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保健師・助産師・看護師の資格・処分・業務をわかりやすく解説|保健師助産師看護師法のポイント

医療等
この記事は約23分で読めます。

 医療現場では、保健師・助産師・看護師・准看護師がそれぞれ異なる役割と責任を担っています。しかし、その違いや免許制度、処分の仕組みを体系的に理解する機会は意外と多くありません。
本記事では、保健師助産師看護師法を条文に沿って整理し、各職種の業務範囲や免許制度、行政処分の流れまでをまとめました。医療機関の管理者や医療職を目指す方、行政手続に関わる方の参考になれば幸いです。

第一部:保健師・助産師・看護師とは?

法の目的(法第一条)

 保健師、助産師及び看護師の資質の向上、並びにそれによる医療及び公衆衛生の普及と向上

保健師・助産師・看護師の違い(法第二条~第六条)

職種免許権者業務内容
保健師(第二条)厚生労働大臣保健指導に従事
助産師(第三条)厚生労働大臣助産・保健指導に従事
看護師(第五条)厚生労働大臣療養上の世話・診療の補助
准看護師(第六条)都道府県知事医師・歯科医師・看護師の指示の下での療養上の世話・診療の補助

第二部:免許と処分

欠格要件(法第九条)

 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがあります。

  1.  罰金以上の刑に処せられた者
  2.  前号に該当する者を除くほか、保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者
  3.  心身の障害により保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
  4.  麻薬、大麻又はあへんの中毒者

施行規則第一条(法第九条第三号関係)
 第三号の「厚生労働省令で定める者」は、視覚、聴覚、音声機能若しくは言語機能又は精神の機能の障害により保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者です。

施行規則第一条の二(施行規則第一条関係)
 免許権者は、前条に規定する者に免許を与えるかどうかを決定するときは、その者が現に利用している障害を補う手段又は現に受けている治療等により障害が補われ、又は障害の程度が軽減している状況を考慮します。

籍への登録と免許証の交付(法第十条~第十二条)

管理主体登録内容
保健師籍(法第十条)厚生労働省・登録年月日
・第十四条第一項の規定による処分に関する事項
・その他の免許に関する事項
助産師籍(法第十条)厚生労働省・登録年月日
・第十四条第一項の規定による処分に関する事項
・その他の免許に関する事項
看護師籍(法第十条)厚生労働省・登録年月日
・第十四条第一項の規定による処分に関する事項
・その他の免許に関する事項
准看護師籍(法第十一条)都道府県・登録年月日
・第十四条第二項の規定による処分に関する事項
・その他の免許に関する事項

 保健師・助産師・看護師・准看護師の各職種の免許証が交付されるまでの流れは、次の通りです(法第十二条)。

  • 保健師免許証:保健師国家試験及び看護師国家試験に合格⇒保健師籍への登録申請⇒厚生労働大臣からの免許⇒保健師免許証
  • 助産師免許証:助産師国家試験及び看護師国家試験に合格⇒助産師籍への登録申請⇒厚生労働大臣からの免許→助産師免許証の交付
  • 看護師免許証:看護師国家試験の合格⇒看護師籍への登録申請⇒厚生労働大臣からの免許⇒看護師免許証の交付
  • 准看護師免許証:准看護師試験に合格⇒准看護師籍への登録申請⇒都道府県知事からの免許⇒准看護師免許証の交付

籍の登録事項(施行令第二条)

 保健師籍、助産師籍又は看護師籍の登録事項は、次の通りです(第一項)。

  1.  登録番号及び登録年月日
  2.  本籍地都道府県名(日本の国籍を有しない者については、その国籍)、氏名及び生年月日
  3.  保健師籍又は看護師籍にあっては、性別
  4.  保健師国家試験、助産師国家試験又は看護師国家試験合格の年月
  5.  法第十四条第一項の規定による処分に関する事項
  6.  法第十五条の二第三項に規定する保健師等再教育研修を修了した旨
  7.  その他厚生労働大臣の定める事項
  • 第七号の「その他厚生労働大臣の定める事項」は、次の事項です(施行規則第三条)
    • 1. 再免許の場合には、その旨
    • 2. 免許証を書換交付又は再交付した場合には、その旨並びにその事由及び年月日
    • 3. 登録の抹消をした場合には、その旨並びにその事由及び年月日

 准看護師籍の登録事項は、次の通りです(第二項)。

  1.  登録番号及び登録年月日
  2.  本籍地都道府県名(日本の国籍を有しない者については、その国籍)、氏名、生年月日及び性別
  3.  准看護師試験合格の年月及び試験施行地都道府県名
  4.  法第十四条第二項の規定による処分に関する事項
  5.  法第十五条の二第四項に規定する准看護師再教育研修を修了した旨
  6.  その他厚生労働大臣の定める事項
  • 第六号の「その他厚生労働大臣の定める事項」は、次の事項です(施行規則第四条)
    • 1. 再免許の場合には、その旨
    • 2. 免許証を書換交付又は再交付した場合には、その旨並びにその事由及び年月日
    • 3. 登録の抹消をした場合には、その旨並びにその事由及び年月日

法第九条第三号の適用時の意見聴取(法第十三条)

  • 保健師、助産師、看護師又は准看護師の免許を申請した者が第九条第三号に掲げる者に該当するために免許を与えないことにされた場合、その者は、その旨を通知され、意見の聴取を受けることになります。
職種意見の聴取者
保健師(第一項)
助産師(第一項)
看護師(第一項)
厚生労働大臣の指定する職員
准看護師(第二項)都道府県知事の指定する職員

各籍への登録・各免許証に関する事務規定

登録事項の変更(施行令第三条)

 各籍の登録事項に変更があったときは、30日以内に籍の訂正を申請しなければなりません。

職種変更申請の事由申請先
保健師(第一項)施行令第二条第二号又は第三号の登録事項の変更厚生労働大臣
助産師(第二項)施行令第二条第二号の登録事項の変更厚生労働大臣
看護師(第一項)施行令第二条第二号又は第三号の登録事項の変更厚生労働大臣
准看護師(第三項)施行令第二条第二号の登録事項の変更免許を与えた都道府県知事

具体的な手続:

  • 提出書類(第四項)
    • 申請書
    • 訂正事項に関する変更があったことを証明する書類
  • 業務に従事する保健師、助産師若しくは看護師又は准看護師が訂正の申請を行う場合は、就業地の都道府県知事を経由します(第五項)。

登録の抹消(施行令第四条)

職種籍の登録抹消の申請書の提出先
保健師(第一項)
助産師(第一項)
看護師(第一項)
厚生労働大臣
准看護師(第二項)免許を与えた都道府県知事
  • 業務に従事する保健師、助産師若しくは看護師又は准看護師が籍の登録抹消の申請をする場合には、就業地の都道府県知事を経由します(第三項)。

死亡等の場合の登録の抹消(施行令第五条)

 保健師・助産師・看護師・准看護師が死亡し、又は失踪宣告を受けたときは、死亡又は失踪の届出義務者は、30日以内に、籍の登録の抹消を申請しなければなりません(第一項)。

 業務に従事する保健師、助産師若しくは看護師又は准看護師が籍の登録抹消の申請をする場合には、就業地の都道府県知事を経由します(第三項)。

「失踪宣告」とは
 ある人が行方不明となり、その行方不明者の生死が7年間明らかではない場合、又は戦争・海難事故・地震等が原因で行方不明となり、その行方不明者の生死が1年間明らかではない場合に、その行方不明者の利害関係人の申し立てを受け、家庭裁判所はその行方不明者について失踪宣告することができます。

登録抹消の制限(施行令第五条の二)

 罰金以上の刑に処せられたり、保健師・助産師・看護師・准看護師の業務に関する犯罪・不正行為を行ったり、又は保健師・助産師・看護師・准看護師としての品位を損なう行為を行ったりした保健師・助産師・看護師・准看護師は、法十四条の規定により免許の取消し処分を受ける可能性があります。

 免許取消しの決定は法第十四条に規定される手続を経て成されるため、処分に関する事項の保健師・助産師・看護師・准看護師の各籍への記載を避けたい保健師・助産師・看護師・准看護師は、その手続の前に籍の登録抹消を申請する可能性があります。

 そのため、施行令第五条の二は、このような場合に、厚生労働大臣又は都道府県知事は、当該処分に関する手続が完了するまでは、当該保健師・助産師・看護師・准看護師に関わる籍の登録を抹消しないことができると定めています。

免許証の書換交付(施行令第六条)

 免許証の書換交付は、免許証の記載事項に変更が生じたときに申請できます。

職種書換交付の申請書の提出先
保健師(第一項)
助産師(第一項)
看護師(第一項)
厚生労働大臣
准看護師(第二項)免許を与えた都道府県知事

具体的な手続:

 免許証の書換交付の申請は、申請書に免許証を添え、就業地の都道府県知事を経由して免許権者に提出することで行います(第三項・第四項)。

免許証の再交付(施行令第七条)

 免許証の再交付は、免許証を失くしたり損傷したりしたときに申請できます。

職種再交付の申請書の提出先
保健師(第一項)
助産師(第一項)
看護師(第一項)
厚生労働大臣
准看護師(第二項)免許を与えた都道府県知事

具体的な手続:

  • 損傷した免許証の代わりを申請をする場合には、申請書にその損傷した免許証を添えます(第四項)。
  • 失した免許証が見つかったときは、5日以内に、厚生労働大臣又は免許を与えた都道府県知事に返納します(第五項)。
  • 免許再交付の申請又は免許の返納は、就業地の都道府県知事を介して行います(第六項)。

免許証の返納(施行令第八条)

籍の登録の抹消を申請するとき

 免許証の返納は、籍の抹消を申請するとき又は免許の取消処分を受けたときにに行います。

職種免許証の返納先
保健師(第一項・第三項)
助産師(第一項・第三項)
看護師(第一項・第三項)
厚生労働大臣
准看護師(第二項・第四項)免許を与えた都道府県知事
  • 保健師・助産師・看護師・准看護師が死亡又は失踪した場合の届出義務者が籍の抹消を申請する場合も同様に免許証を返納します(第一項・第二項)。
  • 准看護師は、免許の取消処分を受けたときは、5日以内に免許証を返納します(第三項・第四項)。
  • 免許証の返納は、就業地の都道府県知事を介して行います(第五項)。

保健師・助産師・看護師・准看護師の処分(法第十四条・第十五条関係)

処分の種類(法第十四条)

 保健師・助産師・看護師・准看護師が法第九条各号のいずれかに該当したり、保健師・助産師・看護師・准看護師としての品位を損なうような行為を行ったりしたときは、その保健師・助産師・看護師・准看護師は、次の処分を受ける可能性があります(第一項・第二項)。

  • 1. 戒告
  • 2. 三年以内の歯科医業の停止
  • 3. 免許の取消し

処分権者:

  • 保健師・助産師・看護師:厚生労働大臣
  • 准看護師:都道府県知事

 免許の取消処分を受けた者であっても、その後の事情により再免許が与えられる場合があります。ただし、法第九条第一号若しくは第二号に該当し、又は保健師・助産師・看護師・准看護師としての品位を損なうような行為があったとして取消処分を受けた者については、取消処分の日から起算して5年が経過しなければ、再免許が与えられることはありません(第三項)。

行政処分の原因となる事案

 行政処分の原因となる事案が、次のように、保健師、助産師、看護師に対する行政処分の考え方(平成28年12月14日現在)に掲げられています。

  1.  身分法(医師法・保健師助産師看護師法等)違反
  2.  麻薬及び向精神薬取締法違反・覚せい剤取締法違反・大麻取締法違反
  3.  殺人及び傷害
  4.  業務上過失致死傷(交通事犯)
  5.  業務上過失致死傷(医療過誤)
  6.  危険運転致死傷
  7.  わいせつ行為等
  8.  詐欺・窃盗
  9.  診療報酬及び介護報酬の不正請求等

処分の手続(法第十五条)

 法第十五条は、行政が行う保健師・助産師・看護師・准看護師の処分の手続について定めています。

行政による処分の流れ】

保健師・助産師・看護師の処分

行政処分の手続概要

戒告医業停止免許取消
決定権者厚生労働大臣厚生労働大臣厚生労働大臣
実務者都道府県知事、又は
医道審議会の委員
都道府県知事
必要な手続(ステップ1)医道審議会の意見聴取医道審議会の意見聴取医道審議会の意見聴取
(ステップ2)通知通知通知
(ステップ3)弁明の聴取弁明の聴取意見の聴取
(ステップ4)聴取書・報告書の作成
意見書の作成
調書・報告書の作成
意見書の作成
(ステップ5)処分の決定処分の決定処分の決定

行政処分の手続詳細

ステップ1

 厚生労働大臣は、第十四条の第一項若しくは第三項に規定する処分をするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴きます(第一項)。

ステップ2(意見の聴取の場合):

  • 厚生労働大臣は、第十四条第一項の規定による免許の取消処分をしようとするときは、都道府県知事に対し、当該処分に係る者に対する意見の聴取を行うことを求め、それをもって厚生労働大臣による聴聞に代えることができます(第三項)。
  • 前項の規定に基づく都道府県知事による意見の聴取には、行政手続法の規定を準用します(第四項)。
    • 都道府県知事は、意見の聴取を行うに当たり、聴取を行う期日までに相当な期間をおいて、取消処分の名宛人に対し、次の事項を書面により通知します。
      • 1. 第一項の規定を根拠として当該処分をしようとする旨及びその内容
      • 2. 当該処分の原因となる事実
      • 3. 意見の聴取の日時及び場所
      • 4. 意見聴取に関する事務を所掌する組織の名称及び所在地
    • 取消処分の名宛人は、意見の聴取が終結する時までの間、取消処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができます。
  • 厚生労働大臣は、都道府県知事から処分の原因となる事実を証明する書類その他意見の聴取を行う上で必要となる書類を求められた場合には、速やかにそれらを当該都道府県知事に送付します(第五項)。

ステップ2’(弁明の聴取の場合):

  • 厚生労働大臣は、第十四条第一項の規定による業務の停止の命令をしようとするときは、都道府県知事に対し、当該処分に係る者に対する弁明の聴取を行うことを求め、それをもって厚生労働大臣による弁明の機会の付与に代えることができます(第九項)。
  • 都道府県知事は、弁明の聴取を行うに当たり、弁明の聴取を行う日時までに相当な期間をおいて、当該処分に係る者に対し、次に掲げる事項を書面により通知します(第十項)。
    • 1. 第十四条第一項の規定を根拠として当該処分をしようとする旨及びその内容
    • 2. 当該処分の原因となる事実
    • 3. 弁明の聴取の日時及び場所
  • 厚生労働大臣は、都道府県知事に代えて、医道審議会の委員に、当該処分に係る者に対する弁明の聴取を行わせることができます(第十一項)。

ステップ3

  • 意見の聴取の通知を受けた者は、意見の聴取の際に、意見陳述・反証提出することができ、代理人にそれを行わせることもできます(行政手続法第二十条)。
  • 弁明の聴取の通知を受けた者は、弁明の聴取の際に、意見陳述・反証提出することができ、代理人にそれを行わせることもできます(第十二項)。

ステップ4(意見の聴取の場合):

  1.  意見の聴取の主宰者は、意見の聴取の期日ごとに聴取の経過を記載した調書を作成し、意見の聴取の終結後速やかに報告書を作成して調書を添えて都道府県知事に提出します(行政手続法第二十四条)。
  2.  都道府県知事は、意見聴取の調書と報告書を保存し、当該調書と報告書の写しを厚生労働大臣に提出します。都道府県知事は、当該処分の決定についての意見があるときは、当該写しに加えて当該意見を記載した意見書を提出します(第六項)。
  3.  厚生労働大臣は、意見の聴取の終結後に生じた事情に鑑み必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、提出済みの調書及び報告書の写し並びに意見書を返戻して主宰者に意見の聴取の再開を命ずるよう求めることができます(第七項)。

ステップ4’(弁明の聴取の場合):

  1.  都道府県知事又は医道審議会の委員は、弁明の聴取を行つたときは、聴取書を作り、これを保存するとともに、報告書を作成し、厚生労働大臣に提出します。都道府県知事又は医道審議会の委員は、当該処分の決定についての意見があるときは、当該意見を報告書に記載します(第十三項)。
  2.  意見の聴取の場合と異なり、厚生労働大臣の命令により弁明の聴取が再開されることはありません。

ステップ5

  • 厚生労働大臣は、第六項の規定により提出された意見書並びに調書及び報告書の写しの内容を十分参酌して免許の取消処分の決定をします(第八項)。
  • 保健師助産師看護師法には明記されていませんが、厚生労働大臣は、第十三項の規定により提出された意見書並びに聴取書及び報告書の写しの内容を十分参酌して業務の停止処分の決定をします

 保健師・助産師・看護師に対して戒告処分を行う場合には、保健師助産師看護師法に定められているその手続は、医道審議会の意見聴取のみです。それ故、保健師・助産師・看護師の戒告処分の手続は、行政手続法の枠組みで行われると理解されます。

准看護師の処分

行政処分の手続概要

戒告医業停止免許取消
決定権者都道府県知事厚生労働大臣都道府県知事
実務者准看護師試験委員
必要な手続(ステップ1)准看護師試験委員の意見聴取准看護師試験委員の意見聴取准看護師試験委員の意見聴取
(ステップ2)通知通知通知
(ステップ3)弁明の聴取弁明の聴取聴聞
(ステップ4)聴取書・報告書の作成
意見書の作成
調書・報告書の作成
意見書の作成
(ステップ5)処分の決定処分の決定処分の決定

行政処分の手続詳細】

ステップ1

 都道府県知事は、第十四条の第二項若しくは第三項に規定する処分をするときは、あらかじめ、准看護師試験委員の意見を聴きます(第二項)。

ステップ2’(弁明の聴取の場合):

  • 都道府県知事は、第十四条第二項の規定による業務の停止の命令をしようとするときは、准看護師試験委員に対し、当該処分に係る者に対する弁明の聴取を行うことを求め、それをもって都道府県知事による弁明の機会の付与に代えることができます(第十六項)。
  • 都道府県知事は、弁明の聴取を行うに当たり、弁明の聴取を行う日時までに相当な期間をおいて、当該処分に係る者に対し、次に掲げる事項を書面により通知します(第十七項)。
    • 1. 第十四条第二項の規定を根拠として当該処分をしようとする旨及びその内容
    • 2. 当該処分の原因となる事実
    • 3. 弁明の聴取の日時及び場所

ステップ3

  • 弁明の聴取の通知を受けた者は、弁明の聴取の際に、意見陳述・反証提出することができ、代理人にそれを行わせることもできます(第十七項)。

ステップ4’(弁明の聴取の場合):

  • 准看護師試験委員は、弁明の聴取を行つたときは、聴取書を作り、これを保存するとともに、報告書を作成し、都道府県知事に提出します。准看護師試験委員は、当該処分の決定についての意見があるときは、当該意見を報告書に記載します(第十七項)。

ステップ5

  • 保健師助産師看護師法には明記されていませんが、都道府県知事は、第十七項の規定により提出された意見書並びに聴取書及び報告書の写しの内容を十分参酌して業務の停止処分の決定をします

 准看護師に対して戒告処分又は免許取消処分を行う場合には、保健師助産師看護師法に定められているその手続は、准看護師試験委員の意見聴取のみです。それ故、准看護師の戒告処分又は免許取消処分の手続は、行政手続法の枠組みで行われると理解されます。

再教育研修(法第十五条の二)

  • 次の者は、厚生労働省令で定める「保健師等再教育研修」を受けるよう、厚生労働大臣から命ぜられる可能性があります(第一項)。
    • 第十四条第一項の規定により戒告(第一号)処分を受けた保健師・助産師・看護師
    • 第十四条第一項の規定により業務停止(第二号)処分を受けた保健師・助産師・看護師
    • 第十四条第三項の規定により保健師・助産師・看護師の再免許を受けようとする者
  • 次の者は、厚生労働省令で定める「准看護師再教育研修」を受けるよう、都道府県知事から命ぜられる可能性があります(第一項)。
    • 第十四条第二項の規定により戒告(第一号)処分を受けた准看護師
    • 第十四条第二項の規定により業務停止(第二号)処分を受けた准看護師
    • 第十四条第三項の規定により准看護師の再免許を受けようとする者

 再教育研修の内容は、施行規則第八条・第九条に定められています。

再教育研修に関する事務規定

 再教育研修の修了者は、再教育研修を修了した旨の籍への保健師籍・助産師籍・看護師籍・准看護師籍への登録を申請し、保健師・助産師・看護師については厚生労働大臣から、准看護師については都道府県知事から、再教育研修修了登録証を交付されます(第三項~第五項)。

再教育研修(法第十五条の二関係)

 法第十五条の二に定める再教育研修の詳細は、保健師助産師看護師法施行規則で規定されています。

<保健師等再教育研修>

法第十五条の二の厚生労働省令で定める研修

  • 法第十五条の二第一項の厚生労働省令で定める保健師等再教育研修は、次の研修です(施行規則第八条)。
    • 1. 倫理研修(保健師・助産師・看護師としての倫理の保持に関する研修)
    • 2. 技術研修(保健師・助産師・看護師としての知識及び技能に関する研修)

 施行規則第八条に規定するこれらの研修が厚生労働大臣によって行われる場合(集合研修及び課題研修の場合)のその受講料は、再教育研修を受けることになった事由によって異なります(施行規則第十条)。

 保健師等再教育研修を受けようとする者は、厚生労働大臣主催の集合研修を受講するか、集合研修並びに課題研修又は厚生労働大臣から命ぜられた個別研修を受講します。

再教育研修の対象再教育研修の形態
戒告処分を受けた者集合研修
1年未満の業務停止処分を受けた者
(処分事由が技術に直接関係しない)
集合研修+課題研修
1年未満の業務停止処分を受けた者
(処分事由が技術に直接関係する)
集合研修+個別研修
1年以上2年未満の業務停止処分を受けた者
2年以上の業務停止処分を受けた者
再免許を受けようとする者
集合研修+個別研修
個別研修の時間は、業務停止期間が長くなるほど長くなります。

 施行規則第十一条・第十二条は、この「個別研修」について定めています。

【再教育研修(個別研修)の流れ】

個別研修計画書(施行規則第十一条)

 倫理研修又は技術研修(集合研修及び課題研修を除く「個別研修」)に係る法第十五条の二第一項の命令(「再教育研修命令」)を受けた者は、個別研修を開始しようとする日の30日前までに、次の事項を記載した個別研修計画書を作成し、厚生労働大臣に提出します(第一項)。

  • 1. 氏名、生年月日並びに保健師籍・助産師籍・看護師籍の登録番号及び登録年月日(法第十四条第三項の規定により再免許を受けようとする者は、氏名及び生年月日)
  • 2. 個別研修の内容
  • 3. 個別研修の実施期間
  • 4. 助言指導者(個別研修に係る再教育研修命令を受けた者に対して助言、指導等を行う役割を有する、厚生労働大臣が指名した者)の氏名
  • 5. その他必要な事項

 助言指導者は、個別研修計画書の作成に協力し(第二項)、その内容が適切であることを確認して署名します(第三項)。厚生労働大臣には助言指導者が署名した個別研修計画書を提出します(第三項)。

 再教育研修を適正に実施するために必要と認められる場合には、厚生労働大臣から、個別研修計画書の記載事項を変更するよう命じられることがあります(第四項)。

個別研修修了報告書(施行規則第十二条)

 個別研修に係る再教育研修命令を受けた者は、個別研修修了後、速やかに、次の事項を記載した個別研修修了報告書を作成し、厚生労働大臣に提出します(第一項)。

  • 1. 氏名、生年月日並びに保健師籍・助産師籍・看護師籍の登録番号及び登録年月日(法第十四条第三項の規定により再免許を受けようとする者は、氏名及び生年月日)
  • 2. 個別研修の内容
  • 3. 個別研修を開始し、及び修了した年月日
  • 4. 助言指導者の氏名
  • 5. その他必要な事項

 助言指導者は、再教育研修命令を受けた者が当該個別研修を修了したことを確認して署名します(第三項)。厚生労働大臣には、個別研修計画書の写しを添えて、助言指導者が署名した個別研修修了報告書を提出します(第二項・第三項)。

 厚生労働大臣は、個別研修修了報告書の提出を受けて、再教育研修命令を受けた者が個別研修を修了したと認めるときは、個別研修修了証を交付します(第四項)。

再教育研修を修了した旨の登録の申請(施行規則第十三条)

 法第十五条の二第二項の規定による再教育研修を修了した旨の保健師籍・助産師籍・看護師籍への登録を受けようとする者は、第一号の五書式による申請書に免許証の写しを添え、これを厚生労働大臣に提出します(第一項)。

  第二項・第三項の説明は、省略します。

再教育研修修了登録証の書換交付申請(施行規則第十四条)

 再教育研修を修了した旨の登録を受けた保健師・助産師・看護師(「再教育研修修了登録保健師等」)は、再教育研修修了登録証の記載事項に変更が生じたときは、再教育研修修了登録証の書換交付を申請することができます(第一項)。

  第二項・第三項の説明は、省略します。

再教育研修修了登録証の再交付申請(施行規則第十五条)

 再教育研修修了登録保健師等は、再教育研修修了登録証を失くしたり損傷したりしたときは、再教育研修修了登録証の再交付を申請することができます(第一項)。

具体的な手続:

  • 第一号の十~十二のいずれかの書式による申請書に免許証の写しを添え、厚生労働大臣に提出します(第二項)。
  • 損傷した再教育研修修了登録証の代わりを申請をする場合には、申請書にその損傷した再教育研修修了登録証及び歯科医師免許証の写しを添えます(第四項)。
  • 失くした再教育研修修了登録証が見つかったときは、5日以内に、古い再教育研修修了登録証を厚生労働大臣に返納します(第五項)。

<准看護師再教育研修>

法第十五条の二の厚生労働省令で定める研修

  • 法第十五条の二第一項の厚生労働省令で定める准看護師再教育研修は、次の研修です(施行規則第九条)。
    • 1. 准看護師倫理研修(准看護師としての倫理の保持に関する研修)
    • 2. 准看護師技術研修(准看護師としての知識及び技能に関する研修)

 准看護師再教育研修の詳細は、保健師助産師看護師法に定められていません。しかしながら、准看護師再教育研修の規定は、各都道府県において保健師等再教育研修の規定に基づいて定められています。

第三部:業務

共通部分

非有資格者による業務の禁止(法第二十九条~第三十二条)

  • 保健師ではない者は、第二条に規定される保健師業務をしてはならない。
  • 医師法の規定に基づいて行う場合を除き、助産師ではない者は、第三条に規定される助産師業務をしてはならない。
  • 医師法又は歯科医師法の規定に基づいて行う場合を除き、看護師ではない者は、第五条に規定される看護師業務をしてはならない。ただし、保健師・助産師は看護師業務を行うことができる。
  • 医師法又は歯科医師法の規定に基づいて行う場合を除き、准看護師ではない者は、第六条に規定される准看護師業務をしてはならない。

届出義務(法第三十三条)

 業務に従事する保健師、助産師、看護師又は准看護師は、2年ごとに、自身に関する情報をその就業地の都道府県知事に届け出なければなりません。

届出事項(厚生労働省令で定める2年ごとの年の12月31日現在における情報)

  • 氏名
  • 住所
  • その他厚生労働省令で定める事項(第三号様式に記載の事項:施行規則第三十三条第二項)

届出期日:翌年の1月15日

施行規則第三十三(法第三十三条関係)
 「厚生労働省令で定める2年ごとの年」とは、昭和57年(1982年)を初年とする2年ごとの年です(第一項)。
 保健師業務、助産師業務、看護師業務又は准看護師業務のうち、二以上の業務に従事する者は、主として従事する業務について法第三十三条の届出を行います(第三項)。

禁止行為(法第三十七条)

 保健師・助産師・看護師・准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があった場合を除き、医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはなりません。

 その「衛生上危害を生ずるおそれのある行為」には、例えば、診療機械の使用、医薬品の授与、医薬品についての指示が含まれます。以下の行為は、「衛生上危害を生ずるおそれのある行為」に含まれません。

  • 臨時応急の手当
  • 助産師によるさい帯の切断
  • 助産師による浣腸
  • その他助産師の業務に当然に付随する行為

守秘義務(法第四十二条の二)

 保健師、看護師又は准看護師は、正当な理由がある場合を除き、その業務上知り得た人の秘密を他に漏らしてはなりません。保健師、看護師又は准看護師でなくなつた後においても、同様です。

名称独占(法第四十二条の三)

  • 保健師でない者は、保健師又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない(第一項)。
  • 助産師でない者は、助産師又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない(第二項)。
  • 看護師でない者は、看護師又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない(第三項)。
  • 准看護師でない者は、准看護師又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない(第四項)。

保健師関係

指示遵守義務(法第三十五条・第三十六条)

 保健師は、傷病者の療養上の指導を行うに当たり、その傷病者に主治の医師又は歯科医師がいるときは、その指示を受けます(第三十五条)。

 保健師は、その業務に関して就業地を管轄する保健所の長の指示を受けたときは、これに従いますが、主治の医師又は歯科医師がいるときは、その指示を受けることもできます(第三十六条)。

看護師関係

特定行為看護師(法第二十条)

 研修を受けた看護師は、高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要な診療の補助を、医師が作成した手順書に沿って行うことができます。

 このような診療の補助を特定行為と呼び、2026年の時点では38行為が特定行為に指定されいます。

 特定行為を手順書により行う看護師は、指定研修機関において、当該特定行為の特定行為区分に係る特定行為研修を受けなければなりません(第一項)。

 特定行為の種類は、厚生労働省の公式ページから確認することができます。

特定行為とは|厚生労働省

助産師関係

処置の禁止(法第三十八条)

 助産師は、妊婦・産婦・褥婦・胎児・新生児に異常があると認めたときは、臨時応急の手当の場合を除き、医師の診療を求めさせなければならず、助産師自らが処置をしてはなりません(第三十八条)。

療養指導義務・証明書等交付義務(法第三十九条・第四十条)

 業務に従事する助産師は、助産又は妊婦・褥婦・新生児の保健指導の求めがあった場合は、正当な事由がなければ、これを拒んではなりません(第三十九条第一項)。

 分娩の介助又は死胎の検案をした助産師は、出生証明書、死産証書又は死胎検案書の交付の求めがあった場合は、正当な事由がなければ、これを拒んではなりません(第三十九条第二項)。

 助産師は、自ら分娩の介助又は死胎の検案をしないで、出生証明書、死産証書又は死胎検案書を交付してはなりません(第四十条)。

異状死体等届出義務(法第四十一条)

 助産師は、妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければなりません。

助産録記載・保存義務(法第四十二条)

 助産師は、分娩の介助をしたときは、遅滞なく助産に関する事項を助産録に記載しなければなりません(第一項)。

 助産師が記載した助産録の保存期間は、5年です(第二項)。

第四部:罰則

違反内容条項罰則
(違反者)
第二十九条から第三十二条までの規定に違反した第四十三条第一項第一号2年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金*
虚偽又は不正の事実に基づいて免許を受けた第四十三条第一項第二号2年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金*
助産師・看護師・准看護師又はこれに類似した名称を用いて第二十九条から第三十二条までの規定に違反した第四十三条第二項2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金*
第十四条第一項・第二項の規定により業務の停止を命ぜられたが、当該停止期間中に業務を行った第四十四条の三第一号6か月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金*
第三十五条第三十六条第三十七条第三十八条の規定に違反した第四十四条の三第二号6か月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金*
第四十二条の二の規定に違反して、業務上知り得た人の秘密を漏らした第四十四条の四6か月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金
(親告罪に当たる)
第十五条の二第一項又は第二項の規定による命令に違反して保健師等再教育研修又は准看護師再教育研修を受けなかった第四十五条第一号50万円以下の罰金
第三十三条又は第四十条第四十一条第四十二条までの規定に違反した第四十五条第二号50万円以下の罰金
第四十二条の三の規定に違反した第四十五条の二第一号30万円以下の罰金
* 拘禁刑と罰金が併科される場合あり

終わりに

 保健師助産師看護師法は医療現場だけでなく、行政手続や資格管理にも深く関わる法律です。長い条文でしたが、読み進めるとそれぞれの専門職の責任と制度の仕組みが見えてきます。引き続き、気になった法律を少しずつ取り上げていきます。

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