医療現場において、画像診断は病気の早期発見や治療方針の決定に欠かせません。その中で重要な役割を担っているのが診療放射線技師であり、専門的な知識と技術、そして法律に基づく適切な業務遂行が求められます。
本記事では、診療放射線技師法の基本から、資格取得・免許登録の流れ、業務範囲までをわかりやすく整理しました。これから技師を目指す方にも、制度を確認したい現役の方にも役立つ内容を目指しています。
第一部:総則
■目的(法第1条)
内容:本法律は、診療放射線技師の資格を定め、その業務が適正に運用されるように規律し、それにより医療及び公衆衛生の普及・向上に寄与することを目的とする。
■定義(法第2条)
◇放射線(第1項)
定義:次に掲げる電磁波又は粒子線をいう。
- アルファ線及びベータ線
- ガンマ線
- 100万電子ボルト以上のエネルギーを有する電子線
- エックス線
- その他政令で定める電磁波又は粒子線
- 5-1. 陽子線及び重イオン線
- 5-2. 中性子線
◇診療放射線技師(第2項)
定義:厚生労働大臣の免許を受けて、医師又は歯科医師の指示の下に、放射線の人体に対する照射(撮影を含み、照射機器を人体内に挿入して行うものを除く。)をすることを業とする者
第二部:免許関係
■免許(法第3条)
内容:診療放射線技師になろうとする者は、診療放射線技師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない。
■欠格事由(法第4条)
内容:下記の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えない場合がある。
- 心身の障害により診療放射線技師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
- 診療放射線技師の業務に関して犯罪又は不正の行為があつた者
■法第4条第1号の厚生労働省令で定める者(施行規則第1条)
内容:視覚・精神の機能の障害により臨床検査技師の業務を適正に行うにために必要な認知・判断・意思疎通を適切に行うことができない者
■障害を補う手段等の考慮義務(施行規則第1条の2)
義務者:厚生労働大臣
義務の場面:診療放射線技師の免許の申請をした者が施行規則第1条に規定する者に該当すると認める場合
義務の内容:免許付与の可否判断に際し、申請者が現に利用している障害を補う手段又は現に受けている治療等により障害が補われ、又は障害の程度が軽減している状況を考慮する。
■登録(法第5条)
内容:免許は、試験に合格した者の申請により、診療放射線技師籍に登録することによって行う。
■法第4条第1号の適用時の意見の聴取(法第6条)
権限者:厚生労働大臣
権限行使の場面:免許を申請した者が第4条第1号に掲げる者に該当すると認め、同条の規定により免許を与えないこととするとき
権限の内容:厚生労働大臣は、あらかじめ、当該申請者にその旨を通知し、その求めに応じて職員にその意見を聴取させなければならない。
■診療放射線技師籍(法第7条)
内容:厚生労働省に診療放射線技師籍を備え、診療放射線技師の免許に関する事項を登録する。
■免許証(法第8条)
◇免許証の交付(第1項)
交付者:厚生労働大臣
内容:免許を与えたときは、診療放射線技師免許証を交付する。
◇免許証の再交付(第2項)
交付者:厚生労働大臣
内容:免許証を失い、又は破損した者に対し、その申請により免許証の再交付をすることができる。
◇免許証の返納義務(第3項)
義務者:免許証の再交付を受けた者
返納の場面:第2項の規定により免許証の再交付を受けた後、失った免許証を発見したとき
義務の内容:免許証の再交付を受けた者は、旧免許証を厚生労働大臣に返納しなければならない。
返納期限:発見から10日以内
■免許の取消し及び業務の停止(法第9条)
◇免許取消・業務停止の命令(第1項)
命令の場面:診療放射線技師が第4条各号のいずれかに該当するに至ったとき
内容:厚生労働大臣は、免許を取り消し、又は期間を定めて業務の停止を命ずることができる。
◇厚生労働大臣への具申義務(第2項)
義務者:都道府県知事
具申の場面:診療放射線技師について第1項の処分が行われる必要があると認めるとき
義務の内容:処分の必要性を厚生労働大臣に具申しなければならない。
◇再免許(第3項)
内容:第1項の規定による免許の取消処分を受けた者であっても、その後の事情により再免許が与えられる場合がある。
■聴聞等の方法の特例(法第10条)
内容:第9条第1項の規定による処分に係る行政手続法第15条第1項又は第30条の通知は、聴聞の期日又は弁明を記載した書面の提出期限の2週間前までにしなければならない。
例外:口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、通知期限は弁明の日時の2週間前までにしなければならない。
■免許証の返納(法第11条)
内容:免許を取り消された者は、10日以内に、免許証を厚生労働大臣に返納しなければならない。
診療放射線技師籍への登録・診療放射線技師免許証に関する事務規定
■免許の申請(施行令第1条の2)
内容:申請書に厚生労働省令で定める書類を添え、住所地の都道府県知事を経由して、これを厚生労働大臣に提出しなければならない。
■籍の登録事項(施行令第1条の3)
- 登録番号及び登録年月日
- 本籍地都道府県名(日本の国籍を有しない者については、その国籍)、氏名、生年月日及び性別
- 診療放射線技師国家試験合格の年月
- 免許の取消し又は業務の停止の処分に関する事項
- 前各号に掲げるもののほか、厚生労働大臣の定める事項
- 5-1. 再免許の場合には、その旨
- 5-2. 免許証を書換え交付し又は再交付した場合には、その旨並びにその理由及び年月日
- 5-3. 登録の消除をした場合には、その旨並びにその理由及び年月日
■登録事項の変更(施行令第1条の4)
◇登録内容の訂正義務(第1項)
義務者:診療放射線技師
内容:第1条の3第2号の登録事項に変更を生じたときは、30日以内に、診療放射線技師籍の訂正を申請する。
◇訂正の申請方法(第2項)
内容:第1項の申請をするときは、申請書に申請の原因たる事実を証する書類を添え、住所地の都道府県知事を経由して、厚生労働大臣に提出しなければならない。
■登録の消除(施行令第2条)
◇診療放射線技師籍の登録の消除申請(第1項)
内容:診療放射線技師籍の登録の消除を申請するには、住所地の都道府県知事を経由して、免許証を添えて申請書を厚生労働大臣に提出しなければならない。
◇死亡・失踪時の登録抹消義務(第2項)
義務者:死亡・失踪の届出義務者
内容:診療放射線技師が死亡し、又は失踪の宣告を受けたときは、診療放射線技師籍の登録の消除を申請しなければならない。
申請期間:臨床検査技師の死亡・失踪から30日以内
■免許証の書換交付(施行令第3条)
◇書換交付申請(第1項)
内容:診療放射線技師は、免許証の記載事項に変更が生じたときは、免許証の書換交付を申請することができる。
◇申請方法(第2項)
内容:診療放射線技師は、書換交付を申請するときは、申請書に免許証を添え、住所地の都道府県知事を介して厚生労働大臣に提出する。
■免許証の再交付(施行令第4条)
◇再交付申請(第1項)
内容:免許証の再交付を受けようとする者は、住所地の都道府県知事を経由して、申請書を厚生労働大臣に提出しなければならない。
◇手数料の納付(第2項)
内容:第1項の申請をする場合には、厚生労働大臣の定める額の手数料を納めなければならない。
◇棄損の場合の再交付申請(第3項)
内容:免許証を破り、又は汚した診療放射線技師が第1項の申請をする場合には、申請書にその免許証を添えなければならない。
■政令への委任(法第16条)
内容:診療放射線技師法第2章に規定するもののほか、免許の申請、免許証の交付、書換え交付、再交付及び返納並びに診療放射線技師籍の登録、訂正及び消除に関して必要な事項は、政令で定める。
第三部:業務
■禁止行為(法第24条)
内容:何人も、第2条第2項に規定する業をしてはならない。
例外:
- 医師
- 歯科医師
- 診療放射線技師
■画像診断装置を用いた検査等の業務(法第24条の2)
内容:診療放射線技師は、第2条第2項に規定する業務のほか、保健師助産師看護師法第31条第1項及び第32条の規定にかかわらず、診療の補助として、次に掲げる行為を行うことを業とすることができる。
- 磁気共鳴画像診断装置、超音波診断装置その他の画像による診断を行うための装置であって政令で定めるものを用いた検査(医師又は歯科医師の指示の下に行うものに限る。)を行うこと。
- 第2条第2項に規定する業務又は前号に規定する検査に関連する行為として厚生労働省令で定めるもの(医師又は歯科医師の具体的な指示を受けて行うものに限る。)を行うこと。
■画像診断装置(施行令第17条)
内容:法第24条の2第1号の政令で定める装置は、次に掲げる装置である。
- 磁気共鳴画像診断装置
- 超音波診断装置
- 眼底写真撮影装置(散瞳薬を投与した者の眼底を撮影するためのものを除く。)
- 核医学診断装置
■法第24条の2第2号の厚生労働省令で定める行為(施行規則第15条の2)
内容:法第24条の2第2号の厚生労働省令で定める行為は、次に掲げるものである。
- 静脈路に造影剤注入装置を接続する行為、造影剤を投与するために当該造影剤注入装置を操作する行為並びに当該造影剤の投与が終了した後に抜針及び止血を行う行為
- 動脈路に造影剤注入装置を接続する行為(動脈路確保のためのものを除く。)及び造影剤を投与するために当該造影剤注入装置を操作する行為
- 核医学検査のために静脈路に放射性医薬品を投与するための装置を接続する行為、当該放射性医薬品を投与するために当該装置を操作する行為並びに当該放射性医薬品の投与が終了した後に抜針及び止血を行う行為
- 下部消化管検査のために肛門にカテーテルを挿入する行為、当該カテーテルから造影剤及び空気を注入する行為並びに当該カテーテルから造影剤及び空気を吸引する行為
- 画像誘導放射線治療のために肛門にカテーテルを挿入する行為及び当該カテーテルから空気を吸引する行為
- 上部消化管検査のために鼻腔に挿入されたカテーテルから造影剤を注入する行為及び当該造影剤の注入が終了した後に当該カテーテルを抜去する行為
■名称の禁止(法第25条)
内容:診療放射線技師でなければ、診療放射線技師という名称又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。
■業務上の制限(法第26条)
◇医師・歯科医師の指示の必要性(第1項)
内容:診療放射線技師は、医師・歯科医師の具体的な指示を受けなければ、放射線の人体に対する照射をしてはならない。
◇場所の制限(第2項)
内容:診療放射線技師は、下記に掲げる場合を除き、病院・診療所以外の場所においてその業務を行ってはならない。
- 医師・歯科医師が診察した患者について、その医師・歯科医師の指示を受け、出張して100万電子ボルト未満のエネルギーを有するエックス線を照射するとき。
- 多数の者の健康診断を一時に行う場合において、胸部エックス線検査(コンピュータ断層撮影装置を用いた検査を除く。)その他の厚生労働省令で定める検査のため100万電子ボルト未満のエネルギーを有するエックス線を照射するとき。
- 多数の者の健康診断を一時に行う場合において、医師・歯科医師の立会いの下に100万電子ボルト未満のエネルギーを有するエックス線を照射するとき(第2号に掲げる場合を除く。)。
- 医師・歯科医師が診察した患者について、その医師又は歯科医師の指示を受け、出張して超音波診断装置その他の画像による診断を行うための装置であって厚生労働省令で定めるものを用いた検査を行うとき。
■法第26条第2項第2号の厚生労働省令で定める検査(施行規則第15条の3)
内容:法第26条第2項第2号の厚生労働省令で定める検査は、下記の検査である。
- 胸部エックス線検査(コンピュータ断層撮影装置を用いたものを除く。)
- マンモグラフィー検査
■法第26条第2項第4号の厚生労働省令で定める装置(施行規則第15条の4)
内容:法第26条第2項第4号の厚生労働省令で定める装置は、超音波診断装置である。
■他の医療関係者との連携(法第27条)
内容:診療放射線技師は、その業務を行うに当たっては、医師その他の医療関係者との緊密な連携を図り、適正な医療の確保に努めなければならない。
■照射録(法第28条)
◇照射録の作成(第1項)
内容:診療放射線技師は、放射線の人体に対する照射をしたときは、遅滞なく厚生労働省令で定める事項を記載した照射録を作成し、その照射について指示をした医師又は歯科医師の署名を受けなければならない。
◇照射録の検査(第2項)
権限者:厚生労働大臣・都道府県知事
権限の内容:必要があると認めるときは、第1項の照射録を提出させ、又は当該職員に照射録を検査させることができる。
◇検査従事職員の証票(第3項)
省略
■照射録(施行規則第16条)
内容:法第28条第1項に規定する厚生労働省令で定める事項は、下記のとおりである。
- 照射を受けた者の氏名、性別及び年齢
- 照射の年月日
- 照射の方法(具体的にかつ精細に記載すること。)
- 指示を受けた医師又は歯科医師の氏名及びその指示の内容
■秘密を守る義務(法第29条)
内容:診療放射線技師は、診療放射線技師である間も診療放射線技師ではなくなった後も、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。
第四部:罰則
| 違反内容 | 条項 | 罰則 |
|---|---|---|
| 第24条の規定に違反した | 第31条第1号 | 1年以下の拘禁刑若しくは50万円以下の罰金、又はこれを併科 |
| 虚偽又は不正の事実に基づいて免許を受けた | 第31条第2号 | 1年以下の拘禁刑若しくは50万円以下の罰金、又はこれを併科 |
| 第9条第1項の規定により業務の停止を命ぜられ、停止期間中に業務を行った | 第33条 | 6月以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金、又はこれを併科 |
| 第26条第1項又は第2項の規定に違反した | 第34条 | 6月以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金、又はこれを併科 |
| 第29条の規定に違反して、業務上知り得た人の秘密を漏らした | 第35条 | 50万円以下の罰金 |
| 第25条の規定に違反した | 第36条 | 30万円以下の罰金 |
| 第11条の規定に違反した | 第37条第1号 | 20万円以下の罰金 |
| 第28条第1項の規定に違反した | 第37条第2号 | 20万円以下の罰金 |
終わりに
医療現場での画像診断技術は、レントゲン撮影に始まり、CT、磁気共鳴画像(MRI)、超音波検査、核医学検査へと大きく発展してきました。これに伴い、診療放射線技師法も放射線照射だけでなく、MRIや超音波検査といった幅広い画像診断技術に対応する形へと整備されています。
こうした技術の進歩により、診療放射線技師が担う責務はますます重要性を増し、医療の質と安全を支える存在として欠かせないものになっています。
本記事が、診療放射線技師を目指す方々にとって、学習や将来像を描く助けとなれば、これほど嬉しいことはありません。
