香港への移住を予定している方の中には、愛犬や愛猫と一緒に渡航したいと考える方も多いでしょう。この記事では、ペットの犬猫を日本から香港へ空輸するために必要な準備と手続きについて、香港漁農自然護理署(AFCD: Agriculture, Fishery and Conservation Department)の公式情報をもとに詳しく解説します。
日本を出国するまでの手続きについては、本ブログの別記事「ペットと一緒に海外移住したいときの準備と手続き」をご覧ください。
香港入境に必要な条件と書類
渡航方法と基本ルール
- ペットは、貨物便での空輸のみ認められています。
ペットの条件
- 生後60日以上である
- 妊娠4週間目以降ではない
- ISO11784/11785規格のマイクロチップ装着
- マイクロチップ装着後の予防接種(香港入境365日前~14日前の間に実施)
必要な予防接種
イヌの場合
- 狂犬病
- 犬ジステンパー
- 犬伝染性肝炎
- 犬パルボウイルス感染症
ネコの場合
- 猫パルボウイルス感染症
- 猫伝染性呼吸器症候群
禁止されている犬猫種
- 犬種
- ピットブルテリア系
- 土佐犬
- ドゴ・アルヘンティーノ
- ブラジリアン・ガードドッグ
- 上記の犬種の交配種
- 猫種
- ベンガルヤマネコとイエネコの交配種(雑種1代~4代まで)
必要書類
- 動物衛生証明書(Form VC-DC1)
- 居住証明書
- 予防接種証明書(ペットの動物種ごとに必要なすべての予防接種の証明書)
- キャプテン宣誓書(航空会社発行)
香港渡航前14日以内に日本の動物検疫所で輸出検査を受け、動物衛生証明書を完成させます。
居住証明は、香港へ持ち込むペットが、渡航前180日間にわたって又は出生以来ずっと輸出国に在住していたことの証明です。
キャプテン宣誓書には、「航空公司証明書(機長宣章)」という書式が利用可能です。
香港入境までのステップ
(ステップ1)輸入許可の取得
まず、香港漁農自然護理署ライセンシングオフィスへ必要書類を郵送して輸入許可証を取得します。
- 必要書類:
- Form AF240
- Form UN110
- パスポートのコピー
- 返信用の封筒
- 提出先:香港漁農自然護理署ライセンシングオフィス
- 手続費用:432香港ドル(追加1匹につき102香港ドル)
- 所要時間:3営業日(書類の到着時点より)
※Form AF240およびForm UN110は、香港漁農自然護理署のホームページからダウンロード可能です。
※輸入許可は発行日から6か月間にわたって有効です。
(ステップ2)ワクチン接種
- 必要な予防接種を済ませる(未接種の場合)
(ステップ3)動物衛生証明書等の作成
- 香港への渡航前14日以内に動物検疫所において動物衛生証明書を取得
- 居住証明・キャプテン宣誓書も準備
(ステップ4)輸出手続き
- 香港到着24時間前までに香港税関へ通知(ペット輸送業者が実施)
- ステップ1で取得した輸入許可証のうちの1部をペットの飛行機への搭乗のために提出します
(ステップ5)ペットの受け取り
- ペットは香港到着後に貨物ターミナルで係留
- 貨物ターミナルのカスタマーカウンターで輸入許可証、航空貨物運送状番号および身分証明書を提示し、搬出許可書(Shipment Release Form)を受領
- 貨物受け取りカウンターで搬出許可書を提出してペットを受け取る
(ステップ6)犬の登録
- 5か月齢以上の犬はドッグライセンスが必要
- マイクロチップ装着と狂犬病予防接種が条件
詳細については、ペット輸送を依頼した輸送会社にお尋ねください。
日本への帰国手続き
ペットと一緒に香港から日本に帰国するための日本側の検疫の手続きについては、こちらの記事をご参照ください。
まず、日本に帰国するために必要な狂犬病予防接種の証明書と狂犬病抗体検査の結果通知書を用意します。日本帰国便搭乗前10日以内に登録民間獣医師による輸出前検査を受け、動物衛生証明書を作成してもらいます。
以下の書類を香港漁農自然護理署のサーティフィケーションデスクへ持参し、動物衛生証明書に獣医官の署名と公印を得て「輸出国政府機関発行の証明書」を取得します。
- Form AF300-HCA
- 動物衛生証明書
- 狂犬病予防接種証明書
- 狂犬病抗体検査結果通知書
- 香港のドッグライセンス(犬の場合のみ)
- 日本の動物検疫所発行の届出受理書
- 香港渡航時に日本の動物検疫所が発行した輸出検疫証明書
- 手続費用:155香港ドル
- 所要時間:1営業日
ペットとの海外移住は、事前準備が鍵です。ペットの輸送業務に携わる業者から詳しい説明を受けて、香港渡航に向けた準備をしましょう。


