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(終活マガジン第11号)終活における信託の活用

終活・相続

 「信託」と聞くと投資信託を真っ先に思い浮かべる方が多いと思います。その次に思い浮かぶ言葉は「信託銀行」でしょうか。今号の記事は、投資信託で老後資金を作りましょうという話ではなく、「信託」によって資産を護り、本人のために運用することができますという話です。

 高齢者の判断能力が著しく低下すると銀行がその高齢者の銀行口座を凍結し、その結果としてその高齢者の銀行口座からお金を引き出せなくなってしまう場合があります。銀行口座が凍結されるだけではありません。所有している自動車や不動産を売却することもできなくなります。この措置は高齢者の財産がその高齢者の意思に反して処分されることを防ぐためのものですが、自分の財産を介護費用に充てることを考えていた高齢者にとってはこの措置はありがた迷惑なものになってしまいます。

 後見制度は、上記のような事態に対処するために後見人を選任して被後見人(この場合、判断能力が著しく低下した高齢者)のために財産管理と身上監護を行います。しかしながら、その高齢者が事業を経営していたら困ったことになります。後見人に就任した弁護士や司法書士に自分の事業を任せようと思いますか?

 信託は、信託契約に基づいて委託者が受託者を信じて(信託行為によって)自分の財産(信託財産)を受託者に移転し、受託者が託された財産の管理運用(信託目的)を執行する制度です。近年、信託が終活の一手段として注目を集めてきています。事業者が専ら利殖の為に託された資金を運用してその運用益を契約者に分配する形式の信託を商事信託といいます(投資信託等)。これに対し、信託契約で定めた事務の執行を目的とする形式の信託を民事信託といいます。この記事では高齢者の財産管理のために利用されることがある民事信託について解説を行います。

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