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水産動植物の輸入と水産流通適正化法及び水産資源保護法

ビジネス
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 日本の漁獲高は1984年をピークとして減少傾向を示してきましたが、養殖による水産物の漁獲高は約80万トン~約90万トンを維持し、漁獲高全体に占める割合を約2割まで上昇させてきました。一方、日本の食卓を支える輸入水産物の量は、近年では200万トン台を推移しています。

 特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律(水産流通適正化法)は、水産資源の持続的利用を可能にするとともに、漁業及び関連産業の発展に資することを目的として、特定の水産動植物等について、流通過程適正化のための措置を定めています。

 水産資源保護法は、水面の環境保護、培養法・漁法の規制、水産動植物の種苗確保及び水産資源の調査に加えて、水産動植物の伝染性疾病の被害から養殖業を守るための水産動物の輸入防疫の規定を定めています。

 本記事は、このような水産資源保護に関連する両法の規定のうち、水産動物の輸入に関係している規定を紹介するものです。

水産流通適正化法

 水産流通適正化法において、水産動植物は、「特定第一種水産動植物」、「特定第二種水産動植物」及びそれ以外に分類されます。

(特定第一種水産動植物及び関連用語の定義)

 「特定第一種水産動植物」は、国内において違法かつ過剰な採捕(外国漁船によるものを除く)が行われるおそれが大きいと認められるものであって、その資源の保存及び管理を図ることが特に必要と認められるものとして農林水産省令で定めるものをいいます(法第二条第一項)。

 「特定第一種水産動植物等」の範囲には、特定第一種水産動植物を原材料とする加工品のうちその国内流通の規制に関する措置を講ずることが必要と認められるものとして農林水産省令で定めるものが含まれます(法第二条第二項)。

 「特定第一種水産動植物等取扱事業者」は、特定第一種水産動植物等の販売、輸出、加工、製造又は提供の事業を行う者をいいます。ただし、特定第一種水産動植物等取扱事業者は、特定第一種水産動植物採捕者とは異なります。

 「特定第一種水産動植物採捕者」は、特定第一種水産動植物を採捕し、その採捕したの特定第一種水産動植物若しくはその加工品(特定第一種水産動植物等)の譲渡しを事業とする者をいいます。

(特定第二種水産動植物及び関連用語の定義

 「特定第二種水産動植物」は、日本に輸入される水産動植物のうち、外国漁船によって外国法令に照らし違法な採捕が行われるおそれが大きいと認められることその他の国際的な水産資源の保存及び管理を必要とする事由により輸入の規制に関する措置を講ずることが必要と認められるものとして農林水産省令で定めるものをいいます(法第二条第四項)。

 「特定第二種水産動植物等」の範囲には、特定第二種水産動植物を原材料とする加工品のうちその輸入の規制に関する措置を講ずることが必要と認められるものとして農林水産省令で定めるものが含まれます(法第二条第五項)。

 特定第一種水産動植物等及び特定第二種水産動植物等に含まれるものは次のとおりです。

特定第一種水産動植物等特定第二種水産動植物等
一 うなぎの稚魚(全長13センチメートル以下)
二 あわび
三 なまこ
一 さば
二 さんま
三 まいわし
四 いか
上欄の動植物を主原料として製造・加工した加工品上欄の動植物を主原料として製造・加工した加工品

特定第一種水産動植物等に関する規制

(特定第一種水産動植物の採捕の事業を行う者の届出)
第三条 特定第一種水産動植物の採捕の事業を行う者であって、自らが採捕した特定第一種水産動植物又はこれを原材料とする加工品である特定第一種水産動植物等の譲渡しの事業を行おうとするもの(その所属する団体が当該者に代わってこれらの特定第一種水産動植物等の譲渡しの事業を行う場合にあっては、当該団体)は、農林水産省令で定めるところにより、あらかじめ、当該採捕の事業が漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)その他の関係法令の規定による特定第一種水産動植物を採捕する権限に基づき行われるものである旨その他の農林水産省令で定める事項を農林水産大臣に届け出なければならない。
2 農林水産大臣は、前項の規定による届出があった場合において、当該届出をした者が同項に規定する権限を有すると認めるとき(当該届出をした者が同項に規定する団体である場合にあっては、当該団体に所属する者が当該権限を有すると認めるとき)は、農林水産省令で定めるところにより、当該届出に係る番号を当該届出をした者に通知するものとする。
3 前項の規定による通知を受けた者(以下「届出採捕者」という。)は、第一項の規定による届出に係る事項に変更(当該届出に係る特定第一種水産動植物の採捕の事業の廃止を含む。)があったときは、その日から二週間以内に、その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。

 漁業法及び関連法令の規定による権限に基づいて特定第一種水産動植物を採捕し、その採捕した特定第一種水産動植物又はそれを原材料とする特定第一種水産動植物等の譲渡しの事業を行おうとする者は、この旨を農林水産大臣に届け出なければなりません(法第三条第一項)。

 届出事項に変更があったときは、その日から二週間以内に変更の届出をしなければなりません(法第三条第三項)。

(特定第一種水産動植物等取扱事業者の届出)
第八条 特定第一種水産動植物等取扱事業者は、その事業の開始の日から二週間以内に、農林水産省令で定めるところにより、次に掲げる事項を農林水産大臣に届け出なければならない。ただし、届出採捕者(届出採捕者が第三条第一項に規定する団体である場合にあっては、当該団体に所属する者を含む。)が当該届出に係る特定第一種水産動植物等の販売、輸出、加工、製造又は提供の事業を行う場合その他の農林水産省令で定める場合は、この限りでない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 事務所又は事業所の所在地
三 取り扱う特定第一種水産動植物等の種類
四 その他農林水産省令で定める事項
2 前項の規定による届出をした者は、当該届出に係る事項に変更(当該届出に係る事業の廃止を含む。)があったときは、その日から二週間以内に、その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。

 特定第一種水産動植物等取扱事業者は、その事業開始の日から二週間以内に事業開始の届出をしなければなりません。届出事項に変更があったときも、その日から二週間以内に変更の届出をしなければなりません。

(届出採捕者による情報の伝達)
第四条 届出採捕者は、自ら(届出採捕者が前条第一項に規定する団体である場合にあっては、当該団体に所属する者)が採捕した特定第一種水産動植物又はこれを原材料とする加工品である特定第一種水産動植物等について他の特定第一種水産動植物等取扱事業者への譲渡しをするときは、農林水産省令で定めるところにより、その包装、容器又は送り状への表示その他の方法により、これらの特定第一種水産動植物等の名称、同条第二項の規定による通知に係る番号を含む漁獲に関する番号(以下「漁獲番号」という。)その他農林水産省令で定める事項を、当該他の特定第一種水産動植物等取扱事業者に伝達しなければならない。

(特定第一種水産動植物等取扱事業者間における情報の伝達)
第五条 特定第一種水産動植物等取扱事業者は、他の特定第一種水産動植物等取扱事業者から譲り受けた特定第一種水産動植物等について他の特定第一種水産動植物等取扱事業者への譲渡し又は引渡しをするときは、農林水産省令で定めるところにより、その包装、容器又は送り状への表示その他の方法により、当該特定第一種水産動植物等の名称、漁獲番号その他農林水産省令で定める事項を、当該他の特定第一種水産動植物等取扱事業者に伝達しなければならない。
2 前項の場合においては、特定第一種水産動植物等取扱事業者は、農林水産省令で定めるところにより、漁獲番号に代えて、荷口番号(漁獲番号以外の番号又は記号であって漁獲番号に対応するものをいう。以下同じ。)を伝達することができる。
3 他の特定第一種水産動植物等取扱事業者から特定第一種水産動植物等の引渡しの委託を受けた特定第一種水産動植物等取扱事業者は、当該引渡しに当たって、前項の規定により荷口番号を伝達したときは、農林水産省令で定めるところにより、当該荷口番号を、当該委託をした特定第一種水産動植物等取扱事業者に伝達しなければならない。
4 輸入され、若しくは養殖された特定第一種水産動植物(国内において採捕された特定第一種水産動植物を用いて養殖されたものを除く。)又はこれらを原材料とする加工品である特定第一種水産動植物等(以下「輸入・養殖水産動植物等」という。)についての第一項の規定の適用については、同項中「漁獲番号」とあるのは、「第四項に規定する輸入・養殖水産動植物等である旨」とする。

 特定第一種水産動植物等取扱事業者は、特定第一種水産動植物採捕者又は他の特定第一種水産動植物等取扱事業者から特定第一種水産動植物等を譲り受けるときは、その包装、容器又は送り状への表示その他の方法により、その特定第一種水産動植物等の名称、漁獲番号又は荷口番号その他農林水産省令で定める事項の通知を受けなければなりません。

(取引の記録の作成及び保存)
第六条 特定第一種水産動植物等取扱事業者は、特定第一種水産動植物等について他の特定第一種水産動植物等取扱事業者(これに準ずる者として農林水産省令で定めるものを含む。)との間での譲渡し等(譲渡し若しくは譲受け又は引渡し若しくは引受けをいう。以下同じ。)をしたとき、又は廃棄若しくは亡失をしたときは、農林水産省令で定めるところにより、当該特定第一種水産動植物等に関する次に掲げる事項の記録を作成し、当該譲渡し等又は当該廃棄若しくは亡失をした日から農林水産省令で定める期間保存しなければならない。ただし、届出採捕者が第三条第一項に規定する団体である場合において当該団体に所属する者が当該届出に係る特定第一種水産動植物等の譲渡し等をした場合、少量の特定第一種水産動植物等について廃棄又は亡失をした場合その他の農林水産省令で定める場合は、この限りでない。
一 名称
二 重量又は数量
三 譲渡し等又は廃棄若しくは亡失をした年月日(亡失をした場合であってその年月日が明らかでないときは、時期)
四 譲渡し等をしたときは、相手方の氏名又は名称
五 漁獲番号又は荷口番号
六 その他農林水産省令で定める事項
2 特定第一種水産動植物等取扱事業者は、前条第二項の規定により荷口番号を伝達する場合にあっては、当該荷口番号に対応する漁獲番号の記録を作成し、保存しなければならない。
3 輸入・養殖水産動植物等についての第一項の規定の適用については、同項第五号中「漁獲番号又は荷口番号」とあるのは、「輸入・養殖水産動植物等である旨」とする。

 特定第一種水産動植物等取扱事業者は、特定第一種水産動植物等について次の事象が発生したときは、法第六条第一項第一号から第六号の各号に掲げる事項の記録を作成し、当該事象の発生日から農林水産省令で定める期間(3年間)保存しなければなりません。

  • 他の特定第一種水産動植物等取扱事業者、特定第一種水産動植物等の倉庫業者又はうなぎ養殖業者との間で特定第一種水産動植物等の譲渡し等(譲渡し若しくは譲受け又は引渡し若しくは引受けをいう。)をしたとき
  • 特定第一種水産動植物等の廃棄をしたとき
  • 特定第一種水産動植物等の亡失があったとき

(勧告及び命令)
第七条 農林水産大臣は、届出採捕者が第四条の規定を遵守していないと認めるときは、当該届出採捕者に対し、必要な措置を講ずべき旨の勧告をすることができる。
2 農林水産大臣は、特定第一種水産動植物等取扱事業者が前二条の規定を遵守していないと認めるときは、当該特定第一種水産動植物等取扱事業者に対し、必要な措置を講ずべき旨の勧告をすることができる。
3 農林水産大臣は、第一項に規定する勧告を受けた届出採捕者又は前項に規定する勧告を受けた特定第一種水産動植物等取扱事業者が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、当該届出採捕者又は当該特定第一種水産動植物等取扱事業者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

 届出採捕者が法第四条の規定を遵守していないとき(法第七条第一項)又は特定第一種水産動植物等取扱事業者が法第五条及び第六条の規定を遵守していないとき(法第七条第二項)は、農林水産大臣は、その届出採捕者又は特定第一種水産動植物等取扱事業者に対し、必要な措置を講ずべき旨の勧告をすることができます。

 その届出採捕者又は特定第一種水産動植物等取扱事業者が、正当な理由がなくその勧告に関わる措置をとらなかったときは、農林水産大臣は、その勧告に関わる措置を取るように命令することができます(法第七条第三項)。

(輸出の規制)
第十条 特定第一種水産動植物等取扱事業者は、特定第一種水産動植物等につき、当該特定第一種水産動植物等(加工品にあっては、その原材料である特定第一種水産動植物)が次の各号のいずれかに該当する旨を証する農林水産大臣が交付する証明書(以下「適法漁獲等証明書」という。)を添付してあるものでなければ、輸出してはならない。
一 漁業法その他の関係法令に違反して採捕されたものではないこと。
二 輸入・養殖水産動植物等であること。
2 適法漁獲等証明書の交付を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣に申請をしなければならない。
3 農林水産大臣は、前項の申請に係る特定第一種水産動植物等(加工品にあっては、その原材料である特定第一種水産動植物)が第一項各号のいずれかに該当すると認められるときは、農林水産省令で定めるところにより、適法漁獲等証明書を交付しなければならない。
4 適法漁獲等証明書の交付を受けた者(次項及び第六項において「証明書受領者」という。)は、適法漁獲等証明書を亡失し、又は適法漁獲等証明書が滅失したときは、農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣に申請をして、適法漁獲等証明書の再交付を受けることができる。
5 証明書受領者は、次の各号のいずれかに該当することとなった場合は、農林水産省令で定めるところにより、その適法漁獲等証明書(第二号の場合にあっては、発見し、又は回復した適法漁獲等証明書)を、農林水産大臣に返納しなければならない。
一 次項の規定により適法漁獲等証明書の効力が取り消されたとき。
二 前項の規定により適法漁獲等証明書の再交付を受けた後において亡失し、又は滅失した適法漁獲等証明書を発見し、又は回復したとき。
6 農林水産大臣は、証明書受領者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律に基づく処分に違反した場合には、その適法漁獲等証明書の効力を取り消すことができる。

 特定第一種水産動植物等を輸出する場合には、その特定第一種水産動植物又は加工品の原料である特定第一種水産動植物が次の各号のいずれかに該当する旨を証する農林水産大臣が交付する適法漁獲等証明書を添付する必要があります(法第十条第一項)。

  1. 一 漁業法その他の関係法令に違反して採捕されたものではないこと。
  2. 二 輸入・養殖水産動植物等であること。

 適法漁獲等証明書の交付を受けようとする者は、施行規則第二十四条第一項で定める事項を記載した申請書及び同条第二項で定める書類を農林水産大臣に提出します(法第十条第二項ならびに施行規則第二十四条第一項及び第二項)。

特定第一種水産動植物等に関する規制

第十一条 特定第二種水産動植物等は、当該特定第二種水産動植物等(加工品にあっては、その原材料である特定第二種水産動植物)が適法に採捕されたものであることを証する外国の政府機関により発行された証明書その他の農林水産省令で定める書類を添付してあるものでなければ、輸入してはならない。

 特定第二種水産動植物等を輸入する場合には、その特定第二種水産動植物又は加工品の原料である特定第二種水産動植物が適法に採捕されたものであることを証する外国の政府機関発行の証明書その他の農林水産省令で定める書類を添付する必要があります(法第十一条)。

 法第十一条の「外国の政府機関により発行された証明書その他の農林水産省令で定める書類」とは、特定第二種水産動植物を採捕した漁船(以下「採捕漁船」)が漁業の用に供される際に必要とされる当該漁船の旗国の政府機関が発行する証明書です(施行規則第二十五条第一項)。証明書の内容は次のとおりです。

  • 採捕漁船が旗国の有効な漁業許可を持っていること
  • 特定第二種水産動植物を沿岸国の主権又は管轄権の下にある水域で採捕したものである場合には、その沿岸国の水産資源の保存・管理措置に違反していないこと
  • 特定第二種水産動植物が国際的な水産資源の保存・管理体制の対象である場合には、その国際的な保存・管理措置に違反していないこと

 採捕漁船の旗国から第三国を介して日本に特定第二種水産動植物等が輸入される場合では、施行規則第二十五条第一項の証明書に加えて、次の書類の添付が必要になります(施行規則第二十五条第三項)。

  • 特定第二種水産動植物が第三国で加工された場合:
    • 当該特定第二種水産動植物等が当該第三国で加工されたものであることを証する当該第三国の政府機関等が発行した証明書
  • 特定第二種水産動植物が第三国で加工されない場合:
    • 荷卸し、積替え又は保管以外の措置が講じられておらず、かつ、当該第三国の政府機関等の管理下に置かれていたことを証する書類

 養殖された特定第二種水産動植物等(採捕された特定第二種水産動植物を用いる養殖に由来するものを除く。)を輸入する場合では、その事実を証明する書類が法第十一条の書類になります(施行規則第二十五条第四項)。

雑則

(立入検査等)
第十二条 農林水産大臣は、この法律の施行に必要な限度において、特定第一種水産動植物等取扱事業者若しくは特定第二種水産動植物等の輸入の事業を行う者若しくはこれらの者とその事業に関して関係のある事業者に対し、その業務に関し、必要な報告若しくは帳簿、書類その他の物件の提出を求め、又はその職員に、これらの者の工場、店舗、事務所、事業所、船舶、車両若しくは倉庫その他の場所に立ち入り、業務の状況若しくは特定第一種水産動植物等若しくは特定第二種水産動植物等、帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは従業者その他の関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 水産流通適正化法に定める水産動植物流通の適正化を確実にするため、農林水産大臣は、必要な限度において、特定第一種水産動植物等取扱事業者若しくは特定第二種水産動植物等の輸入の事業を行う者又はこれらの者とその事業に関して関係のある事業者に対し、その事業に関して報告若しくは物件の提出を求め、又はその職員に立入検査若しくは質問を行わせることができます(法第十二条第一項)。

 第一項の規定による立入検査は、犯罪捜査のためのものではありません(法第十二条第三項)。

罰則

 水産流通適正化法には、水産流通適正化法の各規程に違反した場合の罰則が定められています。ここでは、それらの罰則のうち、水産動植物の輸出入に関係する規定に違反した場合の罰則を紹介します。

違反内容条項罰則
(違反者)
罰則
(法人*)
法第十一条の規定に違反した法第十五条1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金100万円以下の罰金
法第三条第一項の規定による届出をしないで特定第一種水産動植物等の譲渡しを行い、又は虚偽の届出をした法第十六条第一号50万円以下の罰金50万円以下の罰金
法第七条第三項の規定による命令に違反した法第十六条第二号50万円以下の罰金50万円以下の罰金
法第八条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした法第十六条第三号50万円以下の罰金50万円以下の罰金
法第十条第一項の規定に違反した法第十六条第四号50万円以下の罰金50万円以下の罰金
法第十二条第一項の規定による報告若しくは物件の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは虚偽の物件の提出をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした法第十六条第五号50万円以下の罰金50万円以下の罰金
法第三条第三項又は第八条第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした法第十七条30万円以下の罰金30万円以下の罰金
* 違反者が法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者である場合の当該法人又は人への罰則

外国為替及び外国貿易法に基づく輸入の申請が必要な水産物

 特定の水産物については、国際的な水産資源管理や国内水産業の安定の観点から、日本への輸入の際に経済産業省又は水産庁への手続きが必要となっています。さらに、一部の水産物については、これを輸入しようとする者は、経済産業省から輸入割当限度数量(又は金額)の割当を受ける必要があります。

 このような水産物の種類は、次のページの表中のHSコード0301・99-2から2106・90の範囲内の指定品目です。

輸入承認対象貨物一覧(METI/経済産業省)

水産資源保護法

水産動物の輸入防疫

(輸入の許可)
第十三条 輸入防疫対象疾病(持続的養殖生産確保法(平成十一年法律第五十一号)第二条第二項に規定する特定疾病に該当する水産動物の伝染性疾病その他の水産動物の伝染性疾病であつて農林水産省令で定めるものをいう。以下同じ。)にかかるおそれのある水産動物であつて農林水産省令で定めるもの及びその容器包装(当該容器包装に入れられ、又は当該容器包装で包まれた物であつて当該水産動物でないものを含む。以下同じ。)を輸入しようとする者は、農林水産大臣の許可を受けなければならない。
2 前項の許可を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、当該水産動物の種類及び数量、原産地、輸入の時期及び場所その他農林水産省令で定める事項を記載した申請書に、輸出国の政府機関により発行され、かつ、その検査の結果当該水産動物が輸入防疫対象疾病にかかつているおそれがないことを確かめ、又は信ずる旨を記載した検査証明書又はその写しを添えて、これを農林水産大臣に提出しなければならない。
3 農林水産大臣は、第一項の許可の申請があつた場合において、その申請に係る水産動物及びその容器包装が次の各号のいずれかに該当するときは、同項の許可をしなければならない。
一 前項の検査証明書又はその写しにより輸入防疫対象疾病の病原体を広げるおそれがないと認められるとき。
二 次条第一項の規定による命令に係る措置が実施されることにより輸入防疫対象疾病の病原体を広げるおそれがなくなると認められるとき。
4 農林水産大臣は、第一項の許可をしたときは、農林水産省令で定めるところにより、許可を受ける者に対し輸入許可証を交付する。

<輸入防疫対象疾病と水産動物>

 農林水産省令で定める輸入防疫対象疾病及びその疾病にかかるおそれのある水産動物の種類は、以下の表に示されています(施行規則第一条)。下表の左欄の水産動物を輸入しようとする者は、農林水産大臣の許可を得る必要があります(法第十三条第一項)。

水産動物の種類防疫対象疾病
サケ科魚類ウイルス性出血性敗血症(Ⅳa型を除く)
サケ科魚類のアルファウイルス感染症
流行性造血器壊死症
ピシリケッチア症
レッドマウス病
旋回病
コイコイ春ウイルス血症
コイヘルペスウイルス病
レッドマウス病
キンギョその他フナ属魚類
コクレン
ハクレン
コイ春ウイルス血症
レッドマウス病
アオウオ
ソウギョ
コイ春ウイルス血症
ナイルティラピアレッドマウス病
マダイマダイのグルゲア症
クルマエビイエローヘッド病
壊死性肝膵炎
タウラ症候群
伝染性皮下造血器壊死症
急性肝膵臓壊死症
バキュロウイルス・ペナエイ感染症
エビの潜伏死病
鰓随伴ウイルス病
シロアシエビ(パナエイエビのこと)イエローヘッド病
壊死性肝膵炎
タウラ症候群
伝染性皮下造血器壊死症
急性肝膵臓壊死症
伝染性筋壊死症
バキュロウイルス・ペナエイ感染症
エビの潜伏死病
ウシエビ(ブラックタイガーのこと)イエローヘッド病
壊死性肝膵炎
タウラ症候群
伝染性皮下造血器壊死症
急性肝膵臓壊死症
伝染性筋壊死症
バキュロウイルス・ペナエイ感染症
鰓随伴ウイルス病
モノドン型バキュロウイルス感染症
コウライエビ(タイショウエビのこと)イエローヘッド病
壊死性肝膵炎
タウラ症候群
伝染性皮下造血器壊死症
急性肝膵臓壊死症
バキュロウイルス・ペナエイ感染症
エビの潜伏死病
鰓随伴ウイルス病
モノドン型バキュロウイルス感染症
リトペネウス属(Litopenaeus)えび類(シロアシエビを除く)イエローヘッド病
壊死性肝膵炎
タウラ症候群
伝染性皮下造血器壊死症
伝染性筋壊死症
バキュロウイルス・ペナエイ感染症
ペネウス属(Penaeus)えび類(ウシエビを除く)イエローヘッド病
壊死性肝膵炎
タウラ症候群
伝染性皮下造血器壊死症
伝染性筋壊死症
バキュロウイルス・ペナエイ感染症
鰓随伴ウイルス病
モノドン型バキュロウイルス感染症
フェネロペネウス属(Fenneropenaeus)えび類(コウライエビを除く)イエローヘッド病
壊死性肝膵炎
タウラ症候群
伝染性皮下造血器壊死症
バキュロウイルス・ペナエイ感染症
鰓随伴ウイルス病
モノドン型バキュロウイルス感染症
メリセルトゥス属(Melicertus)えび類
ヨシエビ属えび類
イエローヘッド病
壊死性肝膵炎
タウラ症候群
伝染性皮下造血器壊死症
バキュロウイルス・ペナエイ感染症
モノドン型バキュロウイルス感染症
クルマエビ科(クルマエビ、リトペネウス属、ペネウス属、フェネロペネウス属、メリセルトゥス属及びヨシエビ属を除く)えび類イエローヘッド病
壊死性肝膵炎
タウラ症候群
伝染性皮下造血器壊死症
バキュロウイルス・ペナエイ感染症
サクラエビ科アキアミ属えび類
テナガエビ科えび類
イエローヘッド病
トコブシ
フクトコブシ
アワビヘルペスウイルス感染症
エゾアワビ
クロアワビ
マダカアワび
メガイアワビ
アワビの細菌性膿疱症
マガキ属かき類カキヘルペスウイルス1型変異株感染症(μvarに限る。)
ホタテガイパーキンサス・クグワディ感染症
マボヤマボヤの被嚢軟化症

 上の表の種類の水産動物が次の状態である場合に、水産資源保護法の規制対象になります(施行規則第一条第二項)。

  1.  生きている水産動物(食用に供するものにあっては、公共の用に供する水面又はこれに直接排水する施設において保管するものに限る。)
  2.  生きていない水産動物(加工したものを含み、養殖の用に供するもの(魚粉及び魚油を除く。)に限る。)

輸入許可対象早見表

生存用途補足許可申請
生きている食用以外
(観賞用、養殖用)
対象
食用1. 公共の用に供する水面において保管する
2. 公共の用に供する水面に直接排水する施設において保管する
対象
すぐに店頭等で販売、消費される非対象
生きていない養殖用魚粉、魚油以外の餌等対象
魚粉、魚油非対象
養殖用以外
(食用など)
非対象

 生きている食用の水産動物を輸入後に一定期間保管する場合、その施設で使用した水を下水道に流す、又は十分に消毒したのちに排水する場合においては、「すぐに販売・消費される」に該当する場合があります。

 法第十三条第一項の許可を受けようとする者は、当該水産動物の種類及び数量、原産地、輸入の時期及び場所、並びに次の他農林水産省令で定める事項を記載した様式第一号による申請書を提出します(法第十三条第二項及び施行規則第二条)。

  1.  荷受人及び荷送人の氏名又は名称及び住所
  2.  輸入しようとする水産動物の搭載予定地、搭載予定年月日及び搭載予定船舶名又は搭載予定航空機名
  3.  輸入しようとする水産動物の仕向地
  4.  その他参考となるべき事項

 さらに、輸出国の政府機関により発行され、かつ、その検査の結果当該水産動物が輸入防疫対象疾病にかかっているおそれがないことを確かめ、又は信ずる旨を記載した検査証明書又はその写しを添付することが必要です(法第十三条第二項)。

 当該検査証明書が電磁的記録として作成された場合には、その記録の提出が認められます(施行規則第二条の二)。

 輸入許可申請は、水産動物の日本到着5日前までに行います。

 申請対象の水産動物及びその容器包装が次の各号のいずれかに該当するときは、農林水産大臣の許可が得られます(法第十三条第三項)。

  1.  第二項の検査証明書又はその写しにより輸入防疫対象疾病の病原体を広げるおそれがないと認められるとき。
  2.  第十四条第一項の規定による命令に係る措置が実施されることにより輸入防疫対象疾病の病原体を広げるおそれがなくなると認められるとき。

 農林水産大臣の許可を受けた輸入者には、様式第二号による輸入許可証が交付されます(法第十三条第四項及び施行規則第三条)。

(許可に当たつての命令等)
第十四条 農林水産大臣は、前条第一項の許可の申請に係る水産動物及びその容器包装が、輸出国の事情その他の事情からみて、同条第二項の検査証明書又はその写しのみによつては輸入防疫対象疾病の病原体を広げるおそれがないとは認められないときは、同条第一項の許可をするに当たり、その申請をした者に対し、輸入防疫対象疾病の潜伏期間を考慮して農林水産省令で定める期間当該水産動物及びその容器包装を農林水産省令で定める方法により管理すべきことを命ずることができる。
2 前項の規定による命令を受けた者は、同項の期間内に当該水産動物が輸入防疫対象疾病にかかり、又はかかつている疑いがあることを発見したときは、農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣の行う検査を受けなければならない。
3 前項の検査を受けた者は、その結果についての通知を受けるまでの間は、当該水産動物及びその容器包装を第一項の農林水産省令で定める方法により管理しなければならない。

 輸出国の事情その他の事情からみて、法第十三条第二項の検査証明書又はその写しだけでは、輸入許可申請対象の水産動物及びその容器包装が輸入防疫対象疾病の病原体を広げないか否かわからないときがあります。

 輸入許可申請者は、そのような場合には、農林水産大臣から、輸入防疫対象疾病の潜伏期間を考慮した期間にわたり、当該水産動物及びその容器包装を農林水産省令で定める方法により管理するように命令される可能性があります(法第十四条第一項)。

 その潜伏期間を考慮した期間は、次の通りです(施行規則第四条)。

水産動物の種類期間
サケ科魚類10日(ウイルス性出血性敗血症の病原体を広げるおそれがないとは認められない場合にあっては15日、旋回病の病原体を広げるおそれがないとは認められない場合にあっては42日、ピシリケッチア症の病原体を広げるおそれがないとは認められない場合にあっては84日)
コイ10日(コイ春ウイルス血症の病原体を広げるおそれがないとは認められない場合にあっては15日、コイヘルペスウイルス病の病原体を広げるおそれがないとは認められない場合にあっては21日)
キンギョその他フナ属魚類
コクレン
ハクレン
10日(コイ春ウイルス血症の病原体を広げるおそれがないとは認められない場合にあっては、15日)
アオウオ
ソウギョ
15日
ナイルティラピア10日
マダイ30日
クルマエビ科えび類
サクラエビ科アキアミ属えび類
テナガエビ科えび類
10日(壊死性肝膵炎の病原体を広げるおそれがないとは認められない場合にあっては18日、タウラ症候群の病原体を広げるおそれがないとは認められない場合にあっては20日、エビの潜伏死病の病原体を広げるおそれがないとは認められない場合にあっては30日、伝染性筋壊死症の病原体を広げるおそれがないとは認められない場合にあっては50日)
トコブシ
フクトコブシ
7日
エゾアワビ
クロアワビ
マダカアワび
メガイアワビ
180日
マガキ属かき類7日
ホタテガイ210日
マボヤ23日

 農林水産省令で定める方法は、次の方法になります(施行規則第五条)。

  1.  管理すべき水産動物を他の水産動物と区別して保管する。
  2.  当該水産動物の容器包装に入れられていた水その他の液体又は当該水産動物の飼育用水を排出する場合には、これを消毒する。
  3.  施行規則第四条の管理すべき期間中に当該水産動物をその容器包装又はいけす(以下この号において「容器包装等」という。)から他の容器包装又はいけすに移す場合には、容器包装等を消毒する。
  4.  当該水産動物の容器包装を廃棄する場合には、これを焼却又は埋却により行う。
  5.  施行規則第四条の管理すべき期間中に当該水産動物がへい死した場合には、当該水産動物について、焼却、埋却その他の必要な措置をとる。

 法第十四条第一項の規定による命令を受けた者は、所定の期間内に当該水産動物が輸入防疫対象疾病にかかり、又はかかっている疑いがあることを発見したときは、農林水産大臣の行う検査を受けなければなりません(法第十四条第二項)。

 農林水産大臣の行う検査を受ける者は、あらかじめ、文書又は口頭により、次に掲げる事項を農林水産大臣に届け出ます(施行規則第六条)。

  1.  水産動物の所有者及び管理者の氏名又は名称及び住所
  2.  水産動物がかかり、又はかかつている疑いがある輸入防疫対象疾病の種類
  3.  水産動物の種類
  4.  水産動物の所在地
  5.  水産動物が輸入防疫対象疾病にかかり、又はかかつている疑いがあることを発見した年月日時及び発見時の状態
  6.  その他参考となるべき事項

 農林水産大臣の行う検査をを受けた者は、その結果についての通知を受けるまでの間は、当該水産動物及びその容器包装を第一項の農林水産省令で定める方法により管理し続けます(法第十四条第三項)。

 輸入した水産動物が販売の用に供するため又は営業上使用するために輸入した食品である場合には、その水産動物は食品衛生法上の検査を受ける必要があることにも留意してください。

(焼却等の命令)
第十五条 農林水産大臣は、前条第二項の検査の結果、第十三条第一項の許可の申請に係る水産動物が輸入防疫対象疾病にかかつていると認められるときは、当該水産動物又はその容器包装を所有し、又は管理する者に対し、当該水産動物又はその容器包装、いけすその他輸入防疫対象疾病の病原体が付着し、若しくは付着しているおそれのある物品の焼却、埋却、消毒その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 法第十四条第二項に規定する農林水産大臣の行う検査の結果、輸入許可申請対象の水産動物が輸入防疫対象疾病にかかっていることが判明した場合には、農林水産大臣は、当該水産動物又はその容器包装を所有又は管理する者に対し次のことを命令します。

  • 命令の対象:
    • 輸入防疫対象疾病にかかっていることが判明した水産動物又はその容器包装
    • いけすその他輸入防疫対象疾病の病原体が付着する又は付着しているおそれがある物品
  • 命令の内容:
    • 焼却
    • 埋却
    • 消毒
    • その他必要な措置

(報告及び立入検査)
第十六条 農林水産大臣は、この節の規定の施行に必要な限度において、水産動物及びその容器包装を輸入しようとする者又は輸入した者その他の関係者に対し、これらの輸入に関し必要な報告を求め、又はその職員に、これらの者の事業場、事務所若しくは水産動物の管理に係る施設に立ち入り、水産動物、容器包装、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 水産資源保護法に定める水産動物の輸入防疫を確実にするため、農林水産大臣は、必要な限度において、水産動物及びその容器包装を輸入しようとする者又は輸入した者その他の関係者に対し、その輸入に関して報告若しくは物件の提出を求め、又はその職員に立入検査若しくは質問を行わせることができます(法第十六条第一項)。

 第一項の規定による立入検査は、犯罪捜査のためのものではありません(法第十六条第三項)。

水産動物の検査

 ここまで、水産資源保護法及び同法施行規則における水産動物の輸入防疫に関する規定を説明しました。同法に基づく輸入許可手続の流れは次のようになっています。

1. 輸出国と衛生条件が合意されていることを確認

 輸出国と衛生条件が合意されている水産動物のみ輸入することができます。合意が成立している国とその水産動物のリストについては、本ブログの別記事をご参照ください。

2. 管理施設の確認(管理飼育を希望する場合のみ)

 法第十四条第一項に定める農林水産大臣の命令による水産動物の保管期間を経た後に検査を受けても当該水産動物の輸入を希望する者は、輸入の1か月前までに管理施設の確認を受ける必要があります。

 返送又は処分を希望する場合には、管理施設の確認を受ける必要はありません。

3. 輸入許可申請

 輸入者は、水産動物の日本到着5日前までに、法第十三条第一項及び第二項に定める輸入許可申請書及び輸出国政府機関発行の検査証明書を、輸入空海港を管轄する動物検疫所に提出します。

 また、生きている水産動物のうち養殖用のものは、輸入後に都道府県による着地検査を受けるため、輸入許可申請書及び輸出国政府機関発行の検査証明書の写しを、仕向先都道府県の水産防疫担当部署にも送付する必要があります。  

4. 書類検査

 提出された検査証明書の内容が、輸出国とあらかじめ合意した衛生条件を満たしていことは、動物検疫所によって確認されます。

5. 現物検査

  • 動物検疫所は、動物検疫所の検査場等で水産動物の現物検査を行います。
  • 現物検査の結果、異状が確認された場合には精密検査を行うことがあります。
  • 生きている水産動物の現物検査で異状が確認された際、あらかじめ管理施設の確認を受けていない場合には、返送又は処分することとなります。  

6. 輸入許可証の交付

  • 現物検査で異状が確認されなかった場合、輸入許可証が交付されます。
  • 生きている水産動物の現物検査で異常が確認された際、既に管理施設の確認を受けている場合には、管理命令を付して輸入許可証が交付されます。

7. 管理飼育(管理命令に基づく管理)

  • 管理飼育期間終了後、輸入者は動物検疫所へ飼育状況の報告を行います。
  • 管理飼育期間中は、必要に応じて動物検疫所職員が立入調査を行います。

8. 着地検査(養殖用の生きている水産動物のみ

 養殖用の生きた水産動物は、輸入後、仕向先の都道府県による着地検査を受けます。

罰則

 水産資源保護法には、水産資源保護法の各規程に違反した場合の罰則が定められています。ここでは、それらの罰則のうち、水産動物の輸入防疫に関係する規定に違反した場合の罰則を紹介します。

違反内容条項罰則
(違反者*)
罰則
(法人**)
法第十三条第一項の許可を受けずに輸入をした法第四十二条3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金100万円以下の罰金
法第十四条第一項又は法第十五条の規定による命令に従わなかった法第四十三条第一号1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金50万円以下の罰金
法第十四条第二項又は第三項の規定に違反した法第四十三条第二号1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金50万円以下の罰金
法第十六条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した法第四十六条第一号6か月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金30万円以下の罰金
* 法第四十二条及び第四十三条に該当する罪を犯した者には、情状により、拘禁刑と罰金が併科される場合があります。
** 違反者が法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者である場合の当該法人又は人への罰則

まとめ

 水産資源保護法における水産動物の輸入防疫及び水産流通適正化法について詳しく説明しました。

 水産業を活性化するためには、水産資源を違法採取・過剰採取から守り、また、養殖業を伝染性疾病の病原体から防護する制度的な仕組みが欠かせません。水産流通適正化法及び水産資源保護法は、国際貿易の拡大に対応しつつ、養殖業の持続的発展を支える重要な法的基盤として機能しています。安全な水産物流通と安定した食料生産を実現するためにも、水産流通適正化法及び水産資源保護法の役割と最新の規制動向を正しく理解することが求められます。

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