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身寄りのない高齢者支援事業者が守るべき指針

終活・相続

高齢者支援事業

 高齢者支援事業には三つの側面があります。一つ目は日常生活支援サービス、二つ目は死後事務受託サービス、そして三つ目が身元保証サービスです。死後事務受託サービスとは、利用者の死後に利用した医療の支払い、葬儀の執り行い、遺産の処分、及び遺品整理等を行ってくれるようにサービス利用者が業者に委託し、業者がそれを受託して契約した全ての事務を執行するサービスです。死後事務受託サービスに行政書士、司法書士、又は弁護士が関与している場合もあります。

現行の身元保証事業の問題とされる点

 4月19日に発表された「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン(案)」は、特に現行の身元保証サービスに問題があるとしてまとめらたかのような報道があります。身元保証サービスは近年になって誕生したサービスであり、これを規制管理するような法律は未だありませんし、身元保証サービスの監督官庁も決まっていません。そのため、提供されるサービスの内容が事業者ごとに異なり、そのために事業者と利用者との間でいろいろなトラブルが起きていると報告されています。

身元保証事業者の事業内容の例

 下のPDFファイルの内容は、総務省が身元保証事業者に対して行った聞き取り調査の結果を示しています。この報告によると身元保証事業者は身元保証サービスだけでなく、死後事務受託サービスを抱き合わせで提供しているようです。報告書に挙げられている代表的なサービス内容を以下に紹介します。

  • 身元保証等サービス
    • 医療施設や介護施設への入所時の保証
  • 死後事務サービス
    • 契約者の死後の関係者への連絡
    • 火葬手続に関する手続代行
    • 納骨とそれに関わる手続代行
    • 残置物(遺品)の処理に関する手続代行
  • 日常生活支援サービス
    • 通院への付添い
    • 買物への同行
    • 生活費の管理
    • 印鑑及び重要証書・書類の保管

身元保証事業者が提供するサービス内容の詳細については、以下のPDFファイルをダウンロードしてご覧になることもできます。

(出典)身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査結果報告書(令和5年8月総務省行政評価局)から一部改変

 身元保証事業者は、以上のようなサービスを提供しています。現時点において、特に身寄りがない方の死後事務受託に関し、利用者の死後のその遺産の取扱い、及び契約した事務の執行に関して不満が見られるとされています。

身元保証サービスを賢く利用する

 全ての身元保証事業者が上に挙げたサービスの全てを提供しているわけではないのでしょうが、サービスの内容を見てみると介護事業者、後見人、及び社会保険労務士の業務と重なっているサービスがあることが分かります。既に介護事業者、後見人、又は社会保険労務士から支援を受けている場合、身元保証事業者のサービスを利用開始するに際して不要なサービスは利用しませんという意思表示をすることが無駄な出費の抑制につながるでしょう。

身元保証サービス利用に起こりがちな悩みとトラブル

 身元保証サービスは、単に高齢者サポートサービスという名称で提供されている場合もあります。この記事では身元保証サービスで統一します。この節では厚生労働省が身元保証サービス利用に起こりがちな悩みとトラブルとして挙げていることを紹介します。サービスの利用開始前から利用終了後までの四期に分けてそれぞれの期間に生じた悩み・トラブルを挙げます。

第一期:事業者・サービス内容の検討
・身元保証サービスについてどこで相談したらよいかわからない

第二期:契約手続き
・サービスの内容が具体的にイメージできず、料金が妥当であるのか分からず、迷う
・経済状況の申告、遺言書の作成等、サービス利用にかかる手続に納得いかない

第三期:サービス利用中
・自分が思っていたサービスではないと不満を感じる
・サービス利用中に家族や第三者(地域包括支援センター、金融機関等)からサービスの内容等について聞かれても説明できず、不安になる

第四期:サービス利用契約の終了・解約
・サービス中止にかかる手続きがわからない/返金額に納得いかない
・死亡により契約が満了して初めて家族がサービスの契約内容を知り、びっくりする

身元保証事業者のチェックリスト

 政府が4月19日に発表した「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン(案)」の中において、高齢者支援事業の運営に関する30項目のチェック項目案が事業者と利用者の双方の利便に供するために発表されました。以下にその表を添付しています。ダウンロードしてご覧になることもできます。

 以上、4月19日に発表された「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン(案)」をもとに、身元保証事業(高齢者支援事業)の現状、及びこのサービスを賢く利用するためのチェックポイントについて説明しました。

高齢者等終身サポート事業者の現状と将来

 高齢者等終身サポート事業者の事業内容は、身元保証等サービス、死後事務委任サービス、及び日常生活支援サービスから構成されると説明しました。これらのサービスのうち、身元保証等サービスは既存の後見制度と、死後事務委任サービスは既存の死後事務委任契約と内容が被っています。日常生活支援サービスは、介護保険の生活支援サービスと被っています。既存の制度は、制度利用の手続きが煩雑であったり、そのサービスが必要な状態にまで契約者の身体が変化しないとサービスが開始されなかったりという側面を有します。そのため、比較的にお金があったり、健康であったりする高齢者は、既存制度の恩恵を感じにくいかもしれません。高齢者等終身サポート事業は、そのような既存制度の隙間に入り込んでしまった高齢者の不安感を軽減するものとして捉えられてきたのかもしれません。

 高齢者等終身サポート事業が、将来どのように変容していくのかはわかりません。有益で利用しやすいものに変わってくれることを願います。

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