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(メルマガ第10号)相続登記義務化と相続土地国庫帰属制度

相続の説明 終活・相続

 前号のメールマガジンで相続・遺贈により取得した不動産の登記(相続登記)が2024年(令和6年)4月1日から義務化されることを述べました。また、以前の記事において、相続人の全員が相続放棄しても相続財産中の土地や家屋の管理責任が直ちに無くなるわけではないと述べました。今号のメールマガジンではこれらに関係する不動産の相続登記義務と相続土地国庫帰属制度について説明します。

不動産相続登記義務制度とは

司法書士
司法書士

これまで、相続で不動産を受け継いでも登記が義務ではなかったため、所有者が不明の不動産であったり、未登記の状態が何代にもわたって権利関係が複雑になってしまった不動産が増えてしまいました。真の所有者が誰であるのか行政の方でたどりつけないため、地震などの災害時に被災家屋の撤去の妨げともなっています。そこで、政府は令和6年4月より、相続した不動産の登記を義務化しました。

 これまで、相続登記の申請は義務ではなく、その申請をしなくても相続人が国から不利益を被ることはありませんでした。また、相続した土地に価値がなく、その土地を売却することも難しい場合にわざわざ費用をかけてまで登記を申請する理由がありませんでした。その結果として所有者がわからない土地が2017年(平成29年)の時点で22%にまでなってしまいました。土地の相続登記が義務ではなかったことにより、放置・荒廃した所有者不明の土地が起点なり、その周囲の土地の価値が徐々に低下するという問題、登記をしないまま相続が繰り返されることにより土地共有者が増加し、相続人の1人がその土地を売却しようとしても、その土地を共有する顔も合わせたことが無いような親戚と売却に向けて話し合わなくてはならなくなるという問題等、様々な問題が持ち上がってきています。そこで、相続登記が2024年(令和6年)4月1日から義務化されることになりました。

制度の内容

 不動産を取得した相続人・受遺者は、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務になりました。正当な理由もなくその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処されます。被相続人が遺言をしていれば、その内容を知った日、遺言をしていなければ被相続人の死亡を知った日が「取得を知った日」になります。被相続人が遺言をしていなかった場合、その遺産は被相続人の死亡時に相続人全員の共有となります。「取得を知った日」は、特定の相続人に特定の不動産が分割されることが決定した日ではないことに注意してください。

兄弟姉妹の間で遺産分割がもめてしまい、相続開始からもうすぐ3年ですが、誰が不動産を相続するか未だに決まっていません。相続登記の期限が来てしまいますが、どうしたらいいですか?

 現在の法律では遺産分割協議に期限はありません。そのため、「取得を知った日」から3年の期限までに遺産分割協議がまとまっていない可能性を考慮し、3年の期限までに遺産分割協がまとまりそうにない場合は3年の期限のうちに「相続人申告登記」をして不動産の名義人の相続人であることを登記する制度ができました。この相続人申告登記制度では、相続人申告登記を行った相続人はその不動産の所有者であることを登記したわけではないため、後に遺産分割協議がまとまって不動産を取得した相続人に3年以内の登記が義務付けられています。

 法律は、通常、「法の不遡及」といって法律が制定される前の事実には適用されないものですが、相続登記義務化に関しては本年の4月1日以前に発生していたケースにも適用されます。ただし、本年の4月1日から3年までが相続登記申請義務の履行期間になっています。司法書士の先生方が登記の相談に対応します。

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