この記事では、ペットの犬猫を中国(中華人民共和国)へ連れて行くときに必要な書類と知っておきたい情報について、在中国日本国大使館と中華人民共和国新潟総領事館で公開している情報を基に説明します。日本を出国するまでの手続きについては本ブログの記事「ペットと共に海外移住したいときの準備と手続き」をご覧ください。
ペットの犬猫と中国へ入国するための要件と書類
ペットの要件
日本から中国へ連れていくことができるペットの犬猫の要件は次のようになっています。
- 一人一回の入国につき入国を認められるペットの数は1頭である
- ISO11784規格又はISO11785規格のマイクロチップの装着が必要である
- 狂犬病ワクチン(不活化ワクチン又は組換えワクチン)の接種がマイクロチップの装着後に必要である
- 日本で出生、在住していたペットには狂犬病抗体価検査は不要である
- 狂犬病発生地域から日本を経由して中国に入国するペットには狂犬病抗体価検査が必要であり、抗体価は0.5IU/mL以上の値であることを要する
上の「狂犬病発生地域」は、ニュージーランド、オーストラリア、フィジー、フランス領ポリネシア、米国ハワイ諸島、米国グァム島、ジャマイカ、アイスランド、英国、アイルランド、リヒテンシュタイン、キプロス、ポルトガル、スウェーデン、スイス、日本、シンガポール 、香港、及びマカオを除く全ての国・地域です。これらの地域に在住していたペットは中国で30日間の係留検査を受けることになります。
必要書類
日本から中国へペットを連れて行くときの必要書類には次の書類が挙げられます。
- 輸出検疫証明書
- 狂犬病ワクチン接種証明書
- 携帯進境寵物(犬、猫)信息登記表
輸出検疫証明書は、日本の動物検疫所において輸出検疫時に作成してもらいます。この証明書は中国に入国する14日以内に発行されたものであることを要します。中国に到着した空港の検疫局でマイクロチップの読み取り検査が行われるので、この証明書にはマイクロチップのIDナンバーの記載が必要です。証明書に記載されている荷受人の氏名と飼い主のパスポートの氏名は同一の記載であることを要します。
狂犬病ワクチン接種の記録は輸出検疫証明書に転記されますが、必要になる可能性を考慮して獣医師発行の狂犬病予防接種注射済証の原本とその翻訳を持っていきましょう。
携帯進境寵物(犬、猫)信息登記表にはペットの犬猫の情報、及び飼主の個人情報を記入します。
中国での検疫検査
中国に入国するとそこでペットの検疫検査を受けます。在中国日本国大使館のホームページに記載されている検査の内容をそのまま転記します。
- 検疫局への申告:到着した空港等の各検疫局に申告します。
- 検疫検査:現場の検査官が個別の検疫検査を行います。ペット(犬、猫)は臨床検査を受け(「入境伴侶動物検験検疫原始記録」を記入)、個体確認(個体識別番号の記録や写真撮影等)が行われます。ケージ等の消毒を行い、検疫検査に合格して中国入国が許可されると「中華人民共和国出入境検験検疫入境貨物通関書」及び「中華人民共和国出入境検験検疫出入境人員携帯物留験/処理証書」が申告者(飼い主)に対して発行されます。
- 隔離検疫検査:隔離措置となった場合、検査員から「入境伴侶動物入場隔離交接書(※入場書)」が交付され、ペット(犬、猫)は隔離検疫のため、隔離場に移動されます。隔離場における隔離検疫が終了し、問題がないと判断されると「入境伴侶動物隔離出場交接書(※出場書)」が発行されます。
- 出場許可:検疫局から飼い主に対して通知される「中華人民共和国出入境検験検疫出入境人員携帯物留験/処理証書」又は「中華人民共和国出入境検験検疫入境貨物通関書」二枚目の「中華人民共和国出入境検験検疫入境貨物調離通知書」に基づきペット(犬、猫)を受け取ることとなります。
ペット(犬、猫)の入国不許可の事例として、各種証明書の不備や不携帯、有効期限切れ、持ち込み数量の超過、証明書にある荷受人と飼い主のパスポートの氏名との不一致、隔離検疫検査に同意しない場合、隔離検査時に伝染病や寄生虫病等、入国が認められない事由が発見された場合が挙げられています。
以上が中国にペットを連れて「入国」するために必要な準備と書類の内容です。その他、ペットと共に住む住居地によってその他の要件があるようです(例えば、住居1戸あたりで飼うことができるペットの頭数、飼うことができる犬種等)。入国後の要件はご自身で調査してください。
中国国内で空港まで送迎をしてくれる友人又は関係者がいない場合、中国国内での送迎と日中間の検疫手続の代行をセットとして提供している業者の利用も考慮してみてはいかがでしょうか。