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香港人だけが申請できるイギリスビザ

海外滞在その他

イギリス国民(海外)ビザとは

 香港は1997年にイギリスから返還され、中華人民共和国の一特別行政区になりました。それでもイギリスは当時の香港人にイギリス国民(海外)(British national (overseas))という制度を残しました。

 簡単に説明すると、1997年7月1日以前にイギリス海外領土市民として香港に住んでいた人は、イギリス国民(海外)に登録することができました。また、1997年6月30日の時点でイギリス国民(海外)に登録していなかったけれども他の国の国民でも市民でもなかった香港のイギリス海外領土市民は、1997年7月1日にイギリス国民(海外)になりました。

 つまり、1997年7月1日以降に中国本土から香港にやってきた中国人は、当然ですが、イギリス国民(海外)にはなれません。

 現時点で香港には中国本土から1997年7月1日以降にやってきた人とその子孫及び1997年7月1日以前からの香港人とその子孫が住んでいますが、イギリス国民(海外)に該当する人はイギリスのパスポートを持つことができます。

 イギリス国民(海外)に該当する香港人とその家族は、British national (overseas) visa(イギリス国民(海外)ビザ)に申請することができ、BNOビザ(2年半又は5年の有効期間)を取得してイギリスに住むことができます。

 BNOビザ申請の資格がある人は次の

  1.  イギリス国民(海外)、又は
  2.  1997年7月1日以降に生まれたイギリス国民(海外)の子

であって、

  • 英国の外から申請する場合には香港に住所があり、又は
  • 英国内から申請する場合には英国内又は香港に住所がある

人達です。イギリス国民(海外)として登録されていた人達だけではなく、その人達の子供達も資格があるところがすごいです。

 BNOビザが取得できればイギリスで高等教育を受けることも働くこともできます。BNOビザ保持者は、このビザでイギリスに5年間滞在した後にイギリスの永住ビザを申請することもできます。

 通常、外国籍の者がビザを取得してイギリスに移住する場合、家族ビザで帯同が認められるのは配偶者と18歳未満の子だけなのです。しかしながら、BNOビザに関してはイギリス国民(海外)である香港人の18歳以上の成人した子は、イギリス国民(海外)である親とは別にBNOビザを申請することができます。

 また、イギリス国民(海外)である香港人の配偶者の親、兄弟姉妹、18歳以上の成人した子にもBNOビザが発行される可能性があります。

 わざわざ「配偶者の」としているところから、これらの者は例えば中国本土出身である配偶者の親、兄弟姉妹、及び連れ子を意味しているのかもしれません。

別々の国で暮らす香港人がイギリスで一緒に暮らせるか

 2014年(平成26年)及び2019年(令和元年)から2020年(令和2年)にかけて香港では民主化運動がありました。その運動が失敗に終わった後に中国政府による香港に対する統制が厳しくなったと言われています。そのような統制を嫌って香港から移住する香港人もいます。

 ここではイギリス国民(海外)である香港人の子供が日本に留学しており、その学生が日本に留学した後に香港にいる家族がBNOビザを取得してイギリスに移住したという事例を考えてみましょう(あくまで頭の中で考えた例であって実例ではありません)。

 その日本に住む香港人がイギリス国民(海外)の子供であれば、BNOビザを取得してイギリスに移住できる可能性があります。

 その日本に住む香港人がイギリス国民(海外)の配偶者の子供(連れ子)であって、日本に居る間に介護を必要とするような状態になってしまった場合、BNOビザを取得してイギリスに移住できる可能性があります。

 その日本に住む香港人が日本での留学を終えて日本で就職し、その後で日本に帰化した場合では、その香港人がイギリス国民(海外)の子供であってもBNOビザが発行されるかどうかわかりません。香港又はイギリスに定住地があることというBNOビザの要件に抵触してしまうかもしれません。しかしながら、申請してみないことにはBNOビザを取得できるか否かわかりませんので、試しにBNOビザを申請してみる価値はあると思います。

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