2026年4月1日以降、シンガポール・チャンギ国際空港における輸入検疫が変わります

ペットの犬猫とマサチューセッツ、メリーランド、テキサス、又はカリフォルニアへ渡航するための準備ガイド

アメリカン・ショートヘア ペットと海外移住
この記事は約9分で読めます。

  本記事では、ペットの犬猫をアメリカのマサチューセッツ、メリーランド、テキサスおよびカリフォルニアの各州に連れて行く際に必要な準備や手続きについて紹介します。

 日本を出国するまでの手続きについては、本ブログの別記事「ペットと一緒に海外移住したいときの準備と手続き」をご参照ください。

アメリカ全体での入国要件

 口蹄疫、ラセンウジバエの寄生、狂犬病が問題となっている国からアメリカに入国するペットについては、獣医師による証明書等が必要になりますが、日本の国外に出たことが無いペットについては、これらの証明書について心配する必要はありません。

 動物の輸出入を管理するアメリカの政府機関として、アメリカ農務省(USDA)およびアメリカ疾病管理予防センター(CDC)が存在します。

イヌの場合

低リスク国(日本など)からの渡航

  • CDC Dog Import Form のオンライン提出が必須
  • ISO準拠マイクロチップの装着が義務化
  • 犬は生後6か月以上であること
  • 狂犬病予防接種証明書とマイクロチップ証明書は、州によって提出が求められる可能性あり

 CDC Dog Import Formの記入についてはこちらの記事をご覧ください。

 CDC Dog Import Formを提出するとReceiptがメールで送られてきます。アメリカ到着時の検疫では、Reciptのプリント又はスマートフォンなどのデバイスに表示したReceiptを税関職員に提示します。

高リスク国での滞在歴がある場合

  • アメリカ到着時に健康であること
  • アメリカ到着時に6か月齢以上であること
  • マイクロチップ装着後に狂犬病予防接種を受けていること
  • 狂犬病抗体検査を受け、基準値(0.5 IU/ml 以上)を満たしていること

 狂犬病予防接種に用いるワクチンは、不活化ワクチンまたは組換えワクチンです。

 狂犬病抗体検査は、CDCが認証する臨床検査所(日本の場合、一般財団法人生物科学安全研究所)において実施されるものです。

 遅くともアメリカへ出発する28日前には検査結果が得られるように狂犬病抗体検査を受けます。

 高リスク国滞在歴がある犬をアメリカに持ち込むときに必要な手続きと書類を以下に示します。

1.CDC Dog Import Formのオンライン提出

2.狂犬病予防接種証明書(英文)とマイクロチップ装着証明書(英文)の用意

 利用航空会社が1部ずつ保持する場合があるため、証明書を2部ずつ用意します。

3.狂犬病抗体検査の検査通知書(英文)の用意

 狂犬病抗体検査の結果を記入する前にCDC Dog Import Formを提出してしまった場合にのみ、別途必要になります。

4.CDC登録動物保護施設に犬を預ける予約

 CDC登録動物保護施設は、アトランタ(ATL, ジョージア州)、ロサンジェルス(LAX, カリフォルニア州)、マイアミ(MIA, フロリダ州)、ニューヨーク(JFK, 貨物輸送のみ、ニューヨーク州)、ワシントンDC(IAD)、及びフィラデルフィア(PHL, ペンシルバニア州)の空港近くにあります。

 上に挙げた6カ所の空港のうちのどれかに到着したら、CDC Dog Import FormのReceipt、狂犬病予防接種証明書(英文)とマイクロチップ装着証明書(英文)、及びCDC登録動物保護施設の予約確認書をU.S. Customs and Border Protectionに示します。

 犬は登録動物保護施設による診察を受けて入国を認められるか、最大で28日間の検疫措置になるか、あるいは入国を認められずに元の国に戻されることになります。登録動物保護施設での費用は飼主の負担になります。

ネコの場合

  • 狂犬病ワクチン接種証明は不要だが、接種推奨
  • 空港で感染症の兆候がある場合は入国拒否の可能性あり

 次にペットの犬猫を長期滞在目的でマサチューセッツ州、メリーランド州、テキサス州、又はカリフォルニア州に連れて行くときの準備について説明します。どの州でも検疫証明書/健康証明書の発行を受けていることが要件にななります。

ペットをマサチューセッツ州へ連れて行くとき

 マサチューセッツ州にはハーバード大学やマサチューセッツ工科大学などの有名な大学があり、多くの留学生がこれらの大学に在籍しています。マサチューセッツ州農業資源局(Massachusetts Department of Agricultural Resouces)のホームページによるとペットを長期滞在目的でマサチューセッツ州に連れて行くときのペットの要件は以下のとおりです。

  • マサチューセッツ州に入境する犬猫は、入境前12か月以内に狂犬病予防接種を受けていること
  • 犬も猫も、狂犬病予防接種を受けずにマサチューセッツ州に入境した場合、30日以内に狂犬病予防接種を受けること
  • 健康証明書に犬猫が健康であること、病気の兆候を示していないこと、及び内部寄生虫/外部寄生虫が寄生していないことが宣誓されていること(健康証明書の有効期間は30日)

ペットをメリーランド州へ連れて行くとき

 メリーランド州にはアメリカにおける医学研究の拠点である国立衛生研究所(NIH)があり、多くの留学生がNIH傘下の研究所に在籍しています。メリーランド州農務局(Maryland Department of Agriculture)によるとペットを長期滞在目的でメリーランド州に連れて行くときのペットの要件は以下のとおりです。

  • 以下の項目について記載されている検疫証明書を提出すること(日本では動物検疫局の輸出検疫証明書がこの検疫証明書に相当します)
    • 荷送人と荷受人の氏名と住所
    • ペットの出身国(日本からアメリカに入国した場合、日本になります)
    • ペットのID(名前、マイクロチップ番号等)
    • 入境に特別な病気の検査が求められている場合、その検査の日付と結果の説明(日本出身のペットについては関係ないかと思います)
    • ペットが感染性の病気にかかっている、又は最近かかった兆候が健康診断では確認されなかったことの獣医師による宣誓

以下の記述が検疫証明書に含まれていることが求められます。

  • メリーランド州に持ち込む犬猫は、狂犬病発生地域の出身ではないこと
  • メリーランド州に持ち込む犬猫は、メリーランド州に入境する直前の6か月以内に狂犬病ウイルスに接触していないこと
  • メリーランド州に持ち込む犬猫は、少なくとも1回の狂犬病予防接種を受けていること

 日本の動物検疫所が発行する輸出検疫証明書の備考欄に犬猫が日本で生まれ、生育してきたこと、及び日本では1956年以降狂犬病の発生がないことを記載してもらうことができるか輸出検査の予約時に質問してみてください。動物検疫所で対応できないようでしたら別途動物病院で健康証明書を作成することになります。

検疫証明書を得たら

 以上の要件を満たす検疫証明書は、発行から30日まで有効であるとされています。このようにして作成された検疫証明書は、ペットの出身州の動物検疫当局からメリーランド州の動物検疫当局に送られるものとされています。これは、他の州からメリーランド州に動物(特に家畜)を持ち込む場合を想定しているため、他の国からメリーランド州に犬猫を持ち込む場合にもあてはまるのかわかりません。実際にはメリーランド州農務局にメールで輸出検疫証明書の提出が必要であるか聞いてみるしかないと思います。

(2025.06.17追記)

 検疫証明書の扱いについてメリーランド州農務局にメールを送って質問しました。アメリカ以外の国からメリーランド州に来るペットの犬猫についてはメリーランド州農務局に輸出検疫証明書を送る必要はないことがわかりました。

ペットをテキサス州に連れて行くとき

 テキサス州はビジネスフレンドリーな州であるということで日系企業も400社以上が事業所をテキサス州に設置していると言われています。テキサス州公衆衛生局(Texas Department of State Health Service)のホームページによるとペットを長期滞在目的でテキサス州に連れて行くときのペットの要件は以下のとおりです。

  • テキサス州に入境する犬猫は、狂犬病予防接種を受けていること
  • テキサス州に入境する犬猫は、狂犬病予防接種証明書の発行を受けていること
  • テキサス州に入境する犬猫は、狂犬病予防接種から30日間の待機時間を経過していること

 テキサス州では健康証明書は求められていません。

ペットをカリフォルニア州に連れて行くとき

 2022年の時点でカリフォルニア州には2000社を超える日本企業の事業所が存在します(ジェトロ日系企業実態調査より)。カリフォルニア州公衆衛生局(California Department of Public Health)のホームページによるとペットを長期滞在目的でテキサス州に連れて行くときのペットの要件は以下のとおりです。

  • カリフォルニア州に入境する犬は、狂犬病予防接種を受けていること
  • カリフォルニア州に入境する犬は、狂犬病予防接種証明書の発行を受けていること
  • 猫については特別な書類の準備は必要ありません

 カリフォルニア州に連れてきた犬を誰かに譲ったり、売却することを予定している場合、健康証明書が必要になります。その場合、健康証明書はカリフォルニア州入境前の10日以内に発行されたものであることを要します。健康証明書は、カリフォルニア州の住所地が属する郡の保健局に提出します。

日本へ帰るとき

 ペットと一緒に日本に帰国するための日本側の検疫の手続きについてはこちらの記事をご覧ください。

 アメリカ側の手続きとしてアメリカ農務省(USDA)認定獣医師による健康診断を受け、アメリカ政府の獣医官による裏書を得ることができます。USDA非認定の獣医師もいますので、アメリカ動植物検疫局(Animal and Plant Health Service)のページからアメリカ国内の居住地の近くのUSDA認定獣医師を検索してください。

 USDA認定獣医師が作成した動物衛生証明書ファイルには電子署名が付与され、獣医輸出証明書システム(VEHCS: Veterinary Export Health Certificate System)を通じて動物衛生証明書が発行されます。こうして、輸出国政府機関発行の証明書が発行されます。

 獣医師がこれを紙にプリントアウトし、動物衛生証明書のプリントをペットの飼い主に渡します。

 日本の動物検疫所は、アメリカのデータベースの中にある健康証明書を動物検疫所に提出する輸出国政府機関発行の証明書として認めていますが、帰国者は、動物衛生証明書のプリントも携帯しておくと安心です。


 以上、ペットの犬猫をマサチューセッツ州、メリーランド州、テキサス州、又はカリフォルニア州に長期滞在目的で連れて行くときの準備について説明しました。ペットを連れてアメリカへ移住したいけれど、ペットの渡航準備をすべて自分で行う時間がない方、サポートが必要な方は、行政書士渡邉光一事務所にご相談ください。

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