海外移住にあたり、愛犬・愛猫を一緒に連れて行きたいと考える方へ。この記事では、タイ王国へペットをハンドキャリーで空輸する際の準備と手続きについて、タイ王国大使館農務担当官事務所の情報をもとに詳しく解説します。
日本を出国するまでの手続きについては本ブログの別記事「ペットと一緒に海外移住したいときの準備と手続き」をご参照ください。
マレーシアへの渡航については、次ページをご覧ください。
タイへの移住とペット事情
タイはASEAN地域における日系企業の拠点として知られ、2021年時点で約5,850社が進出し、在留邦人は約8万3千人にのぼります。転勤だけでなく、タイの文化や生活に魅力を感じて移住する方も増えており、ペットと共に渡航するケースも多くなっています。
タイのお正月
タイの旧正月(ソンクラン)は、日本人にとって異動の季節である4月にあります。旧正月の期間は会社も役所も休日です。4月に異動でペットと共にタイに引っ越す方は、旧正月の休日で輸入許可証の発行が遅れる可能性も考慮してスケジュールを立てましょう。
タイ入国に必要な条件と書類
ペットの条件
- ISO11784/11785準拠のマイクロチップ装着
- 生後4か月以上
- マイクロチップ装着後の予防接種
- 外部寄生虫(ノミ・ダニ)の駆虫処理
予防接種は、タイ入国365日前~21日前までに実施します。
必要な予防接種
イヌの場合
- 狂犬病
- 犬ジステンパー
- 犬パルボウイルス感染症
- 犬伝染性肝炎
- レプトスピラ症
ネコの場合
- 狂犬病
- 猫パルボウイルス感染症
予防接種後は、英文の予防接種証明書を作成してもらってください。
予防接種証明書に必要な記載事項
- ペットの品種、性別、生年月日、毛色、マイクロチップ番号
- 予防接種をした獣医師の氏名、免許番号、署名
- ワクチン情報
- 動物病院の名称、住所、電話番号
必要書類
- 英文の予防接種証明書
- 英文のマイクロチップ装着証明書
- R1/1申請書
- パスポートの顔写真のページのコピー
- ペットの写真
これらの書類をスワンナプーム空港動物検疫所(qsap_bkk_import@dld.go.th)へ事前送付し、輸入許可証(Notification for Importation Animal)を取得します。返信の目安は7日以内です。輸入許可証の有効期間は60日間です。
※スワンナプーム空港動物検疫所において当日申請も可能ですが、事前申請がお勧めです。
当日申請が可能なのは、スワンナプーム空港からタイに入国するペットだけです。それ以外の経路でタイに入国するペットは、輸入許可の事前申請が必要です。
日本出国からタイ入国までの手順
- 日本の動物検疫所に外部寄生虫駆除証明書を事前に提出
- 動物検疫所で輸出検査を受ける
- タイ到着後、空港検疫所で必要書類を提出
- ペットと申請者の確認を受けて入国
スワンナプーム空港動物検疫所は、手荷物受取ターンテーブル8番付近にあります。
スワンナプーム空港動物検疫所への提出書類は、次のとおりです。
- 輸出検疫証明書
- 英文予防接種証明書(狂犬病予防接種証明書および混合ワクチン接種証明書)
- 英文マイクロチップ装着証明書
- R1/1申請書
スワンナプーム空港動物検疫所は24時間対応です。ペットの入国には1頭あたり500バーツの審査手数料及び1,000バーツの関税がかかります。
日本への帰国手続き
タイ出国には輸出許可証が必要です。以下の手順で準備を進めます。
- 出国前10日以内に民間獣医師の健康診断を受け、日本の動物検疫所が配布しているForm ACまたはForm REを獣医師に記入してもらう
- スワンナプーム空港動物検疫所に連絡し、輸出前検査を予約(タイ出国前3日以内)
- 以下の書類を提出して検査を受け、輸出許可証を取得
- Form ACまたはForm REに検疫官の署名と公印を得て「輸出国政府機関発行の証明書」を取得
提出書類
- タイ出国前2回分の狂犬病予防接種の証明書又は予防接種記録帳の原本とコピー
- マイクロチップ装着証明書の原本とコピー
- 狂犬病抗体価検査結果通知書の原本とコピー
- 申請者のパスポートの顔写真のページのコピー
- 日本の動物検疫所発行の輸入届出受理書
- 記入済みのForm ACまたはForm RE
※Form REを使用する場合には、以上の書類に加えて日本の動物検疫所が発行した輸出検疫証明書も必要です。
※検査には2~3時間、手数料はペット1頭250バーツ+渡航1回につき10バーツの手数料です。
ペットとの海外移住は、事前準備が鍵です。ペットを連れてタイへ移住したいけれど、ペットの渡航準備をすべて自分で行う時間がない方、サポートが必要な方は、行政書士渡邉光一事務所にご相談ください。