2026年4月1日以降、シンガポール・チャンギ国際空港における輸入検疫が変わります

非指定地域(狂犬病発生地域)からペットと一緒に日本へ帰国するための準備ガイド

マルチーズ ペットと海外移住
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 前回の記事では、狂犬病が発生していない「指定地域」からペット(犬・猫)を連れて帰国する際の手続きについて解説しました。今回はそれ以外の「非指定地域」から帰国する場合の準備についてご紹介します。

 非指定地域とは、アイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸島、ハワイ、グアム以外のほぼすべての国・地域を指します。つまり、世界の大半が該当しますが、手順をしっかり踏めば難しくありません。

ペットの条件

 以下のステップを順番に進めていきましょう。

1.マイクロチップの装着

 ISO11784・11785に準拠したマイクロチップをペットに装着します。

2.狂犬病予防接種(1回目)

 ペットが91日齢を過ぎてから、1回目の接種を行います。

3.狂犬病予防接種(2回目)

 1回目の接種から30日以上経過し、かつ有効期間内に2回目を接種します。

4.抗体価検査の実施

 2回目の接種後に採血し、農水省指定の検査施設で抗体価検査を受けます。基準値は0.5 IU/ml 以上です。

5.180日間の待機期間

 採血日を0日目として、180日以上待機します。この期間を満たさずに帰国すると、ペットは係留施設で待機することになり、費用は飼い主負担です。

※ワクチンは不活化ワクチン又は組換えワクチンのみ有効です。生ワクチンは認められていません。

 狂犬病抗体検査は、農林水産省指定の検査機関の検査のみ有効です。検査結果は、採血日から2年間有効です。

日本から連れてきたペットを帰国させる場合

 日本出国前に2回の狂犬病予防接種と狂犬病抗体検査を済ませていれば、帰国時の待期期間を省略できる場合があります。以下の条件を満たす必要があります。

  • 日本出国時の輸出検査において、狂犬病予防接種と狂犬病抗体検査の結果を確認済みであること
  • 滞在先で狂犬病予防接種の有効期間が途切れないように追加接種を受けていること
  • 狂犬病抗体検査の有効期間(2年間)内であること

 滞在先で狂犬病抗体検査の有効期間が満了してしまった場合は、現地で再検査を行い、基準値を満たせば待期期間なしで帰国できます。

日本へ出発する前に行う手続き

 ペットを日本へ連れて帰る際には、出発前に以下の手続きを済ませておく必要があります。

  1. 輸入届出書の提出:日本到着の40日前までに、到着予定の空港・港を管轄する動物検疫所へ提出。
  2. 届出受理書の取得:検疫所から交付される「届出受理書」を受け取り、渡航時に携帯。
  3. 輸出前検査:渡航前10日以内に、現地の獣医師または政府機関による健康診断を受ける。
  4. 証明書の取得:輸出国政府機関が発行する証明書(動物衛生証明書)を取得。

※提出した「届出書」に変更が生じたときは「変更届出書」を検疫所に提出します。ただし、到着日を早くしたり、輸入するペットの頭数を追加すること、輸入予定の個体を別の個体に変更すること、最初に提出した届出書に記入した到着予定日を過ぎてから日程を変更したりすることは認められません。

 輸出前検査の際に作成された健康証明書は、輸出国政府の獣医官や検疫官の署名と公印(エンドースメント)を得て、輸出国政府機関発行の証明書になります。

 日本の動物検疫所は、輸出国政府機関発行の証明書の書式として、Form ACを提供しています。

日本到着後の流れ

 到着後は空港の動物検疫カウンターで輸入検査を受けます。以下の書類を提出します。

  • 輸入検査申請書
  • 届出受理書
  • 輸出国政府機関発行証明書
  • 航空運送状など(貨物便の場合)

 ペットの身元確認のため、マイクロチップが読み取られます。問題がなければ、12時間以内にペットと一緒に空港・港を出ることができます。問題があった場合、ペットは最大で180日間の係留措置を受けることになります。

 180日間の待機期間を経ずに日本に到着してしまった場合、ペットは待機期間を満了するまで係留措置を受けることになります。

 係留のための費用はペットの飼主の負担です。

まとめ

 非指定地域からペットと帰国するには、以下のポイントを押さえましょう。

  • マイクロチップの装着確認と2回の狂犬病予防接種
  • 狂犬病抗体検査と180日間の待機
  • 渡航40日前までに届出書を提出
  • 渡航10日以内に健康診断と輸出国政府機関発行の証明書取得
  • 必要書類を携帯して帰国
  • 到着後に輸入検査を受ける

 これらの手続きをきちんと行えば、大切なペットと安心して日本へ帰国できます。特に、日本から連れて行ったペットの場合は条件が緩和されることもあるので、出国時の検査記録をしっかり保管しておくことが大切です。


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