相続により受け継いだ財産に対して相続税が課されることはよく知られていることですが、その財産の中に不動産が含まれていると相続税以外にも課される税があることまではあまり知られていないのではないでしょうか。今号の記事では相続・遺贈により受け継いだ不動産に対して課される税について紹介します。筆者は行政書士であり、税理士ではないので一般的な情報しかご紹介できないことをご留意ください。
相続があったときに支払う相続税以外の税金について以下で説明します。なお、具体的な税額については税理士にご相談ください。
不動産取得税
不動産を取得したときに課される特別な税金が不動産取得税です。相続・遺贈に関して、相続により不動産を受け継いだ相続人、又は包括遺贈(遺贈者が割合を示してその財産を遺贈する方式)の結果として不動産を受け継いだ受遺者には不動産取得税は課税されません。これに対し、特定遺贈(遺贈者がその特定の財産を示して遺贈する方式)の結果として不動産を受け継いだ受遺者には不動産取得税が課税されます。すなわち、相続人及び包括遺贈の受遺者には免税、特定遺贈の受遺者には課税となります。
税率は、土地については3%、住宅については3%、住宅以外の家屋については4%となっており、固定資産課税台帳に記載されている価額をこれらの税率に掛け算することで税額が得られます。宅地及び居住用の家屋については税額を軽減させるような特例もありますが、ここでは詳細を述べません。
登録免許税
不動産を取得した後、誰がその不動産の所有者であるか表示し、その不動産に関するその所有者の権利や義務を保護するための仕組みを登記といい、相続・遺贈により新たに不動産の所有者となった人も登記をします。なお、2024年(令和6年)4月1日から相続により得た不動産の登記が義務になりました。このトピックは稿を改めてご紹介します。
登録免許税は、登記を受けるときに課税されます。税率は、相続による不動産の所有権移転の登記については0.4%、贈与・遺贈による不動産の所有権移転の登記については2%になっており、不動産の価額をこれらの税率に掛け算することで税額が得られます。
上で述べたように相続・遺贈により取得した不動産の登記が義務化されますが、その取得を知った日から3年以内に取得すればよいとされていますが、早く義務を済ませてしまったほうがよいでしょう。
以上、相続・遺贈により不動産を受け継いだ場合に課される相続税以外の税金について説明しました。遺産の分割を考えるときは、不動産を受け取った人が税金を払うことができるか考えておくことも大事です。税金を払うことができなくて相続した不動産を売りに出すこともありますし、売れてお金が入る前に相続税支払いの期日が来てしまうこともあります。具体的な相続税額の計算は、税理士の先生にご相談ください。
以下のアンケートにお答えください。よろしくお願いします。