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(終活マガジン第2号)知っておきたい相続の基礎知識:代襲相続と相続人の欠格・廃除

相続の説明 終活・相続

 前号の記事では法律で定められている相続人の範囲について説明しました。本ブログの読者の方の中には、被相続人よりも先にその子が亡くなっている場合や養子として迎え入れた子がいる場合の相続はどうなるのだろうという疑問を持たれている方もいらっしゃると思います。また、相続人の中には問題を起こして相続人の資格を失ったり、被相続人が相続させたくないと思う人がいる場合もあります。これらの場合について、民法で定められていることを説明します。

孫やひ孫が相続人になる代襲相続

 下の図(i)及び(ii)のように、前号の記事に挙げた第1順位及び第3順位グループの者が相続開始までに死亡した場合、又は欠格若しくは廃除となった場合、その子が親に代わって相続権を得て相続をします。これを代襲相続といいます(直系では被相続人のひ孫まで、傍系では被相続人の甥姪まで代襲相続することができます)。ただし、親が相続放棄をした場合、その者には初めから相続権がなかったものとして扱われるため、相続放棄をした親の子に代襲相続は認められません

養子は養親と実親から遺産をもらえる?

 養子には普通養子縁組制度と特別養子縁組制度があります。では、これらの二制度には相続に関してどのような違いがあるのでしょうか。答えは以下のとおりです。

  • 普通養子縁組制度の養子は養親の相続権も実親の相続権も有する
  • 特別養子縁組制度の養子は、養子縁組時に実親との親子関係が戸籍上では終了しているため、養親の相続権のみを有する

相続人は、相続権を失うことがある

 一定の事由がある場合、相続人から相続権がはく奪されます。これには欠格と廃除の2つの制度があります。

欠格

 相続人が欠格になる原因は、その者が不正の手段で相続を自分に有利になるように以下のような工作を行ったことにあります。

  •  故意に被相続人又は先順位若しくは同順位の相続人を死亡させた、又は死亡させようとしたために刑に処せられた
  •  被相続人が殺害されたことを知って、これを告発・告訴しなかった
  •  詐欺・強迫によって、相続に関する被相続人の遺言の作成、撤回、取消し、変更を妨げた
  •  詐欺・強迫によって、被相続人に相続に関する遺言の作成、撤回、取消し、変更をさせた
  •  相続に関する被相続人の遺言書を偽造、変造、破棄、隠匿した

 相続開始後に欠格事由が判明した場合、相続開始時に遡って相続権がないものとして扱われます。欠格者は遺贈を受けることもできません。

廃除

 被相続人が相続させたくないと思うほどの非行を行った者があった場合、被相続人の意思に基づいて、家庭裁判所の審判又は調停によってその者から相続権をはく奪することができます。これを相続人の廃除といいます。その非行としては以下のものが挙げられます。

  • 相続人が被相続人に対して虐待や重大な侮辱をしたこと
  • 相続人にその他の著しい非行があること

 ただし、第3順位グループ(兄弟姉妹)を廃除の対象とすることはできません。これは兄弟姉妹には「遺留分」が存在しないことが関係しています。遺留分は、第七号の記事において説明されています。

 ある者を相続人から廃除するには被相続人が生前に家庭裁判所に請求するか、遺言で廃除の意思(遺言廃除)を表示するかのどちらかの手続が必要ですが、遺言廃除の場合でもその相続人の廃除を家庭裁判所に申し立てる必要があります。

第1号~第2号のまとめ

 以上、相続人の地位によって法律で決められている相続分が変わること、及び相続人の欠格・廃除によりその範囲が縮小したり、養子縁組によって相続人の範囲が拡大したりする場合について説明しました。2号分のポイントを以下にまとめます。

  • 法定相続分は、被相続人に対する相続人の地位によって変化する
  • 代襲相続によって相続人の範囲が拡大する
  • 養子縁組によって相続人の範囲が拡大する
  • 相続人の欠格・廃除によって相続人の範囲が縮小する

次号の記事は、遺産を相続人の間でどのように分けるか決定するとき、被相続人が生前に相続人に対して行った贈与や被相続人が生前に相続人から受けた利益がその決定に関係してくることを説明します。以下のアンケートにお答えください。よろしくお願いします。

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