医療法人制度は、設立後も適切な会計処理や行政への報告、監督への対応など、継続的な義務を負っています。本章では、医療法第6章に定められた 「計算(会計処理)」、「監督」、「合併分割」、「解散」 の仕組みを、実務で押さえるべきポイントに絞って解説します。
これらの規定は、医療法人が適切に財務情報を管理し、透明性を確保しながら安定した医療提供を続けるための基盤です。前章で扱った「設立・機関」の内容とあわせて、医療法人の運営全体を理解する助けとなるでしょう。
第一部:医療法人の計算
■医療法人の会計(法第50条)
内容:医療法人の会計は、医療法、医療法施行規則、一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従う。
■会計帳簿の作成(法第50条の2)
◇帳簿の作成義務(第1項)
義務者:医療法人
義務の内容:書面又は電磁的記録をもって、正確な会計帳簿を作成する。
◇帳簿の保存義務(第2項)
義務者:医療法人
義務の内容:会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存する。
保存期間:会計帳簿の閉鎖の時から10年間
■監査(法第51条)
◇報告書等の作成義務(第1項)
義務者:すべての医療法人
義務の内容:会計年度ごとに、下記の「事業報告書等」を作成しなければならない。
- 事業報告書
- 財産目録
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 関係事業者(医療法人又はその役員と医療法施行規則第32条の6で定める特殊の関係がある者)との取引の状況に関する報告書
- その他医療法施行規則第33条で定める書類
報告書等の作成期限:会計年度終了後2か月以内
◇監査対象の特則(第2項)
義務者:医療法人(医療法施行規則第33条の2で定める基準に該当する法人)
義務の内容:厚生労働省令で定めるところにより、第1項の貸借対照表及び損益計算書を作成する。
ポイント:第2項の規定は、第5項に定める公認会計士・監査法人の監査を受ける医療法人ならびに当該監査の対象である財務諸表を特定している。
◇計算書の保存義務(第3項)
義務者:医療法人
義務の内容:貸借対照表及び損益計算書を保存する。
保存期間:貸借対照表・損益計算書の作成から10年間
ポイント:第3項の規定は、貸借対照表・損益計算書以外の報告書等は保存しなくてよいと言っているのではない。貸借対照表・損益計算書以外の報告書等は、第50条の2第2項に基づき、10年間保存しなければならない。
◇監事の監査(第4項)
監査対象:すべての医療法人
内容:下記の医療法施行規則で定めるところにより、監事の監査を受けなければならない。
- 監事及び公認会計士等の監査(施行規則第33条の2の2):監査の基本規定を定める
- 監事の監査報告書の内容(施行規則第33条の2の3):事業報告書受領後に作成する監査報告書の内容を定める
- 監事の監査報告書の通知期限等(施行規則第33条の2の4):理事への監査報告書の通知期限を定める
- 公認会計士等の監査報告書の内容(施行規則第33条の2の5):財産目録・財務二表受領後に作成する監査報告書の内容を定める
- 公認会計士等の監査報告書の通知期限等(施行規則第33条の2の6):理事・監事への監査報告書の通知期限を定める
監査の対象報告書:事業報告書等
◇公認会計士等の監査(第5項)
監査対象:第2項の規定に該当する医療法人
義務の内容:厚生労働省令で定めるところにより、公認会計士又は監査法人の監査を受けなければならない。
監査の対象報告書:
- 財産目録
- 貸借対照表
- 損益計算書
◇理事会の承認(第6項)
内容:医療法人は、下記の報告書について、理事会の承認を受けなければならない。
承認を受ける報告書:前二項の監事又は公認会計士若しくは監査法人の監査を受けた事業報告書等
■事業報告書等の提出等(法第51条の2)
◇事業報告書等の提出義務(第1項)
義務者:社団医療法人の理事
義務の内容:第51条第6項の理事会の承認を受けた事業報告書等を社員総会に提出する。
◇事業報告書等の提供義務(第2項)
義務者:社団医療法人の理事
義務の内容:社員に対し、第51条第6項の理事会の承認を受けた承認を受けた事業報告書等を提供する。
提供の時機:社員総会の招集通知に際して
提供の方法:医療法施行規則第33条の2の7に定める方法による。
◇社員総会の承認(第3項)
内容:社団医療法人は、社員総会に提出された事業報告書等のうち、下記の報告書について、社員総会の承認を受けなければならない。
- 貸借対照表
- 損益計算書
◇事業報告書等の報告(第4項)
内容:理事は、社員総会において、下記の報告書等の内容を報告する。
- 事業報告書等のうち、貸借対照表及び損益計算書を除くもの
◇財団医療法人への準用(第5項)
内容:前各項の規定は、財団医療法人について準用する。
■事業報告書等の公告(法第51条の3)
◇事業報告書等の公告義務(第1項)
義務者:下記の医療法人
- 医療法施行規則第33条の2第1号に規定する医療法人
- 社会医療法人
義務の内容:社員総会・評議員会の承認を受けた事業報告書等(貸借対照表及び損益計算書に限る。)を公告する。
公告の時機:承認をした社員総会・評議員会の終結後遅滞なく
公告の方法:医療法施行規則第33条の2の9第1項に定める方法による。
公告の期間:医療法施行規則第33条の2の10に定める期間
◇事業報告書等の公告の特則(第2項)
対象者:第1項の医療法人のうち、その公告方法が医療法施行規則第33条の2の9第2項で定める方法であるもの
内容:第1項に規定する事業報告書等の要旨を公告することで足りる。
■報告書等の閲覧(法第51条の4)
◇報告書等の閲覧義務(第1項)
義務者:医療法人(第2項に規定する者を除く。)
義務の内容:下記に掲げる書類を主たる事務所に備え置き、社員・評議員・債権者からの請求に応じて、これを閲覧に供する。
- 事業報告書等
- 監事の監査報告書
- 定款又は寄附行為
例外:正当な理由がある場合
閲覧の方法:医療法施行規則第33条の2の11に定める方法による。
◇報告書等の閲覧義務の特則(第2項)
義務者:
- 社会医療法人
- 第51条第2項の医療法人
義務の内容:下記に掲げる書類を主たる事務所に備え置き、請求に応じて、これを閲覧に供する。
- 第1項各号に掲げる書類
- 公認会計士等の監査報告書(第51条第2項の医療法人のみ)
例外:正当な理由がある場合
◇報告書等の備置き義務(第3項)
義務者:医療法人
義務の内容:下記の報告書をその主たる事務所に備え置く。
- 事業報告書等
- 監事の監査報告書
- 公認会計士等の監査報告書
備置き期間とその始期:事業報告書等を提出した社員総会・評議員会の日の1週間前の日から5年間
◇従たる事務所における書類の備置き及び閲覧への準用(第4項)
内容:前三項の規定は、医療法人の従たる事務所における書類の備置き及び閲覧について準用する。
■知事の対応(法第52条)
◇書類の届出義務(第1項)
義務者:医療法人
義務の内容:会計年度ごとに、下記に掲げる書類を都道府県知事に届け出る。
- 事業報告書等
- 監事の監査報告書
- 公認会計士等の監査報告書(第51条第2項の医療法人のみ)
届出期間:会計年度終了後3か月以内
届出の方法:医療法施行規則第33条の2の12に定める方法による。
◇書類の閲覧義務(第2項)
義務者:都道府県知事
義務の内容:下記に掲げる書類について、請求に応じて、これを閲覧に供しなければならない。
- 定款・寄附行為
- 第1項の届出に係る書類
閲覧の方法:医療法施行規則第33条の2の12第2項に定める方法による。
■医療法人の会計年度(法第53条)
始期:4月1日
終期:翌年3月31日
例外:定款又は寄附行為に別段の定めがある場合
■配当の禁止(法第54条)
内容:医療法人は、剰余金の配当をしてはならない。
計算まとめ
医療法人が作成すべき書類の種類と、作成後に必要となる手続きについては、下記のの表1・表2に整理した。

◎ すべての医療法人
● 施行規則第33条の2で定める医療法人

◎ すべての医療法人
〇 施行規則第33条の2で定める医療法人・社会医療法人を除く医療法人
● 施行規則第33条の2で定める医療法人・社会医療法人
第二部:社会医療法人債
省略
第三部:定款及び寄附行為の変更
■定款・寄附行為の変更(法第54条の9)
◇社員総会の決議(第1項)
内容:社団医療法人の定款変更は、社員総会の決議によらなければならない。
◇評議員会の意見(第2項)
内容:財団医療法人の寄附行為の変更は、あらかじめ、評議員会の意見を聴かなければならない。
◇変更の認可取得義務(第3項)
義務者:医療法人
義務発生の場面:定款・寄附行為を変更するとき
義務の内容:定款・寄附行為の変更について、知事の認可を得る。
例外:第44条第2項に掲げる下記の事項(医療法施行規則第33条の26)
- 事務所の所在地(第4号)
- 公告の方法(第12号)
⇒ これらの事項の変更については、第5項参照
◇知事の審査(第4項)
審査の内容:都道府県知事は、定款・寄附行為の変更を認可するにあたり、下記の事項を審査する。
- 第45条第1項に規定する事項に違反していないかどうか
- 定款・寄附行為の変更の手続が法令・定款・寄附行為に違反していないかどうか
◇変更の届出義務(第5項)
義務者:医療法人
義務発生の場面:第3項に掲げる事項に係る定款・寄附行為の変更をしたとき
義務の内容:遅滞なく、変更した定款・寄附行為を都道府県知事に届け出る。
◇第44条第5項の規定の準用(第6項)
内容:第44条第5項の規定は、残余財産の帰属すべき者に関する規定の設置・変更について準用する。
■定款・寄附行為の変更の認可(施行規則第33条の25)
◇書類の添付(第1項)
提出先:都道府県知事
提出の時機:定款・寄附行為の変更の認可を受けようとするとき
内容:第33条の25第1項各号に掲げる書類を申請書に添付しなければならない。
◇病院等新設に伴う変更時の特則(第2項)
特則の適用対象:
- 新たに病院を開設する場合
- 新たに常勤の医師・歯科医師が居る診療所を開設する場合
- 新たに介護老人保健施設又は介護医療院を開設する場合
特則の内容:第33条の25第1項各号の書類に加えて、下記に掲げる書類を申請書に添付しなければならない。
◇業務内容変更に伴う変更時の特則(第3項)
特則の適用対象:医療法人が法第42条各号に掲げる業務のために定款・寄附行為を変更する場合
特則の内容:第33条の25第1項各号の書類に加えて、下記に掲げる書類を申請書に添付しなければならない。
- 第31条第6号に掲げる書類
- 定款・寄附行為変更後2年間の事業計画及び予算書
◇社会医療法人の業務内容変更に伴う変更時の特則(第4項)
省略
第四部:医療法人の解散及び清算
医療法人解散の流れ
認可による解散
STEP 0:解散事由の発生(法第55条第1項・第3項)
STEP 1:社員総会・評議員会での決議
STEP 2:解散認可申請書の提出(仮申請・本申請)(法第55条第6項)
STEP 3:医療審議会への諮問(法第55条第7項)
STEP 4:解散認可書の交付(法第55条第6項)
STEP 5:解散登記・清算人就任登記および届出(法第43条第1項・令第5条の12)
STEP 6:債権者への催告(法第56条の8)
STEP 7:清算(法第56条の7)
STEP 8:清算結了登記および届出(法第56条の11・令第5条の12)
(埼玉県「医療法人解散認可申請の手引き」より一部改変)
届出による解散
STEP 0:解散事由の発生(法第55条第1項・第3項)
STEP 1:社員総会・評議員会での決議
STEP 2:解散登記・清算人就任登記および届出(法第43条第1項・令第5条の12)
STEP 3:債権者への催告(法第56条の8)
STEP 4:清算(法第56条の7)
STEP 5:清算結了登記および届出(法第56条の11・令第5条の12)
(埼玉県「医療法人解散認可申請の手引き」より一部改変)
条文
■医療法人の解散(法第55条)
◇社団医療法人の解散の事由(第1項)
内容:社団医療法人は、下記の事由によって解散する。
- 定款で定めた解散事由の発生
- 目的たる業務の成功の不能
- 社員総会の決議
- 他の医療法人との合併(合併により当該医療法人が消滅する場合に限る。第56条第1項・第56条の3において同じ。)
- 社員の欠亡
- 破産手続開始の決定
- 設立認可の取消し
◇解散に必要な社員の賛同(第2項)
内容:社団医療法人の解散決議には、社員総会における総社員の4分の3以上の賛成を必要とする。
例外:定款に別段の定めがある場合
◇財団医療法人の解散の事由(第3項)
内容:財団医療法人は、下記の事由によって解散する。
- 寄附行為で定めた解散事由の発生
- 目的たる業務の成功の不能
- 他の医療法人との合併(合併により当該医療法人が消滅する場合に限る。第56条第1項・第56条の3において同じ。)
- 破産手続開始の決定
- 設立認可の取消し
◇破産手続開始の決定(第4項)
破産手続開始決定の場面:医療法人が債務を完済することができなくなった場合
破産手続開始決定の時機:下記の者の裁判所への申立て又は職権による
- 理事
- 債権者
◇破産手続開始の申立て義務(第5項)
義務者:理事
申立ての時機:医療法人が債務を完済することができなくなった場合、直ちに
◇知事の認可(第6項)
内容:下記に掲げる事由による解散は、都道府県知事の認可を必要とする。
- 第1項第2号に掲げる事由(目的たる業務の成功の不能)
- 第1項第3号に掲げる事由(社員総会の決議)
ポイント:第1項第3号に掲げる事由による解散は、財団医療法人には適用されない。
◇医療審議会への諮問(第7項)
内容:都道府県知事は、解散の認可の可否を判断するにあたり、都道府県医療審議会の意見を聴かなければならない。
◇清算人による届出義務(第8項)
義務の内容:清算人は、下記に掲げるいずれかの事由によって医療法人が解散した場合には、都道府県知事にその旨を届け出る。
- 第1項第1号(定款で定めた解散事由の発生)
- 第1項第5号(社員の欠亡)
- 第3項第1号(寄附行為で定めた解散事由の発生)
■解散の認可の申請(施行規則第34条)
内容:法第55条第6項の規定により、解散の認可を受けようとするときは、医療法施行規則第34条各号に掲げる書類を申請書に添付して、都道府県知事に提出する。
ポイント:解散登記が必要。
■医療法人の残余財産の帰属(法第56条)
◇定款・寄附行為の定めによる帰属(第1項)
内容:解散した医療法人の残余財産は、定款・寄附行為の定めに従って、その帰属すべき者に帰属する。
例外:
- 合併による解散の場合
- 破産手続開始の決定による解散の場合
◇国庫への帰属(第2項)
内容:第1項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。
■解散後の法人格の存続(法第56条の2)
内容:解散した医療法人は、清算の目的の範囲内において、その清算が終了するまで存続するものとみなす。
■清算人の就任(法第56条の3)
内容:医療法人が解散したときは、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除き、理事が清算人となる。
ポイント:清算人の就任登記が必要。
例外:
- 定款・寄附行為に別段の定めがあるとき
- 社員総会において理事以外の者を選任したとき
ポイント:合併により設立する医療法人が合併により消滅する医療法人の権利義務の全部を承継するため、合併による解散の場合には清算人は選任されない。
■裁判所による清算人の選任(法第56条の4)
内容:裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができる。
清算人選任の事情:下記のいずれか
- 第56条の3の規定により清算人となる者がないとき
- 清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるとき
■清算人の解任(法第56条の5)
内容:裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を解任することができる。
清算人解任の事情:重要な事由があるとき
ポイント:清算人の変更登記が必要。
■清算人の届出(法第56条の6)
内容:清算人は、氏名・住所を都道府県知事に届け出なければならない。
■清算人の職務(法第56条の7)
◇職務(第1項)
内容:清算人の職務は、下記のとおり。
- 現務の結了(解散時に未完了の業務を完了させること)
- 債権の取立て及び債務の弁済
- 残余財産の引渡し
◇権限(第2項)
内容:清算人は、第1項各号に掲げる職務を行うために必要な権限を有する。
■債権者への催告(法第56条の8)
◇債権申出の催告(第1項)
内容:清算人は、債権者に対し、一定の期間(2か月以上)内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。
催告期間の始期:清算人の就職の日から2か月以内
催告の方式:少なくとも3回の公告による
◇債権申出催告の特則(第2項)
内容:期間内に申出をしなかった債権者は清算から除斥される旨を公告に付記しなければならない。
除籍の例外:判明している債権者は清算から除斥できない。
◇各別の債権申出催告(第3項)
内容:清算人は、判明している債権者に対し、各別に申出の催告をしなければならない。
◇公告の方式(第4項)
内容:第1項の規定による公告は、官報に掲載してする。
■催告期間経過後の申出(法第56条の9)
申出者:催告期間の経過後に申出をした債権者
申出者の権利:当該申出者は、医療法人の債務完済後にまだ引き渡されていない財産に対してのみ、請求をすることができる。
■医療法人の破産手続の開始(法第56条の10)
◇破産手続の開始(第1項)
破産手続の開始事由:清算中に医療法人の財産が債務完済に足りないことが明らかになったとき
清算人の対応:清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをし、その旨を公告しなければならない。
◇破産管財人への事務の引き継ぎ(第2項)
破産手続開始決定を受けた対応:清算人は、破産管財人にその事務を引き継ぎ、それによって任務を終了したものとする。
◇破産管財人の否認権(第3項)
内容:破産管財人が清算人からその事務を引き継いだ場合において、破産管財人は、下記に掲げるものを取り戻すことができる。
- 清算中の医療法人が既に債権者に支払い、又は権利の帰属すべき者に引き渡したもの
◇公告の方式(第4項)
内容:第1項の規定による公告は、官報に掲載してする。
■清算結了時の届出(法第56条の11)
内容:清算が結了したときは、清算人は、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
ポイント:清算結了登記が必要。
■医療法人の解散における裁判所の役割(法第56条の12)
- 医療法人の解散及び清算は、裁判所の監督に属する(第1項)。
- 裁判所は、職権で、いつでも第1項の監督に必要な検査をすることができる(第2項)。
- 医療法人の解散・清算を監督する裁判所は、都道府県知事に対し、意見を求め、調査を嘱託することができる(第3項)。
- 第3項に規定する都道府県知事は、裁判所に対し、意見を述べることができる(第4項)。
■管轄裁判所(法第56条の13)
内容:解散・清算の監督並びに清算人に関する事件は、医療法人の主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
■不服申立ての除外(法第56条の14)
内容:清算人の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
■報酬の付与(法第56条の15)
内容:裁判所は、医療法人が清算人に支払う報酬の額を決定することができる。
報酬額決定の場面:第56条の4の規定により清算人を選任したとき
聴聞:報酬額の決定にあたり、裁判所は清算人及び監事の陳述を聴かなければならない。
■検査役(法第56条の16)
◇検査役の選任(第1項)
内容:裁判所は、検査役を選任することができる。
検査役の役割:医療法人の解散・清算の監督に必要な調査
◇第56条の14・第56条の15の規定の準用(第2項)
内容:第56条の14・第56条の15の規定は、裁判所が検査役を選任した場合について準用する。
第五部:医療法人の合併及び分割
5-1. 合併
医療法人合併の流れ
吸収合併
STEP 1:社員総会・理事会(財団医療法人)での吸収合併契約締結の決議(法第58条の2第1項・第3項)
STEP 2:吸収合併認可申請書の提出(仮申請・本申請)(法第58条の2第4項)
STEP 3:医療審議会への諮問(法第58条の2第5項)
STEP 4:吸収合併認可書の交付(法第58条の2第4項)
STEP 5:書類の作成(法第58条の3)
STEP 6:債権者への催告(法第58条の4)
STEP 7:合併登記および届出(法第58条の6・令第5条の12)
新設合併
STEP 1:社員総会・理事会(財団医療法人)での新設合併契約締結の決議(法第59条の2)
STEP 2:新設合併認可申請書の提出(仮申請・本申請)(法第59条の2)
STEP 3:医療審議会への諮問(法第59条の2)
STEP 4:新設合併認可書の交付(法第59条の2)
STEP 5:書類の作成(法第59条の2)
STEP 6:債権者への催告(法第59条の2)
STEP 7:合併登記および届出(法第59条の4・令第5条の12)
5-1-1. 通則
■医療法人の合併(法第57条)
内容:医療法人は、合併契約を締結することで、他の医療法人と合併をすることができる。
5-1-2. 吸収合併
■吸収合併契約(法第58条)
内容:医療法人が吸収合併をする場合には、第58条に定める事項及び医療法施行規則第35条各号で定める事項を吸収合併契約に定めなければならない。
権利義務の承継:合併により消滅する医療法人の権利義務の全部は、合併後存続する医療法人に承継させる。
■吸収合併の要件(法第58条の2)
◇社員の同意(第1項)
対象医療法人:社団医療法人
吸収合併契約について必要な同意:総社員の同意
◇寄附行為の定め(第2項)
対象医療法人:財団医療法人
内容:財団医療法人は、吸収合併をすることができる旨の定めが寄附行為になければ、吸収合併をすることができない。
◇理事の同意(第3項)
対象医療法人:財団医療法人
吸収合併契約について必要な同意:理事の3分の2以上の同意
例外:寄附行為に別段の定めがある場合
◇知事の認可(第4項)
内容:吸収合併は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。
知事の属性:存続医療法人の主たる事務所の所在地の知事
◇医療審議会への諮問(第5項)
内容:第55条第7項の規定(医療審議会への諮問)は、第4項の認可について準用する。
■吸収合併の認可の申請(施行規則第35条の2)
◇添付書類(第1項)
内容:吸収合併の認可を受けようとするときは、医療法施行規則第35条の2第1項各号に掲げる書類を申請書に添付して、都道府県知事に提出する。
◇持分の定めのある医療法人に関する特則(第2項)
特則の適用場面:吸収合併前の医療法人がどちらも持分の定めのある医療法人である場合であって、吸収合併存続医療法人の定款を定めるとき
ポイント:平成19年(2007年)4月以後に設立された医療法人は、持分の定めのない医療法人である。
特則の内容:法第44条第5項の規定にかかわらず、同項に規定する者以外の者を残余財産の帰属すべき者として定款に規定することができる。
■吸収合併に関わる書類の作成(法第58条の3)
◇書類の作成義務(第1項)
義務者:医療法人
義務の場面:第58条の2第4項の認可があったとき
義務の内容:認可の通知日から2週間以内に、財産目録及び貸借対照表を作成する。
◇書類の備置き・閲覧義務(第2項)
義務者:医療法人
義務の場面:認可を受けた吸収合併に係る合併の登記がされるまでの間
義務の内容:
- 第1項の規定により作成した財産目録及び貸借対照表を主たる事務所に備え置く。
- 債権者からの請求に応じ、医療法施行規則第35条の3で定めるところにより、財産目録及び貸借対照表を閲覧に供する。
■債権者の異議申出(法第58条の4)
◇異議申出の催告(第1項)
内容:医療法人は、債権者に対し、一定の期間(2か月以上)内に異議申出をすべき旨の公告をしなければならない。
公告の期間:認可の通知日から2週間以内
例外:医療法人は、判明している債権者に対し、各別に異議申出の催告をしなければならない。
◇異議が存在しない場合の対応(第2項)
対応場面:債権者が第1項の期間(2か月以上)内に吸収合併に対して異議を述べなかったとき
内容:債権者は吸収合併を承認したものとみなす。
◇異議が存在する場合の対応(第3項)
対応場面:債権者が異議を述べたとき
内容:医療法人は、下記に掲げる対応のいずれかをとらなければならない。
- 債権者への弁済
- 債権者への担保提供
- 信託会社等への相当の財産の信託
弁済・担保提供・信託の例外:吸収合併をしても債権者の利益を害するおそれがないとき
■権利義務の承継(法第58条の5)
内容:吸収合併存続医療法人は、吸収合併消滅医療法人の権利義務のすべてを承継する。
■合併の登記(法第58条の6)
内容:吸収合併存続医療法人が、その主たる事務所の所在地において合併の登記をすることにより、吸収合併はその効力を生ずる。
5-1-3. 新設合併
■新設合併契約(法第59条)
「新設合併」とは
複数の医療法人が、合併により設立する医療法人へ権利義務のすべてを承継させる形式の合併。
内容:複数(2以上)の医療法人が新設合併をする場合には、第59条に定める事項及び医療法施行規則第35条の4各号で定める事項を新設合併契約に定めなければならない。
■吸収合併に関する規定の準用(法第59条の2)
内容:第58条の2から第58条の4までの規定は、医療法人が新設合併をする場合について準用する。
■権利義務の承継(法第59条の3)
内容:新設合併設立医療法人は、新設合併消滅医療法人の権利義務のすべてを承継する。
■合併の登記(法第59条の4)
内容:新設合併設立医療法人が、その主たる事務所の所在地において合併の登記をすることにより、新設合併はその効力を生ずる。
■適用除外(法第59条の5)
内容:医療法第6章第2節の規定は、新設合併設立医療法人の設立については、適用しない。
5-2. 分割
医療法人分割の流れ
吸収分割
STEP 1:社員総会・理事会(財団医療法人)での吸収分割契約締結の決議(法第60条の3第1項・第3項)
STEP 2:吸収分割認可申請書の提出(仮申請・本申請)(法第60条の3第4項)
STEP 3:医療審議会への諮問(法第60条の3第5項)
STEP 4:吸収分割認可書の交付(法第60条の3第4項)
STEP 5:書類の作成(法第60条の4)
STEP 6:債権者への催告(法第60条の5)
STEP 7:分割登記および届出(法第60条の7・令第5条の12)
新設分割
STEP 1:社員総会・理事会(財団医療法人)での新設分割計画賛同の決議(法第61条の3)
STEP 2:新設分割認可申請書の提出(仮申請・本申請)(法第61条の3)
STEP 3:医療審議会への諮問(法第61条の3)
STEP 4:新設分割認可書の交付(法第61条の3)
STEP 5:書類の作成(法第61条の3)
STEP 6:債権者への催告(法第61条の3)
STEP 7:分割登記および届出(法第61条の5・令第5条の12)
5-2-1. 吸収分割
■医療法人の吸収分割(法第60条)
内容:医療法人は、吸収分割契約を締結することで、吸収分割をすることができる。
適用除外:医療法施行規則第35条の6で定める医療法人
吸収分割とは:医療法人(吸収分割医療法人)がその事業に関して有する権利義務の全部・一部を分割後に他の医療法人(吸収分割承継医療法人)に承継させること。
吸収分割契約とは:吸収分割医療法人と吸収分割承継医療法人との間で締結する吸収分割に係る契約のこと。
■吸収分割契約(法第60条の2)
内容:医療法人が吸収分割をする場合には、第60条の2に定める事項及び医療法施行規則第35条の7各号で定める事項を吸収分割契約に定めなければならない。
■吸収分割の要件(法第60条の3)
◇社員の同意(第1項)
対象医療法人:社団医療法人
吸収分割契約について必要な同意:総社員の同意
◇寄附行為の定め(第2項)
対象医療法人:財団医療法人
内容:財団医療法人は、吸収分割をすることができる旨の定めが寄附行為になければ、吸収分割をすることができない。
◇理事の同意(第3項)
対象医療法人:財団医療法人
吸収分割契約について必要な同意:理事の3分の2以上の同意
例外:寄附行為に別段の定めがある場合
◇知事の認可(第4項)
内容:吸収分割は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。
知事の属性:吸収分割医療法人と吸収分割承継医療法人の主たる事務所の所在地の都道府県知事
◇医療審議会への諮問(第5項)
内容:第55条第7項の規定(医療審議会への諮問)は、第4項の認可について準用する。
■吸収分割の認可の申請(施行規則第35条の8)
内容:吸収分割の認可を受けようとするときは、医療法施行規則第35条の8各号に掲げる書類を申請書に添付して、都道府県知事に提出する。
■吸収分割に関わる書類の作成(法第60条の4)
◇書類の作成義務(第1項)
義務者:医療法人
義務の場面:第60条の3第4項の認可があったとき
義務の内容:認可の通知日から2週間以内に、財産目録及び貸借対照表を作成する。
◇書類の備置き・閲覧義務(第2項)
義務者:医療法人
義務の場面:認可を受けた吸収分割に係る分割の登記がされるまでの間
義務の内容:
- 第1項の規定により作成した財産目録及び貸借対照表を主たる事務所に備え置く。
- 債権者からの請求に応じ、医療法施行規則第35条の9で定めるところにより、財産目録及び貸借対照表を閲覧に供する。
■債権者の異議申出(法第60条の5)
◇異議申出の催告(第1項)
内容:医療法人は、債権者に対し、一定の期間(2か月以上)内に異議申出をすべき旨の公告をしなければならない。
公告の期間:認可の通知日から2週間以内
例外:医療法人は、判明している債権者に対し、各別に異議申出の催告をしなければならない。
◇異議が存在しない場合の対応(第2項)
対応場面:債権者が第1項の期間(2か月以上)内に吸収分割に対して異議を述べなかったとき
内容:債権者は吸収分割を承認したものとみなす。
◇異議が存在する場合の対応(第3項)
対応場面:債権者が異議を述べたとき
内容:医療法人は、下記に掲げる対応のいずれかをとらなければならない。
- 債権者への弁済
- 債権者への担保提供
- 信託会社等への相当の財産の信託
弁済・担保提供・信託の例外:吸収分割をしても債権者の利益を害するおそれがないとき
■権利義務の承継(法第60条の6)
◇権利義務の承継(第1項)
内容:吸収分割承継医療法人は、吸収分割契約の定めに従い、吸収分割医療法人の権利義務を承継する。
◇吸収分割医療法人による債務の承継(第2項)
申出者:吸収分割医療法人の債権者であって、第60条の5第1項の各別の催告を受けなかった者
申出者の権利:当該申請者は、吸収分割後に吸収分割医療法人に対して債務履行の請求ができないとされていても、当該医療法人に対して債務の履行を請求をすることができる。
債務履行請求の範囲:吸収分割医療法人が分割登記のあった日に有していた財産の価額を限度とする。
◇吸収分割承継医療法人による債務の承継(第3項)
申出者:吸収分割医療法人の債権者であって、第60条の5第1項の各別の催告を受けなかった者
申出者の権利:当該申出者は、吸収分割後に吸収分割承継医療法人に対して債務履行の請求ができないとされていても、当該医療法人に対して債務の履行を請求することができる。
債務履行請求の範囲:吸収分割承継医療法人が承継した財産の価額を限度とする。
■分割の登記(法第60条の7)
内容:吸収分割承継医療法人が、その主たる事務所の所在地において分割の登記をすることにより、吸収分割はその効力を生ずる。
5-2-2. 新設分割
■医療法人の新設分割(法第61条)
◇新設分割(第1項)
内容:1又は2以上の医療法人は、新設分割計画を作成することで、新設分割をすることができる。
新設分割とは:1又は2以上の医療法人(新設分割医療法人)がその事業に関して有する権利義務の全部・一部を分割により設立する医療法人(新設分割設立医療法人)に承継させること。
◇新設分割の特則(第2項)
特則の適用場面:2以上の医療法人が共同して新設分割をする場合
特則の内容:当該2以上の医療法人は、共同して新設分割計画を作成しなければならない。
■新設分割計画(法第61条の2)
内容:1又は2以上の医療法人が新設分割をする場合には、第61条の2に定める事項及び医療法施行規則第35条の10各号で定める事項を新設分割計画に定めなければならない。
■吸収分割に関する規定の準用(法第61条の3)
内容:第60条の3から第60条の5までの規定は、医療法人が新設分割をする場合について準用する。
■吸収分割に関する規定の準用(施行規則第35条の11)
内容:第35条の8及び第35条の9の規定は、医療法人が新設分割をする場合について準用する。
■権利義務の承継(法第61条の4)
◇権利義務の承継(第1項)
内容:新設分割設立医療法人は、新設分割計画の定めに従い、新設分割医療法人の権利義務を承継する。
◇新設分割医療法人による債務の承継(第2項)
申出者:新設分割医療法人の債権者であって、第61条の3において準用する第60条の5第1項の各別の催告を受けなかった者
申出者の権利:当該申請者は、新設分割後に新設分割医療法人に対して債務履行の請求ができないとされていても、当該医療法人に対して債務の履行を請求をすることができる。
債務履行請求の範囲:新設分割医療法人が分割登記のあった日に有していた財産の価額を限度とする。
◇新設分割設立医療法人による債務の承継(第3項)
申出者:新設分割医療法人の債権者であって、第61条の3において準用する第60条の5第1項の各別の催告を受けなかった者
申出者の権利:当該申出者は、新設分割後に新設分割設立医療法人に対して債務履行の請求ができないとされていても、当該医療法人に対して債務の履行を請求することができる。
債務履行請求の範囲:新設分割設立医療法人が承継した財産の価額を限度とする。
■分割の登記(法第61条の5)
内容:新設分割設立医療法人が、その主たる事務所の所在地において分割の登記をすることにより、新設分割はその効力を生ずる。
■適用除外(法第61条の6)
内容:医療法第6章第2節の規定は、新設分割設立医療法人の設立については、適用しない。
5-2-3. 雑則
■労働契約の取扱い(法第62条)
内容:下記の労働契約承継法・商法等の一部を改正する法律の規定は、医療法人が分割をする場合について準用する。
- 労働契約承継法第2条(労働者等への通知)
- 労働契約承継法第3条(承継される事業に主として従事する労働者に係る労働契約の承継)
- 労働契約承継法第4条
- 労働契約承継法第5条(その他の労働者に係る労働契約の承継)
- 労働契約承継法第6条(労働協約の承継等)
- 労働契約承継法第7条(労働者の理解と協力)
- 労働契約承継法第8条(指針)
- 商法等の一部を改正する法律附則第5条第1項
■根抵当権者・債務者の合併・分割(法第62条の2)
内容:下記の民法・事業性融資推進法の規定は、医療法人が分割をする場合について準用する。
5-3. 雑則
■政令への委任(法第62条の3)
内容:医療法第6章第8節に特に定めるもののほか、医療法人の合併及び分割に関し必要な事項は、政令で定める。
第六部:医療法人に対する行政の監督
■医療法人の事務所への立入検査等(法第63条)
◇立入検査等(第1項)
権限者:都道府県知事
対象施設:医療法人の事務所
権限の内容:都道府県知事は下記の措置をとることができる。
- 業務・会計の状況に関する報告を命ずる。
- 職員に、事務所へ立ち入り、業務・会計の状況を検査させる。
措置を講ずる場面:
- 医療法人の業務・会計が法令、法令に基づく都道府県知事の処分、定款・寄附行為に違反している疑いがあると認めるとき
- 医療法人の運営が著しく適正を欠く疑いがあると認めるとき
◇第6条の8第3項及び第4項の規定の準用(第2項)
内容:第6条の8第3項及び第4項の規定は、第1項の規定による立入検査について準用する。
■法令違反・適正に欠く運営への対応(法第64条)
◇措置命令(第1項)
権限者:都道府県知事
権限の内容:期限を定めて、必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
受命者:医療法人
命令を発する場面:
- 医療法人の業務・会計が法令、法令に基づく都道府県知事の処分、定款・寄附行為に違反していると認めるとき
- 医療法人の運営が著しく適正を欠くと認めるとき
◇業務停止命令・役員解任勧告(第2項)
権限者:都道府県知事
権限の内容:
- 医療法人に対し、期間を定めて業務の全部・一部の停止を命じることができる。
- 医療法人に対し、役員の解任を勧告することができる。
命令・勧告の場面:医療法人が第1項の命令に従わないとき
◇医療審議会への諮問(第3項)
内容:都道府県知事は、第2項の規定による権限の実施にあたり、あらかじめ、都道府県医療審議会の意見を聴かなければならない。
■社会医療法人の処分(法第64条の2)
◇社会医療法人の認定取消・業務停止命令(第1項)
権限者:都道府県知事
権限の内容:
- 社会医療法人の認定を取り消すことができる。
- 期間を定めて社会医療法人の収益業務の全部・一部の停止を命ずることができる。
認定取消・業務停止命令の場面:第1項各号のいずれかに該当する場合
◇医療審議会への諮問(第2項)
内容:都道府県知事は、第1項の規定による権限の実施にあたり、あらかじめ、都道府県医療審議会の意見を聴かなければならない。
■設立認可の取消(法第65条)
権限者:都道府県知事
権限の内容:下記の場合において、医療法人設立の認可を取り消すことができる。
- 医療法人が、成立後、正当な理由がなく病院等を開設しないとき
- 医療法人が、全ての病院等を休止・廃止した後1年以内に正当な理由がなく病院等を再開しないとき
※病院等 = 病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院
■設立認可の取消の特則(法第66条)
◇認可取消の特則(第1項)
権限者:都道府県知事
特則の適用場面:医療法人が法令の規定に違反し、又は法令の規定に基く都道府県知事の命令に違反した場合
特則の内容:他の方法により監督の目的を達することができないときに限り、設立の認可を取り消すことができる。
◇医療審議会への諮問(第2項)
権限者:都道府県知事
権限の内容:都道府県知事は、第1項の規定による権限の実施にあたり、あらかじめ、都道府県医療審議会の意見を聴かなければならない。
■厚生労働大臣の指示(法第66条の2)
権限者:厚生労働大臣
指示発出の場面:第64条第1項・第2項、第64条の2第1項、第65条、第66条第1項の規定による処分を行わないことで、そのことが著しく公益を害するおそれがあると認めるとき
指示の内容:都道府県知事に対し、上掲の規定による処分を行うべきことを指示することができる。
■関係都道府県知事の意見(法第66条の3)
権限者:関係都道府県知事
「関係都道府県知事」とは
医療法人が開設する病院等の所在地の都道府県知事であって、当該医療法人の主たる事務所の所在地以外の都道府県知事
権限行使の場面:関係都道府県知事が、医療法人に対して適当な措置が必要であると認めるとき
権限の内容:当該医療法人の主たる事務所の所在地の都道府県知事に対し、意見を述べることができる。
■弁明の聴取(法第67条)
◇弁明の機会の付与(第1項)
内容:都道府県知事は、下記に掲げる処分・勧告を行うにあたり、当該処分の名宛人又は当該勧告の相手方に対し、弁明する機会を与えなければならない。
- 定款・寄附行為変更の認可(第44条第1項)をしない処分
- 解散の認可(第55条第6項)をしない処分
- 吸収合併・新設合併の認可(第58条の2第4項・第59条の2)をしない処分
- 吸収分割・新設分割の認可(第60条の3第4項・第61条の3)をしない処分
- 役員解任の勧告(第64条第2項)
弁明の相手:都道府県知事が指名した職員又はその他の者
弁明の方式:あらかじめ、書面をもって、下記の事項を当該処分の名宛人又は当該勧告の相手方に通知する。
- 弁明をする日・場所
- 当該処分・当該勧告をする理由
◇通知受領者の対応(第2項)
内容:第1項の通知を受けた者は、代理人を出頭させ、かつ、自己に有利な証拠を提出することができる。
◇弁明聴取者の義務(第3項)
内容:第1項の規定による弁明の聴取をした者は、下記の対応をとらなくてはならない。
- 聴取書の作成
- 聴取書の保存
- 報告書の作成
- 処分・勧告の必要性についての都道府県知事への意見
■一般法人法・会社法の規定の準用(法第68条)
内容:下記の一般法人法・会社法の規定は、医療法人について準用する。律並びに会社法
- 一般法人法第4条
- 一般法人法第158条
- 一般法人法第164条
- 会社法第662条(条件付債権等に係る債務の弁済)
- 会社法第664条(債務の弁済前における残余財産の分配の制限)
- 会社法第868条第1項(非訟事件の管轄)
- 会社法第871条(理由の付記)
- 会社法第874条第1号(不服申立ての制限)
- 会社法第875条(非訟事件手続法の規定の適用除外)
- 会社法第876条(最高裁判所規則)
□住所(一般法人法第4条)
内容:医療法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
□遺贈・贈与に関する規定の準用(一般法人法第158条)
◇贈与による財産の拠出(第1項)
内容:生前の処分で財産の拠出をするときは、その性質に反しない限り、民法の贈与に関する規定を準用する。
◇遺贈による財産の拠出(第2項)
内容:遺言で財産の拠出をするときは、その性質に反しない限り、民法の遺贈に関する規定を準用する。
ポイント:本条は、財団医療法人への財産の拠出について規定する。
□財産の帰属時期(一般法人法第164条)
◇贈与された財産の帰属時期(第1項)
内容:生前の処分で財産の拠出をしたときは、その財産は、医療法人の成立の時から当該医療法人に帰属する。
◇遺贈された財産の帰属時期(第2項)
内容:遺言で財産の拠出をしたときは、その財産は、遺言が効力を生じた時から医療法人に帰属したものとみなす。
ポイント:本条は、財団医療法人へ拠出された財産の帰属について規定する。
□条件付債権等に係る債務の弁済(会社法第662条)
◇条件付債権等の評価(第1項)
内容:清算中の医療法人は、条件付債権等に係る債務を弁済することができる。
条件付債権等の範囲:
- 条件付債権
- 存続期間が不確定な債権
- その額が不確定な債権
鑑定人の選任:債務弁済にあたり、裁判所に対して、条件付債権等を評価する鑑定人の選任申立てをする必要がある。
◇債務の弁済(第2項)
内容:第1項の弁済の場合には、清算中の医療法人は、鑑定人の評価に従って債権に係る債務を弁済しなければならない。
◇鑑定人の費用(第3項)
内容:清算中の医療法人は、下記の費用を負担する。
- 鑑定人の選任の手続に関する費用
- 鑑定人による鑑定のための呼出し及び質問に関する費用
□債務の弁済前における残余財産の分配の制限(会社法第664条)
内容:清算中の医療法人は、債務を弁済した後でなければ、その財産を残余財産の帰属すべき者又は国庫に帰属させることができない。
例外:存否又は額について争いのある債権に係る債務の弁済をするために必要と認められる財産を留保した場合
■政令への委任(法第69条)
内容:医療法第6章に特に定めるもののほか、医療法人の監督に関し必要な事項は、政令で定める。
第七部:医療法人に関する情報の調査及び分析等
省略
第八部:罰則
| 違反内容 | 条項 | 罰則 |
|---|---|---|
| 医療法に基づく登記をすることを怠った | 第93条第1号 | 20万円以下の過料* |
| 第46条第2項の規定による財産目録の備付けを怠り、記載すべき事項を記載せず、虚偽の記載をした | 第93条第2号 | 20万円以下の過料* |
| 第46条の3の6において準用する一般法人法第47条の3第1項の規定に違反して、電子提供措置をとらなかった | 第93条第3号 | 20万円以下の過料* |
| 第46条の3の6において準用する一般法人法第57条第2項から第4項まで、第46条の4の7において準用する同法第193条第2項から第4項まで若しくは第46条の7の2第1項において準用する同法第97条第1項から第3項までの規定による議事録の備付けを怠り、これに記載・記録すべき事項を記載・記録せず、虚偽の記載・記録をし、これらの規定による閲覧・謄写を拒んだ | 第93条第4号 | 20万円以下の過料* |
| 第51条の3第1項の規定による公告を怠り、虚偽の公告をした | 第93条第5号 | 20万円以下の過料* |
| 第51条の4第1項(第4項において準用する場合を含む。)、第2項(第4項において準用する場合を含む。)若しくは第3項(第4項において準用する場合を含む。)の規定による書類の備付けを怠り、その書類の記載事項を記載せず、虚偽の記載をし、又は正当の理由がないのに第51条の4第1項・第2項の規定による閲覧を拒んだ | 第93条第6号 | 20万円以下の過料* |
| 第52条第1項又は第54条の9第5項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした | 第93条第7号 | 20万円以下の過料* |
| 第54条の規定に違反して剰余金の配当をした | 第93条第8号 | 20万円以下の過料* |
| 第55条第5項又は第56条の10第1項の規定による破産手続開始の申立てを怠った | 第93条第9号 | 20万円以下の過料* |
| 第56条の8第1項又は第56条の10第1項の規定による公告を怠り、又は虚偽の公告をした | 第93条第10号 | 20万円以下の過料* |
| 第58条の3第2項(第59条の2において準用する場合を含む。)又は第60条の4第2項(第61条の3において準用する場合を含む。)の規定による書類の備付けを怠り、その書類の記載事項を記載せず、虚偽の記載をし、又はこれらの規定による閲覧を拒んだ | 第93条第11号 | 20万円以下の過料* |
| 第58条の4第1項・第3項(第59条の2において準用する場合を含む。)又は第60条の5第1項・第3項(第61条の3において準用する場合を含む。)の規定に違反して、吸収合併、新設合併、吸収分割又は新設分割をした | 第93条第12号 | 20万円以下の過料* |
| 第63条第1項の規定による報告を怠り、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した | 第93条第13号 | 20万円以下の過料* |
| 第64条第2項又は第64条の2第1項の規定による命令に違反して業務を行った | 第93条第14号 | 20万円以下の過料* |
| 第40条の規定に違反した | 第94条 | 10万円以下の過料 |
おわりに
医療法第6章は、医療法人の運営を支える仕組みを定めた章です。日々の診療に直接関わる内容ではありませんが、医療法人が安定した医療提供を継続するためには欠かせない規定です。
本章の内容を押さえることで、医療法人の運営におけるリスクを減らし、より透明性の高い法人運営につながります。
本記事が、医療法人の設立を検討する医療機関の皆様にとって、制度理解の一助となれば幸いです。今後も法改正の動向を踏まえつつ、実務に役立つ情報を発信していきます。
