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「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」を読む

ビジネス

 賃貸住宅等経営管理士が覚えておくべき法律である「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」を読んでみます。

背景

 「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(賃貸住宅管理業法)」が制定された背景として次の事象が挙げられています。

  • 民間が保有する住宅のストック総数のうち賃貸住宅が占める割合は平成30年において4分の1以上であり、その割合の上昇が見込まれる
  • 賃貸住宅の管理業務を自ら全て実施する賃貸住宅オーナーの数が減少しており、賃貸住宅管理会社に管理を業務を委託するオーナーが増加している

 このような状況を背景として、令和2年(2020年)に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が制定されました。

第一章 総則

第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、社会経済情勢の変化に伴い国民の生活の基盤としての賃貸住宅の役割の重要性が増大していることに鑑み、賃貸住宅の入居者の居住の安定の確保及び賃貸住宅の賃貸に係る事業の公正かつ円滑な実施を図るため、賃貸住宅管理業を営む者に係る登録制度を設け、その業務の適正な運営を確保するとともに、特定賃貸借契約の適正化のための措置等を講ずることにより、良好な居住環境を備えた賃貸住宅の安定的な確保を図り、もって国民生活の安定向上及び国民経済の発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「賃貸住宅」とは、賃貸の用に供する住宅(人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分をいう。次項第一号において同じ。)をいう。ただし、人の生活の本拠として使用する目的以外の目的に供されていると認められるものとして国土交通省令で定めるものを除く。
2 この法律において「賃貸住宅管理業」とは、賃貸住宅の賃貸人から委託を受けて、次に掲げる業務(以下「管理業務」という。)を行う事業をいう。
一 当該委託に係る賃貸住宅の維持保全(住宅の居室及びその他の部分について、点検、清掃その他の維持を行い、及び必要な修繕を行うことをいう。以下同じ。)を行う業務(賃貸住宅の賃貸人のために当該維持保全に係る契約の締結の媒介、取次ぎ又は代理を行う業務を含む。)
二 当該賃貸住宅に係る家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理を行う業務(前号に掲げる業務と併せて行うものに限る。)
3 この法律において「賃貸住宅管理業者」とは、次条第一項の登録を受けて賃貸住宅管理業を営む者をいう。
4 この法律において「特定賃貸借契約」とは、賃貸住宅の賃貸借契約(賃借人が人的関係、資本関係その他の関係において賃貸人と密接な関係を有する者として国土交通省令で定める者であるものを除く。)であって、賃借人が当該賃貸住宅を第三者に転貸する事業を営むことを目的として締結されるものをいう。
5 この法律において「特定転貸事業者」とは、特定賃貸借契約に基づき賃借した賃貸住宅を第三者に転貸する事業を営む者をいう。

e-Govより

(目的)
 第一条において、この法律は、社会経済情勢の変化に伴って、国民の生活の基盤としての賃貸住宅の役割の重要性が増大していることを受けて創設されたものであることが述べられています。そして、この法律は、①賃貸住宅の入居者の居住の安定の確保、及び②賃貸住宅の賃貸に係る事業の公正かつ円滑な実施を図るために主に次の事項を定めています。

  1.  賃貸住宅管理業者の登録制度
  2.  特定賃貸借契約の適正化のための措置

 1番の制度は賃貸住宅管理業務の適正な運営を確保を目的としており、2番の措置は良好な居住環境を備えた賃貸住宅の安定的な確保を目的としています。

(定義)
 第二条は、この法律における用語を定義しています。第二条第二項によると、賃貸住宅管理業の業務には①賃貸住宅の維持保全、及び②賃貸住宅に係る家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理が含まれます。

 第二条第四項及び第五項の「特定賃貸借契約」及び「特定転貸事業者」は、それぞれ住宅の「サブリース事業におけるマスターリース契約及び転貸借契約」及び「サブリース事業者」と言い換えるとピンと来るでしょうか。

第二章 賃貸住宅管理業

第一節 登録

(登録)
第三条 賃貸住宅管理業を営もうとする者は、国土交通大臣の登録を受けなければならない。ただし、その事業の規模が、当該事業に係る賃貸住宅の戸数その他の事項を勘案して国土交通省令で定める規模未満であるときは、この限りでない。
2 前項の登録は、五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。
3 前項の更新の申請があった場合において、同項の期間(以下この項及び次項において「登録の有効期間」という。)の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の登録は、登録の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なおその効力を有する。
4 前項の場合において、登録の更新がされたときは、その登録の有効期間は、従前の登録の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。
5 第二項の登録の更新を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならない。
(登録の申請)
第四条 前条第一項の登録(同条第二項の登録の更新を含む。以下同じ。)を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。
一 商号、名称又は氏名及び住所
二 法人である場合においては、その役員の氏名
三 未成年者である場合においては、その法定代理人の氏名及び住所(法定代理人が法人である場合にあっては、その商号又は名称及び住所並びにその役員の氏名)
四 営業所又は事務所の名称及び所在地
2 前項の申請書には、前条第一項の登録を受けようとする者が第六条第一項各号のいずれにも該当しないことを誓約する書面その他の国土交通省令で定める書類を添付しなければならない。
(登録の実施)
第五条 国土交通大臣は、前条第一項の規定による登録の申請があったときは、次条第一項の規定により登録を拒否する場合を除き、次に掲げる事項を賃貸住宅管理業者登録簿に登録しなければならない。
一 前条第一項各号に掲げる事項
二 登録年月日及び登録番号
2 国土交通大臣は、前項の規定による登録をしたときは、遅滞なく、その旨を申請者に通知しなければならない。
(登録の拒否)
第六条 国土交通大臣は、第三条第一項の登録を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は第四条第一項の申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
一 心身の故障により賃貸住宅管理業を的確に遂行することができない者として国土交通省令で定めるもの
二 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
三 第二十三条第一項又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者(当該登録を取り消された者が法人である場合にあっては、当該取消しの日前三十日以内に当該法人の役員であった者で当該取消しの日から五年を経過しないものを含む。)
四 拘禁刑以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者
五 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者(第九号において「暴力団員等」という。)
六 賃貸住宅管理業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として国土交通省令で定めるもの
七 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号のいずれかに該当するもの
八 法人であって、その役員のうちに第一号から第六号までのいずれかに該当する者があるもの
九 暴力団員等がその事業活動を支配する者
十 賃貸住宅管理業を遂行するために必要と認められる国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有しない者
十一 営業所又は事務所ごとに第十二条の規定による業務管理者を確実に選任すると認められない者
2 国土交通大臣は、前項の規定により登録を拒否したときは、遅滞なく、その理由を示して、その旨を申請者に通知しなければならない。
(変更の届出)
第七条 賃貸住宅管理業者は、第四条第一項各号に掲げる事項に変更があったときは、その日から三十日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
2 国土交通大臣は、前項の規定による届出を受理したときは、当該届出に係る事項が前条第一項第七号又は第八号に該当する場合を除き、当該事項を賃貸住宅管理業者登録簿に登録しなければならない。
3 第四条第二項の規定は、第一項の規定による届出について準用する。
(賃貸住宅管理業者登録簿の閲覧)
第八条 国土交通大臣は、賃貸住宅管理業者登録簿を一般の閲覧に供しなければならない。
(廃業等の届出)
第九条 賃貸住宅管理業者が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、当該各号に定める者は、国土交通省令で定めるところにより、その日(第一号の場合にあっては、その事実を知った日)から三十日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
一 賃貸住宅管理業者である個人が死亡したとき その相続人
二 賃貸住宅管理業者である法人が合併により消滅したとき その法人を代表する役員であった者
三 賃貸住宅管理業者である法人が破産手続開始の決定により解散したとき その破産管財人
四 賃貸住宅管理業者である法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散したとき その清算人
五 賃貸住宅管理業を廃止したとき 賃貸住宅管理業者であった個人又は賃貸住宅管理業者であった法人を代表する役員
2 賃貸住宅管理業者が前項各号のいずれかに該当することとなったときは、第三条第一項の登録は、その効力を失う。

e-Govより

 第二章第一節は、賃貸住宅管理業の登録を規定しています。

(登録)
 賃貸住宅管理業を営もうとする者は、国土交通大臣の登録を受けなくてはなりません(第三条第一項)。ただし、管理戸数が200戸未満であるとき、その賃貸住宅を管理している者は、国土交通大臣の登録を受けても受けなくても構いません。逆に管理戸数が200戸以上である場合には登録していることが必要です。この法律の施行日(令和4年6月15日)以前に既に賃貸住宅管理業を営んでいた事業者も、この施行日以降には登録が必要になります。

 登録の有効期間は5年間であり、引き続き賃貸住宅管理業を営むことを希望する場合には登録の更新が必要になります(第三条第二項)。仮に従前の登録の有効期間が満了する前に登録の更新申請手続きを行ったにもかかわらず、その申請に対する処分がなされない場合は、従前の登録は、登録の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は有効です(第三条第三項)。

(登録の申請)
 賃貸住宅管理業の登録を望む者は、以下の事項を記載した申請書(第四条第一項)、及び第六条で挙げる欠格要件に該当していないことを示す誓約書その他国土交通省令で定める文書を国土交通大臣に提出します(第四条第二項)。

一 商号、名称又は氏名及び住所
二 法人である場合においては、その役員の氏名
三 未成年者である場合においては、その法定代理人の氏名及び住所(法定代理人が法人である場合にあっては、その商号又は名称及び住所並びにその役員の氏名)
四 営業所又は事務所の名称及び所在地

法第四条第一項

(登録の実施)
 国土交通大臣が登録の処分を行うと、登録年月日及び登録番号に加えて第四条第一項第一号~第四号の事項を賃貸住宅管理業者登録簿に登録します(第五条)。

(賃貸住宅管理業者登録簿の閲覧)
 こうして国土交通大臣によって登録された登録事項を含む賃貸住宅管理業者登録簿は、一般の閲覧に供されます(第八条)。

(変更の届出)
 第四条第一項各号の事項に変更があったとき、賃貸住宅管理業者は、その日から30日以内にその旨を国土交通大臣に届け出なくてはならず、国土交通大臣はその変更を賃貸住宅管理業者登録簿に登録しなければなりません(第七条)。

(廃業等の届出)
 賃貸住宅管理業者が以下の第一号~第五号のいずれかに該当することとなったときは、当該各号に定める者は、その日(第一号の場合にあっては、その事実を知った日)から30日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければなりません(第九条第一項)。

第一号
(届出者) 相続人
(届出理由)賃貸住宅管理業者である個人が死亡した
第二号
(届出者) 法人を代表する役員であった者
(届出理由)賃貸住宅管理業者である法人が合併により消滅したとき
第三号
(届出者) 破産管財人
(届出理由)賃貸住宅管理業者である法人が破産手続開始の決定により解散した
第四号
(届出者) 清算人
(届出理由)賃貸住宅管理業者である法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散した
第五号
(届出者) 賃貸住宅管理業者であった個人又は賃貸住宅管理業者であった法人を代表する役員
(届出理由)賃貸住宅管理業を廃止したとき 

法第九条第一項

 賃貸住宅管理業者が上の第一号~第五号のいずれかに該当することとなったときは、賃貸住宅管理業者の登録はその効力を失うため、賃貸住宅管理業は廃業することになります(第九条第二項)。

第二節 業務

(業務処理の原則)
第十条 賃貸住宅管理業者は、信義を旨とし、誠実にその業務を行わなければならない。
(名義貸しの禁止)
第十一条 賃貸住宅管理業者は、自己の名義をもって、他人に賃貸住宅管理業を営ませてはならない。
(業務管理者の選任)
第十二条 賃貸住宅管理業者は、その営業所又は事務所ごとに、一人以上の第四項の規定に適合する者(以下「業務管理者」という。)を選任して、当該営業所又は事務所における業務に関し、管理受託契約(管理業務の委託を受けることを内容とする契約をいう。以下同じ。)の内容の明確性、管理業務として行う賃貸住宅の維持保全の実施方法の妥当性その他の賃貸住宅の入居者の居住の安定及び賃貸住宅の賃貸に係る事業の円滑な実施を確保するため必要な国土交通省令で定める事項についての管理及び監督に関する事務を行わせなければならない。
2 賃貸住宅管理業者は、その営業所若しくは事務所の業務管理者として選任した者の全てが第六条第一項第一号から第七号までのいずれかに該当し、又は選任した者の全てが欠けるに至ったときは、新たに業務管理者を選任するまでの間は、その営業所又は事務所において管理受託契約を締結してはならない。
3 業務管理者は、他の営業所又は事務所の業務管理者となることができない。
4 業務管理者は、第六条第一項第一号から第七号までのいずれにも該当しない者で、賃貸住宅管理業者の営業所又は事務所における業務に関し第一項に規定する事務を行うのに必要な知識及び能力を有する者として賃貸住宅管理業に関する一定の実務の経験その他の国土交通省令で定める要件を備えるものでなければならない。
(管理受託契約の締結前の書面の交付)
第十三条 賃貸住宅管理業者は、管理受託契約を締結しようとするときは、管理業務を委託しようとする賃貸住宅の賃貸人(賃貸住宅管理業者である者その他の管理業務に係る専門的知識及び経験を有すると認められる者として国土交通省令で定めるものを除く。)に対し、当該管理受託契約を締結するまでに、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるものについて、書面を交付して説明しなければならない。
2 賃貸住宅管理業者は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、管理業務を委託しようとする賃貸住宅の賃貸人の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって国土交通省令で定めるものをいう。第三十条第二項において同じ。)により提供することができる。この場合において、当該賃貸住宅管理業者は、当該書面を交付したものとみなす。
(管理受託契約の締結時の書面の交付)
第十四条 賃貸住宅管理業者は、管理受託契約を締結したときは、管理業務を委託する賃貸住宅の賃貸人(以下「委託者」という。)に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
一 管理業務の対象となる賃貸住宅
二 管理業務の実施方法
三 契約期間に関する事項
四 報酬に関する事項
五 契約の更新又は解除に関する定めがあるときは、その内容
六 その他国土交通省令で定める事項
2 前条第二項の規定は、前項の規定による書面の交付について準用する。
(管理業務の再委託の禁止)
第十五条 賃貸住宅管理業者は、委託者から委託を受けた管理業務の全部を他の者に対し、再委託してはならない。
(分別管理)
第十六条 賃貸住宅管理業者は、管理受託契約に基づく管理業務(第二条第二項第二号に掲げるものに限る。以下この条において同じ。)において受領する家賃、敷金、共益費その他の金銭を、整然と管理する方法として国土交通省令で定める方法により、自己の固有財産及び他の管理受託契約に基づく管理業務において受領する家賃、敷金、共益費その他の金銭と分別して管理しなければならない。
(証明書の携帯等)
第十七条 賃貸住宅管理業者は、国土交通省令で定めるところにより、その業務に従事する使用人その他の従業者に、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、その者をその業務に従事させてはならない。
2 賃貸住宅管理業者の使用人その他の従業者は、その業務を行うに際し、委託者その他の関係者から請求があったときは、前項の証明書を提示しなければならない。
(帳簿の備付け等)
第十八条 賃貸住宅管理業者は、国土交通省令で定めるところにより、その営業所又は事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え付け、委託者ごとに管理受託契約について契約年月日その他の国土交通省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。
(標識の掲示)
第十九条 賃貸住宅管理業者は、その営業所又は事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令で定める様式の標識を掲げなければならない。
(委託者への定期報告)
第二十条 賃貸住宅管理業者は、管理業務の実施状況その他の国土交通省令で定める事項について、国土交通省令で定めるところにより、定期的に、委託者に報告しなければならない。
(秘密を守る義務)
第二十一条 賃貸住宅管理業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。賃貸住宅管理業を営まなくなった後においても、同様とする。
2 賃貸住宅管理業者の代理人、使用人その他の従業者は、正当な理由がある場合でなければ、賃貸住宅管理業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。賃貸住宅管理業者の代理人、使用人その他の従業者でなくなった後においても、同様とする。

e-Govより

 第二章第二節は、賃貸住宅管理業者の業務を規定しています。

(業務処理の原則) 第十条と第十一条は、賃貸住宅管理業者の心得を述べています。賃貸住宅管理業者は、信義と誠実を旨とします。

(名義貸しの禁止)
 賃貸住宅管理業者は、他人に自己の名義を貸してその他人に賃貸住宅管理業を行わせてはなりません。

(業務管理者の選任)
 賃貸住宅管理業者は、その営業所又は事務所ごとに1名以上の業務管理者を選任します(第十二条第一項)。業務管理者が存在しない場合、その営業所又は事務所において管理受託契約を締結することは許されません。

 宅地建物取引業の場合では宅地建物取引業者の事務所の業務に従事する者5名につき1名の宅建士が必要とされていますが、賃貸住宅管理業ではこのような基準は業務管理者についてありません。

 法第十二条第一項に規定する事務に関し、賃貸住宅管理業法施行規則第十三条は業務管理者の職務を規定しており、その規定によると業務管理者は次の事項についての管理及び監督に関する事務を行います。

一 法第十三条の規定による重要事項の説明及び書面の交付
二 法第十四条の規定による契約締結時書面の交付
三 管理業務として行う賃貸住宅の維持保全の実施及び賃貸住宅に係る家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理
四 法第十八条の規定による帳簿の備付け等
五 法第二十条の規定による定期報告
六 法第二十一条の規定による秘密の保持
七 賃貸住宅の入居者からの苦情の処理
八 前各号に掲げるもののほか、賃貸住宅の入居者の居住の安定及び賃貸住宅の賃貸に係る事業の円滑な実施を確保するため必要な事項として国土交通大臣が定める事項

賃貸住宅管理業法施行規則第十三条

 賃貸住宅管理業法は、業務管理者が以上の事務を行うことにより、賃貸住宅の入居者の居住の安定及び賃貸住宅の賃貸に係る事業の円滑な実施が確保されることを期待しています(法第十二条第一項)。

 第十二条第二項から第四項までは、業務管理者の要件を規定しています。また、第二項は、業務管理者が選任されていない賃貸住宅管理業者の事務所又は営業所では管理受託契約の締結を行えないことを定めています。

 業務管理者は、第六条第一項第一号から第七号のいずれかにも該当してはなりません(第二項)。特定の営業所又は事務所の業務管理者は、他の営業所又は事務所の業務管理者になることができません(第三項)。業務管理者は、賃貸住宅管理業者の営業所又は事務所における業務に関する事務を行うにあたり賃貸住宅管理業に関する一定の実務の経験その他の国土交通省令で定める要件を備えるものでなくてはなりません(第四項)。

 第十二条第四項でいう「国土交通省令で定める要件」とは次のような要件です。

・ 管理業務に関し二年以上の実務の経験を有する又は国土交通大臣が同等以上の能力を有すると認めた者であって、
1 賃貸住宅管理業者の営業所又は事務所における業務に関する事務を行う知識及び能力を有すると認められることを証明する事業による証明を受けている、又は
2 宅地建物取引士であって、国土交通大臣が指定する管理業務に関する実務についての講習を修了した

賃貸住宅管理業法施行規則第十四条

(管理受託契約の締結前の書面の交付)
 第十三条は、管理受託契約の締結前書面を交付してその内容を説明することを規定しています。この管理受託契約の締結前に交付する書面を講学上「重要事項説明書」と呼びます。

 賃貸住宅の賃貸人(例えばオーナー)がその賃貸住宅の管理業務を委託する場合には、賃貸住宅管理業者は、契約を締結するまでに、国土交通省令で定める事項を含む書面を当該賃貸人に交付してその書面の内容を説明します
(第十三条第一項)。賃貸住宅管理業者は、相手方である賃貸人の承諾を得て、書面の交付に代えて、当該事項を電磁的方法で賃貸人に提供することができます(第十三条第二項)。

 第十三条第一項の「重要事項説明書」に含まれる国土交通省令で定る事項は、次のとおりです。

一 管理受託契約を締結する賃貸住宅管理業者の商号、名称又は氏名並びに登録年月日及び登録番号
二 管理業務の対象となる賃貸住宅
三 管理業務の内容及び実施方法
四 報酬の額並びにその支払の時期及び方法
五 前号に掲げる報酬に含まれていない管理業務に関する費用であって、賃貸住宅管理業者が通常必要とするもの
六 管理業務の一部の再委託に関する事項
七 責任及び免責に関する事項
八 法第二十条の規定による委託者への報告に関する事項
九 契約期間に関する事項
十 賃貸住宅の入居者に対する第三号に掲げる事項の周知に関する事項
十一 管理受託契約の更新及び解除に関する事項

賃貸住宅管理業法施行規則第三十一条

 ただし、この書面を交付して説明する相手が次の者の場合にはこれらの重要事項の説明をする必要がありません(第十三条第一項)。

一 賃貸住宅管理業者
二 特定転貸事業者
三 宅地建物取引業者
四 特定目的会社
五 組合
六 賃貸住宅に係る信託の受託者
七 独立行政法人都市再生機構
八 地方住宅供給公社

賃貸住宅管理業法施行規則第三十条

 第十三条第二項の「電磁的方法」は、次のとおりです。

1.送信者が電子メールにより必要な事項を受信者に交付する方法
2.送信者がインターネットにより必要な事項を受信者に表示し、受信者がそれを保存することで交付する方法
3.送信者が備えた受信者ファイルをインターネットにより受信者に表示させる方法
4.送信者が必要な事項を記憶媒体に記録し、その媒体を受信者に交付する方法

賃貸住宅管理業法施行規則第三十二条第一項

 賃貸住宅管理業法施行令第二条によると、賃貸住宅管理業者は、電磁的方法により重要事項説明書の記載事項を賃貸人に提供する場合には、予めその電磁的方法の種類と内容をその賃貸人に示し、当該賃貸人からは書面又は電磁的方法により承諾を得ることとされています(施行令第二条第一項)。さらに、当該賃貸人が一旦承諾しても、賃貸人が電磁的方法による提供を受けないことを申し出たときは、賃貸住宅管理業者は紙ベースの書面を提供します(施行令第二条第二項)。

 国土交通省から発行されている「賃貸住宅管理業法制度概要ハンドブック」によると、重要事項の説明は、テレビ会議システムを利用して行われる形式の説明でも構いません。この場合では、双方向で映像と音声を受信できることが要件です。このことは、法第三十条に規定される重要事項の説明にも当てはまります。

(管理受託契約の締結時の書面の交付)
 第十四条は、管理受託契約を締結したときに賃貸住宅管理業者が交付する書面に記載されるべき事項を明示しています。

一 管理業務の対象となる賃貸住宅
二 管理業務の実施方法
三 契約期間に関する事項
四 報酬に関する事項
五 契約の更新又は解除に関する定めがあるときは、その内容
六 その他国土交通省令で定める事項

法第十四条第一項

 第六号の国土交通省令で定める事項は、以下のとおりです。

一 管理受託契約を締結する賃貸住宅管理業者の商号、名称又は氏名並びに登録年月日及び登録番号
二 管理業務の内容
三 管理業務の一部の再委託に関する定めがあるときは、その内容
四 責任及び免責に関する定めがあるときは、その内容
五 法第二十条の規定による委託者への報告に関する事項
六 賃貸住宅の入居者に対する法第十四条第一項第二号及び第二号に掲げる事項(筆者注:管理業務のこと)の周知に関する事項

賃貸住宅管理業法施行規則第三十五条第二項

 この書面の交付は、第十三条第二項の規定を準用して電磁的方法による提供で代えることができます(第十四条第二項)。管理受託契約内容の電磁的方法による提供についても施行令第二条の規定が準用されます。

 この書面は、管理受託契約締結前に交付する重要事項説明書面と同じにすることはできません。

(管理業務の再委託の禁止)
 賃貸住宅管理業法は、第十五条において、賃貸住宅管理受任者がその受任した管理業務の全部を別の者に再委託することを禁止しています。

(分別管理)
 賃貸住宅管理業者は、管理業務において受領する金銭を、自己の固有財産及び他の契約に基づく管理業務で受領する金銭と分別しなければなりません(第十六条)。その分別の方法としては口座を別にすること及び帳簿を備えて直ちに判別できる状態で管理することが挙げられます。

(証明書の携帯等)
 賃貸住宅管理業者は、その業務に従事する使用人その他の従業者に業務をさせるときは、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければなりません(第十七条第一項)。賃貸住宅管理業者の使用人その他の従業者は、その業務を行うに際し、委託者その他の関係者から請求があったときはその証明書を提示しなくてはなりません(第十七条第二項)。

(帳簿の備付け等)
 第十八条は、賃貸住宅管理業者がその事務所又は営業所ごとに備え付ける帳簿と記帳について規定しています。その帳簿は委託者ごとに記帳し、その記帳内容は次のとおりです。

一 管理受託契約を締結した委託者の商号、名称又は氏名
二 管理受託契約を締結した年月日
三 契約の対象となる賃貸住宅
四 受託した管理業務の内容
五 報酬の額
六 管理受託契約における特約その他参考となる事項

賃貸住宅管理業法施行規則第三十八条第一項

 賃貸住宅管理業法施行規則第三十八条によると、この帳簿は、必要に応じて紙に印刷できるのならば、IT技術を用いる方法で記帳しても構いません。また、この帳簿は各事業年度の末日をもって閉鎖され、閉鎖後5年間は保存されます。

(標識の掲示)
 賃貸住宅管理業者は、その営業所又は事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令で定める様式の標識を掲げます(第十九条)。

(委託者への定期報告)
 賃貸住宅管理業者は、管理業務の実施状況その他の国土交通省令で定める事項について、定期的に、委託者に報告します(第二十条)。

 定期報告は、管理受託契約を締結した日から一年を超えない期間ごとに、定期的に行われ、また、管理受託契約の期間満了後にも遅滞なく行われることを要します(賃貸住宅管理業法施行規則第四十条第一項)。

 この定期報告の報告書は、次の事項を含みます。

一 報告の対象となる期間
二 管理業務の実施状況
三 管理業務の対象となる賃貸住宅の入居者からの苦情の発生状況及び対応状況

賃貸住宅管理業法施行規則第四十条第一項

 施行規則第四十条第二項によると、賃貸住宅管理業者は、委託者の承諾を得て、IT技術を用いる方法でこの報告書を作成して提供することもできます。この電磁的方法の内容は、第十三条第二項の「電磁的方法」とほぼ同じです。委託者が一旦承諾しても、委託者が電磁的方法による提供を受けないことを申し出たときは、賃貸住宅管理業者は紙ベースの報告書を提供します。

(秘密を守る義務)
 賃貸住宅管理業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはなりませんし、業を営まなくなった後も同じです(第二十一条第一項)。

 賃貸住宅管理業者の代理人、使用人その他の従業者は、正当な理由がある場合でなければ、賃貸住宅管理業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはなりませんし、その職を辞した後も同じです(第二十一条第二項)。

第三節 監督

(業務改善命令)
第二十二条 国土交通大臣は、賃貸住宅管理業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、賃貸住宅管理業者に対し、業務の方法の変更その他業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(登録の取消し等)
第二十三条 国土交通大臣は、賃貸住宅管理業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は一年以内の期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第六条第一項各号(第三号を除く。)のいずれかに該当することとなったとき。
二 不正の手段により第三条第一項の登録を受けたとき。
三 その営む賃貸住宅管理業に関し法令又は前条若しくはこの項の規定による命令に違反したとき。
2 国土交通大臣は、賃貸住宅管理業者が登録を受けてから一年以内に業務を開始せず、又は引き続き一年以上業務を行っていないと認めるときは、その登録を取り消すことができる。
3 第六条第二項の規定は、前二項の規定による処分をした場合について準用する。
(登録の抹消)
第二十四条 国土交通大臣は、第三条第二項若しくは第九条第二項の規定により登録がその効力を失ったとき、又は前条第一項若しくは第二項の規定により登録を取り消したときは、当該登録を抹消しなければならない。
(監督処分等の公告)
第二十五条 国土交通大臣は、第二十三条第一項又は第二項の規定による処分をしたときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。
(報告徴収及び立入検査)
第二十六条 国土交通大臣は、賃貸住宅管理業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、賃貸住宅管理業者に対し、その業務に関し報告を求め、又はその職員に、賃貸住宅管理業者の営業所、事務所その他の施設に立ち入り、その業務の状況若しくは設備、帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(登録の取消し等に伴う業務の結了)
第二十七条 第三条第二項の登録の更新をしなかったとき、第九条第二項の規定により登録が効力を失ったとき、又は第二十三条第一項若しくは第二項の規定により登録が取り消されたときは、当該登録に係る賃貸住宅管理業者であった者又はその一般承継人は、当該賃貸住宅管理業者が締結した管理受託契約に基づく業務を結了する目的の範囲内においては、なお賃貸住宅管理業者とみなす。

e-Govより

 第二章第三節は、国土交通大臣による賃貸住宅管理業者の監督を規定しています。

(業務改善命令)
 国土交通大臣は、賃貸住宅管理業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、賃貸住宅管理業者に対して業務改善命令を出すことができます(第二十二条)。

(登録の取消し等)
 国土交通大臣は、賃貸住宅管理業者が(i)欠格事由に該当することになったとき、(ii)不正の手段により登録を受けたとき、又は(iii)法令若しくは業務改善命令に違反したときは、その登録を取り消すか、又は一年以内の期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができます(第二十三条第一項)。

 賃貸住宅管理業者が登録を受けてから一年以内に業務を開始せず、又は引き続き一年以上業務を行っていないと認めるときは、国土交通大臣はその登録を取り消すことができます(第二項)。

 国土交通大臣が登録の取消し又は業務停止の処分を下すときは、第六条第二項の規定を準用して、賃貸住宅管理業者にその理由を示し、登録取り消し又は業務停止を通知します(第三項)。

 ただし、業務停止を通知されていても管理業務を行うことは禁止されていません

(登録の抹消)
 国土交通大臣は、賃貸住宅管理業者の登録の有効期間が満了してその効力が失われたとき、賃貸住宅管理業者が廃業等をして登録の効力が失われたとき、又は登録の取消しに係る規定により登録を取り消したときは、その登録を抹消します(第二十四条)。

(監督処分等の公告)
 国土交通大臣が賃貸住宅管理業者に対して登録取り消し又は業務停止の処分をしたときはその旨が公告されます(第二十五条)。

(報告徴収及び立入検査)
 国土交通大臣は、賃貸住宅管理業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、賃貸住宅管理業者に対し、その業務に関し報告を求め、又は国土交通省の職員に、賃貸住宅管理業者の営業所、事務所その他の施設に立ち入り、その業務の状況若しくは設備、帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができます(第二十六条第一項)。

 立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければなりません(第二項)。また、この立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものではありません(第三項)。

(登録の取消し等に伴う業務の結了)
(i)賃貸住宅管理業者が登録の更新をしなかったとき、(ii)廃業等により登録が効力を失ったとき、又は(iii)登録の取消しに係る規定により登録が取り消されたときにその登録に係る賃貸住宅管理業者であった者又はその一般承継人は、登録が有効であったときに締結した管理受託契約に基づく業務を終わらせる目的で活動している間は賃貸住宅管理業者とみなされます(第二十七条)。

第三章 特定賃貸借契約の適正化のための措置等

(誇大広告等の禁止)
第二十八条 特定転貸事業者又は勧誘者(特定転貸事業者が特定賃貸借契約の締結についての勧誘を行わせる者をいう。以下同じ。)(以下「特定転貸事業者等」という。)は、第二条第五項に規定する事業に係る特定賃貸借契約の条件について広告をするときは、特定賃貸借契約に基づき特定転貸事業者が支払うべき家賃、賃貸住宅の維持保全の実施方法、特定賃貸借契約の解除に関する事項その他の国土交通省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。
(不当な勧誘等の禁止)
第二十九条 特定転貸事業者等は、次に掲げる行為をしてはならない。
一 特定賃貸借契約の締結の勧誘をするに際し、又はその解除を妨げるため、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者に対し、当該特定賃貸借契約に関する事項であって特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為
二 前号に掲げるもののほか、特定賃貸借契約に関する行為であって、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の保護に欠けるものとして国土交通省令で定めるもの
(特定賃貸借契約の締結前の書面の交付)
第三十条 特定転貸事業者は、特定賃貸借契約を締結しようとするときは、特定賃貸借契約の相手方となろうとする者(特定転貸事業者である者その他の特定賃貸借契約に係る専門的知識及び経験を有すると認められる者として国土交通省令で定めるものを除く。)に対し、当該特定賃貸借契約を締結するまでに、特定賃貸借契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるものについて、書面を交付して説明しなければならない。
2 特定転貸事業者は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該特定賃貸借契約の相手方となろうとする者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該特定転貸事業者は、当該書面を交付したものとみなす。
(特定賃貸借契約の締結時の書面の交付)
第三十一条 特定転貸事業者は、特定賃貸借契約を締結したときは、当該特定賃貸借契約の相手方に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
一 特定賃貸借契約の対象となる賃貸住宅
二 特定賃貸借契約の相手方に支払う家賃その他賃貸の条件に関する事項
三 特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全の実施方法
四 契約期間に関する事項
五 転借人の資格その他の転貸の条件に関する事項
六 契約の更新又は解除に関する定めがあるときは、その内容
七 その他国土交通省令で定める事項
2 前条第二項の規定は、前項の規定による書面の交付について準用する。
(書類の閲覧)
第三十二条 特定転貸事業者は、国土交通省令で定めるところにより、当該特定転貸事業者の業務及び財産の状況を記載した書類を、特定賃貸借契約に関する業務を行う営業所又は事務所に備え置き、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の求めに応じ、閲覧させなければならない。
(指示)
第三十三条 国土交通大臣は、特定転貸事業者が第二十八条から前条までの規定に違反した場合又は勧誘者が第二十八条若しくは第二十九条の規定に違反した場合において特定賃貸借契約の適正化を図るため必要があると認めるときは、その特定転貸事業者に対し、当該違反の是正のための措置その他の必要な措置をとるべきことを指示することができる。
2 国土交通大臣は、勧誘者が第二十八条又は第二十九条の規定に違反した場合において特定賃貸借契約の適正化を図るため必要があると認めるときは、その勧誘者に対し、当該違反の是正のための措置その他の必要な措置をとるべきことを指示することができる。
3 国土交通大臣は、前二項の規定による指示をしたときは、その旨を公表しなければならない。
(特定賃貸借契約に関する業務の停止等)
第三十四条 国土交通大臣は、特定転貸事業者が第二十八条から第三十二条までの規定に違反した場合若しくは勧誘者が第二十八条若しくは第二十九条の規定に違反した場合において特定賃貸借契約の適正化を図るため特に必要があると認めるとき、又は特定転貸事業者が前条第一項の規定による指示に従わないときは、その特定転貸事業者に対し、一年以内の期間を限り、特定賃貸借契約の締結について勧誘を行い若しくは勧誘者に勧誘を行わせることを停止し、又はその行う特定賃貸借契約に関する業務の全部若しくは一部を停止すべきことを命ずることができる。
2 国土交通大臣は、勧誘者が第二十八条若しくは第二十九条の規定に違反した場合において特定賃貸借契約の適正化を図るため特に必要があると認めるとき、又は勧誘者が前条第二項の規定による指示に従わないときは、その勧誘者に対し、一年以内の期間を限り、特定賃貸借契約の締結について勧誘を行うことを停止すべきことを命ずることができる。
3 国土交通大臣は、前二項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。
(国土交通大臣に対する申出)
第三十五条 何人も、特定賃貸借契約の適正化を図るため必要があると認めるときは、国土交通大臣に対し、その旨を申し出て、適当な措置をとるべきことを求めることができる。
2 国土交通大臣は、前項の規定による申出があったときは、必要な調査を行い、その申出の内容が事実であると認めるときは、この法律に基づく措置その他適当な措置をとらなければならない。
(報告徴収及び立入検査)
第三十六条 国土交通大臣は、特定賃貸借契約の適正化を図るため必要があると認めるときは、特定転貸事業者等に対し、その業務に関し報告を求め、又はその職員に、特定転貸事業者等の営業所、事務所その他の施設に立ち入り、その業務の状況若しくは設備、帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

e-Govより

 第三章は、賃貸住宅のサブリース事業において公正な取引を確保するための規定を含みます。賃借人が賃借している部屋を第三者に転貸しているときにその転貸が業として行われていなければ、それは特定賃貸借にはならず、通常の転貸借となります。業として行うとは、反復継続して転貸を行うことに当たります。

 賃借人が次の者である場合、賃貸人との間のマスターリース契約は「特定賃貸借契約」に当たりません。

一 賃貸人が個人である場合
イ 賃貸人の親族
ロ 賃貸人又はその親族が役員である法人
二 賃貸人が会社である場合
イ 賃貸人の親会社
ロ 賃貸人の子会社
ハ 賃貸人の関連会社(会社計算規則第二条第三項第十八号に規定する関連会社)
ニ 賃貸人が他の会社等の関連会社である場合におけるその会社等
ホ 賃貸人の親会社の子会社
三 賃貸人が登録投資法人である場合
  賃貸人(登録投資法人)の資産運用会社の関係会社
四 賃貸人が特定目的会社(資産の流動化に関する法律第二条第三項に規定する特定目的会社)である場合
  賃貸人(特定目的会社)の委託を受けて特定資産の管理及び処分に係る業務を行う者の関係会社
五 賃貸人が組合(組合員の間で不動産特定共同事業法第二条第三項に規定する不動産特定共同事業契約(同項第一号に掲げる契約に限る)が締結されている組合)である場合
  賃貸人(組合)の業務執行者又は当該業務執行者の関係会社
六 賃貸人が特例事業者(不動産特定共同事業法第二条第九項に規定する特例事業者)である場合
  賃貸人(特例事業者)の委託を受けて不動産取引に係る業務を行う不動産特定共同事業者(同条第五項に規定する不動産特定共同事業者)の関係会社又は当該業務を行う小規模不動産特定共同事業者(同条第七項に規定する小規模不動産特定共同事業者)の関係会社
七 賃貸人が賃貸住宅に係る信託の受託者である場合
イ 当該信託の委託者又は受益者の関係会社
ロ 委託者等が登録投資法人である場合における当該登録投資法人の資産運用会社の関係会社
ハ 委託者等が特定目的会社である場合における当該特定目的会社の委託を受けて特定資産の管理及び処分に係る業務を行う者の関係会社

賃貸住宅管理業法施行規則第二条

(誇大広告等の禁止)
 第二十八条の規定に現れる「勧誘者」とは、特定転貸事業者が特定賃貸借契約の締結についての勧誘を行わせる者のことをいいます。国土交通省から出ている「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律 の解釈・運用の考え方」によると、勧誘者には、特定転貸事業者から委託を受けている者、及び明示的に委託を受けてはいないが勧誘を行うように依頼を受けている者が含まれます。

 「勧誘」とは、特定賃貸借契約の相手方が特定賃貸借契約を締結する意思の形成に影響を与える行為のことです。

 特定転貸事業者及び勧誘者は、特定賃貸借契約の条件について広告をするときは、以下の事項について、著しく事実に相違する表示(虚偽広告)をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示(誇大広告)をしてはなりません(第二十八条)。

一 特定賃貸借契約の相手方に支払う家賃の額、支払期日及び支払方法等の賃貸の条件並びにその変更に関する事項
二 賃貸住宅の維持保全の実施方法
三 賃貸住宅の維持保全に要する費用の分担に関する事項
四 特定賃貸借契約の解除に関する事項

賃貸住宅管理業法施行規則第四十二条

 国土交通省から発行されている「賃貸住宅管理業法制度概要ハンドブック」によると、体験談の広告への利用について、大多数の人がマスターリース契約を結ぶことで同じようなメリットを享受できるという認識を抱くような体験談の利用は、「個人の感想です。経営実績を保証するものではありません。」という表示(打消し表示)があっても違法になる可能性が高いです。

(不当な勧誘等の禁止)
 第二十九条は、特定転貸事業者及び勧誘者に対し、特定賃貸借契約の締結の勧誘に関して次の行為を禁止しています。

一 特定賃貸借契約の締結の勧誘をするに際し、又は特定賃貸借契約の解除を妨げるため、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為(事実不告知・不実告知
 告知の対象:特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者
 告知の内容:特定賃貸借契約に関する事項であって相手の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの

二 特定賃貸借契約に関する行為であって、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の保護に欠けるものとして国土交通省令で定めるもの(規則禁止行為:賃貸受託管理業法施行規則第四十三条)
① 特定賃貸借契約を締結若しくは更新させ、又は特定賃貸借契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、特定賃貸借契約の相手を威迫する行為
② 特定賃貸借契約の締結又は更新について相手方等に迷惑を覚えさせるような時間に電話又は訪問により勧誘する行為
③ 特定賃貸借契約の締結又は更新について深夜又は長時間の勧誘その他の私生活又は業務の平穏を害するような方法により相手方等を困惑させる行為
④ 特定賃貸借契約の締結又は更新をしない旨の意思を表示した相手方等に対して執ように勧誘する行為

 国土交通省から発行されている「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」には、「誇大広告等」や「不当な勧誘等」の具体例が挙げられています。

(特定賃貸借契約の締結前の書面の交付)
 第三十条は、特定賃貸借契約の締結前書面を交付してその内容を説明することを規定しています。この特定賃貸借契約の締結前に交付する書面を講学上「重要事項説明書」と呼びます。

 特定転貸事業者は、契約を締結するまでに、国土交通省令で定める事項を含む書面を特定賃貸借契約の相手方となろうとする者に交付してその書面の内容を説明します(第三十条第一項)。特定転貸事業者は、特定賃貸借契約の相手方となろうとする者の承諾を得て、書面の交付に代えて、当該事項を電磁的方法でその者に提供することができます(第三十条第二項)。

 第三十条第一項の「重要事項説明書」に含まれる国土交通省令で定る事項は、次のとおりです。

一 特定賃貸借契約を締結する特定転貸事業者の商号、名称又は氏名及び住所
二 特定賃貸借契約の対象となる賃貸住宅
三 特定賃貸借契約の相手方に支払う家賃の額、支払期日及び支払方法等の賃貸の条件並びにその変更に関する事項
四 特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全の実施方法
五 特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全に要する費用の分担に関する事項
六 特定賃貸借契約の相手方に対する維持保全の実施状況の報告に関する事項
七 損害賠償額の予定又は違約金に関する事項
八 責任及び免責に関する事項
九 契約期間に関する事項
十 転借人の資格その他の転貸の条件に関する事項
十一 転借人に対する第四号に掲げる事項の周知に関する事項
十二 特定賃貸借契約の更新及び解除に関する事項
十三 特定賃貸借契約が終了した場合における特定転貸事業者の権利義務の承継に関する事項
十四 借地借家法(平成三年法律第九十号)その他特定賃貸借契約に係る法令に関する事項の概要

賃貸住宅管理業法施行規則第四十五条

 第三十条第二項の「電磁的方法」の内容は、第十三条第二項の「電磁的方法」と同じです。

 賃貸住宅管理業法施行令第三条によると、特定転貸事業者は、電磁的方法により重要事項説明書の記載事項を特定賃貸借契約の相手方となろうとする者に提供する場合には、予めその電磁的方法の種類と内容をその者に示し、その者からは書面又は電磁的方法により承諾を得ることとされています(施行令第三条第一項)。さらに、その特定賃貸借契約の相手方となろうとする者が一旦承諾しても、その者が電磁的方法による提供を受けないことを申し出たときは、特定転貸事業者は紙ベースの書面を提供します(施行令第三条第二項)。

 また、特定賃貸借契約に係る専門的知識及び経験を有すると認められる者として国土交通省令により定めれる者に対しては、この特定賃貸借契約の締結前の書面の交付は免除されています(第三十条第一項)。次の者がこれに当たります。

一 特定転貸事業者
二 賃貸住宅管理業者
三 宅地建物取引業者
四 特定目的会社
五 組合
六 賃貸住宅に係る信託の受託者
七 独立行政法人都市再生機構
八 地方住宅供給公社

賃貸住宅管理業法施行規則第四十四条

(特定賃貸借契約の締結時の書面の交付)
 第三十一条は、特定賃貸借契約を締結したときに特定転貸事業者が交付する書面に記載されるべき事項を明示しています。

一 特定賃貸借契約の対象となる賃貸住宅
二 特定賃貸借契約の相手方に支払う家賃その他賃貸の条件に関する事項
三 特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全の実施方法
四 契約期間に関する事項
五 転借人の資格その他の転貸の条件に関する事項
六 契約の更新又は解除に関する定めがあるときは、その内容
七 その他国土交通省令で定める事項

法第三十一条第一項

 第七号の国土交通省令で定める事項は、以下のとおりです。

一 特定賃貸借契約を締結する特定転貸事業者の商号、名称又は氏名及び住所
二 特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全に要する費用の分担に関する事項
三 特定賃貸借契約の相手方に対する維持保全の実施状況の報告に関する事項
四 損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがあるときは、その内容
五 責任及び免責に関する定めがあるときは、その内容
六 転借人に対する法第三十一条第一項第三号に掲げる事項(特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全の実施方法)の周知に関する事項
七 特定賃貸借契約が終了した場合における特定転貸事業者の権利義務の承継に関する事項

賃貸住宅管理業法施行規則第四十七条

 この書面の交付は、第三十条第二項の規定を準用して電磁的方法による提供で代えることができます(第三十一条第二項)。特定賃貸借契約内容の電磁的方法による提供についても施行令第三条の規定が準用されます。

 この書面は、特定賃貸借契約締結前に交付する重要事項説明書面と同じにすることはできません。

(書類の閲覧)
 特定転貸事業者は、「業務状況調書等」(当該特定転貸事業者の業務及び財産の状況を記載した書類)を作成して営業所又は事務所に備え置き、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の求めに応じ、閲覧させなければなりません(第三十二条)。業務状況調書等には業務状況調書、貸借対照表及び損益計算書又はこれらに代わる書面が挙げられます(施行規則第四十八条第一項)。

 業務状況調書等は、必要に応じて紙に印刷できるのならば、IT技術を用いる方法で作成及び表示することもできます(施行規則第四十八条第二項)。

 特定転貸事業者は、事業年度経過後3か月以内に業務状況調書等を作成し、遅滞なく営業所又は事務所ごとに備え置きます。業務状況調査書等は、その日から起算して3年間は営業所又は事務所において保管され、閲覧に供されます(施行規則第四十八条第四項)。

 行政は、指示又は業務停止命令により特定賃貸借事業者等を監督します。

(指示)
 国土交通大臣は、次の規定の違反があった場合において、特定賃貸借契約の適正化を図るため必要があると認めるときは、当該違反の是正のための措置その他の必要な措置をとるべきことを指示することができます(第三十三条)。

違反第二十八条から第三十二条まで第二十八条又は第二十九条
違反者特定転貸事業者勧誘者
被指示者特定転貸事業者勧誘者及びその勧誘者に関係する特定転貸事業者
法第三十三条第一項及び第二項

 国土交通大臣は、第三十三条第一項及び第二項の規定による指示をしたときは、その旨を公表します(第三十三条第三項)。

(特定賃貸借契約に関する業務の停止等)
 国土交通大臣は、次の規定の違反があった場合において特定賃貸借契約の適正化を図るため特に必要があると認めるとき又は第三十三条に規定する指示に反する行動があったときには、一年以内の期間を限り、業務の全部若しくは一部を停止すべきことを命ずることができます(第三十四条)。

違反第二十八条から第三十二条まで第二十八条又は第二十九条
違反者特定転貸事業者勧誘者
被命令者特定転貸事業者勧誘者
業務停止命令の対象・特定賃貸借契約締結の勧誘
・勧誘者に勧誘を行わせること
・特定賃貸借契約の締結
・特定賃貸借契約締結の勧誘

 国土交通大臣は、第三十四条第一項及び第二項の規定による指示をしたときは、その旨を公表します(第三十四条第三項)。

(国土交通大臣に対する申出)
 誰であっても、特定賃貸借契約の適正化を図るため必要があるときは、国土交通大臣に対し、その旨を申し出て、適当な措置をとるべきことを求めることができます(第三十五条第一項)。

 国土交通大臣は、申出があったときは、必要な調査を行い、その申出の内容が事実であると認めるときは、適当な措置をとらなければなりません(第三十五条第二項)。

(報告徴収及び立入検査)
 国土交通大臣は、特定賃貸借契約の適正化を図るため必要があると認めるときは、特定転貸事業者と勧誘者に対し、その業務に関し報告を求め、又は国土交通省の職員に、特定転貸事業者等の営業所、事務所その他の施設に立ち入り、その業務の状況若しくは設備、帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができます(第三十六条第一項)。

 立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければなりません(第二項)。また、この立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものではありません(第三項)。

第四章 雑則

(適用の除外)
第三十七条 この法律の規定は、国及び地方公共団体には、適用しない。
(権限の委任)
第三十八条 この法律に規定する国土交通大臣の権限は、国土交通省令で定めるところにより、その一部を地方整備局長又は北海道開発局長に委任することができる。
(国土交通省令への委任)
第三十九条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。
(経過措置)
第四十条 この法律に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

e-Govより

第五章 罰則

第四十一条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三条第一項の規定に違反して、賃貸住宅管理業を営んだとき。
二 不正の手段により第三条第一項の登録を受けたとき。
三 第十一条の規定に違反して、他人に賃貸住宅管理業を営ませたとき。
第四十二条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、六月以下の拘禁刑若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第二十三条第一項の規定による命令に違反したとき。
二 第二十九条(第一号に係る部分に限る。)の規定に違反して、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げたとき。
三 第三十四条第一項又は第二項の規定による命令に違反したとき。
第四十三条 第三十条第一項若しくは第三十一条第一項の規定に違反して、書面を交付せず、若しくはこれらの規定に規定する事項を記載しない書面若しくは虚偽の記載のある書面を交付したとき、又は第三十条第二項(第三十一条第二項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)に規定する方法により提供する場合において、第三十条第二項に規定する事項を欠いた提供若しくは虚偽の事項の提供をしたときは、その違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
第四十四条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第七条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
二 第十二条第一項の規定に違反して、業務管理者を選任しなかったとき。
三 第十二条第二項の規定に違反して、管理受託契約を締結したとき。
四 第十四条第一項の規定に違反して、書面を交付せず、若しくは同項に規定する事項を記載しない書面若しくは虚偽の記載のある書面を交付したとき、又は同条第二項において準用する第十三条第二項に規定する方法により提供する場合において、同項に規定する事項を欠いた提供若しくは虚偽の事項の提供をしたとき。
五 第十七条第一項若しくは第二項又は第十九条の規定に違反したとき。
六 第十八条の規定に違反して、帳簿を備え付けず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき。
七 第二十一条第一項又は第二項の規定に違反して、秘密を漏らしたとき。
八 第二十二条の規定による命令に違反したとき。
九 第二十六条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。
十 第二十八条の規定に違反して、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしたとき。
十一 第三十二条の規定に違反して書類を備え置かず、若しくは特定賃貸借契約の相手方若しくは相手方となろうとする者の求めに応じて閲覧させず、又は虚偽の記載のある書類を備え置き、若しくは特定賃貸借契約の相手方若しくは相手方となろうとする者に閲覧させたとき。
十二 第三十三条第一項又は第二項の規定による指示に違反したとき。
十三 第三十六条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。
第四十五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第四十一条から前条まで(同条第七号を除く。)の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
第四十六条 第九条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたときは、その違反行為をした者は、二十万円以下の過料に処する。

e-Govより

 第五章は、罰則の既定を含みます。

賃貸住宅管理業法に規定する罰則

条項罰則の対象
第四十一条一年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金、又はこれらの併科一 登録を受けずに賃貸住宅管理業を営んだとき。
二 不正の手段により賃貸住宅管理業の登録を受けたとき。
三 他人に賃貸住宅管理業を営ませたとき。
第四十二条六月以下の拘禁刑若しくは五十万円以下の罰金、又はこれらの併科一 賃貸住宅管理業に係る業務停止命令への違反
二 サブリース規制に係る事実不告知・不実告知
三 サブリース規制に係る業務停止命令への違反
第四十三条五十万円以下の罰金・特定賃貸借契約の締結前及び締結時に交付すべき書面を交付せず、若しくは所定の事項を記載しない書面若しくは虚偽の記載のある書面を交付したとき
・特定賃貸借契約の締結前及び締結時に交付すべき書面の記載事項を電磁的方法により提供する場合において、所定の事項を欠いた提供若しくは虚偽の事項の提供をしたとき
第四十四条三十万円以下の罰金一 賃貸住宅管理業登録に係る変更の届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
二 賃貸住宅管理業に関し、業務管理者を選任しなかったとき。
三 業務管理者が不在のまま、管理受託契約を締結したとき。
四 管理受託契約の締結時の書面を交付せず、若しくは所定の事項を記載しない書面若しくは虚偽の記載のある書面を交付したとき、又は電磁的方法により所定の記載事項を提供する場合において、所定の事項を欠いた提供若しくは虚偽の事項の提供をしたとき。
五 賃貸住宅管理業の従業員証又は賃貸住宅管理業の標識の規定に違反したとき。
六 賃貸住宅管理業の帳簿を備え付けず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき。
七 賃貸管理業者の守秘義務規定に違反して、秘密を漏らしたとき。
八 賃貸管理業者に対する業務改善命令に違反したとき。
九 賃貸管理業者への報告徴収に対して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は賃貸管理業者に対する立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは賃貸管理業者に対する質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。
十 特定賃貸借契約に関して著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしたとき。
十一 特定転貸事業者の業務及び財産の状況を記載した書類を備え置かず、若しくは特定賃貸借契約の相手方若しくは相手方となろうとする者の求めに応じて閲覧させず、又は虚偽の記載のある書類を備え置き、若しくは特定賃貸借契約の相手方若しくは相手方となろうとする者に閲覧させたとき。
十二 特定転貸事業者等に対する業務是正の指示に違反したとき。
十三 特定転貸事業者等への報告徴収に対して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は特定転貸事業者等に対する立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは特定転貸事業者等に対する質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。
第四十六条二十万円以下・賃貸住宅管理業登録に係る廃業等の届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき

 第四十五条は、両罰規定です。

 以上、賃貸住宅管理業法を見てきました。

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