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種苗法に基づく登録品種の保護

ビジネス

 前回の記事では種苗法と品種登録制度の制度の概要を説明しました。本記事は、品種登録の出願と審査の流れ、及び登録を認められた後の登録品種の保護について説明します。

品種登録の出願と審査

出願書類

 品種登録を出願するときに提出する書類は以下のとおりです。

  • 願書(出願者及び出願品種の登録者の情報、ならびに出願品種の情報を記載します)
  • 説明書(出願品種の特徴等を記載します)
  • 特性表(説明書では説明しきれない出願品種の特徴等を記載します)
  • 写真(写真の撮影法については指示があります)
  • 委任状(手続を代理人に委任する場合に提出します)
  • 現地調査票(出願品種が果樹の場合に提出します)
  • GREX登録に関する情報(出願品種がラン類の場合に提出します)
  • 出願品種種子送付書(栽培試験を行う品種について、任意で種苗管理センターに種子を送付する場合に添付します)

 現在では品種登録の電子出願も可能になっています。

品種登録までの流れ

 出願から品種登録までの流れは以下のようになっています。

  1. 出願
    • 審査で必要な全ての形質の特性を記載した「特性表」等を願書に添付して出願します。意図しない国外への持ち出しを制限する「海外持出制限」と意図しない国内での栽培を制限する「栽培地域制限」の届出を出願と同時にすることができます。出願料納付が必要です。出願の補正や取り下げは、出願公表がされるまでにこれを行うことができます。
  2. 出願公表
    • 当該品種が出願中であることが公示されます。
  3. 仮保護
    • 出願から品種登録まで2~3年の審査期間を要します。この間にも出願者に一定の保護が与えられます。出願者は、仮保護期間中に出願品種の種苗等の生産・譲渡や海外持出制限の届出に反して輸出を行った者に対して、品種登録後、利用料相当額の補償金の請求ができます。
  4. 審査
    • 植物の特性審査が栽培試験又は現地調査によって行われます。審査手数料の納付が必要です。
  5. 審査特性の通知
    • 登録要件を満たすと判断された場合、出願者に対し、登録簿に記載される品種の特性を記録した特性表が通知されます。出願者は、通知された特性表について訂正を求めることができます。
  6. 登録
    • 登録料の納付が必要です。

手数料と登録料

出願と審査に関する手数料

 出願と審査に関する手数料と登録料は以下のようになっています。

出願料:14,000円

審査手数料

栽培試験に係る料金
一般的な出願品種93,000円/1回
果樹、茶、観賞樹等の木本性植物279,000円~465,000円/1回
きのこ424,000円/1回
特別な調査が必要な形質を含む品種105,000円~273,000円/1回
現地調査に係る料金45,000円/1回~(通常2回実施)

 上記の審査手数料に加え、病害虫抵抗性や成分分析を希望する場合には1形質当たり8,500円~275,000円の手数料がさらに必要です。

登録料

 品種登録が認められた品種については、その登録を維持するために毎年の登録料の納付が必要です。登録料は以下のようになっています。

登録出願が令和4年3月31日以前の品種

登録後の年度年間登録料
1年目~3年目各年6,000円
4年目~6年目各年9,000円
7年目~9年目各年18,000円
10年目~30年目各年36,000円

登録出願が令和4年4月1日以降の品種

登録後の年度年間登録料
1年目~9年目各年4,500円
10年目以降各年30,000円

登録料の納付期限

登録後の年度納付期限
1年目品種登録の日から30日以内
2年目以降各年の登録月日

登録品種の保護

表示義務

 登録を受けた品種について、その種苗を譲渡・販売する者は、登録品種名と共に「登録品種」の文字、「品種登録」の文字若しくは品種登録番号、又は「PVPマーク」を種苗又はその種苗の包装に表示する義務を有します。育成権者が海外持出禁止や国内栽培地の制限という利用条件をその登録品種に課している場合、その条件を種苗又はその種苗の包装に表示する義務もあります。

権利侵害への対応

予防的対応

 種苗法の令和2年改正により登録品種の種苗の海外持出制限及び国内栽培地の限定という登録品種の利用条件を届け出ることができるようになりました。国内での栽培地を限定すると共に海外持出を制限することで種苗の海外流出の一因である種苗の無断増殖の防止が期待されます。

事後的対応

 育成者権の侵害が疑われる場合、侵害の立証を行う必要がありますが、品種登録簿に記載された登録品種の特性表と比較して明確に区別されない品種は、当該登録品種と特性により明確に区別されない品種と推定されます。また、農林水産大臣に対して、特性表と侵害疑義品種を比較して判断を求めることも可能です。判定結果それ自体には法的拘束力はありませんが、裁判での有力な証拠になります。

 育成者権者又は専用利用権者は、自己の育成者権又は専用利用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、次の行動をとることができます。

  • 育成者権又は専用利用権の侵害を引き起こした種苗、その種苗からの収穫物若しくは加工品、又はその侵害行為のために使用した物の廃棄その他の侵害の予防に必要な行為の請求
  • 育成者権又は専用利用権の侵害者に対する損害賠償の請求

 さらに、育成者権又は専用利用権の侵害に対しては、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又は両方を科すことが種苗法で規定されています。

 農林水産省所管の独立行政法人「種苗管理センター」は、育成者権侵害に関連する相談、事例の記録、侵害が疑われる種苗の寄託、及び品種類似性の試験等、育成者権侵害に対応する業務を行っています。また、育成者権者の輸出又は輸入差止めの申立てにより育成者権を侵害する農産物の輸出又は輸入の差し止めが税関によって行われます。

新規開発品種の利用制限

 品種登録の審査の間に開発品種が海外へ持ち出されること及び国内で生産されることを防止するために、利用制限制度が令和3年4月より始まりました。品種登録の出願と同時に又は出願以降に利用制限の届出を提出することにより海外への持ち出し及び国内での栽培を制限することができます。利用制限の届出には次のものがあります。

  • 輸出先国の制限に係る特例届出書
  • 生産地域の制限に係る特例届出書

 以上、農林水産省パンフレット「品種登録制度と育成者権」等を参考にして品種登録制度の概要を説明しました。

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