ペットと一緒にフランスまたはドイツへ渡航する際に必要な書類や条件について、各国の大使館公式サイトの情報をもとに分かりやすく解説します。なお、日本出国前の準備については、別記事「ペットと一緒に海外移住したいときの準備と手続き」をご参照ください。
EU全体の規制
ペットの条件
EU加盟国へペット(犬・猫)を連れて行くには、以下の条件を満たす必要があります。
- ISO11784/11785規格に準拠したマイクロチップの装着
- 12週齢以上のペットには、マイクロチップの装着後に狂犬病予防接種(不活化ワクチン又は組換えワクチン)が必要
- 狂犬病予防接種から30日以降かつ予防接種の有効期間内に狂犬病抗体検査を実施し、基準値(0.5 IU/mL以上)を満たす
- 犬の場合、マルタ、フィンランド、アイルランド、英国、又はノルウェーへ渡航する際は、入国の24~120時間前にエキノコックス(多包条虫)の駆除を実施
日本国内のみで飼育されていたペットには、狂犬病抗体検査は不要です。
上記の条件を満たすペットは、狂犬病予防接種から21日以降にEU加盟国に入国できます。
必要書類
- EU様式動物衛生証明書
EU様式動物衛生証明書には、マイクロチップ番号、狂犬病予防接種情報、狂犬病抗体検査の結果、エキノコックスの駆虫情報等を記載します。
EU様式動物衛生証明書には、EU加盟国入国前10日以内に日本の動物検疫所で獣医官の署名と公印を取得します。
フランスへの入国条件
ペットの条件
- 入国可能なペットは最大5頭まで
- 16週齢以上
- ISO11784/11785規格のマイクロチップ装着
- マイクロチップ装着後の狂犬病予防接種
- 日本国内のみで飼育されていたペットには、狂犬病抗体検査は不要
以下の犬種については入国制限があります。
- スタッフォードシャー・テリア
- アメリカン・スタッフォードシャー・テリア(ピットブル)
- マスティフ
- 土佐犬
上記の条件を満たすペットは、狂犬病予防接種から21日以降にフランスに入国できます。
必要書類
- EU様式動物衛生証明書(フランス入国前10日以内に動物検疫所で署名・公印取得)
- 狂犬病予防接種証明書
- マイクロチップ装着証明書(日本帰国時に有用)
日本へ帰国する際の手続き
- フランス国内の居住地を管轄する国民保護局(DDPP: Direction départementale de la protection des populations)の許可が必要
- 資格がある獣医師の輸出前検査を受診して動物衛生証明書を取得
- 動物衛生証明書にフランス政府の獣医官の署名と公印を得て「輸出国政府機関発行の証明書」を取得
ドイツへの入国条件
ペットの条件
- 入国可能なペットは最大5頭まで
- 12週齢以上
- ISO11784/11785規格のマイクロチップ装着
- マイクロチップ装着後の狂犬病予防接種
- 日本国内のみで飼育されていたペットには、狂犬病抗体検査は不要
上記の条件を満たすペットは、狂犬病予防接種から21日以降にドイツに入国できます。
必要書類
- EU様式動物衛生証明書(ドイツ入国前10日以内に動物検疫所で署名・公印取得)
- 狂犬病予防接種証明書(日本帰国時に有用)
- マイクロチップ装着証明書(日本帰国時に有用)
ドイツに連れて行った犬については、ドイツ国内の住所地を管轄する自治体での登録が必要です。
日本へ帰国する際の手続き
- かかりつけ動物病院で輸出前検査を受診して動物衛生証明書を取得
- 動物衛生証明書にドイツ政府の獣医官の署名と公印を得て「輸出国政府機関発行の証明書」を取得
獣医官については、ドイツ国内の居住地の名前と「Veterinäramt」で検索してください。
こうして裏書を得た動物衛生証明書が、日本の動物検疫所に提出する輸出国政府機関発行の証明書になります。
EUペットパスポートについて
EU加盟国に移住後は、現地の動物病院でEUペットパスポートを取得することを推奨します。EUペットパスポートを携帯することでEU加盟国間の移動がスムーズになります。
※マルタ・フィンランド・英国・アイルランド・ノルウェーへ渡航する際は、EU内であってもエキノコックス駆除が必要です。
ペットを連れてフランス又はドイツへ移住したいけれど、ペットの渡航準備をすべて自分で行う時間がない方、サポートが必要な方は、行政書士渡邉光一事務所にご相談ください。