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医療職のための医療法ガイド|1. 医療提供体制と行政への報告義務

医療等
この記事は約21分で読めます。

 2025年4月に施行された「かかりつけ医機能報告制度」が本格的にスタートしました。医療機関が自院の外来機能やかかりつけ医機能を明確に示し、地域での役割分担を進めるための重要な制度です。

 制度の背景には、地域医療構想の推進や外来医療の機能分化といった、医療法第5章で定められた枠組みがあります。本記事では、その根拠となる医療法第5章を、医療職の皆さん向けにわかりやすく整理していきます。

第一部:基本方針と医療計画の策定

医療法第5章第1節は、国が医療提供体制の基本方針を決定することを定めており、第5章第2節は、都道府県が地域の医療計画を作成することを定めています。医療職が日常業務で直接扱う条文ではありませんが、行政からの要請や制度変更の根拠を理解するうえで知っておくと役立ちます。

基本方針とは(法第30条の3)

方針策定者:厚生労働大臣

目的:良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制(医療提供体制)の確保のため
(ただし、地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針に即したものとする)

内容:(病院、診療所、医師および医療従事者に関係する事項をピックアップ)

  • 7. 外来医療に係る医療提供体制の確保に関する基本的な事項
  • 8. かかりつけ医機能の確保に関する基本的な事項
  • 9. 医師の確保に関する基本的な事項
  • 10. 医療従事者(医師を除く。)の確保に関する基本的な事項

医療計画とは(法第30条の4)

計画策定者:都道府県

目的:基本方針に適合し、かつ、地域の実情に応じた医療提供体制の確保のため

内容:(医師および医療従事者に関係する事項をピックアップ)

  • 必須事項
    • 5. 次に掲げる救急医療等確保事業に関する事項(ニに掲げる医療については、その確保が必要な場合に限る。)
      • イ 救急医療
      • ロ 災害時における医療
      • ハ そのまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症がまん延し、又はそのおそれがあるときにおける医療
      • ニ へき地の医療
      • ホ 周産期医療
      • ヘ 小児医療(小児救急医療を含む。)
      • ト イからヘまでに掲げるもののほか、都道府県知事が当該都道府県における疾病の発生の状況等に照らして特に必要と認める医療
    • 6. 居宅等における医療の確保に関する事項
    • 7. 地域における病床の機能の分化及び連携を推進するための基準として厚生労働省令で定める基準に従い定める区域(構想区域)における将来の医療提供体制に関する構想(地域医療構想)に関する事項
    • 8. 地域医療構想の達成に向けた病床の機能の分化及び連携の推進に関する事項
    • 9. 病床の機能に関する情報の提供の推進に関する事項
    • 10. 外来医療に係る医療提供体制の確保に関する事項
    • 10の2. かかりつけ医機能の確保に関する事項
    • 11. 医師の確保に関する事項
    • 12. 医療従事者(医師を除く。)の確保に関する事項
  • 努力義務事項
    • 1. 地域医療支援病院の整備の目標その他医療提供施設の機能を考慮した医療提供施設の整備の目標に関する事項

医療計画の変更(法第30条の6)

  • 各都道府県は、必要があると認めるときは、当該都道府県の医療計画を変更する。
    • 3年ごと:必須事項の第6号、第10号の2および第11号、ならびに医療計画中の事項であってこれらに関係するもの
    • 6年ごと:医療計画中のその他の事項

医療提供施設の協力努力(法第30条の7)

内容:医療提供施設の開設者・管理者は、医療計画の達成等に協力するよう努めなければならない。

行政間の関係(法第30条の8・第30条の9)

 国・厚生労働大臣は、都道府県に対し、次の作用を有する。

作用者作用の内容
厚生労働大臣医療計画の作成手法その他の事項に関する必要な助言ができる。
厚生労働大臣医療計画において定められた事項の実施に関する必要な助言をする。
厚生労働大臣医療計画に基づく事業の一部費用の補助ができる。

行政の努力義務(法第30条の10)

 行政は、医療計画の達成推進のため、次の事項に努力する。

努力義務の主体努力の内容
国・地方公共団体病院・診療所が不足している地域における病院・診療所の整備
国・地方公共団体地域における病床の機能の分化・連携の推進
国・地方公共団体医師の確保その他必要な措置
都道府県の区域を超えた広域的な見地から必要とされる医療提供体制の整備

行政と医療提供施設の関係(法第30条の11)

 都道府県知事は、医療計画の達成推進のため特に必要がある場合には、都道府県医療審議会の意見を聴いて、次の勧告をすることができる。

勧告を受ける者勧告の内容
◦病院・診療所を開設しようとする者
◦病院・診療所の開設者・管理者
◦病院の開設
◦病院の病床数の増加
◦病院の病床の種別の変更
◦診療所の病床の設置
◦診療所の病床数の増加

病院・診療所の規制(法第30条の12)

 医療計画の達成推進のため特に必要がある場合、病床設置を規制する特定の規定が病院・診療所に準用されます。

病床設置の規制(第1項)

目的:病床数の管理のため

対象:

  • 療養病床又は一般病床を有する病院であって第7条の2第1項各号に掲げる者以外の者が開設する病院
  • 許可を得て病床を設置する診療所

第7条の2第1項各号に掲げる者

  1.  都道府県、市町村その他厚生労働大臣の定める者
  2.  国家公務員共済組合法の規定に基づき設立された共済組合及びその連合会
  3.  地方公務員等共済組合法の規定に基づき設立された共済組合
  4.  前二号に掲げるもののほか、政令で定める法律に基づき設立された共済組合及びその連合会
  5.  私立学校教職員共済法の規定により私立学校教職員共済制度を管掌することとされた日本私立学校振興・共済事業団
  6.  健康保険法の規定に基づき設立された健康保険組合及びその連合会
  7.  国民健康保険法の規定に基づき設立された国民健康保険組合及び国民健康保険団体連合会
  8.  独立行政法人地域医療機能推進機構

準用される規定:

条項状況内容
第7条の2第3項地域の病床数がすでに基準病床数を超えている状況で、病院や診療所が 正当な理由なく、許可された病床を使っていない場合知事は 未稼働の病床数の範囲で病床削減を要請することができる
第7条の2第4項知事が、地域の病床数が基準病床数を超えているかの判断を行うとき知事は、地域における病床数を算定するに当たり、病院・診療所の機能や性格を考慮して必要な補正を行う義務がある
第7条の2第5項知事が病床削減の要請を出すとき知事は、事前に都道府県医療審議会の意見を聴かなければならない

都道府県知事の勧告(第2項)

内容:病床削減の措置をとるべきことの勧告

勧告の発動要件:病床削減要請を受けた病院・診療所の開設者・管理者が、その要請に基づく措置を取らない

勧告の際の条件:都道府県医療審議会の意見を聴くこと

行政による公表(第3項)

内容:都道府県知事は、第2項の規定による勧告をした場合、その勧告を受けた病院又は診療所の開設者・管理者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。

第二部:災害・感染症医療確保事業に係る人材の確保等

医療法第5章第2節の2は、災害・パンデミック時の医療を確保するための人材育成や体制整備について、国と都道府県が行うべき施策を定めています。以下、各条文のポイントを整理します。

災害・感染症医療業務従事者(DMAT、DPAT、災害支援ナース等)の登録(法第30条の12の2)及び登録の消除(法第30条の12の3)

目的:災害やパンデミック発生時に都道府県知事の求めに応じて派遣される医療従事者の把握のため

災害・感染症医療業務従事者とは:
 都道府県知事の求めに応じて、災害が発生した区域や国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症がまん延し、若しくはそのおそれがある区域に派遣されて災害・感染症医療確保業務(第30条の4第2項第5号ロ又はハに掲げる業務)に従事する旨の承諾をした者

災害・感染症医療業務従事者となる要件:

  • 医師、看護師その他の当該業務に関する必要な知識及び技能を有すること
  • 厚生労働大臣が実施する研修の課程を修了した等の基準を満たすこと

登録権者:厚生労働大臣

登録の消除:

  • 消除の申請があった
  • 死亡した
  • 厚生労働省令で定める基準を満たさなくなった
  • 虚偽又は不正の事実に基づいて登録を受けた
  • 災害・感染症医療確保業務に関し犯罪又は不正の行為があった

協定の締結(法第30条の12の6)

目的:災害・感染症医療確保事業の実施のため

当事者:都道府県知事
    その都道府県の区域内にある病院・診療所の管理者

内容:災害・感染症医療業務従事者又は医療隊の派遣等について協議し、合意が成立したときは、協定を締結する。

協定締結病院等とは:
 災害・感染症医療確保業務のために災害・感染症医療業務従事者又は医療隊の派遣について協定を締結した病院又は診療所を「協定締結病院等」と呼びます。

行政と医療提供施設の関係(第3項、第8項、第9項、第10項)

 都道府県知事は、以下の表に示すように、協定締結病院等の管理者に対して措置を講ずることができます。

いつ何をする
1.必要と認めるとき協定に基づく災害・感染症医療業務従事者又は医療隊の派遣の状況等について報告を求めることができる
2.協定に基づく措置が講じられていないと認めるとき協定に基づく措置をとるよう勧告できる
3.協定締結病院等の管理者が勧告に従わないとき協定に基づく措置をとるよう指示できる
4.協定締結病院等の管理者が指示に従わないとき協定に基づく措置が講じられておらず、協定締結病院等の管理者が勧告・指示に従っていない旨を公表できる
  • 都道府県知事は、協定締結病院等の管理者から受けた報告の内容を厚生労働大臣に報告しなければならない。
  • 厚生労働大臣は、報告を受けた事項について、必要があると認めるときは、当該都道府県知事に対して助言その他の支援をすることができる。

国・都道府県の援助(法第30条の12の7・第30条の12の8)

援助者被援助者援助内容
災害・感染症医療業務従事者業務に関する研修及び訓練の機会の提供その他必要な援助
都道府県災害・感染症医療業務従事者業務に関する研修及び訓練の機会の提供その他必要な援助(努力義務)
都道府県助言その他必要な援助(努力義務)
都道府県災害・感染症医療業務従事者・医療隊協定に基づく派遣に要する費用の支弁

第三部:地域における病床の機能の分化及び連携の推進

医療法第5章第3節は、地域ごとに病床の機能を分け、医療機関同士が連携して効率的に医療を提供できるようにするための仕組みを定めています。この仕組みでは、行政は、病院等から病床機能の報告を受け、病院等との協議を通じ、病院等による自主的な病床機能の分化・連携や病床数の適正化を促します。以下、各条文のポイントを整理します。

病床機能報告対象病院等の報告(法第30条の13)

病床機能の報告(第1項)

目的:地域における病床の機能の分化及び連携の推進のため

報告主体:療養病床・一般病床を有する病院又は診療所(病床機能報告対象病院等)の管理者

内容:病床の機能区分に従い、所定の事項をその所在地の都道府県知事に報告する。

病床の機能区分
 ・高度急性期機能
 ・急性期機能
 ・回復期機能
 ・慢性期機能

報告事項:具体的な報告項目は、法・省令・様式で定められています。

変更の報告:(第2項)

報告主体:病床機能報告対象病院等の管理者

内容:報告した基準日後病床機能について変更が生じたときは、変更の旨をその所在地の都道府県知事に報告する。

行政による公表(第4項)

公表の主体:都道府県知事

内容:病床機能報告対象病院等管理者の報告事項を公表する。

報告の未実施・虚偽報告への行政の対応(第5項)

対応主体:都道府県知事

内容:第1項第2項に規定される報告がされず、又は虚偽の報告があったときは、報告の実施又は報告内容の是正を命ずることができる。

受命者:病床機能報告対象病院等の開設者

報告の実施・是正病床機能報告対象病院等の管理者

命令不服従への行政の対応(第6項)

対応主体:都道府県知事

内容:第5項の規定による命令をした場合、その命令を受けた病床機能報告対象病院等の開設者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。

病床数管理のための協議(法第30条の14)

協議の場の設置(第1項)

 都道府県は、医療計画における構想区域等ごとに、協議の場を設ける。

協議の内容:

  • 医療計画において定める将来の病床数の必要量を達成するための方策
  • その他の地域医療構想の達成を推進するために必要な事項

協議の参加者:

  1.  構想区域等内に存在する診療に関する学識経験者の団体その他の医療関係者
  2.  構想区域等内に存在する医療保険者その他の関係者

 ①と②の参加者を合わせて「関係者」と呼びます。

関係者の努力義務(第2項)

 第1項に規定する関係者には、次の努力義務があります。

  • 都道府県が行う協議への参加協力
  • 協議の場において関係者間でまとまった事項の実施協力

協議への参加要請(第3項)

目的:医療計画において定める地域医療構想の達成の推進のため

要請者:都道府県知事

対象者:次の申請をした者

  • 病院の開設
  • 病院の病床数の増加若しくは病床の種別の変更
  • 診療所の病床の設置
  • 診療所の病床数の増加若しくは病床の種別の変更

内容:都道府県知事は、申請者に対し、申請事項に関して協議の場における協議に参加するよう求めることがあり、参加要請を受けた者は、その求めに応じるように努力しなければならない。

病床数の管理(負の調整(法第30条の15)

理由等を記載した書面の提出(第1項)

目的:医療計画において構想区域ごとに定めた機能区分別の病床必要量を踏まえた、現実の当該機能区分に該当する病床数の調整のため

内容:書面の提出要請

要請者:都道府県知事

対象者:病床機能報告をした病床機能報告対象病院等(報告病院等)の開設者・管理者

要請の発動要件:
①病床機能報告における「基準日病床機能」と「基準日後病床機能」が違う場合において、
②その基準日後病床機能に係る病床の機能区分に応じた数が、当該報告病院等が所在する構想区域の医療計画において定めた機能区分に応じた病床数の必要量に達している。

書面の記載内容:
① 基準日病床機能と基準日後病床機能とが異なる理由
② 基準日後病床機能の具体的な内容

 記載内容①と②を合わせて「理由等」と呼びます。

行政が講ずる措置(第2項、第4項、第6項)

措置の主体:都道府県知事

対象者:報告病院等の開設者・管理者

措置の内容:

◇第2項
(措置1)協議の場における協議への参加要請(第2項)
(条件1)都道府県知事が、書面に記載された理由等が十分でないと認めるときに参加を要請する。

◇第4項
(措置2)都道府県医療審議会における理由等の説明要請
(条件2)協議の場における協議が調わない等の事由があるときに説明を要請する。

◇第6項
(措置3)基準日病床機能を基準日後病床機能に変更しないことその他必要な措置の命令/要請
(条件3)措置1および措置2を経ても、理由等がやむを得ないものと認められないときに命令/要請する。

① 措置3の命令/要請に際しては、都道府県医療審議会の意見を聴くこと。
② 第7条の2第1項各号に掲げる者が開設する報告病院等には命令、それ以外の者が開設する報告病院等には要請する。

報告・説明義務(第3項、第5項)

義務者:報告病院等の開設者又は管理者

内容:① 知事からの協議参加要請があったときは、協議参加に努力する。
   ② 知事からの都道府県医療審議会出席要請があったときは、出席・理由等の説明に努力する。

病床数の管理正の調整(法第30条の16)

行政の指示(第1項)

目的:医療計画において構想区域ごとに定めた機能区分別の病床必要量を踏まえた、現実の当該機能区分に該当する病床数の調整

指示(要請)の主体:都道府県知事

対象者:構想区域等における病床機能報告対象病院等の開設者・管理者

指示(要請)の発動要件:(次の①~③のいずれか)
① 協議の場における協議が調わないとき
② 協議の場への関係者の不参加その他の理由により協議の場における協議を行うことが困難であると認められるとき
③ 関係者が、協議の場において調った事項を履行しないとき

指示(要請)の内容:医療計画上の将来必要と見込まれている病床数に対して今ある病床数が足りていない機能の医療を提供することその他必要な措置の指示/要請

指示(要請)の際の条件:
① 都道府県医療審議会の意見を聴くこと
② 第7条の2第1項各号に掲げる者が開設する病床機能報告対象病院等には指示、それ以外の者が開設する病床機能報告対象病院等には要請する。

行政による勧告(法第30条の17)

勧告の主体:都道府県知事

対象者:病床機能報告対象病院等の開設者・管理者であって次のいずれかの要請をされた者
① 基準日病床機能を基準日後病床機能に変更しないことその他必要な措置をとるべきことを要請された者
② 今ある病床数が足りていない機能の医療を提供することその他必要な措置をとるべきことを要請された者

勧告の発動要件:当該開設者・管理者が、正当な理由がなく、要請に係る措置を講じていないとき

勧告の内容:当該措置を講ずべきことの勧告

勧告の際の条件:都道府県医療審議会の意見を聴くこと

行政による公表(法第30条の18)

内容:都道府県知事は、第30条の15第6項の規定による命令第30条の16第1項の規定による指示、又は第30条の17の規定による勧告をした場合、その命令、指示又は勧告を受けた病床機能報告対象病院等の開設者・管理者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。

第四部:地域における外来医療に係る医療提供体制の確保

医療法第5章第4節は、地域の外来医療(いわゆる「かかりつけ医機能」を含む外来医療)を、地域全体で安定的に提供できるようにするための仕組みを定めています。この仕組みでは、行政は、病院等から外来医療・かかりつけ医機能に関する報告を受け、当該報告の内容を公表します。以下、各条文のポイントを整理します。

外来機能報告対象病院等による報告(法第30条の18の2)

◇提供する外来医療等の報告(第1項)

目的:地域における外来医療に係る病院及び診療所の機能の分化及び連携の推進

報告主体:外来医療を提供する病床機能報告対象病院等(外来機能報告対象病院等)の管理者

内容:外来医療に関する所定の事項をその所在地の都道府県知事に報告しなければならない。

報告事項:具体的な報告項目は、法・省令・様式で定められています。

報告の未実施・虚偽報告への行政の対応(第2項)

対応主体:都道府県知事

内容:第1項に規定される報告がされず、又は虚偽の報告があったときは、報告の実施又は報告内容の是正を命ずることができる。

受命者:外来機能報告対象病院等の開設者

報告の実施・是正外来機能報告対象病院等の管理者

報告事項の行政による公表(第3項)

公表の主体:都道府県知事

内容:外来機能報告対象病院等によって報告された事項の公表

命令不服従への行政の対応(第3項)

対応主体:都道府県知事

内容:第2項の規定による命令をした場合、その命令を受けた外来機能報告対象病院等の開設者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。

無床診療所による報告(法第30条の18の3)

提供する外来医療等の報告(第1項)

目的:地域における外来医療に係る病院及び診療所の機能の分化及び連携の推進

報告主体:患者を入院させるための施設を有しない診療所(無床診療所)の管理者

内容:外来医療に関する所定の事項をその診療所の所在地の都道府県知事に報告することができる

報告事項:具体的な報告項目は、法・省令・様式で定められています。

報告事項の行政による公表(第2項)

公表の主体:都道府県知事

内容:無床診療所によって報告された事項の公表

かかりつけ医機能報告対象病院等の報告(法第30条の18の4)

機能等の報告(第1項)

目的:慢性の疾患を有する高齢者その他の継続的な医療を要する者として厚生労働省令で定める者(継続的な医療を要する者)に対するかかりつけ医機能の確保

報告主体:地域におけるかかりつけ医機能を確保するために必要な病院又は診療所として厚生労働省令で定めるもの(かかりつけ医機能報告対象病院等)の管理者

内容:かかりつけ医機能に関する所定の事項をその病院等の所在地の都道府県知事に報告しなければならない。

報告事項:具体的な報告項目は、法・省令・様式で定められています。

行政による確認等(第2項)

確認の主体:都道府県知事

内容:報告をした病院等のかかりつけ医機能に関わる事項が、当該機能の確保に係る体制として厚生労働省令で定める要件に該当していることを確認する。

変更の報告(第4項)

報告主体:かかりつけ医機能報告対象病院等の管理者

内容:当該確認を受けた体制について変更が生じたときは、変更の旨を都道府県知事に報告する。

確認の主体:都道府県知事

内容:体制変更の報告を受けた後、当該変更が生じた体制が厚生労働省令で定める要件に該当することを確認する。

行政による公表(第3項、第5項)

公表の主体:都道府県知事

内容:報告に係る体制が、厚生労働省で定める要件に該当することを確認したときは、その旨を第30条の18の5第1項に規定する協議の場に報告するとともに、これを公表する。

報告の未実施・虚偽報告への行政の対応(第6項)

対応主体:都道府県知事

内容:第1項第4項に規定される報告がされず、又は虚偽の報告があったときは、報告の実施又は報告内容の是正を命ずることができる。

受命者:かかりつけ医機能報告対象病院等の開設者

報告の実施・是正かかりつけ医機能報告対象病院等の管理者

行政による公表(第7項)

公表の主体:都道府県知事

内容:かかりつけ医機能報告対象病院等管理者の報告事項を公表する。

命令不服従への行政の対応(第7項)

対応主体:都道府県知事

内容:第6項の規定による命令をした場合、その命令を受けたかかりつけ医機能報告対象病院等の開設者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。

協議の場の設置(第1項)

 都道府県は、対象区域ごとに、協議の場を設ける。

対象区域とは:
 医療計画における病院・診療所の病床の整備を図るべき地域的単位として区分する区域その他の当該都道府県の知事が適当と認める区域のこと

協議の内容:

  • 対象区域内のかかりつけ医機能を含む外来医療に係る医療提供体制の状況に関する事項
  • 対象区域内のかかりつけ医機能を含む外来医療に係る医療提供体制を確保するために必要な事項

協議の参加者:

  1.  対象区域内に存在する診療に関する学識経験者の団体その他の医療関係者
  2.  対象区域内に存在する医療保険者その他の関係者

 ①と②の参加者を合わせて「関係者」と呼びます。

協議結果の公表:都道府県は、協議の結果を取りまとめ、公表する。

関係者の努力義務(第2項)

 第1項に規定する関係者には、次の努力義務があります。

  • 都道府県が行う協議への参加協力
  • 協議の場において関係者間でまとまった事項の実施協力

市町村の協議への参加(第3項)

内容:都道府県は、以下の事項を協議する場合には、関係する市町村の参加を求める。

  • 医療と密接に関連するサービスを提供する事業者との連携その他医療と密接に関連するサービスに関する事項

考慮事項:協議に際しては、市町村が作成した当該事項に関する市町村計画、市町村介護保険事業計画その他医療と密接に関連するサービスに関する計画の内容を考慮するものとする。

協議における配慮(第4項)

内容:都道府県は、協議に際してはは、以下の状況について留意する。

  • 対象区域における住民の健康保持推進に関する施策の実施状況
  • 高齢者保健事業その他これと一体的に行われる事業の実施状況
  • 地域包括ケアシステムの構築に向けた取組の状況

対象区域と構想区域等の関係(第5項、第6項)

内容:対象区域が構想区域等と一致する場合には、都道府県は、対象区域における協議の場に代えて、構想区域等における協議の場において、第1項に定める事項について協議を行うことができる。

関係者の努力義務:

  • 都道府県が行う協議への参加協力
  • 協議の場において関係者間でまとまった事項の実施協力

第五部:医療従事者の確保等に関する施策等

医療法第5章第5節は、医療従事者を確保するための行政の施策等を定めています。医師・看護師等の偏在や不足に対応し、勤務環境改善や働き方改革を進めるための政策的枠組みがまとめられています。

 第30条の19は、本節で唯一、病院・診療所の管理者に対する努力義務を規定しています。管理者は、医療従事者の確保に資する措置(例:勤務環境の改善)を講ずるよう努めなければなりません。

 第30条の20~第30条の27は、医療従事者の確保に向けた国・都道府県の役割を定めています。病院・診療所が行う取組への支援、勤務環境改善支援、教育訓練支援、医療職偏在対策など、調整による援助・支援の仕組みが規定されています。

第六部:公的医療機関

医療法第5章第6節は、公的医療機関の役割や整備に関する行政の責務を定めています。本節の規定は、医療職が日常業務で直接扱う条文ではありませんが、行政からの要請や制度変更の根拠を理解するうえで知っておくと役立ちます。以下、各条文のポイントを整理します。

 第31条では、公的医療機関が地域において果たすべき役割(地域医療・医療人材の確保など)が示されています。

 第34条では、国が公的医療機関の整備を支援するための基本的な枠組みが規定されています。

 第35条では、地域医療に対する貢献を公的医療機関に求める際の厚生労働大臣や知事の権限が規定されています。

第七部:適切な医療を提供するための医薬品の供給の確保

医療法第5章第7節では、医薬品などの供給を安定的に確保するために、国及び製造(販売)業者等が果たすべき役割が定められています。本節の規定は、医療職が日常業務で直接扱う条文ではありませんが、行政からの要請や制度変更の根拠を理解するうえで知っておくと役立ちます。以下、各条文のポイントを整理します。

特定医薬品の供給不足への対応(法第36条)

 厚生労働大臣は、特定医薬品の供給が不足し、又は不足するおそれがある場合に、製造(販売)業者、卸売販売業者、薬局開設者、病院・診療所の開設者等に対し、必要な協力を求めることができます。

 なお、「特定医薬品」とは、要指導医薬品・一般用医薬品・薬局製造販売医薬品など、販売状況の把握が不要とされる医薬品を除くものを指します。

安定供給確保指針の策定(法第37条)

 厚生労働大臣は、供給確保が必要な特定医薬品(供給確保医薬品)及びその製造に必要不可欠な原材料(供給確保医薬品等)について、安定供給を図るための指針(安定供給確保指針)を定めることとされています。

供給不足防止措置計画(法第38条)

 重要供給確保医薬品及びその製造に必要不可欠な原材料(重要供給確保医薬品等)について、製造(販売)業者は、安定供給確保指針に基づく「供給不足防止措置計画」を作成・届出し、必要に応じて変更届を行う義務があります。また、同計画に沿って、供給不足を未然に防ぐための措置を実施することも求められています。

製造・輸入に関する計画(法第38条の2)

 重要供給確保医薬品等について、製造(販売)業者は、安定供給確保指針に基づく製造等計画を作成・届出し、必要に応じて変更届を行う義務があります。また、同計画に沿って、重要供給確保医薬品等の製造又は輸入を実施することも求められています。

国による支援(法第38条の3)

 国は、重要供給確保医薬品等の供給不足を防ぐための措置を行う又は同医薬品等を製造・輸入する製造(販売)業者に対し、財政的支援など必要な措置を講じることができます。

供給状況の報告義務(法第38条の4)

 供給確保医薬品等を扱う製造(販売)業者、卸売販売業者等は、供給確保医薬品等の製造・輸入・販売・授与の状況について、厚生労働大臣へ報告する義務があります。

協力要請(法第38条の5)

 厚生労働大臣は、供給確保医薬品等の供給不足を未然に防ぐため、製造(販売)業者等に必要な協力を求めることができます。

■報告徴収・立入検査(法第38条の6)

 厚生労働大臣は、供給不足防止措置計画や製造等計画に関して必要がある場合、製造(販売)業者に対し業務・経理の報告を求めたり、職員を事業所に立ち入らせて帳簿・書類などを検査させることができます。

■需給状況の把握(法第38条の7)

 厚生労働大臣は、特定医薬品の需給状況を把握するために必要な情報を調査・分析できます。また、支払基金や国保連は、大臣による調査・分析のため、その保有する調剤情報等を大臣に提供します。

終わりに

 医療法第5章は、医療提供体制の確保から病床機能の管理、外来医療の分化、医療従事者の確保、さらには医薬品供給まで、医療を支える行政の仕組みが幅広く規定されています。医療職の皆さんにとって、これらは日常業務の裏側で動いている制度であり、行政からの要請や報告義務の根拠を理解するうえで欠かせない知識です。

 本記事が、制度の全体像をつかむ一助となれば幸いです。今後も、医療現場で働く方々が安心して業務に取り組めるよう、関連法令や実務ポイントをわかりやすく解説していきます。

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