アメリカに入国できる犬の要件が2024年8月1日に変わりました

海外(狂犬病発生地域)からペットと共に日本へ帰国するための準備と手続き

ペット ペットと海外移住

日本へ出国する前に行う手続き

 以下の、飼い主が渡航に際して日本の検疫所に対してする手続き等の流れは、清浄国指定地域からの帰国の場合とほぼ同じですので簡単に説明します。

  1. 日本到着の40日前までに到着予定の空港海港を管轄する動物検疫所に輸入届出書を提出する
  2. 届出書を受けとった動物検疫所が交付する「届出受理書」を受け取り、日本渡航時に携帯する
  3. 提出した「届出書」に変更が生じたときは「変更届出書」を検疫所に提出する(到着日を早くしたり、輸入するペットの頭数を追加すること、輸入予定の個体を別の個体に変更すること、最初に提出した届出書に記入した到着予定日を過ぎてから日程を変更したりすることは認められません)
  4. 日本への渡航前(出国前)10日以内に、滞在国の民間獣医師又は政府機関の医官による臨床検査(輸出前検査)を受ける(イヌの場合では狂犬病(rabies)及びレプトスピラ症(leptospirosis)にかかっていない又はかかっている疑いが無いこと、及びネコの場合では狂犬病にかかっていない又はかかっている疑いが無いことを検査します)
  5. 輸出国政府機関発行の証明書を取得する

 動物検疫所が発行する届出受理書は、輸出国政府機関による証明書の発行(民間獣医師作成の健康証明書のエンドースメント)や飛行機へのペットの搭載等に必要になります。

 ペットの輸出前検査は、輸出国政府機関発行の証明書を取得するためにも必要です。滞在地の民間動物病院等で輸出前検査を受ける際にはマイクロチップ装着証明書、2回分の狂犬病予防接種証明書、及び狂犬病抗体価検査結果通知書を持参します。日本の検疫所が提供している書式に検査結果を記載してもらい、狂犬病予防接種と狂犬病抗体価検査の情報も証明書から転記してもらい、そうして健康証明書を作成してもらいます。この健康証明書が輸出国政府機関発行の証明書の元になります。

 健康証明書(後の輸出国政府機関発行の証明書)には

(ア)イヌ・ネコの生年月日又は年齢
(イ)マイクロチップの番号と埋込年月日
(ウ)狂犬病ワクチン接種の情報
(接種年月日、有効免疫期間、ワクチンの種類、ワクチンの製品名と製造会社名)
(エ)狂犬病抗体検査の情報
(採血年月日、指定検査施設名、及び抗体価)
(オ)輸出前検査の結果
(検査年月日と狂犬病及びレプトスピラ症(イヌのみ)の検査結果)
(カ)予防接種及び寄生虫の駆除の情報(参考情報)

の記載が必要です。項目(カ)は、実施した接種又は処置の記載が必要であり、記載内容は、対象の疾患又は寄生虫の名前、予防接種又は駆虫薬投与の年月日、ワクチンの種類(不活化ワクチン又は組換えワクチン。生ワクチンは認められません)、及びワクチンの有効免疫期間です。狂犬病予防接種を除く各種予防接種及び駆虫薬投与は日本に入国する要件ではありませんが、推奨されています。

 輸出国政府機関発行の証明書は、動物病院等で作成してもらった健康証明書を滞在地の動物検疫当局その他に持参し、当獣医官が健康証明書に追加情報を記入し、署名押印等をしてエンドースメント(裏書)を付すことで作成されます。エンドースメント(裏書)を付す前の証明書の内容を日本の動物検疫所で確認してもらうことができます。

 各国の獣医による健康証明書作成と獣医官によるエンドースメントについてはこちらのフォルダ内の目的の国の記事の中で説明しています。獣医官によるエンドースメント時には健康証明書に加えて各種証明書及び届出受理書を必要とする国もあります。必要書類については各国の検疫当局にお尋ねください。

 動物病院における検査、及び予防接種等の処置の度にマイクロチップ番号が読み取り機で確実に読み取れることを確認してください。また、非指定地域から帰国する際に提出する証明書の書式は、指定地域から帰国する際に提出する証明書の書式とは異なります。お間違えの無いようにお気を付けください。

 以上の手順を完了した後に日本に向かって出国します。

日本到着後の手続き

  日本到着後に動物検疫所で輸入検査を受けます。輸入検査申請書、狂犬病抗体検査の検査結果通知書輸出国政府機関発行証明書を提出し、貨物便としてペットを送付したときはそれらの書類に加えて航空運送状又は船荷証券を、届出受理書の受領時に他の提出書類を指示されたときはその書類を提出して輸入検査を受けます。問題が無ければ12時間以内にペットと共に空港海港を出ることができます。問題がある場合は、最大で180日間の係留処分を受ける可能性があります。

まとめ

 本記事では、清浄国に指定されていない国・地域から日本へペットと共に帰国する際に日本の検疫当局から要求されるペットの要件と飼い主がする手続きについて説明しました。今回のポイントを以下にまとめます。

  • ペットにマイクロチップを装着する
  • ペットに2回の狂犬病予防接種をする
  • ペットに狂犬病抗体価検査を行う
  • 狂犬病抗体価検査のための採血の日から180日間以上の期間を待機する
  • 帰国40日前までに日本の動物検疫所に輸入届出書を提出して届出受理書を受け取る
  • 帰国10日以内に滞在国でペットに健康検査を受けさせて輸出国政府機関発行の証明書を得る
  • 輸出国政府機関発行証明書、狂犬病抗体価検査結果通知書、届出受理書、輸入検査申請書、及びその他の書類を携帯してペットと共に帰国する
  • 日本に帰国したら上記の書類を提出して輸入検査を受ける

 非指定国・地域から日本に帰国する場合では待機時間が長いです。日本への帰国便に搭乗するまで一回目の狂犬病ワクチン接種から少なくとも7か月の時間が必要です。抗体検査の結果、抗体価が基準値に達していないことが判明する可能性もあります。ペットと共に帰国するスケジュールは、余裕を持たせて計画してください。

 海外赴任・留学からペットを連れて帰国したいのだけれども自分で渡航準備の全てを行う時間がないという方や海外から日本に招聘する人物がペットを連れてきたいと言っているのだけれども組織としてはそこまでの面倒を見ることができなくて困っているという方は行政書士渡邉光一事務所にご相談ください。

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