本ページではタイへペットの犬猫を連れて行くための準備と手続きを説明します。マレーシアに犬猫を連れて行くための準備と手続きについては次ページをご覧ください。
タイはASEAN地域における日系企業の拠点の一つであり、2021年の時点でタイに進出している日系企業の数は約5,850社、在留邦人の数は約8万3千人になります。日系企業は、2010年頃までは安い人件費を求めてタイに進出しましたが、タイの経済発展の結果、現在ではタイを消費市場として見て進出しています。転勤でタイに赴任する日本人ばかりでなく、タイの文化や生活スタイルが気に入ってタイに移住する日本人も増えています。この記事は、タイ王国大使館農務担当官事務所の記述を基に、そんなタイに移住する人がペットの犬猫を携帯貨物(ハンドキャリー)扱いで日本タイ間で空輸するための準備と手続きについて説明します。
日本を出国するまでの手続きについては本ブログの記事「ペットと共に海外移住したいときの準備と手続き」をご覧ください。
ペットの犬猫とタイに入国するための要件と書類
ペットの要件
- ISO11784規格又はISO11785規格のマイクロチップを装着する
- マイクロチップの装着後、タイ入国365日前~21日前までに予防接種を行う
日本に在住していたペットの犬猫がタイに入国するための要件はこれだけです。在アメリカ・タイ王国大使館のホームページの記載によると、タイに持ち込めるペットは少なくとも4か月齢であることが要件になっているようです。これらは簡単な要件にみえますが、必要な予防接種が複数種類あります。次に動物種ごとに必要な予防接種を紹介します。
イヌの場合
- 狂犬病
- 犬ジステンパー
- 犬パルボウイルス感染症
- 犬伝染性肝炎
- レプトスピラ症
以上の感染症に対する予防接種が必要になります。予防接種を受けたら英文の予防接種証明書を作成してもらってください。
ネコの場合
- 狂犬病
- 猫パルボウイルス感染症
以上の感染症に対する予防接種が必要になります。予防接種を受けたら英文の予防接種証明書を作成してもらってください。予防接種証明書には以下の事項の記載が必要です。
- ペットの品種
- ペットの性別
- ペットの生年月日
- ペットの毛色
- ペットのマイクロチップ番号
- 予防接種をした獣医師の氏名
- 予防接種をした獣医師の獣医師免許番号
- 予防接種をした獣医師の署名
- ワクチンの情報
以上の内容に加え、明記されていませんが、動物病院の名称及び住所、電話番号もレターヘッドに必要と思われます。
必要書類
マイクロチップを装着し、予防接種を受けたらタイ入国に必要な書類を揃えます。必要な書類は以下のとおりです。
- 英文の予防接種証明書
- 英文のマイクロチップ装着証明書
- R1/1申請書
- 申請者のパスポートの顔写真のページのコピー
- ペットの写真
以上の書類を揃えたら、これらの書類を事前申請のためにスワンナプーム空港動物検疫所(qsap_bkk_import@dld.go.th)へ送付します。書類の審査後にNotification for Importation Animal(輸入許可証)が発行されます。返信の目安は7日以内です。輸入許可証の有効期間は60日間です。タイへ渡航する60日前から20日前の期間に上記の書類を送付すれば出国10日前までに輸入許可証を取得することができる計算になります。
事前申請を行わずにスワンナプーム空港動物検疫所で当日申請を行うことも可能ですが、時間に余裕があるのならば事前申請を行った方が安心できるでしょう。
日本出国からタイ入国までの手順
タイ入国には日本の動物検疫所で発行される輸出検疫証明書が必要であるため、日本出国前に動物検疫所で輸出検査を受けて輸出検疫証明書を取得します。
日本出国後、タイのスワンナプーム空港に到着したら手荷物受取ターンテーブル8番付近にあるスワンナプーム空港動物検疫所に輸出検疫証明書、英文予防接種証明書(イヌ:5種類、ネコ:2種類)、英文マイクロチップ装着証明書、及びR1/1申請書を提出し、申請者のパスポート及び連れてきたペットをチェックしてもらってタイに入国します。
スワンナプーム空港動物検疫所は24時間対応になっています。ペットの入国には1頭あたり500バーツの審査手数料及び1,000バーツの関税がかかります。
日本に帰国するとき
ここではタイ税関とスワンナプーム空港動物検疫所のホームページに記載されている情報を基にペットとタイを出国するための手続きについて説明します。ペットと一緒にタイから日本に帰国するための日本側の検疫の手続きについてはこちらの記事をご覧ください。タイが求めているペットのタイ出国のための準備は輸出許可証の取得であり、それは輸出検査の際に取得できます。
日本への帰国のために民間獣医師の健康診断を受け(タイ出国前10日以内)、日本の動物検疫所が配布しているForm AC(日本からタイへ連れてきたペットについてはForm REも可)に記入してもらって健康証明書を作成します。その後、スワンナプーム空港動物検疫所に連絡して輸出許可申請を行い、且つ、輸出検査を受ける予約をします。輸出検査は、タイ出国の3日以内に行います。記入済みの健康証明書(Form AC)に加えて以下の書類を輸出検査時に提出し、輸出検査を受けたうえで輸出許可証を取得します。健康証明書に獣医官の署名と公印をもらって健康証明書が完成です。
- タイ滞在中に行った2回の狂犬病予防接種の証明書又は予防接種記録帳の原本とコピー
- マイクロチップ装着証明書の原本とコピー
- 狂犬病抗体価検査結果通知書の原本とコピー
- 申請者のパスポートの顔写真のページのコピー
- 日本の動物検疫所が発行した輸入届出受理書
- 記入済みのForm AC(獣医師の氏名、ライセンス番号、及び署名が必要です)
健康証明書のテンプレートとしてForm ACではなくForm REを使用した場合、以上の書類に加えて日本の動物検疫所が発行した輸出検疫証明書をスワンナプーム空港動物検疫所に持参してください。
2016年の情報ですが、検疫局での検査は2~3時間かかり、ペット1頭当たり250バーツに加えて渡航1回当たり10バーツの手数料が必要とされています。
以上、ペットの犬猫をタイへ長期滞在目的で連れていくときの準備について、タイ王国大使館農務担当官事務所及びタイ税関のホームページに記載されている情報を基に説明しました。タイへの移住にペットを連れていきたいのだけれども自分で渡航準備の全てを行う時間がない、助けを必要としている、という方は行政書士渡邉光一事務所にご相談ください。