アメリカに入国できる犬の要件が2024年8月1日に変わりました

ペットの犬猫をオーストラリアへ連れていくための準備と手続き

ペットと海外移住

 オーストラリアと聞いて思い起こすイメージはなんですか?真っ青な空に赤い大地、コアラにカンガルーでしょうか。オーストラリアには、他の大陸では見られない袋を持った哺乳類動物、すなわち有袋類動物をはじめとするオーストラリア特有の生物がいます。オーストラリアはその生態系を護るために生物の輸入に関して厳しい制限を設けています。

 上記の理由のため、JALやANAではオーストラリア行きの旅客機へのペットの持ち込みを受け付けていません。オーストラリアのフラッグキャリアであるカンタス航空は、ペットの持ち込みに関して指定業者の利用を求めています(カンタス航空のホームページでは明記していませんが、カンタス航空でも貨物便の利用に限定されるものと思われます)。2024年10月の時点ではホームページが確認できる日本のカンタス航空指定業者はAnimal Fly International Co., Ltd.有限会社バーデン、及び株式会社エコノムーブジャパンの三社です。オーストラリアへペットのイヌとネコを持ち込むための詳しい条件についてはこちらの三社にお尋ねください。この記事は、オーストラリア農林水産省のホームページの記述を基にペットの犬猫をオーストラリアへ持ち込むための準備と手続きの概要を説明します。

オーストラリアに入国した犬猫はメルボルンの検疫施設で一時的に隔離されるため、貨物便でペットをオーストラリアまで運ぶことを選択する人がほとんどだと思いますが、介助犬、盲導犬、又は聴導犬のアシスタンスを必要とする人はこれらの犬と一緒に旅客機に乗ってオーストラリアへ行くことができます。各航空会社に要件を聞いてみてください。

ペットの犬猫をオーストラリアへ持ち込むための要件と手続き

 ここではペットの犬猫をオーストラリアに持ち込むための要件と手続きを説明しますが、どちらのペットについても日本出国に必要な2回の狂犬病予防接種を行っていることを前提とします。まず、オーストラリアにペットを連れていくためにはその6か月以上前から準備が必要です。

イヌの要件

 日本からオーストラリアへ連れていけるイヌの要件は次のようになっています。

  • 出生以来日本に在住している、又は
  • 日本出国前の180日間にわたり日本在住で、日本からオーストラリアへ第3国を介さずに直接渡航する
  • 妊娠していない
  • 仔犬(乳飲み子)ではない
  • 指定犬種ではない
  • 老犬又は病犬の渡航は勧められない
  • ISO11784規格又はISO11785規格のマイクロチップを装着していること(マイクロチップ番号を日本の登録機関に登録します)
  • レプトスピラ症の検査を行い、輸出前45日以内で結果が陰性である
  • 無性化していないイヌについてはブルセラ症の検査を行い、輸出前45日以内で結果が陰性である
  • リーシュマニア症の検査を行い、輸出前45日以内で結果が陰性である
  • 外部寄生虫の駆除を輸出前に行う
  • 内部寄生虫(線虫と条虫)の駆除を輸出前に行う

 動物病院を訪れるたびにマイクロチップが機能しているかリーダーを使用して確認してください。複数のマイクロチップを装着している場合は、全ての番号を書類に記載することになります。機能していないマイクロチップが体内にある場合、機能していないマイクロチップを外科的に取り除くことが求められています。

 レプトスピラ症の検査を受ける代わりにLeptospira interrogans serovar Canicolaに対するワクチンを接種することもできます。このワクチン接種は、2~4週間を空けた2回のワクチン接種から成ります。

 必須ではありませんが、ジステンパー、パルボウイルス、パラインフルエンザ、及び気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica)に対するワクチン接種が推奨されています。

ネコの要件

 日本からオーストラリアへ連れていけるネコの要件は次のようになっています。

  • 出生以来日本に在住している、又は
  • 日本出国前の180日間にわたり日本在住で、日本からオーストラリアへ第3国を介さずに直接渡航する
  • 妊娠していない
  • 仔猫(乳飲み子)ではない
  • 指定犬種ではない
  • 老猫又は病猫の渡航は勧められない
  • ISO11784規格又はISO11785規格のマイクロチップを装着していること(マイクロチップ番号を日本の登録機関に登録します)
  • 外部寄生虫の駆除を輸出前に行う
  • 内部寄生虫(線虫と条虫)の駆除を輸出前に行う

 動物病院を訪れるたびにマイクロチップが機能しているかリーダーを使用して確認してください。複数のマイクロチップを装着している場合は、全ての番号を書類に記載することになります。機能していないマイクロチップが体内にある場合、機能していないマイクロチップを外科的に取り除くことが求められています。

 必須ではありませんが、ネコ感染性腸炎ウイルス、ネコ鼻気管炎ウイルス、及びカリシウイルスに対するワクチン接種が推奨されています。

必要書類と手続き

 ペットの犬猫を日本からオーストラリアへ持ち込むための必要書類と手続きは次のようになっています。

  • オーストラリアの検疫当局への輸入許可申請のために日本の動物検疫所にペットの身元証明書をオーストラリア検疫当局に提出してもらいます(オーストラリアへの渡航6か月以上前に動物検疫所による身元確認が必要です)
  • オーストラリアの検疫当局に輸入許可申請をします(許可を得るのに最大で123営業日が必要とされています)
  • オーストラリアの検疫当局に申請手数料(1匹目について566ドル。2匹目以降については割引あり)を支払います
  • 輸入許可が得られたら、ペットが輸入許可の条件に合致しているか確認します
  • 入国後検疫の予約をします(上の566ドルとは別に検疫費用がかかります)
  • ワクチン接種(該当する場合)、病気の検査(該当する場合)、及び寄生虫駆除を受けたのちに日本の動物検疫所で輸出検査を受け、健康証明書を作成してもらいます

 全ての手続きを終えたペットは、輸入許可証、健康証明書、及び病気の検査結果通知書を携えてオーストラリアに渡航することができます。

オーストラリアの国内検疫

 オーストラリアへの到着後、係官がペットを回収し、すぐにメルボルン近郊の検疫施設までペットを輸送します。ペットはその施設に少なくとも10日間にわたり収容されます。これとは別に係官は書類の検査を行い、オーストラリアに入国したペットが入国条件を満たしているか検査します。検疫期間の終了後、飼い主はメルボルンまでペットを迎えに行くか、飼い主のオーストラリア国内の住居までペットを配送してもらいます。その後、飼い主は住居地の地方自治体にペットの登録を行います。

日本へ帰国するとき

 オーストラリア政府は、オーストラリアからペットの犬猫を連れ出すときも専門業者の利用を勧めています。オーストラリアから日本に帰国する際にもこれらの業者があなたを助けてくれるでしょう。

 ペットと一緒にオーストラリアから日本に帰国するための日本側の検疫の手続きについてはこちらの記事をご覧ください。日本に帰国するには、まず、輸出前健診を行うことができるオーストラリア政府の登録獣医が在籍するクリニックで日本に入国するための処置と健康診断について相談します。それと同時に輸出届出書を作成してオーストラリアの在住地域の検疫当局に提出して輸出前検査の予約をします。この届出書の提出は、オーストラリア出国の少なくとも10日前までに行います。

 相談をした登録獣医師による輸出前のペットの健康診断を受けます。この輸出前の健康診断は、オーストラリア出国72時間以内に受けるものです。その後、ペットと共に健康証明書とその他の証明書類を在住地所轄の検疫当局へ持参し、検疫当局から輸出許可証と健康証明書を発行してもらいます。輸出許可証と健康証明書を得てペットと共にオーストラリアを出国することができます。

 オーストラリアから日本への直行便ではなく、第三国を経由して日本に帰国する場合にはペットのケージに封印をする必要があります。直行便で帰国する場合には封印は必要ありません。

 専門業者を利用すれば、オーストラリア出国までのスケジュールの組み立てに悩まされることもないのではないかと思います。

 オーストラリアに入国するときと同様に、オーストラリアから出国するときにも検疫手数料の支払いが必要になります。

まとめ

 日本は狂犬病の清浄国であるため、日本からオーストラリアへペットの犬猫を輸出する場合ではオーストラリアは狂犬病予防接種に関して厳格な規則を設けていません。その代わり、オーストラリアはその他のペットの病気を国内に持ち込ませないように気を遣っていることがわかります。手続きが複雑であるため、詳しいことはこの記事の冒頭で紹介した業者にお尋ねください。

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