医療の現場では、薬剤師の役割が年々広がり、法的な位置づけや責務を正しく理解しておくことが欠かせません。医療機関の管理者や医療職を目指す方、行政手続に関わる方が実務で迷わないために、押さえておきたいポイントを簡潔にまとめました。
第一部:薬剤師とは?
■薬剤師の任務(法第一条):
調剤、医薬品の供給その他薬事衛生を担当して公衆衛生の向上・増進に寄与し、国民の健康な生活を確保すること。
第二部:免許と処分
■資格要件(法第二条・第三条)
薬剤師国家試験合格者は、厚生労働大臣の免許を受けられる(第二条・第三条)。
■欠格要件(法第四条・第五条)
未成年者には免許は与えられない(第四条)。
- 次の各号のいずれかに該当する者には、免許が与えられないことがある(第五条)。
- 一 心身の障害により薬剤師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定める者
- 二 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
- 三 罰金以上の刑に処せられた者
- 四 前号に該当する者以外に、薬事に関する犯罪又は不正行為を起こした者
施行規則第一条の二(法第五条第四号関係)
第四号の「厚生労働省令で定める者」は、視覚、聴覚、音声機能若しくは言語機能又は精神の機能の障害により薬剤師の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者です。
施行規則第一条の三(施行規則第一条の二関係)
厚生労働大臣は、前条に規定する者に免許を与えるかどうかを決定するときは、その者が現に利用している障害を補う手段又は現に受けている治療等により障害が補われ、又は障害の程度が軽減している状況を考慮します。
■薬剤師名簿への登録と免許証の交付(法第六条~第七条)
薬剤師国家試験の合格者は、薬剤師名簿への登録を申請し、厚生労働大臣から免許を与えられ、薬剤師免許証を交付されます(第七条第一項・第二項)。
免許を受けようとする者は、住所地の都道府県知事を経由して、必要書類を厚生労働大臣に提出します(施行令第三条)。
薬剤師名簿は厚生労働省に備えられており、薬剤師の登録年月日、第八条第一項の規定による処分に関する事項その他の薬剤師免許に関する事項が薬剤師名簿に登録されます(第六条)。
■薬剤師名簿の登録事項(施行令第四条)
- 登録番号及び登録年月日
- 本籍地都道府県名(日本の国籍を有しない者については、その国籍)、氏名、生年月日及び性別
- 薬剤師国家試験合格の年月
- 法第八条第一項の規定による処分に関する事項
- 法第八条の二第二項に規定する再教育研修を修了した旨
- 前各号に掲げるもののほか、厚生労働大臣の定める事項
- 第六号の「厚生労働大臣の定める事項」は、次の事項です(施行規則第三条)
- 1. 法附則第六項の規定により免許を与える場合には、旧法第七十六条の規定に該当する者であることを明らかにする事実
- 2. 再免許の場合には、その旨
- 3. 免許証を書換交付又は再交付した場合には、その旨並びにその事由及び年月日
- 4. 登録の消除をした場合には、その旨並びにその事由及び年月日
■法第五条第一号の適用時の意見聴取(法第七条の二)
薬剤師の免許を申請した者が第五条第一号に掲げる者に該当するために免許を与えないことにされた場合、その者は、その旨を通知され、厚生労働大臣指定の職員による意見聴取を受けることになります
薬剤師名簿への登録・各免許証に関する事務規定
■薬剤師名簿の訂正(施行令第五条)
第四条第二号の登録事項に変更があったときは、30日以内に薬剤師名簿の訂正を申請しなければなりません(第一項)。
具体的な手続:
- 提出書類(第二項)
- 申請書
- 訂正事項に関する変更があったことを証明する書類
- 訂正の申請を行う場合には、住所地の都道府県知事を経由します(第五項)。
■登録の消除(施行令第六条)
薬剤師は、薬剤師名簿の登録の抹消を申請するときは、住所地の都道府県知事を介して申請書を厚生労働大臣に提出します(第一項)。
薬剤師が死亡し、又は失踪宣告を受けたときは、死亡又は失踪の届出義務者は、30日以内に、薬剤師名簿の登録の消除を申請しなければなりません。ただし、電子情報処理組織を使用して申請を行うときは、都道府県知事を経由する必要はありません(第二項)。
「失踪宣告」とは
ある人が行方不明となり、その行方不明者の生死が7年間明らかではない場合、又は戦争・海難事故・地震等が原因で行方不明となり、その行方不明者の生死が1年間明らかではない場合に、その行方不明者の利害関係人の申し立てを受け、家庭裁判所はその行方不明者について失踪宣告することができます。
■登録消除の制限(施行令第七条)
罰金以上の刑に処せられたり、薬事に関する犯罪・不正行為を行ったり、又は薬剤師としての品位を損なう行為を行ったりした薬剤師は、法第八条第一項の規定により免許の取消し処分を受ける可能性があります。
免許取消しの決定は法第八条に規定される手続を経て成されるため、処分に関する事項の薬剤師名簿への記載を避けたい薬剤師は、その手続の前に薬剤師名簿の登録消除を申請する可能性があります。
そのため、施行令第七条は、このような場合に、厚生労働大臣は、当該処分に関する手続が完了するまでは、当該薬剤師に関わる薬剤師名簿の登録を消除しないことができると定めています。
■免許証の書換交付(施行令第八条)
免許証の書換交付は、免許証の記載事項に変更が生じたときに申請できます(第一項)。
具体的な手続:
免許証の書換交付の申請は、申請書に免許証を添え、住所地の都道府県知事を経由して厚生労働大臣に提出することで行います(第二項)。
■免許証の再交付(施行令第九条)
免許証の再交付は、免許証を失くしたり損傷したりしたときに申請できます。
具体的な手続:
- 免許再交付の申請は、住所地の都道府県知事を介して行います(第二項)。
- 損傷した免許証の代わりを申請をする場合には、申請書にその損傷した免許証を添えます(第四項)。
- 失した免許証が見つかったときは、5日以内に、住所地の都道府県知事を介して厚生労働大臣に古い免許証を返納します(第五項)。
■免許証の返納(施行令第十条)
薬剤師名簿の登録の消除を申請するとき:
薬剤師は、住所地の都道府県知事を介して免許証を厚生労働大臣に返納します(第一項)。
薬剤師が死亡又は失踪した場合に薬剤師名簿の登録の抹消を申請するときも、届出義務者は住所地の都道府県知事を介して免許証を厚生労働大臣に返納します。ただし、電子情報処理組織を使用して申請を行うときは、都道府県知事を経由する必要はありません(第三項)。
免許の取消処分を受けたとき:
薬剤師は、5日以内に、住所地の都道府県知事を介して免許証を厚生労働大臣に返納します(第二項)。
薬剤師の処分(法第八条関係)
■処分の種類(法第八条)
薬剤師が第五条各号のいずれかに該当したり、薬剤師としての品位を損なうような行為を行ったりしたときは、その薬剤師は、次の処分を厚生労働大臣から受ける可能性があります(第一項)。
- 1. 戒告
- 2. 三年以内の業務の停止
- 3. 免許の取消し
薬剤師について第一項各号の処分が必要であると認められるとき、都道府県知事は、その旨を厚生労働大臣に伝えなければなりません(第二項)。
免許の取消処分を受けた者であっても、その後の事情により再免許が与えられる場合があります。ただし、第五条第三号若しくは第四号に該当し、又は薬剤師としての品位を損なうような行為があったとして取消処分を受けた者については、取消処分の日から起算して5年が経過しなければ、再免許が与えられることはありません(第三項)。
■行政処分の原因となる事案
行政処分の原因となる事案が、次のように、保健師、助産師、看護師に対する行政処分の考え方(平成28年12月14日現在)に掲げられています。
- 薬剤師法違反(無資格調剤、処方箋応需義務違反等)
- 身分法(医師法・保健師助産師看護師法等)違反
- 医薬品医療機器法(薬機法)違反(医薬品無許可販売等)
- 麻薬及び向精神薬取締法違反・覚せい剤取締法違反・大麻取締法違反
- 殺人及び傷害
- 業務上過失致死傷(交通事犯)
- 業務上過失致死傷(医療過誤・調剤過誤)
- 危険運転致死傷
- わいせつ行為等
- 贈収賄等
- 詐欺・窃盗
- 文書偽造
- 税法違反
- 診療報酬及び調剤報酬の不正請求等
■処分の手続(法第八条)
第八条の第四項~第十八項は、行政が行う薬剤師の処分の手続について定めています。
【行政による処分の流れ】

【行政処分の手続概要】
| 戒告 | 業務停止 | 免許取消 | |
|---|---|---|---|
| 決定権者 | 厚生労働大臣 | 厚生労働大臣 | 厚生労働大臣 |
| 実務者 | 都道府県知事、又は 医道審議会の委員 | 都道府県知事 | |
| 必要な手続(ステップ1) | 医道審議会の意見聴取 | 医道審議会の意見聴取 | 医道審議会の意見聴取 |
| (ステップ2) | 通知 | 通知 | 通知 |
| (ステップ3) | 弁明の聴取 | 弁明の聴取 | 意見の聴取 |
| (ステップ4) | 聴取書・報告書の作成 意見書の作成 | 調書・報告書の作成 意見書の作成 | |
| (ステップ5) | 処分の決定 | 処分の決定 | 処分の決定 |
【行政処分の手続詳細】
ステップ1:
厚生労働大臣は、第八条の第一項若しくは第三項に規定する処分をするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴きます(第四項)。
ステップ2(意見の聴取の場合):
- 厚生労働大臣は、第八条第一項の規定による免許の取消処分をしようとするときは、都道府県知事に対し、当該処分に係る者に対する意見の聴取を行うことを求め、それをもって厚生労働大臣による聴聞に代えることができます(第五項)。
- 前項の規定に基づく都道府県知事による意見の聴取には、行政手続法の規定を準用します(第六項)。
- 都道府県知事は、意見の聴取を行うに当たり、聴取を行う期日までに相当な期間をおいて、取消処分の名宛人に対し、次の事項を書面により通知します。
- 1. 第一項の規定を根拠として当該処分をしようとする旨及びその内容
- 2. 当該処分の原因となる事実
- 3. 意見の聴取の日時及び場所
- 4. 意見聴取に関する事務を所掌する組織の名称及び所在地
- 取消処分の名宛人は、意見の聴取が終結する時までの間、取消処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができます。
- 都道府県知事は、意見の聴取を行うに当たり、聴取を行う期日までに相当な期間をおいて、取消処分の名宛人に対し、次の事項を書面により通知します。
- 厚生労働大臣は、都道府県知事から処分の原因となる事実を証明する書類その他意見の聴取を行う上で必要となる書類を求められた場合には、速やかにそれらを当該都道府県知事に送付します(第七項)。
ステップ2’(弁明の聴取の場合):
- 厚生労働大臣は、第八条第一項の規定による業務の停止の命令をしようとするときは、都道府県知事に対し、当該処分に係る者に対する弁明の聴取を行うことを求め、それをもって厚生労働大臣による弁明の機会の付与に代えることができます(第十一項)。
- 都道府県知事は、弁明の聴取を行うに当たり、弁明の聴取を行う日時までに相当な期間をおいて、当該処分に係る者に対し、次に掲げる事項を書面により通知します(第十二項)。
- 1. 第八条第一項の規定を根拠として当該処分をしようとする旨及びその内容
- 2. 当該処分の原因となる事実
- 3. 弁明の聴取の日時及び場所
- 厚生労働大臣は、都道府県知事に代えて、医道審議会の委員に、当該処分に係る者に対する弁明の聴取を行わせることができます(第十三項)。
ステップ3:
- 意見の聴取の通知を受けた者は、意見の聴取の際に、意見陳述・反証提出することができ、代理人にそれを行わせることもできます(行政手続法第二十条)。
- 弁明の聴取の通知を受けた者は、弁明の聴取の際に、意見陳述・反証提出することができ、代理人にそれを行わせることもできます(第十四項)。
ステップ4(意見の聴取の場合):
- 意見の聴取の主宰者は、意見の聴取の期日ごとに聴取の経過を記載した調書を作成し、意見の聴取の終結後速やかに報告書を作成して調書を添えて都道府県知事に提出します(行政手続法第二十四条)。
- 都道府県知事は、意見聴取の調書と報告書を保存し、当該調書と報告書の写しを厚生労働大臣に提出します。都道府県知事は、当該処分の決定についての意見があるときは、当該写しに加えて当該意見を記載した意見書を提出します(第八項)。
- 厚生労働大臣は、意見の聴取の終結後に生じた事情に鑑み必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、提出済みの調書及び報告書の写し並びに意見書を返戻して主宰者に意見の聴取の再開を命ずるよう求めることができます(第九項)。
ステップ4’(弁明の聴取の場合):
- 都道府県知事又は医道審議会の委員は、弁明の聴取を行ったときは、聴取書を作り、これを保存するとともに、報告書を作成し、厚生労働大臣に提出します。都道府県知事又は医道審議会の委員は、当該処分の決定についての意見があるときは、当該意見を報告書に記載します(第十五項)。
- 意見の聴取の場合と異なり、薬剤師法には厚生労働大臣が弁明の聴取の再開を命ずる規定はありません。
ステップ5:
- 厚生労働大臣は、第六項の規定により提出された意見書並びに調書及び報告書の写しの内容を十分参酌して免許の取消処分の決定をします(第十項)。
- 薬剤師法には明記されていませんが、厚生労働大臣は、第十五項の規定により提出された意見書並びに聴取書及び報告書の写しの内容を十分参酌して業務の停止処分の決定をします
薬剤師に対して戒告処分を行う場合には、薬剤師法に定められているその手続は、医道審議会の意見聴取のみです。それ故、薬剤師の戒告処分の手続は、行政手続法の枠組みで行われると理解されます。
■再教育研修(法第八条の二)
- 次の者は、厚生労働省令で定める「再教育研修」を受けるよう、厚生労働大臣から命ぜられる可能性があります(第一項)。
- 第八条第一項の規定により戒告(第一号)処分を受けた薬剤師
- 第八条第一項の規定により業務停止(第二号)処分を受けた薬剤師
- 第八条第三項の規定により薬剤師の再免許を受けようとする者
再教育研修の内容は、施行規則第七条の二に定められています。
再教育研修に関する事務規定:
再教育研修の修了者は、再教育研修を修了した旨の薬剤師名簿への登録を申請し、厚生労働大臣から再教育研修修了登録証を交付されます(第二項・第三項)。
■調査のための権限(法第八条の三)
- 厚生労働大臣は、医師について第七条第一項の規定による処分をすべきか否かを調査する必要があると認めるときは、次の措置を講じることができます(第一項)。
- 当該事案の関係者・参考人からの意見・報告の徴収
- 調剤録その他の物件の提出命令
- 職員による当該事案に関係のある薬局その他の場所への立ち入り及び調剤録その他の物件の検査
- 前項の規定により立入検査をしようとする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求に応じてこれを提示します(第二項)。
- 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものではありません(第三項)。
■届出(法第九条)
薬剤師は、2年ごとに、自身に関する情報をその住所地の都道府県知事を介して厚生労働大臣に届け出なければなりません。
届出事項(厚生労働省令で定める2年ごとの年の12月31日現在における情報):
- 氏名
- 住所
- その他厚生労働省令で定める事項(様式第六に記載の事項:施行規則第七条第二項)
届出期日:翌年の1月15日
施行規則第七条(法第九条関係)
「厚生労働省令で定める2年ごとの年」とは、昭和57年(1982年)を初年とする2年ごとの年です(第一項)。
再教育研修(法第八条の二関係)
法第八条の二に定める再教育研修の詳細は、薬剤師法施行規則で規定されています。
<再教育研修>
■法第八条の二の厚生労働省令で定める研修
- 法第八条の二第一項の厚生労働省令で定める再教育研修は、次の研修です(施行規則第七条の二)。
- 1. 倫理研修(薬剤師としての倫理の保持に関する研修)
- 2. 技術研修(薬剤師としての知識及び技能に関する研修)
施行規則第七条の二に規定するこれらの研修が厚生労働大臣によって行われる(集合研修等の)場合、その受講料は、再教育研修を受けることになった事由によって異なります(施行規則第七条の三)。
再教育研修を受けようとする者は、厚生労働大臣主催の集合研修を受講するか、集合研修並びに課題研修又は厚生労働大臣から命ぜられた個別研修を受講します。
| 再教育研修の対象 | 再教育研修の形態 |
|---|---|
| 戒告処分を受けた者 | 集合研修 |
| 1年未満の業務停止処分を受けた者 | 集合研修+課題研修又は集合研修+個別研修 |
| 1年以上の業務停止処分を受けた者 再免許を受けようとする者 | 集合研修+個別研修 |
施行規則第七条の四・第七条の五は、この「個別研修」について定めています。
【再教育研修(個別研修)の流れ】

<研修命令から研修修了まで>
■個別研修計画書の作成(施行規則第七条の四)
(再教育研修受講者の役割)
倫理研修又は技術研修(集合研修及び課題研修を除く「個別研修」)に係る法第八条の二第一項の命令(「再教育研修命令」)を受けた者は、個別研修を開始しようとする日の30日前までに、次の事項を記載した個別研修計画書を作成し、厚生労働大臣に提出します(第一項)。
- 1. 氏名、生年月日並びに薬剤師名簿の登録番号及び登録年月日(法第八条第二項の規定により再免許を受けようとする者は、氏名及び生年月日)
- 2. 個別研修の内容
- 3. 個別研修の実施期間
- 4. 助言指導者(個別研修に係る再教育研修命令を受けた者に対して助言、指導等を行う役割を有する、厚生労働大臣が指名した者)の氏名
- 5. その他必要な事項
(助言指導者の役割)
助言指導者は、個別研修計画書の作成に協力し(第二項)、その内容が適切であることを確認して署名します(第三項)。厚生労働大臣には助言指導者が署名した個別研修計画書を提出します(第三項)。
(厚生労働大臣の役割)
厚生労働大臣は、再教育研修を適正に実施するために必要と認める場合には、個別研修計画書の記載事項を変更するよう命じることができます(第四項)。
■個別研修修了報告書(施行規則第七条の五)
(再教育研修受講者の役割)
個別研修に係る再教育研修命令を受けた者は、個別研修修了後、速やかに、次の事項を記載した個別研修修了報告書を作成し、厚生労働大臣に提出します(第一項)。
- 1. 氏名、生年月日並びに薬剤師名簿の登録番号及び登録年月日(法第八条第二項の規定により再免許を受けようとする者は、氏名及び生年月日)
- 2. 個別研修の内容
- 3. 個別研修を開始し、及び修了した年月日
- 4. 助言指導者の氏名
- 5. その他必要な事項
(助言指導者の役割)
助言指導者は、再教育研修命令を受けた者が当該個別研修を修了したことを確認して署名します(第三項)。厚生労働大臣には、個別研修計画書の写しを添えて、助言指導者が署名した個別研修修了報告書を提出します(第二項・第三項)。
(厚生労働大臣の役割)
厚生労働大臣は、個別研修修了報告書の提出を受けて、再教育研修命令を受けた者が個別研修を修了したと認めるときは、個別研修修了証を交付します(第四項)。
<研修修了後>
■再教育研修を修了した旨の登録の申請(施行規則第七条の六)
法第八条の二第二項の規定による再教育研修を修了した旨の薬剤師名簿への登録を受けようとする者は、様式第六の二による申請書に免許証の写しを添え、これを厚生労働大臣に提出します(第一項)。
第二項・第三項の説明は、省略します。
■再教育研修修了登録証の書換交付申請(施行規則第七条の八)
再教育研修を修了した旨の登録を受けた薬剤師(「再教育研修修了登録薬剤師」)は、再教育研修修了登録証の記載事項に変更が生じたときは、再教育研修修了登録証の書換交付を申請することができます(第一項)。
第二項・第三項の説明は、省略します。
■再教育研修修了登録証の再交付申請(施行規則第七条の九)
再教育研修修了登録保健師等は、再教育研修修了登録証を失くしたり損傷したりしたときは、再教育研修修了登録証の再交付を申請することができます(第一項)。
具体的な手続:
- 申請書に免許証の写しを添え、厚生労働大臣に提出します(第二項)。
- 損傷した再教育研修修了登録証の代わりを申請をする場合には、申請書にその損傷した再教育研修修了登録証及び免許証の写しを添えます(第四項)。
- 失くした再教育研修修了登録証が見つかったときは、5日以内に、古い再教育研修修了登録証を厚生労働大臣に返納します(第五項)。
第三部:業務
■調剤業務の資格制限(法第十九条)
薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはなりません。
ただし、医師・歯科医師が次に掲げる場合において自己の処方箋により自ら調剤するとき、又は獣医師が自己の処方箋により自ら調剤するときは、この制限に当たりません。
- 1. 患者又は現にその看護に当たっている者が特にその医師又は歯科医師から薬剤の交付を受けることを希望する旨を申し出た場合
- 2. 医師法第二十二条第一項各号の場合又は歯科医師法第二十一条第一項各号の場合
■名称の使用制限(法第二十条)
薬剤師でない者は、薬剤師又はこれに紛らわしい名称を使用してはなりません。
■調剤の求めに応じる義務(法第二十一条)
調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあった場合には、正当な理由がなければ、これを拒んではなりません。
■場所の制限(法第二十二条)
薬剤師は、薬局以外の場所において、販売・授与の目的で調剤してはなりません。
ただし、薬剤師は、医療を受ける者の居宅その他の厚生労働省令で定める場所(「居宅等」)において、医師・歯科医師が交付した処方箋により、その居宅等において調剤の業務のうち厚生労働省令で定めるものを行うことができます。
| 号 | 場所 | 場所・施設を規定する法令 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| 1 | 居宅 | ||
| 2-イ | 乳児院 母子生活支援施設 児童養護施設 福祉型障害児入所施設 児童自立支援施設 | 児童福祉法 | |
| 2-ロ | 救護施設 更生施設 | 生活保護法 | |
| 2-ハ | 養護老人ホーム 特別養護老人ホーム 軽費老人ホーム | 老人福祉法 | |
| 2-ニ | 障害者支援施設 福祉ホーム | 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律 | |
| 2-ホ | 女性自立支援施設 | 困難な問題を抱える女性への支援に関する法律 | |
| 3 | 医療法施行規則に規定する医療を受ける者が療養生活を営むことができる場所であって、医療法に規定する医療提供施設以外の場所(前各号に掲げる場所を除く) | サ高住 グループホーム 等 |
施行規則第十三条の二(法第二十二条関係)
調剤業務のうち厚生労働省令で定めるものは、次の業務です。
- 1-1. 処方箋中に疑わしい点があるかどうかを確認する業務
- 1-2. 処方箋中に疑わしい点があるときは、その処方箋を交付した医師又は歯科医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめる業務
- 2. 処方箋を交付した医師又は歯科医師の同意を得て、その処方箋に記載された医薬品の数量を減らして調剤する業務
二号の業務は、調剤された薬剤の全部若しくは一部が不潔なったり、変質したり、異物が混入したり、病原微生物その他に汚染されたりするおそれがない場合に限り、行うことができます。
また、次の場合には、薬局以外の場所における販売・授与目的での調剤の制限は、適用されません。
- 病院・診療所・飼育動物診療施設の調剤所においてその病院・診療所・飼育動物診療施設で診療に従事する医師・歯科医師・獣医師の処方箋によって調剤する場合
- 災害その他特殊の事由により薬剤師が薬局において調剤することができない場合
- その他の厚生労働省令で定める特別の事情がある場合
「飼育動物診療施設」とは
獣医師が動物の診療を行う動物病院のことです。往診のみによって飼育動物の診療を行う獣医師の住所も飼育動物診療施設に含まれます。
施行規則第十三条の三(法第二十二条関係)
「厚生労働省令で定める特別の事情」は、次の事情です。
- 災害その他特殊の事由により薬剤師が薬局において調剤することができない場合
- 患者が負傷等により寝たきりだったり歩行困難だったりする場合、患者や現にその看護に当たっている者が運搬することが困難な物が処方された場合その他これらに準ずる場合に、薬剤師が医療を受ける者の居宅等を訪問して施行規則第十三条の二の業務を行う場合
■処方箋に基づく調剤の制限(法第二十三条・第二十四条)
薬剤師による調剤業務には、次の制限があります。
- 医師・歯科医師・獣医師の処方箋によらなければ、販売・授与の目的で調剤してはならない(第二十三条第一項)。
- 処方箋に記載された医薬品について、その処方箋を交付した医師・歯科医師・獣医師の同意を得なければ、その医薬品を変更して調剤してはならない(第二十三条第二項)。
- 処方箋中に疑わしい点があるときは、その処方箋を交付した医師・歯科医師・獣医師に問い合わせて、その疑問点を確かめた後でなければ、その処方箋によって調剤してはならない(第二十四条)。
■調剤された薬剤の表示(法第二十五条)
薬剤師は、販売・授与目的で調剤した薬剤の容器や被包に、処方箋に記載された患者の氏名、用法、用量その他厚生労働省令で定める事項を記載しなければなりません。
施行規則第十四条(法第二十五条関係)
調剤された薬剤の容器や被包に記載しなければならない事項は、患者の氏名、用法及び用量のほか、次のとおりです。
- 調剤年月日
- 調剤した薬剤師の氏名
- 調剤した薬局又は病院・診療所・飼育動物診療施設の名称及び所在地
■情報の提供及び指導(法第二十五条の二)
薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、患者又は現にその看護に当たっている者に対し、必要な情報の提供・必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければなりません。
| 項 | 情報提供・指導の態様 |
|---|---|
| 第一項 | 販売・授与目的で調剤したときに行う |
| 第二項 | 目的達成のために必要があると認める場合に、患者の当該薬剤の使用状況を継続的かつ的確に把握して行う |
■処方箋の記入・保存義務(法第二十六条・第二十七条)
薬剤師は、調剤したときは、処方箋に対して次の事項を記入・実施します(第二十六条)。
- 調剤済みの旨(調剤済みとならなかったときは、調剤した量)の記入
- 調剤年月日の記入
- その他厚生労働省令で定める事項の記入
- 記名押印又は署名
施行規則第十五条(法第二十六条関係)
その他厚生労働省令で定める事項は、次のとおりです。
薬局で調剤済みとなつた処方せんは、調剤済みとなつた日から3年間、保存しなければなりません。保存義務者は、薬剤師ではなく薬局開設者です(第四十条)。
■調剤録の記入・保存義務(法第二十八条)
- 薬局開設者は、薬局に調剤録を備えなければなりません(第一項)。
- 薬剤師は、薬局で調剤したときは、調剤録に厚生労働省令で定める事項を記入します(第二項)。
- 薬局開設者は、調剤録を、最終の記入の日から3年間、保存しなければなりません(第三項)。
施行規則第十六条(法第二十八条関係)
調剤録の記載事項は、次のとおりです。
- 患者の氏名及び年令
- 薬名及び分量
- 調剤並びに情報の提供及び指導を行つた年月日
- 調剤量
- 調剤並びに情報の提供及び指導を行つた薬剤師の氏名
- 情報の提供及び指導の内容の要点
- 処方箋の発行年月日
- 処方箋を交付した医師、歯科医師又は獣医師の氏名
- 前号の者の住所又は勤務する病院若しくは診療所若しくは飼育動物診療施設の名称及び所在地
- 施行規則第十五条第二号及び第三号に掲げる事項
第四部:雑則
■公表事項(法第二十八条の二)
厚生労働大臣は、医療を受ける者その他国民による薬剤師の資格の確認及び医療に関する適切な選択に資するよう、薬剤師の氏名その他の政令で定める事項を公表します。
法第二十八条の二の「政令で定める事項」は、次の通りです(施行令第十四条)。
- 薬剤師の氏名及び性別
- 薬剤師名簿の登録年月日
- 法第八条第一項第一号に掲げる処分に関する事項(当該処分を受けた薬剤師であつて、法第八条の二第一項の規定による当該処分に係る再教育研修の命令を受け、当該再教育研修を修了していないものに係るものに限る。)
- 法第八条第一項第二号に掲げる処分であつて次のいずれかに該当するものに関する事項
- イ 厚生労働大臣が定めた業務の停止の期間を経過していない薬剤師に係る処分
- ロ 当該処分を受けた薬剤師であつて、法第八条の二第一項の規定による当該処分に係る再教育研修の命令を受け、当該再教育研修を修了していないものに係る処分
第五部:罰則
| 違反内容 | 条項 | 罰則 (違反者) | 罰則 (法人*) |
|---|---|---|---|
| 第十九条の規定に違反した(医師、歯科医師及び獣医師を除く) | 第二十九条 | 3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金** | |
| 第八条第一項の規定により業務の停止を命ぜられたが、当該停止期間中に業務を行った | 第三十条第一号 | 1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金** | |
| 第二十二条、第二十三条、又は第二十五条の規定に違反した | 第三十条第二号 | 1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金** | |
| 第八条の二第一項の規定による命令に違反して再教育研修を受けなかった | 第三十二条第一号 | 50万円以下の罰金 | |
| 第八条の三の規定による陳述・報告をせず、虚偽の陳述・報告をし、物件を提出せず、又は検査を拒否・妨害・忌避した | 第三十二条第二号 | 50万円以下の罰金 | 50万円以下の罰金 (第二十七条又は第二十八条第一項若しくは第三項に関係する場合) |
| 第九条の規定に違反した | 第三十二条第三号 | 50万円以下の罰金 | |
| 第十九条の規定に違反した医師、歯科医師及び獣医師 | 第三十二条第四号 | 50万円以下の罰金 | |
| 第二十条の規定に違反した | 第三十二条第五号 | 50万円以下の罰金 | |
| 第二十四条又は第二十六条、第二十七条、第二十八条までの規定に違反した | 第三十二条第六号 | 50万円以下の罰金 | 50万円以下の罰金 (第二十七条又は第二十八条第一項若しくは第三項に関係する場合) |
** 拘禁刑と罰金が併科される場合あり
終わりに
医療現場で薬剤師というと、市中の調剤薬局で働く姿がよく知られています。しかし、薬剤師法が定める職能は市中や病院内の薬局にとどまらず、施行規則第十三条に規定される介護施設などの多様な場面でも発揮されています。このような施設内薬剤師は、処方内容の確認や調剤だけでなく、入院者・入所者の薬物療法の安全管理、医師・看護師・介護職との連携、医薬品の適正使用の推進など、医療チームの一員として欠かせない存在です。
薬剤師法を手がかりにすると、こうした薬剤師の活動領域の広がりと、それを支える法制度の意図が見えてきます。今後も、医療や行政手続に関わる法律を少しずつ取り上げ、実務に役立つ視点を整理していきます。
