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動物の輸出入

ビジネス
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外来生物法

 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)は、特定外来生物による生態系、人の生命・身体、農林水産業への被害を防止することを目的としており、そのために、問題を引き起こす海外起源の外来生物を特定外来生物として指定し、その飼養、栽培、保管、運搬、輸入といった取扱いを規制し、特定外来生物の防除等を行うこととしています。

 そのため、日本に動物を輸入するに当たっては、その動物が外来生物法で規制される動物種ではないか確認する必要があります。例えば、海外からアライグマを日本に持ち込む場合には動物検疫所に対して輸入検査の申請を行いますが、アライグマは特定外来生物に指定されているため動物検疫所への輸入検査申請とは別に環境大臣の許可を取得しなければなりません。

特定外来生物の飼養

 原則として特定外来生物のペットとしての飼養は禁止されています。これは、例えばそのアライグマが日本で繁殖した個体であっても同様に規制されています。例外は二つあります。

① 特定外来生物指定前からペット・観賞目的で特定外来生物を飼養等している場合
 この場合はその指定から6か月以内に申請を提出し、許可を得られれば、その個体を飼養等し続けることができます。
② 学術研究、展示、教育、生業の維持等の目的で特定外来生物の飼養等を行う場合
 この場合には環境大臣の許可を得ることで特定外来生物の飼養等をすることが可能です。

 特定外来生物の飼養等の許可を得るためには、飼養等の用に供する施設が施設基準を満たしていなければならず、その施設基準は生物の種類ごとに規定されています。

外来生物法の対象生物の分類

 外来生物法に基づく規制の対象となる生物は、「特定外来生物」、「未判定外来生物」、及び「種類名証明書の添付が必要な生物」に分類されており、それぞれに決めれた手続を経ることでその生物の飼養等を行うことができる場合があります。

特定外来生物

 特定外来生物を輸入するには次の手順で行います。

  1.  対象生物の飼養等を行う施設を用意する
  2.  当該施設の所在地を管轄する地方環境事務所等に対して飼養等許可申請書等を提出します
  3.  環境大臣が発行する許可証の写しを入手します(不許可の場合もあります)
  4.  輸出国の政府機関等が発行する種類名証明書を入手します
  5.  対象の生物を輸入する際に許可証の写しと種類名証明書を税関に提出して輸入を行います

 輸出国の政府機関等には輸出国の政府、地方公共団体、博物館、試験研究機関その他が含まれます。

未判定外来生物

 未判定外来生物とは、生態系等に係る被害を及ぼすおそれがあるものである疑いのある外来生物であって、外来生物法施行規則の別表第一に定められる生物をいいます。

 未判定外来生物を輸入するには、輸入希望者が環境大臣に対して輸入の届出その他の書類を提出し、それを受けて環境大臣が審査を行って輸入の可否を判定します。審査対象の未判定外来生物が環境等に影響を及ぼすと判定された場合にはその生物は特定外来生物に指定され、その飼養等が禁止されます。

 審査対象の未判定外来生物が環境等に影響を及ぼさないと判定された場合にはその生物を輸入することができます。

種類名証明書の添付が必要な生物

 種類名証明書の添付が必要な生物とは、特定外来生物及び未判定外来生物と類似の生物であって、外来生物法施行規則の別表第三に定められる生物及び別表第四に定められる生物との交雑種をいいます。

 種類名証明書の添付が必要な生物を輸入するには、輸入希望者が、輸出国の政府機関等(政府、地方公共団体、博物館、試験研究機関その他)が発行する種類名証明書を入手し、その対象の生物を輸入する際にその証明書を税関に提出して輸入を行います。

ワシントン条約

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)は、野生動植物の一定の種が過度に国際取引に利用されることのないようこれらの種を保護することを目的とした条約です。

 本条約は、絶滅のおそれがあり保護が必用と考えられる野生動植物を附属書Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの3分類に区分し、それぞれの必要性に応じて国際取引の規制を行うことを目的としています。

附属書I附属書II附属書III
基準絶付属書それのある種で取引による影響を受けている又は受けるおそれのあるもの現在は必ずしも絶滅のおそれはないが、取引を規制しなければ絶滅のおそれのあるもの締約国が自国内の保護のため、他の締約国・地域の協力を必要とするもの
規制の内容・学術研究を目的とした取引は可能
・輸出国・輸入国双方の許可書が必要
・商業目的の取引は可能
・輸出国政府の発行する輸出許可書等が必要
・商業目的の取引は可能
・輸出国政府の発行する輸出許可書又は原産地証明書等が必要
対象種の例オランウータン、スローロリス、ゴリラ、アジアアロワナ、ジャイアントパンダ、木香、ガビアルモドキ、ウミガメ、インドホシガメ、コツメカワウソ などクマ、タカ、オウム、ライオン、ピラルク、サンゴ、サボテン、ラン、トウダイグサ などセイウチ(カナダ)、ワニガメ(米国)、タイリクイタチ(インド)、サンゴ(中国) など

 これらの生物の生きている個体に加えてこれらの生物から製造された商品も輸出入の規制対象です。

 これらの附属書に挙げられている生物の輸出入を行う者は、経済産業省に対して必要な手続を行う必要があり、その手続内容は、附属書の種類に応じて異なります。

種の保存法並びに外国為替及び外国貿易法

 外来生物法とワシントン条約は、主に海外から日本に動物を持ち込むときに関係がある法律と条約です。逆に日本から海外への動物の移送を管理している法令が、絶滅のおそれがある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)並びに外国為替及び外国貿易法です。

 種の保存法では絶滅のおそれがある野生動植物を希少野生動植物種と呼び、種の保存法施行令において希少野生動植物種が定められています。国内に生息・生育する希少野生動植物種を「国内希少野生動植物種」といい、国際的に協力して種の保存を図ることとされている希少野生動植物種を「国際希少野生動植物種」といいます。

 「希少野生動植物種」と表記していますが、種の保存法は、野生で繁殖した個体にも人工的に繁殖した個体にも同様に適用されます。

 国内希少野生動植物種のなかには、種の保存法施行令により、「特定第一種国内希少野生動植物種」及び「特定第二種国内希少野生動植物種」に分類される国内希少野生動植物種もあります。

 希少野生動植物種の個体等については、販売及び頒布目的の陳列及び広告、又は学術研究若しくは繁殖その他の目的のためではない譲渡し等、捕獲・採取・殺傷・損傷(「捕獲等」)、及び輸出入等が原則として禁止されています。

 国内希少野生動植物(特定第二種国内希少野生動植物種を除く)の捕獲等は、学術研究又は繁殖その他の目的のためにそれを行う場合にあっては、環境大臣の許可を得てそれを行うことができます。ただし、野生で繁殖した野生動植物の捕獲・採取は他の法律や条例で制限される場合もあることに注意してください。

 国内希少野生動植物の譲渡し等は、原則として、学術研究又は繁殖その他の目的のためにそれを行う場合にあっては、環境大臣の許可を得てそれを行うことができます。ただし、例外的に環境大臣の許可を得ずに譲渡し等を行うことができる場合もあります。

 特定第一種国内希少野生動植物種以外の国内希少野生動植物種の個体等を輸出又輸入することはできません。ただし、その輸出又は輸入の目的が国際的な学術研究等であり、日本におけるその国内希少野生動植物種の保守に支障をきたさず、その他政令で定める要件であるときは、国内希少野生動植物種を輸出又は輸入することができます。

 特定第一種国内希少野生動植物種以外の希少野生動植物種の個体等を輸出又輸入しようとする者は、外国為替及び外国貿易法の規定、具体的には輸出貿易管理令及び輸入貿易管理令の規定により、輸出又は輸入の承認を受けなければなりません。

 国内希少野生動植物種の捕獲等については環境大臣の許可を必要とし、その輸出については経済産業大臣の承認を必要とするころに留意してください。

まとめ

 犬猫以外の動物を日本と外国との間で輸送する際に必要な手続を説明しました。ウサギを例にして動物検疫所における手続を説明きしました。さらに、フェレットを例にして厚労省検疫所における手続を説明しました。

 動物の移動には検疫以外の手続が必要になる場合があります。外来生物法、ワシントン条約、種の保存法と外国為替及び外国貿易法等も動物の移動を規制しています。検疫手続を終えて安心するのではなく、これらの法令に抵触していないか確認することが大事です。

 動物の国際移動を考えられている方は、お近くの行政書士に相談してみてはいかがでしょうか。

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