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(終活マガジン第14号)生前整理のポイント

終活・相続

 前号の記事において死後事務を説明しました。たくさんの手続きがあって大変そうに見えますね。しかしながら、生きている間に身の回りの物事を整理することで死後事務を軽いものにすることができます。人は生きているうちに色々なものを貯めこんでしまいます。筆者は、生前整理とは、長い人生の最期の時期を前に、貯めこんだものを一旦整理して身軽になることであり、残りの人生を気分よく過ごすための手段でもあると考えます。

生前整理の利点

 親が貯めこんだ思い出の物品を子が遺品整理の時に受け継いでも、子にはそれが価値ある物なのかそうでないのかわかりません。両親のうちの一方が亡くなった後に子がその遺品を無造作に整理してしまったら、残された方の親の心は傷つくかもしれません。親がその親(子の祖父母)から受け継いだ物がある場合、子がその物を捨ててしまったら子のおじやおばから小言を言われることだってあり得ます。生前整理をして形見にする物品、利用している/これからも利用が見込まれる物品、リサイクル・リユースに出す物品、及び廃棄する物品に仕分ければ、遺品整理も楽になるでしょう。

 生前整理は、少しずつ、時間をかけて行うことができます。それに対して遺品整理は、遺された家族は日々の生活に追われていることが多いため、どうしても遺品整理に割く時間がありません。そうなると、業者に頼んで廃品として引き取ってもらうことになるので費用が掛かってしまいます(家1軒分で30~50万円と言われています)。生前整理で少しずつ要らない物を一般のゴミとして廃棄することで思わぬ出費を避けることができます。子は親の遺品の整理のために時間を費やすこともなくなります。

 いずれにしても、親が生前に整理をしていてくれることは子にっとってありがたいことです。

 生前整理は、子のために行うものというものでもありません。自分のためにもなります。年老いて体の自由が利かなくなってくると歩行器などの補助用具を室内でも使う可能性があります。その為に家のリフォームが必要になる場合があります。必要な物と不要な物を分け、不要な物を処分してリフォームに必要なスペースを作ることは自分のためになることの一例です。

 独居していた親がいよいよ足腰を弱らせて子に引き取られて同居する、又は施設に入所するということになった場合、必要な物だけが手元に残されていれば引っ越しが簡単になります。これも生前整理が自分のためになることの一例です。

どのように整理するか

 ある会社が調査したところによると、子が親に整理して欲しいと願っている物品は、衣服、靴、日用雑貨、及び食器類だそうです。日用雑貨と食器類は子も使えそうですが、衣服や靴は流行があったり、サイズが合わなかったりで子が受け継いで使用するということもあまりないでしょう。これらを使用している人が少しずつ処分していけばよいと思います。

 衣服、靴、日用雑貨、及び食器類に限らず、貯めこんだ物を日常的に使用する物と全く使用していない又は使用する機会が少ない物に分けます。全く使用していない又は使用する機会が少ない物を残す物、処分する物、及び後で決める物に分け、処分することにした物を処分します。残すことにした物と後で決めることにした物は、しばらく時間がたった後で再び残す物、処分する物、及び後で決める物に分け、処分することにした物を処分します。このサイクルを繰り返すことで本当に必要な物だけが残るようにします。

 大事なことは、一回の整理で残す物と処分する物に分ける必要はないということです。生活を送るとまた物が増えてきます。そうして貯まった物を定期的に分類して処分する作業を習慣化することが大事です。

「もったいない」の考え方を変える

 まだ使える物を処分してしまうことについて「もったいない」と考えることは仕方がありません。ですが、「もったいない」と考えてクローゼットや棚の奥に仕舞い込んでいたら整理は進みません。「もったいない」と思ったら仕舞うのではなく、誰かに使ってもらうように考え方を変えてみましょう。

写真やアルバム、ビデオテープ

 家族の思い出を記録した写真やビデオテープは、なかなか気づかない、子が残されて一番困る物ではないでしょうか。いっそのことビデオテープは全て廃棄し、子と一緒に写真を見て気に入った写真のみを残し、その他の写真とアルバムは全て廃棄予定にしてまとめておいてよいのではないでしょうか。

整理で気をつけたいこと

 生前整理で不要な物を処分してスペースを作ることが自分の為になると上で書きましたが、それは、リフォームのためにスペースを作るものです。リフォームの予定がないのならスカスカに見えるほどスペースを作ることは老後の生活に悪影響を与えることもあります。脳が老化すると色々な症状が現れますが、物を貯めこんでしまうのもその症状の一つです。生前整理をしてスカスカの空間ができると寂しく感じられて余計な買い物をして物を貯めこんでしまうことが起こり得ます。そうならないように、整理して残った物は目に見えるところに配置してみてはどうでしょうか。

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