が得られた場合に限り、オンライン診療を行うことができる。
◇診療録への記載(第3項)
内容:オンライン診療を行うことになった場合には、下記のいずれかの事項を診療録へ記載する。
- 患者の症状・医学的情報に関する確認により得られた情報を記載する。
- 第1項・第2項の例外に該当する場合には、あらかじめ把握した患者に係る医学的情報を記載する。
◇情報の提供義務(第4項)
情報提供の場面:患者の症状・医学的情報に関する確認の結果、当該確認を行った医師・歯科医師が勤務していない病院・診療所において対面診療を行う場合
義務者:初診でオンライン診療を行おうとした医師・歯科医師
義務の内容:対面診療を行う病院・診療所に対し、確認によって得られた情報を提供する。
◇周知義務(第5項)
義務者:医師・歯科医師
義務の内容:患者の確認を行う前に、下記の事項について、あらかじめ患者に十分に周知する。
- 確認の結果オンライン診療を行えない可能性があること
- 確認に係る患者が負担すべき費用
■診療計画作成・患者確認の例外(施行規則第9条の6の10)
◇複数の医師・歯科医師による連携診療における例外(第1項)
内容:複数の医師・歯科医師が連携して診療を行う場合、特定の医師・歯科医師には施行規則第9条の6の4は及び施行規則第9条の6の9の規定を適用しない。
◇第1項の規定の準用(第2項)
内容:第1項の規定は、医療法施行規則第9条の6の10第2項各号に掲げる場合において、オンライン診療を行う医師・歯科医師について準用する。
■同時複数診療の禁止(施行規則第9条の6の11)
内容:同時に複数の患者に対してオンライン診療を行ってはならない。
■診療の補助行為(施行規則第9条の6の12)
◇医療専門職の補助(第1項)
権限者:医師・歯科医師
内容:オンライン診療において、看護師等に診療の補助を行わせることができる。
看護師等の範囲:保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士
看護師等の制限:下記のいずれかに該当する者
- 医師・歯科医師と同じ病院・診療所に勤務する看護師等
- 訪問看護指示書等の交付を受けた訪問看護ステーション等の事業所に勤務する看護師等
補助の範囲:補助の範囲は、診療計画若しくは訪問看護指示書等に基づく、又はその両方に基づく予測された範囲に限定される。
◇歯科衛生士の補助(第2項)
権限者:歯科医師
内容:オンライン診療において、歯科衛生士に歯科診療の補助を行わせることができる。
歯科衛生士の制限:歯科医師と同じ病院・診療所に勤務する歯科衛生士
補助の範囲:補助の範囲は、診療計画に基づく予測された範囲に限定される。
その他のオンライン診療に関係する規定
■オンライン診療における処方等(施行規則第9条の6の13)
◇医薬品の確認義務(第1項)
義務者:医師・歯科医師
義務の内容:患者が服薬している医薬品を確認する。
◇要配慮医薬品の処方における義務(第2項)
義務者:医師・歯科医師
義務の場面:服用に際し特段の配慮が必要な医薬品を処方する場合
義務の内容:
- 当該医薬品の処方に必要な知識及び技能を習得する。
- 患者の心身の安全・健康のために必要な対応を行う。
◇禁止される処方(第3項)
内容:医療法施行規則第9条の6の13第3項各号に掲げる処方を行ってはならない。
例外:初診ではなく、その症状等について対面診療を経ている場合
■オンライン診療における医師・歯科医師の所在等(施行規則第9条の6の14)
◇所属・問い合わせ先の公表義務(第1項)
義務の内容:オンライン診療を行う医師・歯科医師は、病院・診療所に所属し、その所属先及び問合せ先を明らかにする。
◇適切な診療環境の選択義務(第2項)
義務者:医師・歯科医師
義務の内容:適切な判断を害する場所でオンライン診療を行ってはならない。
◇情報取得体制の整備義務(第3項)
義務者:医師・歯科医師
義務の内容:オンライン診療を行うにあたり、患者の心身の状態に関する情報を適切に得られる体制を整えなければらない。
体制の例:診療録により過去の患者の状態を把握できること
例外:緊急やむを得ない場合
◇隔離空間の確保義務(第4項)
義務者:医師・歯科医師
義務の内容:物理的に外部から隔離された空間において、オンライン診療を行わなければならない。
目的:第三者に患者の心身の状態に関する情報が伝わらないようにするため
■オンライン診療基準等に関する公表義務(施行規則第9条の6の15)
◇オンライン診療に関する責務(第1項)
義務者:オンライン診療実施病院等の管理者
義務の内容:医師又は歯科医師が行うオンライン診療がオンライン診療基準に適合して行われている旨を公表する。
公表の手段:ウェブサイト又は院内の掲示等
◇電子情報処理システムに関する責務(第2項)
義務者:オンライン診療実施病院等の管理者
義務の内容:オンライン診療に用いる電子情報処理システムについて、情報セキュリティの確保、患者への説明その他の適切な措置を講じる。
■氏名・問い合わせ先の公表に関する方式(施行規則第9条の6の18)
内容:医師・歯科医師は、下記の事項を通知するときは、患者が事後的に確認できる方法により通知する。
- 第9条の6の5第2項の規定に基づく氏名の提示
- 第9条の6の14第1項の規定に基づく病院・診療所及びその問合せ先の明示
- その他必要な通知
■適用除外(施行規則第9条の6の19)
適用除外の場面:医師・歯科医師がオンラインにより診察を行い、患者の心身の状態等に係る情報に基づき、疑われる疾患等を医学的に判断し、病院・診療所への受診の勧奨のみを行う場合
適用除外の内容:上記の場合には、下記の規定は適用しない。
適用除外の例外:患者が罹患している具体的な疾患名、疾患に対する治療方針等の伝達、一般用医薬品の使用の指示及び処方等を行う場合
■オンライン診療実施病院等の管理者の措置(施行規則第9条の6の20)
◇必要な指導等の措置義務(第1項)
義務者:オンライン診療実施病院等の管理者
義務の内容:法第14条の4の規定に基づき、オンライン診療を行うその医師・歯科医師に、必要な知識・技能を習得させるために必要な指導その他の措置を講じる。
◇診療の中止義務(第2項)
義務者:オンライン診療実施病院等の管理者
義務発生の場面:医師・歯科医師がオンライン診療受診施設に所在する患者に対してオンライン診療を行う場合
義務の内容:施行規則第9条の6の21第2項各号に掲げる事項を確認し、これらに適合する事実が確認できない場合には、オンライン診療を中止し、その他適切な措置を講じる。
オンライン診療受診施設の管理
■オンライン診療受診施設の設置者の責務(法第14条の5)
内容:オンライン診療受診施設の設置者は、ウェブサイトへの掲載等の適切な方法により下記の事項を公表する。
- オンライン診療の適切な実施に関する基準に適合すること
- 医療法施行規則第9条の6の16の規定に適合すること
- オンライン診療に用いられる電子情報処理システムに関して情報セキュリティの確保その他適切な措置が講じられていること
医療分野の情報セキュリティの詳細については、下記リンク先の厚生労働省ホームページをご参照ください。
■オンライン診療における患者の所在等(施行規則第9条の6の16)
◇清潔・安全の確保(第1項)
内容:患者がオンライン診療を受ける場所は、清潔かつ安全でなければならない。
◇隔離空間の確保(第2項)
内容:患者は物理的に外部から隔離された空間においてオンライン診療を受ける。
目的:患者の個人情報保護のため
■オンライン診療受診施設に関する基準(施行規則第9条の6の17)
◇オンライン診療受診施設に関する措置の実施義務(第1項)
義務者:オンライン診療受診施設の設置者
義務の内容:医療法施行規則第9条の6の17第1項各号に掲げる措置を講じなければならない。
◇責任者の設置義務(第2項)
義務者:法人であるオンライン診療受診施設の設置者
義務の内容:オンライン診療受診施設の管理・運営を行う責任者を設置する。
■オンライン診療受診施設の設置者が行う公表(施行規則第9条の6の21)
◇法第14条の5の規定に基づく公表義務(第1項)
義務者:オンライン診療受診施設の設置者
義務の内容:法第14条の5の規定により、第2項に規定する事項について、ウェブサイトへの掲載その他の適切な方法により公表する。
◇法第14条の5の規定に基づく公表事項(第2項)
内容:オンライン診療受診施設の設置者は、法第14条の5の規定により、医療法施行規則第9条の6の21第2項に掲げる事項を公表する。
第三部:オンライン診療受診施設に対する行政の監督
第三部は、行政の病院・診療所・オンライン診療受診施設に対する監督権限ならびに調査・是正権限を解説する。
主な規定:
- 改善命令・業務停止命令・許可取消しなどの是正措置
- 報告徴収・立入検査などの調査
- 医療施設への立入検査等(法第25条)
改善命令・業務停止命令・許可取消しなどの是正措置
■法令違反・適正に欠く運営への対応(法第24条の2)
一言サマリー:医療施設の業務が法令に違反し、その運営に関して適正を欠く場合における対応について定める条文。
◇措置命令(第1項)
権限者:都道府県知事
対象施設:病院・診療所・助産所・オンライン診療受診施設
内容:期限を定めて、医療法の施行に必要な限度において必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
受命者:開設者・設置者
命令の場面:
- 当該医療施設の業務が法令若しくは法令に基づく処分に違反するとき
- その運営が著しく適正を欠くと認めるとき
◇業務停止命令(第2項)
権限者:都道府県知事
対象施設:第1項の措置命令を受けた開設者・設置者が開設・設置した病院・診療所・助産所・オンライン診療受診施設
内容:期間を定めて、当該医療施設の業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
受命者:開設者・設置者
命令の場面:第1項の措置命令を受けた開設者・設置者がその命令に従わないとき
■都道府県知事・厚生労働大臣による処分(法第29条)
一言サマリー:病院・診療所・助産所・オンライン診療受診施設に対して都道府県知事・厚生労働大臣がする処分について定める条文。
◇開設許可取消・閉鎖命令(第1項)
対象施設:病院・診療所・助産所・オンライン診療受診施設
処分の場面:第29条第1項各号のいずれかに該当する場合
処分内容:都道府県知事は、下記の処分を行うことができる。
- 病院・診療所・助産所の開設許可の取消
- 病院・診療所・助産所の開設者・オンライン診療受診施設の設置者に対する施設の閉鎖命令
報告徴収・立入検査などの調査
■医療施設への立入検査等(法第25条)
一言サマリー:必要性の認識・法令違反等の疑い・不適切な運営の疑いがある場合の報告命令・立入検査・物件提出命令について定めた条文。
◇立入検査等(第1項)
権限者:都道府県知事・保健所設置市の市長・特別区の区長
対象施設:病院・診療所・助産所・オンライン診療受診施設
内容:都道府県・保健所設置市・特別区の首長は下記の措置を取ることができる。
- 必要な報告を命ずる。
- 職員に、当該医療施設へ立ち入り、人員・清潔保持の状況、構造設備・診療録・助産録・帳簿書類その他の物件を検査させる。
受命者:
- 病院・診療所・助産所の開設者・管理者
- オンライン診療受診施設の設置者
命令の場面:必要があると認めるとき
◇医療施設の法令違反等の疑惑に基づく立入検査等(第2項)
権限者:都道府県知事・保健所設置市の市長・特別区の区長
対象施設:病院・診療所・助産所・オンライン診療受診施設
内容:都道府県・保健所設置市・特別区の首長は、医療法の施行に必要な限度において、下記の措置を取ることができる。
- 診療録・助産録・帳簿書類その他の物件の提出を命ずる。
- 職員に、当該医療施設の開設者・設置者の事務所などの当該医療施設の運営に関連する場所へ立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させる。
受命者:
- 病院・診療所・助産所の開設者・管理者
- オンライン診療受診施設の設置者
命令の場面:
- 当該医療施設の業務が法令・法令に基づく処分に違反している疑いがあるとき。
- その運営が著しく適正を欠く疑いがあると認めるとき。
■基礎自治体から広域自治体への通知(法第25条の2)
一言サマリー:保健所設置市・特別区の首長がする医療施設に関する基礎情報の通知について定めた条文。
権限者:保健所設置市の市長・特別区の区長
対象施設:診療所・助産所・オンライン診療受診施設
内容:各医療施設に関し、厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に通知する。
通知内容:
- 診療所:医療法施行規則第22条の5第1項で定める事項
- 助産所:医療法施行規則第22条の5第2項で定める事項
- オンライン診療受診施設:医療法施行規則第22条の5第3項で定める事項
■医療監視員の役割(法第26条)
一言サマリー:医療施設の立入検査等を担当する医療監視員について定めた条文。
◇医療監視員の任命(第1項)
権限者:厚生労働大臣・都道府県知事・保健所設置市の市長・特別区の区長
内容:厚生労働省・都道府県・保健所設置市・特別区の職員のうちから医療監視員を任命する。
目的:病院・診療所・助産所・オンライン診療受診施設への第25条第1項・第3項に規定する立入検査等のため
医療監視員の業務:医療監視員が立入検査をした場合、構造設備の改善、管理等について必要な事項の指導を行う。
◇医療監視員の適格性(第2項)
内容:下記の事項について相当の知識を有すること(医療法施行規則第41条)。
- 医療に関する法規
- 病院・診療所・助産所・オンライン診療受診施設の管理
第四部:罰則(オンライン診療受診施設に関係する罰則)
| 違反内容 | 条項 | 罰則 |
|---|---|---|
| 第25条第2項の規定による診療録の提出又は第25条第1項の規定による診療録の検査に従事した公務員又は公務員であった者が、業務上の秘密・個人の秘密を漏洩したとき | 第86条第1項 | 1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 |
| 職務上第86条第1項に係る秘密を知り得た他の公務員又は公務員であった者が、正当な理由がなくその秘密を漏らしたとき | 第86条第2項 | 1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 |
| 第29条第1項の規定に基づく命令又は処分に違反した | 第87条第3号 | 6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金 |
| 第8条、第8条の2第2項又は第9条の規定に違反した | 第89条第1号 | 20万円以下の罰金 |
| 第25条第1項・第2項の規定による報告をせず、虚偽報告をし、又は第25条第1項・第2項の規定による検査を拒み、妨げ、忌避した | 第89条第2号 | 20万円以下の罰金 |
オンライン診療の詳細については、下記リンク先の厚生労働省ホームページをご参照ください。
終わりに
オンライン診療は、患者の利便性向上だけでなく、医療資源の効率的な活用や地域の医療アクセス向上にも寄与する制度です。一方で、オンライン診療を実施する施設には法令遵守や適切な管理体制の整備が欠かせません。
本記事が、オンライン診療の導入や運用を検討する医療機関の皆様にとって、制度理解の一助となれば幸いです。今後も法改正の動向を踏まえつつ、実務に役立つ情報を発信していきます。
