マレーシアはアセアン地域の主要国の一つです。日本からの直接投資額も上昇傾向にあり、2023年の在留邦人数は2万人程度です。ここからはマレーシアにペットの犬猫を連れて行くときに必要な準備と手続きを説明します。本記事は、主に2016年付けのマレーシア検疫検査局（MAQIS）のページに基づきます。
ペットの犬猫とマレーシアに入国するための要件と書類
ペットの要件
入国禁止犬種と制限犬種
マレーシアでは宗教的な理由から犬を好まない人もいます。特にマレーシアに入国できない犬種、及び入国が制限される犬種は以下のとおりです。
- 入国禁止犬種
- ピットブルテリア／ピットブル
- アメリカンピットブル／アメリカンピットブルテリア
- アメリカンスタッフォードシャーテリア
- スタッフォードシャーブルテリア
- アメリカンブルドッグ
- ドゴ・アルヘンティーノ
- ブラジリアン・ガードドッグ
- ナポリタン・マスティフ
- 秋田犬
- 土佐犬
- ピットブルテリア／ピットブル
- 制限犬種
- ブルマスティフ
- ブルテリア
- ドーベルマン
- ジャーマンシェパード／アルサチアン（ベルジャンシェパード及び東欧系シェパードを含む）
- ペロ・デ・プレサ・カナリオ
- ロットワイラー
制限犬種をマレーシアに持ち込む場合は、マレーシア検疫検査局（Department of Quarantine and Inspection Service Malaysia: MAQIS）局長の輸入許可が必要です。
要件
- ペットの犬猫は、マレーシア入国時に3か月齢以上である
- ISO11784規格又はISO11785規格のマイクロチップを装着する
- マイクロチップの装着後、マレーシア入国30日前までに定期狂犬病予防接種を行う
日本に在住していたペットの犬猫がマレーシアに入国するための要件はこれだけです。
必要な書類と手続き
マレーシア入国前
ペットの犬猫をマレーシアに持ち込むために必要な書類は、（1）マレーシア政府の輸入許可証（インポートパーミット）と日本の動物検疫所が発行する（2）輸出検疫証明書、及び（3）利用する航空会社のキャプテン宣誓書です（キャプテン宣誓書は、マレーシア動物衛生局（Department of Veterinary Service: DVS）のホームページでは必要書類に挙げられていますが、マレーシア検疫検査局のホームページでは必要書類に挙げられていません）。
マレーシア政府の輸入許可証を取得するためには、許可申請の代行をマレーシア国内の専門業者に依頼しなくてはなりません。英語に不安がある方は、日本人が在籍するマレーシアの業者に依頼する、又は日本の専門業者を介してマレーシアの業者に依頼することになると思います。マレーシアの業者としては、IPATA（International Pet and Animal Transportation Association: 国際動物輸送協会）の加盟メンバーである業者が挙げられます。マレーシアの業者が依頼人の申請書類をDVSに提出し、輸入許可申請の受理後に輸入許可証をプリントし、そのプリントした輸入許可証を依頼主に郵送します。輸入許可証の有効期間内にマレーシアに入国できるように旅行計画を立てましょう。
輸出検疫証明書の取得については本ブログの記事「ペットと共に海外移住したいときの準備と手続き」で説明をしていますので、ここでは説明を省略します。輸出検疫証明書は、日本出国前7日以内に発行されたものであることがマレーシア側から求められています。
キャプテン宣誓書については、利用する航空会社又は輸入許可申請を依頼したマレーシアの専門業者にお尋ねください。
輸入許可証発行に1頭当たり40リンギットの発行手数料を支払います。
狂犬病ワクチン接種証明書が挙げられていませんが、マレーシア入国後にペットを登録したりペットホテルに預けたりするときにも役立つと思いますので、狂犬病ワクチン接種証明書も別途用意した方がいいと考えます。
マレーシア入国と入国後
クアラルンプール国際空港のゲートでこれら三種類の書類を提出して輸入検査を受けます。輸入検疫検査について犬1頭当たり40リンギット、猫1頭当たり25リンギットの費用を支払います。無事マレーシアに入国し、落ち着いたらマレーシアの動物病院でペット登録を行ってペットパスポートを作成してもらいましょう。
日本に帰国するとき
日本に帰国するときは、逆にマレーシーア政府の輸出許可（エクスポートパーミット）が必要になります。マレーシアの滞在先にある動物衛生局（DVS）オフィスまで行って自分で申請するか、マレーシアの専門業者に依頼して申請してもらいます。輸出許可証の有効期間内にマレーシアから出国できるように計画を立てましょう。輸出許可証発行に1頭当たり40リンギットの発行手数料を支払います。
DVSオフィスではもう一つ行うことがあります。日本への帰国のために民間獣医師の健康診断を受け（マレーシア出国前10日以内）、日本の動物検疫所が配布しているForm AC（日本からマレーシアへ連れてきたペットについてはForm REも可）に記入してもらって健康証明書を作成します。その後、DVSに記入済みの健康証明書（Form AC）に加えてワクチン接種証明書及び狂犬病抗体価検査結果通知書を持参し、健康証明書に獣医官の署名と公印をもらって健康証明書を完成させます。健康証明書のテンプレートとしてForm ACではなくForm REを使用した場合、以上の書類に加えて日本の動物検疫所が発行した輸出検疫証明書をDVSに持参してください。ペットの輸出前検査にも費用がかかり、犬1頭当たり20リンギット、猫1頭当たり10リンギットの費用を支払います。
ペットと一緒にマレーシアから日本に帰国するための日本側の検疫の手続きについてはこちらの記事をご覧ください。
以上、ペットの犬猫をマレーシアへ長期滞在目的で連れていくときの準備について、マレーシア検疫検査局（MAQIS）の情報を基に説明しました。マレーシアへの移住に際し、輸入許可申請はマレーシアの専門業者に依頼するけれども、日本の動物検疫所への手続きに関して別途サポートを必要としているという方は行政書士渡邉光一事務所にご相談ください。
