食品衛生法は、飲食によって生ずる健康被害の発生を防止し、国民の健康を保護することを目的として、食品等の製造、輸入、加工、調理、貯蔵、運搬及び販売等の段階における衛生管理を定めています。輸入食品等を扱う事業者にとっては、どの手続が必要で、どこに注意すべきか理解しておくことが欠かせません
本記事は、食品等の輸入に関係する主要な規定を実務で使いやすい形で整理します。
輸入手続の概要
輸入者は、厚生労働省検疫所に食品等の輸入届出を行い、その食品等について、審査・検査を受ける必要があります。
輸入手続の流れ

■審査・検査の対象
厚生労働省検疫局の審査・検査の対象には、食品だけでなく、食品の加工・製造に用いる器具や食品の提供に用いる容器・包装・食器も含まれます。
■食品等輸入の届出から通関までの流れ
1.食品等輸入届出申請書類の準備
輸入しようとする食品等を載せた船舶・航空機が到着する前に、食品等輸入の届出に必要な書類を準備します。
2.輸入届出
食品等輸入の届出は、輸入しようとする食品等が通関する場所の厚生労働省検疫所の長に準備した書類を提出して行います(施行規則第三十二条第一項)。
食品の種類によっては厚生労働省検疫所以外にも届出が必要です。
- 野菜・果実などの植物系の食品 →→→→→→ 農林水産省植物防疫所
- 畜産物系の食品及び一部の水産物系の食品 → 農林水産省動物検疫所
農林水産省植物防疫所・動物検疫所における検査申請を規定する植物防疫法、家畜伝染病予防法、並びに水産流通適正化法・水産資源保護法については、本ブログの別記事をご参照ください。
3.検疫所における審査
植物防疫所・動物検疫所で検査合格した食品及び植物防疫所・動物検疫所での検査対象ではない食品等は、厚生労働省検疫所の審査・検査を受けます。
4.輸入届出済証の発給
審査・検査を合格した食品等の輸入者には食品等輸入届出済証が交付されます。
食品等輸入届出済証を取得した輸入者は、通関手続を行うことができます。
■検査制度
輸入食品等の検査には、モニタリング検査、検査命令、指導検査及び行政検査があります。
(モニタリング検査)
- 計画的に国によって実施される輸入食品等の検査
- 輸入者は検査結果の判明を待たずに輸入食品等を輸入する(通関させる)ことができる。
- 違反となった場合には速やかに輸入食品等の回収等の措置を講じる必要がある。
(検査命令)
- 輸入の都度、輸入者に対して命じられる輸入食品等の検査
- 検査結果判明後に適法と判断されるまで輸入(通関)は認められない。
(指導検査)
- 国から実施を定期的に指導される輸入者による輸入食品等の自主的な検査
- 検査結果判明後に適法と判断されるまで輸入(通関)は認められない。
(行政検査)
- 国によって必要に応じて実施される輸入食品等の検査
- 検査結果判明後に適法と判断されるまで輸入(通関)は認められない。
食品等事業者の基本的な責務
【一言サマリー】
第三条は、食品等事業者の責務を定めています。
第三条 食品等事業者(食品若しくは添加物を採取し、製造し、輸入し、加工し、調理し、貯蔵し、運搬し、若しくは販売すること若しくは器具若しくは容器包装を製造し、輸入し、若しくは販売することを営む人若しくは法人又は学校、病院その他の施設において継続的に不特定若しくは多数の者に食品を供与する人若しくは法人をいう。以下同じ。)は、その採取し、製造し、輸入し、加工し、調理し、貯蔵し、運搬し、販売し、不特定若しくは多数の者に授与し、又は営業上使用する食品、添加物、器具又は容器包装(以下「販売食品等」という。)について、自らの責任においてそれらの安全性を確保するため、販売食品等の安全性の確保に係る知識及び技術の習得、販売食品等の原材料の安全性の確保、販売食品等の自主検査の実施その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
② 食品等事業者は、販売食品等に起因する食品衛生上の危害の発生の防止に必要な限度において、当該食品等事業者に対して販売食品等又はその原材料の販売を行つた者の名称その他必要な情報に関する記録を作成し、これを保存するよう努めなければならない。
③ 食品等事業者は、販売食品等に起因する食品衛生上の危害の発生を防止するため、前項に規定する記録の国、都道府県等への提供、食品衛生上の危害の原因となつた販売食品等の廃棄その他の必要な措置を適確かつ迅速に講ずるよう努めなければならない。
【条文のポイント】
■法第三条
<取扱い商品のリスク管理>(第一項)
- 食品等事業者には次の事業者が含まれまれる。
- 食品や添加物の採取、製造、輸入、加工、調理、貯蔵、運搬、又は販売を営む事業者
- 器具や容器包装の製造、輸入、又は販売を営む事業者
- 学校、病院その他の施設において継続的に不特定若しくは多数の者に食品を供与する事業者
したがって、食品等を取り扱う輸入業者は、食品等事業者に含まれます。
- 食品等事業者は、自らが取り扱う食品、添加物、器具又は容器包装(以下、「販売食品等」)の安全性を自らの責任で確保するため、以下に掲げる事項に努力する(第一項)。
- 販売食品等の安全性の確保に関する知識及び技術の習得
- 販売食品等の原材料の安全性の確保
- 販売食品等の自主検査の実施その他の必要な措置の実施
<記録の作成・提供及び販売食品等の廃棄等>(第二項、第三項)
- 食品等事業者は、販売食品等又はその原材料の販売者の名称その他必要な情報を記録し、保存するよう努力する(第二項)。
- 食品等事業者は、販売食品等に起因する食品衛生上の危害の発生を防止するため、次の措置を適確かつ迅速に講ずるよう努力する(第三項)。
- 第二項に規定する記録の国、都道府県等への提供
- 食品衛生上の危害の原因となった販売食品等の廃棄その他の必要な措置
定義(法第四条)
この法律で「添加物」とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物をいいます。
この法律で「器具」とは、飲食器、割ぽう具、及び食品又は添加物の採取、製造、加工、調理、貯蔵、運搬、陳列、授受又は摂取に使用され、かつ、食品又は添加物に直接接触する機械、器具その他の物をいいます。
この法律で「容器包装」とは、食品又は添加物を入れ、又は包んでいる物で、食品又は添加物を授受する場合そのままで引き渡すものをいいます。
この法律で「営業」とは、業として、食品若しくは添加物を採取し、製造し、輸入し、加工し、調理し、貯蔵し、運搬し、若しくは販売すること又は器具若しくは容器包装を製造し、輸入し、若しくは販売することをいい、「営業者」とは、営業を営む人又は法人をいいます。
輸入の届出
【一言サマリー】
第二十七条は、販売したり営業に使用したりする食品等(食品等には乳幼児向け玩具も含まれます)の輸入届出について定めています。
第二十七条 販売の用に供し、又は営業上使用する食品、添加物、器具又は容器包装を輸入しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、その都度厚生労働大臣に届け出なければならない。
【条文のポイント】
■法第二十七条
- 販売したり営業に使用したりする食品等を輸入しようとする者は、その都度、厚生労働大臣に届出を行わなければならない。
不特定又は多数の人に「無償」で配布することも販売行為に含まれます。
<届出が不要なケース>
- 自家消費用
- 試験研究用(社内や研究所での試験研究に用いる場合)
- 社内検討用(社内での検討に用いる場合)
- 展示用(展示会での配布は禁止)
■施行規則第三十二条(法第二十七条関係)
<届出に必要な書類>
輸入の届出に必要な書類は、次のとおりです。
- 食品等輸入届出書(以下、届出書という)
- その他の関係書類
- 原材料及び製造工程に関する説明書(加工食品等必要に応じて)
- 衛生証明書(食肉、食肉製品、乳、乳製品等必要に応じて)
- 試験成績書(個別の規格基準があるもの等必要に応じ)
□第一項本文
- 法第二十七条の輸入者(法第六十八条第一項において準用する場合の玩具の輸入者を含む。)は、貨物が通関する場所の厚生労働省検疫所の長に対して、貨物の到着予定日の七日前の日以降に、次に掲げる事項を記載した輸入届出書を提出する。
- 貨物に関する事故が発生した可能性がある場合では、貨物の保税地域への搬入後に輸入届出書を提出する。
届出書等の内容は、以下のとおりです。
- 氏名及び住所(法人にあっては、その名称及び主たる事務所の所在地)
- 貨物の食品、添加物、器具、容器包装又はおもちゃの別、品名、積込数量、積込重量、包装の種類及び用途並びに貨物に記号及び番号が付されているときはその記号及び番号
- 貨物が食品であって、当該食品が着香の目的以外の目的で使用される添加物(一般に食品として飲食に供されている物であって添加物として使用されるものにあっては、法第十三条第一項の規定により基準又は規格が定められているものに限る。)を含むときは、当該添加物の品名
- 貨物が加工食品であるときは、その原材料及び製造又は加工の方法
- 貨物が加工工程後も組み替えられたDNA又はこれによって生じたタンパク質が残存する加工食品として食品表示基準別表第十七の下欄に掲げるもの(同令第二条第一項第三号に規定する業務用加工食品を含む。)であるときは、同令第三条第二項の表の別表第十七の下欄及び別表第十八の中欄に掲げる加工食品の項の下欄の1の一から三までに規定する場合(その原材料が同欄の5本文の規定により同欄の5に規定する遺伝子組換えに関する表示が不要とされた場合を除く。)に応じ、それぞれ同欄の1の一から三までに規定する事項
- 貨物が食品表示基準第二条第一項第十四号に規定する対象農産物であるときは、同令第十八条第二項の表の対象農産物の項の下欄の1の一のイ又はロに規定する場合に応じ、それぞれ同欄の1の一のイ又はロに規定する事項
- 貨物が添加物であって、当該添加物が添加物(着香の目的で使用されるもの及び一般に食品として飲食に供されている物であって添加物として使用されるものを除く。)を含む製剤であるときは、その成分
- 貨物が器具、容器包装又はおもちゃであるときは、その材質
- 貨物(加工食品以外の食品を除く。)の製造者又は加工者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称及び主たる事務所の所在地)
- 貨物の製造所又は加工所の名称及び所在地(加工食品以外の食品の場合は、その生産地)、積込港、積込年月日、積卸港及び到着年月日
- 貨物(加工食品以外の食品に限る。以下この号において同じ。)の輸出者(当該輸入者に貨物を輸出する者をいう。)の氏名及び住所(法人にあっては、その名称及び主たる事務所の所在地)並びに当該貨物を包装する者(当該貨物が包装される場合に限る。)の氏名及び住所(法人にあっては、その名称及び主たる事務所の所在地)
- 貨物搭載の船舶又は航空機の名称又は便名
- 貨物を保管する倉庫の名称及び所在地並びに搬入年月日
- 貨物に関する事故の有無及びあるときはその概要
貨物の保税地域への搬入前に輸入届出書を提出する場合では、第十四号に掲げる事項を除く。
□第一項ただし書き
- 貨物の保税地域への搬入前に輸入届出書を提出した場合において、貨物に関する事故があったときは、搬入後直ちに、その概要を記載した届書を当該検疫所の長に提出しなければならない。
別表第十に掲げる食品を輸入しようとする場合においては、輸入届出書の提出は不要です。
- 原塩
- コプラ
- 食用油脂の製造に用いる動物性又は植物性原料油脂
- 粗糖
- 粗留アルコール
- 糖みつ
- 麦芽
- ホップ
輸入の届出は不要であっても、税関に対して確認願の提出が必要な場合があります。
<届出の変更>
□第二項
- 輸入者は、第一項の第十号から第十三号までの各号に掲げる事項に変更があつたときは、直ちにその旨を記載した届出書を、当該検疫所長に提出しなければならない。
- 第十号に掲げる事項の変更については、積卸港及び到着年月日だけが変更できる。
<計画輸入制度>
□第四項
輸入の届出は、その都度行うことが必要ですが、同じ食品等を頻繁に輸入する予定である場合には、一定の条件のもとで「都度の届出」を省略できる制度があります。
- 計画輸入制度を利用して食品等を輸入する場合には、計画輸入期間における輸入計画を記載した輸入届出書を提出することにより、「都度の届出」を省略できる。
- 輸入しようとする食品等が次の各号のいずれかに該当し、又はそのおそれがあるときは、この制度を用いることができない。
計画輸入制度を利用して別表十二の第三項中欄に掲げる食品等を輸入する場合
□第五項
- 計画輸入制度を利用して別表十二の第三項中欄に掲げる食品等を輸入しようとする者は、輸入届出書の提出日以前の3年間の同一食品等の輸入実績を輸入届出書に記載して提出する。
輸入食品等の検査制度
【一言サマリー】
第二十五条は、国内で販売可能な食品等の要件について定めており、また、第二十六条は、食品等の検査命令権限について定めており、第二十八条は、立入検査及び試料収去の権限について定めています。
第二十五条 第十三条第一項の規定により規格が定められた食品若しくは添加物又は第十八条第一項の規定により規格が定められた器具若しくは容器包装であつて政令で定めるものは、政令で定める区分に従い厚生労働大臣若しくは都道府県知事又は登録検査機関の行う検査を受け、これに合格したものとして厚生労働省令で定める表示が付されたものでなければ、販売し、販売の用に供するために陳列し、又は営業上使用してはならない。
② 前項の規定による厚生労働大臣又は登録検査機関の行う検査を受けようとする者は、検査に要する実費の額を考慮して、厚生労働大臣の行う検査にあつては厚生労働大臣が定める額の、登録検査機関の行う検査にあつては当該登録検査機関が厚生労働大臣の認可を受けて定める額の手数料を納めなければならない。
③ 前項の手数料は、厚生労働大臣の行う検査を受けようとする者の納付するものについては国庫の、登録検査機関の行う検査を受けようとする者の納付するものについては当該登録検査機関の収入とする。
④ 前三項に定めるもののほか、第一項の検査及び当該検査に合格した場合の措置に関し必要な事項は、政令で定める。
⑤ 第一項の検査の結果については、審査請求をすることができない。第二十六条 都道府県知事は、次の各号に掲げる食品、添加物、器具又は容器包装を発見した場合において、これらを製造し、又は加工した者の検査の能力等からみて、その者が製造し、又は加工する食品、添加物、器具又は容器包装がその後引き続き当該各号に掲げる食品、添加物、器具又は容器包装に該当するおそれがあり、食品衛生上の危害の発生を防止するため必要があると認めるときは、政令で定める要件及び手続に従い、その者に対し、当該食品、添加物、器具又は容器包装について、当該都道府県知事又は登録検査機関の行う検査を受けるべきことを命ずることができる。
一 第六条第二号又は第三号に掲げる食品又は添加物
二 第十三条第一項の規定により定められた規格に合わない食品又は添加物
三 第十三条第一項の規定により定められた基準に合わない方法により添加物を使用した食品
四 第十三条第三項に規定する食品
五 第十六条に規定する器具又は容器包装
六 第十八条第一項の規定により定められた規格に合わない器具又は容器包装
七 第十八条第三項の規定に違反する器具又は容器包装
② 厚生労働大臣は、食品衛生上の危害の発生を防止するため必要があると認めるときは、前項各号に掲げる食品、添加物、器具若しくは容器包装又は第十二条に規定する食品を製造し、又は加工した者が製造し、又は加工した同種の食品、添加物、器具又は容器包装を輸入する者に対し、当該食品、添加物、器具又は容器包装について、厚生労働大臣又は登録検査機関の行う検査を受けるべきことを命ずることができる。
③ 厚生労働大臣は、食品衛生上の危害の発生を防止するため必要があると認めるときは、生産地の事情その他の事情からみて第一項各号に掲げる食品、添加物、器具若しくは容器包装又は第十二条に規定する食品に該当するおそれがあると認められる食品、添加物、器具又は容器包装を輸入する者に対し、当該食品、添加物、器具又は容器包装について、厚生労働大臣又は登録検査機関の行う検査を受けるべきことを命ずることができる。
④ 前三項の命令を受けた者は、当該検査を受け、その結果についての通知を受けた後でなければ、当該食品、添加物、器具又は容器包装を販売し、販売の用に供するために陳列し、又は営業上使用してはならない。
⑤ 前項の通知であつて登録検査機関がするものは、当該検査を受けるべきことを命じた都道府県知事又は厚生労働大臣を経由してするものとする。
⑥ 第一項から第三項までの規定による厚生労働大臣又は登録検査機関の行う検査を受けようとする者は、検査に要する実費の額を考慮して、厚生労働大臣の行う検査にあつては厚生労働大臣が定める額の、登録検査機関の行う検査にあつては当該登録検査機関が厚生労働大臣の認可を受けて定める額の手数料を納めなければならない。
⑦ 前条第三項から第五項までの規定は、第一項から第三項までの検査について準用する。第二十八条 厚生労働大臣、内閣総理大臣又は都道府県知事等は、必要があると認めるときは、営業者その他の関係者から必要な報告を求め、当該職員に営業の場所、事務所、倉庫その他の場所に臨検し、販売の用に供し、若しくは営業上使用する食品、添加物、器具若しくは容器包装、営業の施設、帳簿書類その他の物件を検査させ、又は試験の用に供するのに必要な限度において、販売の用に供し、若しくは営業上使用する食品、添加物、器具若しくは容器包装を無償で収去させることができる。
② 前項の規定により当該職員に臨検検査又は収去をさせる場合においては、これにその身分を示す証票を携帯させ、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示させなければならない。
③ 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
④ 厚生労働大臣、内閣総理大臣又は都道府県知事等は、第一項の規定により収去した食品、添加物、器具又は容器包装の試験に関する事務を登録検査機関に委託することができる。
【条文のポイント】
■法第二十五条(未検査の食品等の販売制限)
- 第十三条第一項の規定により規格が定められた食品若しくは添加物又は第十八条第一項の規定により規格が定められた器具若しくは容器包装であって政令で定めるもののうち、検査合格した食品等のみが、販売、販売のための陳列、営業のための使用を許される(第一項)。
- 検査の結果は、審査請求できない(第五項)。
当該検査の実施者は、厚生労働大臣若しくは都道府県知事又は登録検査機関であり、検査合格した食品等には厚生労働省令で定める表示が付されます。
第一項の「政令で定める添加物」はタール色素であり、その検査を行う者は、登録検査機関である(施行令第四条第一項)。
■法第二十六条(輸入食品等の検査命令)
- 都道府県知事は、次の各号に掲げる食品等を発見し、その食品等の製造業者・加工業者が引き続き各号に該当する食品等を製造・加工する可能性があるとき、その事業者に対し、当該食品等について、都道府県知事又は登録検査機関の行う検査を受けるべきことを命ずることができる(第一項)。
- 厚生労働大臣は、第一項各号に掲げる食品等又は第十二条に規定する食品を製造又は加工したことがある事業者が製造・加工した同種の食品等を輸入する事業者に対し、当該食品等について、厚生労働大臣又は登録検査機関の行う検査を受けるように命ずることができる(第二項)。
- 厚生労働大臣は、生産地の事情その他の事情からみて、第一項各号に掲げる食品等又は法第十二条に規定する食品に該当するおそれがあると認められる食品等を輸入する事業者に対し、当該食品等について、厚生労働大臣又は登録検査機関の行う検査を受けるように命ずることができる(第三項)。
- 検査の結果は、審査請求できない(第七項、第二十五条第五項の準用)。
輸入時の検査では、違反となる食品等が実際に発見されています。厚生労働省の公式ページに公開されている過去の違反事例を確認すれば、同じ過ちを避け、違反食品等を輸入してしまう可能性を限りなく低く抑えることができます。
■法第二十八条(立入検査・食品等の収去その他の措置)
- 厚生労働大臣、内閣総理大臣又は都道府県知事等は、必要があると認めるときは、営業者その他の関係者に対し、次の措置を講じることができる(第一項)。
- 営業者その他の関係者からの報告徴収
- 職員による営業の場所、事務所、倉庫その他の場所の臨検
- 職員による営業上使用する食品、添加物、器具、容器包装、営業の施設、帳簿書類その他の物件の検査
- 試験を目的とした、販売の用に供する又は営業上使用する食品、添加物、器具又は容器包装の無償収去
- 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のためのものではない(第三項)。
- 厚生労働大臣、内閣総理大臣又は都道府県知事等は、第一項の規定により収去した食品等の試験を登録検査機関に委託することができる(法第二十八条第四項)。
第二十六条及び第二十八条の規定を適用することにより、輸入した食品等の通関前の検査が可能になります。
ここまで、食品等の輸入手続を定める規定を説明しました。ここからは、「食品等」に含まれる個々の商品の輸入を規制する規定を説明します。
個別輸入規制
食品・添加物の輸入規制
【一言サマリー】
第六条~第九条は、特定の食品及び添加物の輸入・販売等の規制について定めています。
第六条 次に掲げる食品又は添加物は、これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。)、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。
一 腐敗し、若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。ただし、一般に人の健康を損なうおそれがなく飲食に適すると認められているものは、この限りでない。
二 有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの。ただし、人の健康を損なうおそれがない場合として厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。
三 病原微生物により汚染され、又はその疑いがあり、人の健康を損なうおそれがあるもの。
四 不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を損なうおそれがあるもの。第七条 厚生労働大臣は、一般に飲食に供されることがなかつた物であつて人の健康を損なうおそれがない旨の確証がないもの又はこれを含む物が新たに食品として販売され、又は販売されることとなつた場合において、食品衛生上の危害の発生を防止するため必要があると認めるときは、厚生科学審議会の意見を聴いて、それらの物を食品として販売することを禁止することができる。
② 厚生労働大臣は、一般に食品として飲食に供されている物であつて当該物の通常の方法と著しく異なる方法により飲食に供されているものについて、人の健康を損なうおそれがない旨の確証がなく、食品衛生上の危害の発生を防止するため必要があると認めるときは、厚生科学審議会の意見を聴いて、その物を食品として販売することを禁止することができる。
③ 厚生労働大臣は、食品によるものと疑われる人の健康に係る重大な被害が生じた場合において、当該被害の態様からみて当該食品に当該被害を生ずるおそれのある一般に飲食に供されることがなかつた物が含まれていることが疑われる場合において、食品衛生上の危害の発生を防止するため必要があると認めるときは、厚生科学審議会の意見を聴いて、その食品を販売することを禁止することができる。
④ 厚生労働大臣は、前三項の規定による販売の禁止をした場合において、厚生労働省令で定めるところにより、当該禁止に関し利害関係を有する者の申請に基づき、又は必要に応じ、当該禁止に係る物又は食品に起因する食品衛生上の危害が発生するおそれがないと認めるときは、厚生科学審議会の意見を聴いて、当該禁止の全部又は一部を解除するものとする。
⑤ 厚生労働大臣は、第一項から第三項までの規定による販売の禁止をしたとき、又は前項の規定による禁止の全部若しくは一部の解除をしたときは、官報で告示するものとする。第八条 食品衛生上の危害の発生を防止する見地から特別の注意を必要とする成分又は物であつて、厚生労働大臣及び内閣総理大臣が食品衛生基準審議会の意見を聴いて指定したもの(第三項及び第七十条第五項において「指定成分等」という。)を含む食品(以下この項において「指定成分等含有食品」という。)を取り扱う営業者は、その取り扱う指定成分等含有食品が人の健康に被害を生じ、又は生じさせるおそれがある旨の情報を得た場合は、当該情報を、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なく、都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長(以下「都道府県知事等」という。)に届け出なければならない。
② 都道府県知事等は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を厚生労働大臣に報告しなければならない。
③ 医師、歯科医師、薬剤師その他の関係者は、指定成分等の摂取によるものと疑われる人の健康に係る被害の把握に努めるとともに、都道府県知事等が、食品衛生上の危害の発生を防止するため指定成分等の摂取によるものと疑われる人の健康に係る被害に関する調査を行う場合において、当該調査に関し必要な協力を要請されたときは、当該要請に応じ、当該被害に関する情報の提供その他必要な協力をするよう努めなければならない。第九条 厚生労働大臣は、特定の国若しくは地域において採取され、製造され、加工され、調理され、若しくは貯蔵され、又は特定の者により採取され、製造され、加工され、調理され、若しくは貯蔵される特定の食品又は添加物について、第二十六条第一項から第三項まで又は第二十八条第一項の規定による検査の結果次に掲げる食品又は添加物に該当するものが相当数発見されたこと、生産地における食品衛生上の管理の状況その他の厚生労働省令で定める事由からみて次に掲げる食品又は添加物に該当するものが相当程度含まれるおそれがあると認められる場合において、人の健康を損なうおそれの程度その他の厚生労働省令で定める事項を勘案して、当該特定の食品又は添加物に起因する食品衛生上の危害の発生を防止するため特に必要があると認めるときは、厚生科学審議会の意見を聴いて、当該特定の食品又は添加物を販売し、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、若しくは調理することを禁止することができる。
一 第六条各号に掲げる食品又は添加物
二 第十二条に規定する食品
三 第十三条第一項の規定により定められた規格に合わない食品又は添加物
四 第十三条第一項の規定により定められた基準に合わない方法により添加物を使用した食品
五 第十三条第三項に規定する食品
② 厚生労働大臣は、前項の規定による禁止をしようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。
③ 厚生労働大臣は、第一項の規定による禁止をした場合において、当該禁止に関し利害関係を有する者の申請に基づき、又は必要に応じ、厚生労働省令で定めるところにより、当該禁止に係る特定の食品又は添加物に起因する食品衛生上の危害が発生するおそれがないと認めるときは、厚生科学審議会の意見を聴いて、当該禁止の全部又は一部を解除するものとする。
④ 厚生労働大臣は、第一項の規定による禁止をしたとき、又は前項の規定による禁止の全部若しくは一部の解除をしたときは、官報で告示するものとする。
【条文のポイント】
■法第六条(不衛生な食品及び添加物の輸入等の禁止)
- 次の第一号から第四号までの食品又は添加物は、販売し、又は販売の用に供するために輸入してはならない。
- 1. 腐敗し、若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。ただし、一般に人の健康を損なうおそれがなく飲食に適すると認められているものは、この限りでない。
- 2. 有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの。ただし、人の健康を損なうおそれがない場合として厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。
- 3. 病原微生物により汚染され、又はその疑いがあり、人の健康を損なうおそれがあるもの。
- 4. 不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を損なうおそれがあるもの。
■法第七条(新しい食材の利用法により健康を害する可能性のある食品の販売の禁止)
- 厚生労働大臣は、食品衛生上の危害の発生を防止するため必要があると認めるときは、次の場合に対象の食品の販売を禁止することができる(法第七条)。
- 1. 一般に飲食に供されることがなかった物であって人の健康を損なうおそれがない旨の確証がないもの又はこれを含む物であって、新たに販売されることになった食品
- 2. 一般に食品として飲食に供されている物であってその物の通常の方法と著しく異なる方法により飲食に供されているため人の健康を損なうおそれがない旨の確証がない当該食品
- 3. 人の健康に係る重大な被害の発生が食品によるものと疑われる場合において、その被害の態様からみて、当該被害を生ずるおそれのある一般に飲食に供されることがなかった物が含まれていることが疑われる当該食品
■法第八条(特別の注意を要する成分を含む食品の販売規制)
「指定成分等」は、食品衛生上の危害発生防止の観点から特別の注意を必要とするものとして厚生労働大臣及び内閣総理大臣により指定された成分又は物を意味し、指定成分等を含む食品を「指定成分等含有食品」といいます。
- 営業者は、指定成分等含有食品を取り扱う場合において、その指定成分等含有食品が人の健康に被害を生じさせる又は生じさせるおそれがあるとの情報を得たときは、その情報を都道府県知事等に届け出なければならない(第一項)。
- 都道府県知事等は、当該情報を厚生労働大臣に報告しなければならない(第二項)。
報告を受けた厚生労働大臣は、次の措置を講ずる可能性があります。
| 内容 | 根拠条項 |
|---|---|
| 報告徴収 | 第二十八条 |
| 立入検査 | 第二十八条 |
| 収去(試料採取) | 第二十八条 |
| 販売禁止・輸入禁止 | 第六条、第七条、第九条、第十三条 |
指定成分等含有食品については、厚生労働省の公式ページをご参照ください。
■法第九条(特定の食品及び添加物の輸入等の禁止)
- 厚生労働大臣は、特定の食品又は添加物について、人の健康を損なうおそれの程度その他の厚生労働省令で定める事項を勘案して、輸入等を禁止できる(第一項)。
その特定の食品又は添加物は、以下の各号に掲げる食品又は添加物に該当するものが相当数発見された又は相当程度含まれるおそれがあると認められる場合において輸入禁止になります。
| 号 | 規定 | 内容 |
|---|---|---|
| 第一号 | 第六条各号に掲げる食品又は添加物 | 不衛生な食品又は添加物 |
| 第二号 | 第十二条に規定する食品 | 人の健康を損なうおそれがないものとして内閣総理大臣が定める添加物以外の添加物を含む食品 |
| 第三号 | 第十三条第一項の規定により定められた規格に合わない食品又は添加物 | 公衆衛生の見地から内閣総理大臣によって定められた販売の用に供する食品若しくは添加物の成分についての規格に合わない食品又は添加物 |
| 第四号 | 第十三条第一項の規定により定められた基準に合わない方法により添加物を使用した食品 | 公衆衛生の見地から内閣総理大臣によって定められた販売の用に供する食品若しくは添加物の製造、加工、使用、調理若しくは保存の方法についての基準に合わない方法により添加物を使用した食品 |
| 第五号 | 第十三条第三項に規定する食品 | 農薬、飼料添加物及び動物用医薬品が、人の健康を損なうおそれのない量として内閣総理大臣が定める量を超えて残留する食品 |
健康食品やサプリメントを輸入する際の注意事項
健康食品やサプリメントを輸入する際は、薬機法が定める医薬品に該当する成分が含まれていなことを確認することが重要です。医薬品に該当する成分が含まれる健康食品やサプリメントの輸入には、薬機法に基づく厚生労働大臣の承認や許可等の複数の手続きが必要になります。事業所を管轄する都道府県の薬務担当部署に事前相談することが大事です。
肉類・乳製品などの輸入
【一言サマリー】
第十条は、家畜の肉や乳及びその加工食品(獣畜の肉等)の輸入規制について定めています。
第十条 第一号若しくは第三号に掲げる疾病にかかり、若しくはその疑いがあり、第一号若しくは第三号に掲げる異常があり、又はへい死した獣畜(と畜場法(昭和二十八年法律第百十四号)第三条第一項に規定する獣畜及び厚生労働省令で定めるその他の物をいう。以下同じ。)の肉、骨、乳、臓器及び血液又は第二号若しくは第三号に掲げる疾病にかかり、若しくはその疑いがあり、第二号若しくは第三号に掲げる異常があり、又はへい死した家きん(食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律(平成二年法律第七十号)第二条第一号に規定する食鳥及び厚生労働省令で定めるその他の物をいう。以下同じ。)の肉、骨及び臓器は、厚生労働省令で定める場合を除き、これを食品として販売し、又は食品として販売の用に供するために、採取し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。ただし、へい死した獣畜又は家きんの肉、骨及び臓器であつて、当該職員が、人の健康を損なうおそれがなく飲食に適すると認めたものは、この限りでない。
一 と畜場法第十四条第六項各号に掲げる疾病又は異常
二 食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第十五条第四項各号に掲げる疾病又は異常
三 前二号に掲げる疾病又は異常以外の疾病又は異常であつて厚生労働省令で定めるもの
② 獣畜の肉、乳及び臓器並びに家きんの肉及び臓器並びに厚生労働省令で定めるこれらの製品(以下この項において「獣畜の肉等」という。)は、輸出国の政府機関によつて発行され、かつ、前項各号に掲げる疾病にかかり、若しくはその疑いがあり、同項各号に掲げる異常があり、又はへい死した獣畜の肉、乳若しくは臓器若しくは家きんの肉若しくは臓器又はこれらの製品でない旨その他厚生労働省令で定める事項(以下この項において「衛生事項」という。)を記載した証明書又はその写しを添付したものでなければ、これを食品として販売の用に供するために輸入してはならない。ただし、厚生労働省令で定める国から輸入する獣畜の肉等であつて、当該獣畜の肉等に係る衛生事項が当該国の政府機関から電気通信回線を通じて、厚生労働省の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。)に送信され、当該電子計算機に備えられたファイルに記録されたものについては、この限りでない。
【条文のポイント】
■法第十条(輸出国政府機関発行の証明書)
□第二項
- 獣畜の肉、乳及び臓器並びに家禽の肉及び臓器並びに厚生労働省令で定めるこれらの製品(「獣畜の肉等」)を販売のために輸入する場合には、輸出国政府機関発行の証明書又はその写しの添付が必要になる。
- 輸出国政府発行の証明書は、輸入する獣畜の肉等が、以下に掲げる動物に由来する肉、乳若しくは臓器又はこれらの製品でない旨その他厚生労働省令で定める事項(「衛生事項」)を記載するものである。
- 法第十条第一項各号に掲げる疾病にかかっている又はその疑いがある獣畜又は家きん
- 法第十条第一項各号に掲げる異常がある獣畜又は家きん
- へい死した獣畜又は家きん
- 輸出国政府機関発行の証明書の記載事項が当該政府機関から電気通信回線を通じて、厚生労働省の使用に係る電子計算機に送信され、当該電子計算機に備えられたファイルに記録される場合には、当該電子ファイルが当該証明書の代わりになる。
■施行規則第八条(法第十条第二項関係)
法第十条第二項の「厚生労働省令で定めるこれらの製品」とは、食肉製品並びに乳及び乳製品です。
■法第十条第二項の厚生労働省令で定める事項(施行規則第九条)
- 獣畜又は家きんの肉若しくは臓器にあつては、獣畜又は家きんの種類、第八条に規定する製品にあつては、その名称及び原料の肉、乳又は臓器の種類
- 数量及び重量
- 荷送人の住所及び氏名(法人の場合は、その名称及び所在地)
- 荷受人の住所及び氏名(法人の場合は、その名称及び所在地)
- 獣畜又は家きんの肉又は臓器(分割、細切等の処理が行われたものを除く。)にあつては、検査を行つた機関の名称等に関する次に掲げる事項
- イ 獣畜にあつては、と畜検査(とさつ前に行う生体検査、解体前に行う検査及び解体後に行う検査をいう。以下同じ。)を行つた機関の名称又はと畜検査を行つた職員の官職氏名
- ロ 家きんにあつては、食鳥検査(生体検査、脱羽後検査及び内臓摘出後検査をいう。以下同じ。)を行つた機関の名称又は食鳥検査を行つた職員の官職氏名
- 次に掲げるとさつ等が行われた施設の名称及び所在地
- イ 獣畜の肉又は臓器(分割、細切等の処理が行われたものを除く。)にあつては、とさつ又は解体が行われたと畜場
- ロ 家きんの肉又は臓器(分割、細切等の処理が行われたものを除く。)にあつては、とさつ、脱羽及び内臓摘出が行われた食鳥処理場
- ハ 分割、細切等の処理が行われた獣畜又は家きんの肉又は臓器にあつては、当該処理が行われた施設
- ニ 第八条に規定する製品にあつては、当該製品が製造された製造所
- 前号イからニまでに規定するとさつ、解体、脱羽、内臓摘出、分割、細切等の処理又は製造が、我が国と同等以上の基準に基づき、衛生的に行われた旨
- 次に掲げるとさつ等が行われた年月
- イ 獣畜の肉又は臓器(分割、細切等の処理が行われたものを除く。)にあつては、とさつ及びと畜検査
- ロ 家きんの肉又は臓器(分割、細切等の処理が行われたものを除く。)にあつては、とさつ及び食鳥検査
- ハ 分割、細切等の処理が行われた獣畜又は家きんの肉又は臓器にあつては、当該処理
- ニ 第八条に規定する製品にあつては、当該製品の製造
- 乳又は乳製品にあつては、製造が我が国と同等の基準に基づき、衛生的に行われた旨
- 乳又は乳製品にあつては、法第十条第二項に規定する証明書を発行した輸出国の政府機関の名称又は署名した職員の官職氏名
<追加の政府機関発行の証明書>
■施行規則第十条(法第十条第二項関係)
輸出国の政府機関によって発行された証明書の対象が、輸出国以外の国で屠畜検査又は食鳥検査を行われた獣畜や家きんの肉又は臓器であるときは、屠畜検査又は食鳥検査を行った国の政府機関が発行した証明書の写しも添付する必要があります。
<電子ファイルによる証明書の代替>
■施行規則第十一条(法第十条第二項関係)
アメリカ合衆国、オーストラリア及びニュージーランドから獣畜の肉等を輸入する場合、これらの国々は電子証明書に対応しています。
家畜の肉や乳及びその加工食品を輸入するには、食品衛生法に定める検査申請だけでなく、家畜伝染病予防法に定める検査申請の必要があります。家畜伝染病予防法については本ブログの別記事をご参照ください。
添加物の輸入
【一言サマリー】
第十二条は、輸入等が可能な添加物並びに添加物を含む食品等の輸入規制について定めています。
第十二条 人の健康を損なうおそれのない場合として内閣総理大臣が食品衛生基準審議会の意見を聴いて定める場合を除いては、添加物(天然香料及び一般に食品として飲食に供されている物であつて添加物として使用されるものを除く。)並びにこれを含む製剤及び食品は、これを販売し、又は販売の用に供するために、製造し、輸入し、加工し、使用し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。
【条文のポイント】
■法第十二条
- 内閣総理大臣が人の健康を損なうおそれのないものとして定める場合を除き、添加物並びにこれを含む食品等は、販売し、又は販売の用に供するために輸入してはならない。
人の健康を損なうおそれのない添加物については消費者庁のページを参照してください。
重要な工程管理が必要な食品又は添加物の輸入
【一言サマリー】
第十一条は、重要な工程管理が必要な食品又は添加物の輸入規制について定めています。
第十一条 食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための措置が講じられていることが必要なものとして厚生労働省令で定める食品又は添加物は、当該措置が講じられていることが確実であるものとして厚生労働大臣が定める国若しくは地域又は施設において製造し、又は加工されたものでなければ、これを販売の用に供するために輸入してはならない。
② 第六条各号に掲げる食品又は添加物のいずれにも該当しないことその他厚生労働省令で定める事項を確認するために生産地における食品衛生上の管理の状況の証明が必要であるものとして厚生労働省令で定める食品又は添加物は、輸出国の政府機関によつて発行され、かつ、当該事項を記載した証明書又はその写しを添付したものでなければ、これを販売の用に供するために輸入してはならない。
【条文のポイント】
■法第十一条
- 第一項又は第二項に掲げる食品又は添加物は、販売の用に供するために輸入してはならない。
| 制限を受ける食品・添加物 | 輸入可能なもの | 具体的な食品 |
|---|---|---|
| 食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程管理が必要なものとして厚生労働省令で定める食品又は添加物 | 厚生労働大臣が定める国若しくは地域又は施設において製造・加工されたもの(第十一条第一項) | 獣畜及び家きんの肉及び臓器(施行規則第十一条の二第一項) |
| 生産地における食品衛生上の管理の状況の証明が必要であるものとして厚生労働省令で定める食品又は添加物 | 輸出国の政府機関によつて発行され、かつ、当該事項を記載した証明書又はその写しを添付したもの(第十一条第二項) | 生食用のかき及びふぐ(施行規則第十一条の二第二項) |
食品又は添加物の基準・規格の制定
【一言サマリー】
第十三条は、公衆衛生の視点から、販売の用に供する食品・添加物に関する基準・規格、当該基準・規格に適合しない食品・添加物の輸入等の禁止について定めています。
第十三条 内閣総理大臣は、公衆衛生の見地から、食品衛生基準審議会の意見を聴いて、販売の用に供する食品若しくは添加物の製造、加工、使用、調理若しくは保存の方法につき基準を定め、又は販売の用に供する食品若しくは添加物の成分につき規格を定めることができる。
② 前項の規定により基準又は規格が定められたときは、その基準に合わない方法により食品若しくは添加物を製造し、加工し、使用し、調理し、若しくは保存し、その基準に合わない方法による食品若しくは添加物を販売し、若しくは輸入し、又はその規格に合わない食品若しくは添加物を製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、保存し、若しくは販売してはならない。
③ 農薬(農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号)第二条第一項に規定する農薬をいう。次条において同じ。)、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(昭和二十八年法律第三十五号)第二条第三項の規定に基づく農林水産省令で定める用途に供することを目的として飼料(同条第二項に規定する飼料をいう。)に添加、混和、浸潤その他の方法によつて用いられる物及び医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二条第一項に規定する医薬品であつて動物のために使用されることが目的とされているものの成分である物質(その物質が化学的に変化して生成した物質を含み、人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるものとして内閣総理大臣が定める物質を除く。)が、人の健康を損なうおそれのない量として内閣総理大臣が食品衛生基準審議会の意見を聴いて定める量を超えて残留する食品は、これを販売の用に供するために製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、保存し、又は販売してはならない。ただし、当該物質の当該食品に残留する量の限度について第一項の食品の成分に係る規格が定められている場合については、この限りでない。
【条文のポイント】
■法第十三条
- 内閣総理大臣は、食品衛生基準審議会の意見を聴いて、以下の基準・規格を定めることができる(第一項)。
- 販売の用に供する食品や添加物の製造、加工、使用、調理若しくは保存の方法基準
- 販売の用に供する食品や添加物の成分規格
- 第一項の基準に適合しない方法により製造、加工、使用、調理又は保存された食品や添加物は、販売し、又は販売の用に供するために輸入してはならない(第二項)。
- 農薬、飼料添加物及び動物用医薬品が、人の健康を損なうおそれのない量として内閣総理大臣が定める量を超えて残留する食品は、販売し、又は販売の用に供するために輸入してはならない。ただし、ここでいう「農薬、飼料添加物及び動物用医薬品」について、第一項の規格が定められているものについては、第三項の規定よりも第一項の規定が優先される(第三項)。
第一項の基準・規格は、次のページで参照できます。
器具及び容器包装の輸入規制
【一言サマリー】
第十六条は、人の健康を損なうおそれがある器具及び容器包装の輸入規制について定めています。
第十六条 有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着して人の健康を損なうおそれがある器具若しくは容器包装又は食品若しくは添加物に接触してこれらに有害な影響を与えることにより人の健康を損なうおそれがある器具若しくは容器包装は、これを販売し、販売の用に供するために製造し、若しくは輸入し、又は営業上使用してはならない。
第十七条 厚生労働大臣は、特定の国若しくは地域において製造され、又は特定の者により製造される特定の器具又は容器包装について、第二十六条第一項から第三項まで又は第二十八条第一項の規定による検査の結果次に掲げる器具又は容器包装に該当するものが相当数発見されたこと、製造地における食品衛生上の管理の状況その他の厚生労働省令で定める事由からみて次に掲げる器具又は容器包装に該当するものが相当程度含まれるおそれがあると認められる場合において、人の健康を損なうおそれの程度その他の厚生労働省令で定める事項を勘案して、当該特定の器具又は容器包装に起因する食品衛生上の危害の発生を防止するため特に必要があると認めるときは、厚生科学審議会の意見を聴いて、当該特定の器具又は容器包装を販売し、販売の用に供するために製造し、若しくは輸入し、又は営業上使用することを禁止することができる。
一 前条に規定する器具又は容器包装
二 次条第一項の規定により定められた規格に合わない器具又は容器包装
三 次条第三項の規定に違反する器具又は容器包装
【条文のポイント】
■法第十六条(有毒有害な器具又は容器包装の輸入等の禁止)
- 次に掲げるような器具や容器包装は、販売し、又は販売の用に供するために輸入してはならない。
- 有毒又は有害な物質が含まれ、又は付着していることで人の健康を損なうおそれがある器具又は容器包装
- 食品又は添加物に接触してこれらに有害な影響を与えることにより人の健康を損なうおそれがある器具又は容器包装
■法第十七条(特定の器具及び容器包装の輸入等の禁止)
- 厚生労働大臣は、特定の器具又は容器包装について、人の健康を損なうおそれの程度その他の厚生労働省令で定める事項を勘案して、輸入等を禁止できる(法第十七条第一項)。
その特定の器具又は容器包装は、以下の法第十七条第一項第一号から第三号までに掲げる器具や容器包装に該当するものが相当数発見された又は相当程度含まれるおそれがあると認められる場合において輸入禁止になります。
| 号 | 規定 | 内容 |
|---|---|---|
| 第一号 | 第十六条に規定する器具又は容器包装 | 有毒若しくは有害な物質が含有若しくは付着していることで又は有害な影響を食品若しくは添加物に与えることにより人の健康を損なうおそれがある器具や容器包装 |
| 第二号 | 第十八条第一項の規定により定められた規格に合わない器具又は容器包装 | 公衆衛生の見地から内閣総理大臣によって定められた器具や容器包装又はこれらの原材料の規格に合わない器具や容器包装 |
| 第三号 | 第十八条第三項の規定に違反する器具又は容器包装 | 器具や容器包装の原材料に含まれる物質の、器具や容器包装中の許容含有量又は器具や容器包装からの許容溶出・浸出量が法第十八条第一項に定められていない場合における、その原材料を使用して製造された器具や容器包装 |
器具又は容器包装の基準・規格の制定
【一言サマリー】
第十八条は、公衆衛生の視点から、販売の用に供する又は営業上使用する器具・容器包装に関する基準・規格、当該基準・規格に適合しない器具・容器包装の輸入等の禁止について定めています。
第十八条 内閣総理大臣は、公衆衛生の見地から、食品衛生基準審議会の意見を聴いて、販売の用に供し、若しくは営業上使用する器具若しくは容器包装若しくはこれらの原材料につき規格を定め、又はこれらの製造方法につき基準を定めることができる。
② 前項の規定により規格又は基準が定められたときは、その規格に合わない器具若しくは容器包装を販売し、販売の用に供するために製造し、若しくは輸入し、若しくは営業上使用し、その規格に合わない原材料を使用し、又はその基準に合わない方法により器具若しくは容器包装を製造してはならない。
③ 器具又は容器包装には、成分の食品への溶出又は浸出による公衆衛生に与える影響を考慮して政令で定める材質の原材料であつて、これに含まれる物質(その物質が化学的に変化して生成した物質を除く。)について、当該原材料を使用して製造される器具若しくは容器包装に含有されることが許容される量又は当該原材料を使用して製造される器具若しくは容器包装から溶出し、若しくは浸出して食品に混和することが許容される量が第一項の規格に定められていないものは、使用してはならない。ただし、当該物質が人の健康を損なうおそれのない量として内閣総理大臣が食品衛生基準審議会の意見を聴いて定める量を超えて溶出し、又は浸出して食品に混和するおそれがないように器具又は容器包装が加工されている場合(当該物質が器具又は容器包装の食品に接触する部分に使用される場合を除く。)については、この限りでない。
【条文のポイント】
■法第十八条
- 内閣総理大臣は、食品衛生基準審議会の意見を聴いて、以下の基準・規格を定めることができる(第一項)。
- 販売の用に供し、又は営業上使用する器具や容器包装又はこれらの原材料の規格
- 販売の用に供し、又は営業上使用する器具や容器包装の製造方法基準
- 第一項の基準に適合しない器具や容器包装は、販売し、又は販売の用に供するために輸入してはならない(第二項)。
- 器具や容器包装の原材料に含まれる物質の、器具や容器包装中の許容含有量又は器具や容器包装からの許容溶出・浸出量が第一項に定められていない場合、その原材料を使用して製造された器具や容器包装は、使用してはならない。ただし、内閣総理大臣が「人の健康を損なうおそれがない量」として定めた基準を超えて溶出しないように加工されている器具や容器包装については、食品に接触する部分を使用される場合を除き、使用が認められる(第三項)。
第一項の基準・規格は、次のページで参照できます。
乳幼児向けおもちゃの輸入
第六十八条第一項は、乳幼児向けの玩具の製造・輸入・販売等に関する規制について定めています。
第六十八条 第六条、第九条、第十二条、第十三条第一項及び第二項、第十六条から第二十条まで(第十八条第三項を除く。)、第二十五条から第六十一条まで(第五十一条、第五十二条第一項第二号及び第二項並びに第五十三条を除く。)並びに第六十三条から第六十五条までの規定は、乳幼児が接触することによりその健康を損なうおそれがあるものとして厚生労働大臣及び内閣総理大臣の指定するおもちやについて、これを準用する。この場合において、第十二条中「添加物(天然香料及び一般に食品として飲食に供されている物であつて添加物として使用されるものを除く。)」とあるのは、「おもちやの添加物として用いることを目的とする化学的合成品(化学的手段により元素又は化合物に分解反応以外の化学的反応を起こさせて得られた物質をいう。)」と読み替えるものとする。
【条文のポイント】
■法第六十八条
- 乳幼児が接触することによりその健康を損なうおそれがあるものとして厚生労働大臣及び内閣総理大臣の指定する玩具について、以下の規定が準用される(第一項)。
乳幼児は、玩具(おもちゃ)をしゃぶったり、口の中に入れたりするため、乳幼児向け玩具も本法の規制を受けます。
本規定の対象となる指定玩具の範囲については、消費者庁の公式ページで公開されている厚生労働省の通知をご参照ください。
玩具と消費生活用製品安全法
乳幼児用玩具を輸入して国内で販売するには、玩具が食品衛生法と消費生活用製品安全法の規格・基準に適合していることに加え、輸入者が消費生活用製品安全法に基づく手続を済ませている必要があります。
消費生活用製品安全法の詳細については、経済産業省の公式ページをご参照ください。
表示及び広告
【一言サマリー】
第十九条及び第二十条は、食品等の広告・表示に関する規定を定めています。
第十九条 内閣総理大臣は、一般消費者に対する器具又は容器包装に関する公衆衛生上必要な情報の正確な伝達の見地から、消費者委員会の意見を聴いて、前条第一項の規定により規格又は基準が定められた器具又は容器包装に関する表示につき、必要な基準を定めることができる。
② 前項の規定により表示につき基準が定められた器具又は容器包装は、その基準に合う表示がなければ、これを販売し、販売の用に供するために陳列し、又は営業上使用してはならない。
③ 販売の用に供する食品及び添加物に関する表示の基準については、食品表示法(平成二十五年法律第七十号)で定めるところによる。第二十条 食品、添加物、器具又は容器包装に関しては、公衆衛生に危害を及ぼすおそれがある虚偽の又は誇大な表示又は広告をしてはならない。
【条文のポイント】
■法第十九条
販売の用に供する食品及び添加物の表示の基準は、食品表示法で定められています(法第十九条第三項)。
食品表示法については、消費者庁のページをご参照ください。
■法第二十条
食品、添加物、器具又は容器包装を取り扱う事業者は、公衆衛生に害を及ぼすような虚偽の又は誇大な表示又は広告をしてはなりません(法第二十条)。
輸入食品監視指導計画
【一言サマリー】
第二十三条は、厚生労働大臣が定める輸入食品監視指導計画に関する規定を定めています。
第二十三条 厚生労働大臣は、指針に基づき、毎年度、翌年度の食品、添加物、器具及び容器包装の輸入について国が行う監視指導の実施に関する計画(以下「輸入食品監視指導計画」という。)を定めるものとする。
② 輸入食品監視指導計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 生産地の事情その他の事情からみて重点的に監視指導を実施すべき項目に関する事項
二 輸入を行う営業者に対する自主的な衛生管理の実施に係る指導に関する事項
三 その他監視指導の実施のために必要な事項
③ 厚生労働大臣は、輸入食品監視指導計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
④ 厚生労働大臣は、輸入食品監視指導計画の実施の状況について、公表するものとする。
【条文のポイント】
■法第二十三条
日本に輸入される食品、添加物、器具、容器包装及び乳幼児向け玩具の安全性を確保するためには、輸出国における生産の段階から輸入後の国内流通までの各段階において監視指導を実施する必要があります。
- 厚生労働大臣は、毎年度、翌年度の食品、添加物、器具及び容器包装の輸入について国が行う監視指導の実施に関する輸入食品監視指導計画を定める(第一項)。
- 輸入食品監視指導計画は、次に掲げる事項について定める(第二項)。
- 1. 生産地の事情その他の事情からみて重点的に監視指導を実施すべき項目に関する事項
- 2. 輸入を行う営業者に対する自主的な衛生管理の実施に係る指導に関する事項
- 3. その他監視指導の実施のために必要な事項
- 厚生労働大臣は、輸入食品監視指導計画の策定又は変更があったときは、これを公表する(第三項)。
- 厚生労働大臣は、輸入食品監視指導計画の実施の状況を公表する(第四項)。
最新の輸入食品監視指導計画については、次のリンク先のページからご参照ください。
ここまで、「食品等」に含まれる個々の商品の輸入を規制する規定を説明しました。ここからは、輸入した食品等を用いてする営業に関する規定及び本法の罰則を説明します。
営業
【一言サマリー】
第五十三条及び第五十八条~第六十条は、輸入等により供給する食品等の営業に関する規定を定めています。
第五十三条 第十八条第三項に規定する政令で定める材質の原材料が使用された器具又は容器包装を販売し、又は販売の用に供するために製造し、若しくは輸入する者は、厚生労働省令で定めるところにより、その取り扱う器具又は容器包装の販売の相手方に対し、当該取り扱う器具又は容器包装が次の各号のいずれかに該当する旨を説明しなければならない。
一 第十八条第三項に規定する政令で定める材質の原材料について、同条第一項の規定により定められた規格に適合しているもののみを使用した器具又は容器包装であること。
二 第十八条第三項ただし書に規定する加工がされている器具又は容器包装であること。
② 器具又は容器包装の原材料であつて、第十八条第三項に規定する政令で定める材質のものを販売し、又は販売の用に供するために製造し、若しくは輸入する者は、当該原材料を使用して器具又は容器包装を製造する者から、当該原材料が同条第一項の規定により定められた規格に適合しているものである旨の確認を求められた場合には、厚生労働省令で定めるところにより、必要な説明をするよう努めなければならない。第五十八条 営業者が、次の各号のいずれかに該当する場合であつて、その採取し、製造し、輸入し、加工し、若しくは販売した食品若しくは添加物又はその製造し、輸入し、若しくは販売した器具若しくは容器包装を回収するとき(次条第一項又は第二項の規定による命令を受けて回収するとき、及び食品衛生上の危害が発生するおそれがない場合として厚生労働省令・内閣府令で定めるときを除く。)は、厚生労働省令・内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、回収に着手した旨及び回収の状況を都道府県知事に届け出なければならない。
一 第六条、第十条から第十二条まで、第十三条第二項若しくは第三項、第十六条、第十八条第二項若しくは第三項又は第二十条の規定に違反し、又は違反するおそれがある場合
二 第九条第一項又は第十七条第一項の規定による禁止に違反し、又は違反するおそれがある場合
② 都道府県知事は、前項の規定による届出があつたときは、厚生労働省令・内閣府令で定めるところにより、当該届出に係る事項を厚生労働大臣又は内閣総理大臣に報告しなければならない。第五十九条 厚生労働大臣又は都道府県知事は、営業者が第六条、第十条から第十二条まで、第十三条第二項若しくは第三項、第十六条若しくは第十八条第二項若しくは第三項の規定に違反した場合又は第九条第一項若しくは第十七条第一項の規定による禁止に違反した場合においては、営業者若しくは当該職員にその食品、添加物、器具若しくは容器包装を廃棄させ、又はその他営業者に対し食品衛生上の危害を除去するために必要な処置をとることを命ずることができる。
② 内閣総理大臣又は都道府県知事は、営業者が第二十条の規定に違反した場合においては、営業者若しくは当該職員にその食品、添加物、器具若しくは容器包装を廃棄させ、又はその他営業者に対し虚偽の若しくは誇大な表示若しくは広告による食品衛生上の危害を除去するために必要な処置をとることを命ずることができる。第六十条 都道府県知事は、営業者が第六条、第八条第一項、第十条から第十二条まで、第十三条第二項若しくは第三項、第十六条、第十八条第二項若しくは第三項、第十九条第二項、第二十条、第二十五条第一項、第二十六条第四項、第四十八条第一項、第五十条第二項、第五十一条第二項、第五十二条第二項若しくは第五十三条第一項の規定に違反した場合、第七条第一項から第三項まで、第九条第一項若しくは第十七条第一項の規定による禁止に違反した場合、第五十五条第二項第一号若しくは第三号に該当するに至つた場合又は同条第三項の規定による条件に違反した場合においては、同条第一項の許可を取り消し、又は営業の全部若しくは一部を禁止し、若しくは期間を定めて停止することができる。
② 厚生労働大臣は、営業者(食品、添加物、器具又は容器包装を輸入することを営む人又は法人に限る。)が第六条、第八条第一項、第十条第二項、第十一条、第十二条、第十三条第二項若しくは第三項、第十六条、第十八条第二項若しくは第三項、第二十六条第四項、第五十条第二項、第五十一条第二項、第五十二条第二項若しくは第五十三条第一項の規定に違反した場合又は第七条第一項から第三項まで、第九条第一項若しくは第十七条第一項の規定による禁止に違反した場合においては、営業の全部若しくは一部を禁止し、又は期間を定めて停止することができる。
【条文のポイント】
■法第五十三条(輸入した器具又は容器包装が規格に適合している旨の説明)
第十八条第三項の規定に関連し、次の表に示す者は、その取引の相手に対し、その取引の対象が当該規定に適合していることを説明します。
| 第一項 | 第二項 | |
|---|---|---|
| 説明者 | 第十八条第三項に規定する原材料が使用された器具・容器包装の輸入等をする者 | 第十八条第三項に規定する原材料の輸入等をする者 |
| 説明相手 | 器具・容器包装の購入者 | 原材料を使用して器具又は容器包装を製造する者 |
| 説明内容 | 器具・容器包装が第十八条第三項の規定に適合していること | 原材料が第十八条第三項規格に適合していること |
| 説明の義務 | 義務 | 努力義務 |
■法第五十八条(食品等の回収の届出)
- 営業者は、下表に掲げる本法の規定又は規定による禁止に違反し、又は違反するおそれがある場合であって、輸入等により供給した食品等を回収するときは、回収に着手した旨及び回収の状況を都道府県知事に届け出なければならない(第一項)。
- 都道府県知事等は、当該情報を厚生労働大臣又は内閣総理大臣に報告しなければならない(第二項)。
第一項各号が掲げる本法の規定の条番号を下の表で示します。
| 規定の違反が問題になる場合(第一号) | 規定による禁止の違反が問題になる場合(第二号) |
|---|---|
| 第六条 第十条 第十一条 第十二条 第十三条第二項若しくは第三項 第十六条 第十八条第二項若しくは第三項、又は 第二十条 | 第九条第一項、又は 第十七条第一項 |
本条において、「都道府県知事」は、保健所を設置する市又は特別区では「市長」又は「区長」とされます(法第七十六条)。
■法第五十九条(違反食品等の廃棄その他必要な処置の命令)
- 厚生労働大臣又は都道府県知事は、営業者が下表に掲げる本法の規定又は規定による禁止に違反した場合には、その食品等の廃棄その他の必要な処置をとることを命ずることができる(第一項)。
- 内閣総理大臣又は都道府県知事は、営業者が第二十条の規定に違反した場合には、その食品等の廃棄、虚偽誇大広告・表示の是正その他必要な処置をとることを命ずることができる(第二項)。
第一項各号が掲げる本法の規定の条番号を下の表で示します。
| 規定の違反が問題になる場合 | 規定による禁止の違反が問題になる場合 |
|---|---|
| 第六条 第十条 第十一条 第十二条 第十三条第二項若しくは第三項 第十六条、又は 第十八条第二項若しくは第三項 | 第九条第一項、又は 第十七条第一項 |
本条において、「都道府県知事」は、保健所を設置する市又は特別区では「市長」又は「区長」とされます(法第七十六条)。
■法第六十条(許可の取り消し・営業の禁停止)
- 厚生労働大臣は、食品等の輸入業者が下表に掲げる本法の以下の規定に違反した場合又は禁止に違反した場合において、営業の全部若しくは一部を禁止し、又は一定期間にわたって停止することができる(第二項)。
| 規定の違反が問題になる場合 | 規定による禁止の違反が問題になる場合 |
|---|---|
| 第六条 第八条第一項 第十条 第十一条 第十二条 第十三条第二項若しくは第三項 第十六条 第十八条第二項若しくは第三項、又は 第二十条 | 第七条第一項から第三項まで 第九条第一項、又は 第十七条第一項 |
本条において、「都道府県知事」は、保健所を設置する市又は特別区では「市長」又は「区長」とされます(法第七十六条)。
罰則
食品衛生法には、食品衛生法の各規程に違反した場合の罰則が定められています。ここでは、それらの罰則のうち、食品等の輸出入に関係する規定に違反した場合の罰則を紹介します。
| 違反内容 | 条項 | 罰則 (違反者) | 罰則 (法人*) |
|---|---|---|---|
| 第六条(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)、第十条第一項又は第十二条(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した | 第八十一条第一項第一号 | 3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金** | 法人:1億円以下の罰金 人:300万円以下の罰金 |
| 第七条第一項から第三項までの規定による禁止に違反した | 第八十一条第一項第二号 | 3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金** | 法人:1億円以下の罰金 人:300万円以下の罰金 |
| 第五十九条第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による厚生労働大臣若しくは都道府県知事(第七十六条の規定により読み替えられる場合は、市長又は区長。以下同じ)の命令若しくは第五十九条第二項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による内閣総理大臣若しくは都道府県知事の命令に従わない営業者又は第六十条(第六十八条第一項おいて準用する場合を含む。)の規定による処分に違反して営業を行つた者 | 第八十一条第一項第三号 | 3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金** | 法人:1億円以下の罰金 人:300万円以下の罰金 |
| 第十三条第二項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)若しくは第三項、第十九条第二項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)又は第二十条(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した | 第八十二条 | 2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金** | 法人:1億万円以下の罰金 人:200万円以下の罰金 |
| 第十六条(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した | 第八十二条 | 2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金** | 法人:200万円以下の罰金 人:200万円以下の罰金 |
| 第十条第二項、第十一条、第十八条第二項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)若しくは第三項、第二十五条第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)、又は第二十六条第四項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した | 第八十三条第一号 | 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 | 法人:100万円以下の罰金 人:100万円以下の罰金 |
| 第九条第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)又は第十七条第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による禁止に違反した | 第八十三条第二号 | 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 | 法人:100万円以下の罰金 人:100万円以下の罰金 |
| 第二十八条第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による当該職員の臨検検査又は収去を拒み、妨げ、又は忌避した | 第八十五条第一号 | 50万円以下の罰金 | 法人:50万円以下の罰金 人:50万円以下の罰金 |
| 第二十八条第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした | 第八十五条第二号 | 50万円以下の罰金 | 法人:50万円以下の罰金 人:50万円以下の罰金 |
| 第二十七条(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)又は第五十八条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者 | 第八十五条第三号 | 50万円以下の罰金 | 法人:50万円以下の罰金 人:50万円以下の罰金 |
** 情状により拘禁刑と罰金が併科される場合あり
ここまで、食品等の輸入事業に直接的に関係のあると考えられる食品衛生法の条項を説明しました。これらの条項以外にも、食品等の輸入事業に間接的に関係する条項が存在します。特に食品衛生法第五条、第十四条、第二十一条~第二十二条、第二十四条、第二十九条~第四十七条、第四十八条~第五十二条、及び第五十四条~第五十七条を確認することをおすすめします。
まとめ
食品等の輸入に関しては、最終的な責任は輸入者自身にあります。輸入届出や検査などの基本的な手続きを確実に行い、原材料や製造工程の安全性を証明できるよう準備しておくことが重要です。
食品等を輸入する中小事業者にとっては、まず一般食品の輸入から始め、計画輸入制度などを活用しながら効率的に対応するのが現実的です。厚生労働省や検疫所への事前相談を欠かさず、最新の監視指導情報を確認することで、リスクを最小限に抑えることができます。
輸入事業者向けのチェックリストを提示することでこの記事を終えたいと思います。
- 輸入届出
- 厚生労働省検疫所へ輸入届出書を提出したか(法第27条)
- 自家消費・研究用など届出不要ケースに該当しないか確認したか
- 検査確認
- 必要な検査(モニタリング検査/検査命令/指導検査/行政検査)の対象か確認したか
- 検査結果が出るまで販売・営業使用をしていないか
- 記録の保存
- 原材料や販売先の記録を作成・保存しているか(法第3条)
- 必要に応じて国や自治体へ記録を提供できる体制があるか
- 禁止規定の確認
- 腐敗・有害物質・病原微生物などに該当しないか(法第6条)
- 新規食材や特殊成分を含む食品又は新規加工法による食品ではないか(法第7条・第8条)
- 関連法令の確認
- 植物防疫法・家畜伝染病予防法など、他法令の検査申請が必要か確認したか
- 消費者庁や厚労省の最新基準・規格を参照したか
- 事前相談
- 検疫所や関係省庁に事前相談を行ったか
- 必要書類(衛生証明書・試験成績書など)を準備したか
違反事例は厚生労働省の公式ページで確認できます。違反食品を輸入しないための事前調査にご活用ください。
また、輸入した食品をそのまま販売したり、さらに小分けしたり加工したりする事業を実施するときは許可や届出が必要になります。食品事業の許可や届出については、本ブログの別記事「食品事業を始めるときに必要な役所への手続き」もご参照ください。
