2026年4月1日以降、シンガポール・チャンギ国際空港における輸入検疫が変わります

ペットの犬猫をフィリピンに連れて行くための手続

ボストンテリア 医療等
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 フィリピンはASEAN諸国の中においても若い人材が豊富であり、英語も通じることから日系企業の進出が増えている国です。また、セブ島に開設されている外国人向けのインターナショナルスクールへの留学を考えられている方もいると思います。

 本記事では、フィリピン農業省動物産業局(BAI: Bureau of Animal Industry)の公式ホームページに記載された情報を基に、ペットの犬猫をフィリピンに連れて行く際に必要な準備や手続きについて紹介します。

 日本を出国するまでの手続きについては本ブログの記事「ペットと共に海外移住したいときの準備と手続き」をご覧ください。

ペットの犬猫とフィリピンに入境するための要件と書類

 1回の渡航につき、フィリピンに持ち込めるペットの数は最大3頭までと定められています。ただし、同じペットであれば、年に複数回フィリピンと国外を往復することが可能です。

ペットの要件

 ペットの犬猫をフィリピンに持ち込むためには事前に入国許可(SPSIC: Sanitary and Phytosanitary Import Clearance)を得る必要があり、ペットは入国許可を得るために以下の条件を満たさなくてはなりません。

  • ペットの犬猫は、入国許可申請時に120日齢以上である
  • ペットの犬猫は、入国許可申請時に妊娠していない
  • ISO11784及び11785に適合するマイクロチップを装着する
  • 狂犬病予防接種を実施する
  • 混合ワクチンの接種を実施する
  • 内部寄生虫及び外部寄生虫の駆虫を実施する

 次に、必要な予防接種等の種類とタイミングを動物種ごとに紹介します。

イヌの場合
種類タイミング
狂犬病ワクチンの接種・初回の接種は入国許可申請の14日前までに実施
・初回の接種時に犬は最低でも84日齢
混合ワクチンの接種(対象疾患:犬ジステンパー、犬伝染性肝炎、犬パルボウイルス感染症、犬パラインフルエンザ感染症、レプトスピラ症)・初回の接種は入国許可申請の14日前までに実施
内部寄生虫及び外部寄生虫の駆虫・入国許可申請の91日前~7日前まで

 以上の感染症に対する予防接種が必要になります。初回の接種の後に追加接種を行う場合、初回接種の有効期間内に追加接種を実施します。

ネコの場合
種類タイミング
狂犬病ワクチンの接種・初回の接種は入国許可申請の14日前までに実施
・初回の接種時に犬は最低でも84日齢
混合ワクチンの接種(対象疾患:猫白血球減少症、猫ウイルス性鼻気管支炎、猫カリシウイルス感染症)・初回の接種は入国許可申請の14日前までに実施
内部寄生虫及び外部寄生虫の駆虫・入国許可申請の91日前~7日前まで

 以上の感染症に対する予防接種が必要になります。初回の接種の後に追加接種を行う場合、初回接種の有効期間内に追加接種を実施します。


 ペットを連れて日本に帰国する予定がある場合には、日本からフィリピンへ向けて出発する前に2回の狂犬病予防接種及び狂犬病抗体検査を実施した方がよいことは、「ペットと共に海外移住したいときの準備と手続き」において既に説明しています。

寄生虫の駆虫について
  • 内部寄生虫および外部寄生虫の駆虫に使用する薬剤に関して、特定の薬剤は挙げられていません。

その他の要件

 ペットの犬猫が子供を産んでいる場合、その出産がフィリピン渡航の12週間以内である場合には入国許可が交付されません。これは、動物福祉の観点から定められた規定です。

 入国許可は、120日齢未満の犬猫に対しては、原則として交付されませんが、条件付きでペットの親子をフィリピンに連れて行ける可能性があります。

フィリピンに入国できる120日齢未満の犬猫の条件

  • 90日齢未満で狂犬病ワクチン未接種の動物であること、または
  • 90~120日齢で、狂犬病ワクチン接種後14日間の回復期間を経ていない動物であること

120日齢未満の犬猫のフィリピン渡航の条件

  • 獣医師が母子ともに健康であり、渡航に耐えられることを確認していること
  • 母親が子の出生前に狂犬病ワクチンを接種していること
  • 母子が一緒に渡航すること
  • これらの事実を輸出国の獣医当局が証明書として提出すること

入国許可の申請

必要書類

 入国許可(SPSIC)申請の際には以下の書類を提出します。

  1. 予防接種および駆虫証明書
  2. マイクロチップ装着証明書
  3. ペットの写真
  4. ペットパスポート(日本在住のペットには無関係)
  5. 宣誓書別紙AまたはC(別紙Aはフィリピン居住者用、別紙Cは国外居住者用)
  6. 輸入者のパスポート等
項目5の書類

 項目5の宣誓書別紙A(Affidavit Annex A)は、フィリピン居住者用の宣誓書であり、フィリピンの公証役場で公証してもらう必要があります。

 項目5の宣誓書別紙C(Affidavit Annex C)は、国外居住者用の宣誓書であり、公証してもらう必要はありません。国外に居住するフィリピン国籍者も宣誓書別紙Cを提出します。

項目6の書類

 項目6の輸入者のパスポート等は、フィリピンの納税者番号を持っているか否か、フィリピン国籍者であるか否かで異なります。

 フィリピンの納税者番号(TIN: Tax Identification Number)を持っている人は、納税者番号が記載された証明書を提出します。

 フィリピン国外在住であって、フィリピンの納税者番号を持たないフィリピン国籍者は、フィリピンのパスポートおよび居住国のビザを提出します。

 フィリピン国外に居住する外国人は、パスポートを提出します。

申請手続き

 申請手続きは、オンラインで行います。そのため、項目1から項目6までの書類をPDFに変換します。各項目の書類が複数のファイルになる場合には、項目ごとに1つのPDFファイルにまとめます。各ファイルのサイズは、最大5メガバイトまでと定められています。

 入国許可(SPSIC)の申請サイトに必要書類のPDFファイルをアップロードして入国許可を申請します。

 申請者は、自分のアカウントをチェックして、申請のステータスが「Approved」になっていたら、入国許可証をプリントします。

 受理されたSPSICの有効期間は60日です。

輸出検疫証明書作成上の注意

 日本出国とフィリピン入国に必要な処置と手続きを終え、入国許可を得たら、日本の動物検疫所で輸出検査を受けます。輸出検査を受検すると交付される輸出検疫証明書には、通常の記載内容のほかに、以下の特記事項があります。

  • フィリピン到着予定日
  • 内部寄生虫および外部寄生虫の駆虫と駆虫に用いた薬剤の製品名

 輸出検査には、マイクロチップ装着証明書、予防接種証明書、狂犬病抗体検査証明書(日本帰国の予定がある場合)に加えて寄生虫の駆虫証明書およびフィリピン入国許可証を持参します。

 ペットは、輸出検疫証明書の発行日から数えて10日以内にフィリピンへ入国する必要があります。証明書の発行日から11日目以降に到着した場合、その証明書は無効とみなされますのでご注意ください。

空港検疫

 フィリピンの空港に到着したら次の書類をBAI動物検疫官(VQO: Veterinary Quarantine Officer)に提示して輸入検疫を受けます。

旅客便で到着の場合
  • プリントした入国許可証(SPSIC)
  • 輸出検疫証明書
貨物便で到着の場合
  • プリントした入国許可証(SPSIC)
  • 輸出検疫証明書
  • 航空会社のスタンプが押印してあるAirway-bill

 BAIの公式ホームページでは、以上が到着時に提示する書類ですが、念のために英文のマイクロチップ装着証明書、予防接種証明書および駆虫証明書をすぐに取り出せるようにしておきましょう。

手数料の支払い

 到着空港の動物検疫局(Veterinary Quarantine Office)に以下の手数料を支払ってペットを解放してもらいます。

手数料金額
SPSIC交付料金100ペソ
SPS登録料金55ペソ
検疫手数料250ペソ/頭(最初の2頭まで)
300ペソ/頭(3頭目)

 検疫の後に交付される書類は、日本に帰国する際に必要になるので、大事に保管してください。

日本に帰国するとき

 ペットと一緒にフィリピンから日本に帰国するための日本側の検疫の手続きについてはこちらの記事をご覧ください。まず、日本に帰国するために必要な狂犬病予防接種の証明書と狂犬病抗体価検査の結果通知書を用意します。日本帰国便搭乗前10日以内に登録民間獣医師による輸出前検査を受け、動物衛生証明書を作成してもらいます。

 住所地を管轄するフィリピンの動物産業局(BIA)・動物検疫所(Veterinary Quarantine Station)において獣医官の署名と公印を獣医師発行の動物衛生証明書にもらって輸出国政府機関発行証明書にします。詳しいことは、フィリピン国内の獣医師にご相談ください。


 以上、フィリピン農業省・動物産業局の公式サイトに掲載されている情報を基に説明しました。ペットを連れてフィリピンへ移住したいけれど、ペットの渡航準備をすべて自分で行う時間がない方、サポートが必要な方は、行政書士渡邉光一事務所にご相談ください。

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