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種苗法に基づく登録品種の保護

ビジネス

登録品種の保護

表示義務

 登録を受けた品種について、その種苗を譲渡・販売する者は、登録品種名と共に「登録品種」の文字、「品種登録」の文字若しくは品種登録番号、又は「PVPマーク」を種苗又はその種苗の包装に表示する義務を有します。育成権者が海外持出禁止や国内栽培地の制限という利用条件をその登録品種に課している場合、その条件を種苗又はその種苗の包装に表示する義務もあります。

権利侵害への対応

予防的対応

 種苗法の令和2年改正により登録品種の種苗の海外持出制限及び国内栽培地の限定という登録品種の利用条件を届け出ることができるようになりました。国内での栽培地を限定すると共に海外持出を制限することで種苗の海外流出の一因である種苗の無断増殖の防止が期待されます。

事後的対応

 育成者権の侵害が疑われる場合、侵害の立証を行う必要がありますが、品種登録簿に記載された登録品種の特性表と比較して明確に区別されない品種は、当該登録品種と特性により明確に区別されない品種と推定されます。また、農林水産大臣に対して、特性表と侵害疑義品種を比較して判断を求めることも可能です。判定結果それ自体には法的拘束力はありませんが、裁判での有力な証拠になります。

 育成者権者又は専用利用権者は、自己の育成者権又は専用利用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、次の行動をとることができます。

  • 育成者権又は専用利用権の侵害を引き起こした種苗、その種苗からの収穫物若しくは加工品、又はその侵害行為のために使用した物の廃棄その他の侵害の予防に必要な行為の請求
  • 育成者権又は専用利用権の侵害者に対する損害賠償の請求

 さらに、育成者権又は専用利用権の侵害に対しては、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又は両方を科すことが種苗法で規定されています。

 農林水産省所管の独立行政法人「種苗管理センター」は、育成者権侵害に関連する相談、事例の記録、侵害が疑われる種苗の寄託、及び品種類似性の試験等、育成者権侵害に対応する業務を行っています。また、育成者権者の輸出又は輸入差止めの申立てにより育成者権を侵害する農産物の輸出又は輸入の差し止めが税関によって行われます。

新規開発品種の利用制限

 品種登録の審査の間に開発品種が海外へ持ち出されること及び国内で生産されることを防止するために、利用制限制度が令和3年4月より始まりました。品種登録の出願と同時に又は出願以降に利用制限の届出を提出することにより海外への持ち出し及び国内での栽培を制限することができます。利用制限の届出には次のものがあります。

  • 輸出先国の制限に係る特例届出書
  • 生産地域の制限に係る特例届出書提出の代行

出願と審査に関する手数料と登録料

 出願と審査に関する手数料と登録料は以下のようになっています。

出願料14,000円
審査手数料
栽培試験の場合
一般的な出願品種93,000円/1回
果樹、茶、観賞樹279,000円~465,000円/1回
きのこ424,000円/1回
特別な調査が必要な形質を含む品種105,000円~273,000円/1回
現地調査の場合45,000円/1回~(通常2回実施)

 上記の審査手数料に加え、病害虫抵抗性や成分分析を希望する場合には1形質当たり8,500円~275,000円の手数料がさらに必要です。登録後1~9年目まで毎年4,500円の登録料が必要です。10年目以降は毎年30,000円の登録料が必要です。

 以上、農林水産省パンフレット「品種登録制度と育成者権」及び土生哲也著「知的財産管理技能検定3級完全対策講座」(日経BP社)を参考にして品種登録制度の概要を解説してきました。行政書士渡邉光一事務所では品種登録制度・農業に関する記事をこれからも紹介します。

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